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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※随分と完結まで間が空いてしまってごめんなさい。
 けど先にこちらの連載を終わらせておきます。
 一つでも書き掛けになっていたシリーズにケリを
つけておきたかったので…。
 後は暫く桜の回想シリーズに専念します。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
  その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。

 秘められた想い                        10   11

 御堂との熱いセックスを終えて失神した後…気怠い余韻を覚えていきながら
数時間後に目覚めていった。
 ベッドの上にいつの間にか横たえられていた。
 どうやら窓際で睦み合った後…御堂がここまで運んでくれたらしい。
 自分と御堂はほぼ同体格ぐらいだからかつぎ上げるのも容易な
ことではないだろう。
 それでも自分を放り出さずに、ちゃんと暖かい布団の上まで運んでくれた
心遣いに、ささやかな幸福を感じていた。
 チラリと窓の方を見ると、そこの後始末もきちんと済まされていた。
 窓ガラスにべったりと身体をくっつけられて抱かれたせいでこちらの汗や
皮脂とか、精液などがべったりとさっきまでついていた事だろう。
 それが綺麗に拭い取られているのを見て…克哉は顔を真っ赤に染めていった。

(…うわっ! さっきの事…思い返してみると死ぬほど恥ずかしいかも…!)

 先程の御堂との熱い時間をジワジワと思い出して、ボッと火が
点いたように頬が赤く染まっていく。
 あんな風に誰か他の人間に見られるかも…と不安を覚えながら抱かれると、
恥ずかしくて仕方ないのに…身体はひどい快感を覚えていた。
 そんな浅ましい自分を改めて思い知りながら…克哉は窓の向こうに広がる
夜景と、夜空に浮かぶ月を眺めていった。
 青白い月を見ると、ふと…店にいた時に御堂に二杯目に薦めた
カクテルの事を思い出していく。

「ブルームーンに秘められた意味か…我ながら、意地の悪い問題だったよな…
こうして考えてみる、とさ…」

 ふと、BARでの御堂とのやりとりを思い出して克哉は目を細めて
微笑んでいく。
 我ながら随分と意地の悪い問題を出したものだ。
 御堂はワインにはこちらが足下に及ばないくらい造詣も深いがその他の
酒については殆ど知らない。
 逆にこちらは一時、カクテルにハマっていて色々試した時期さえあるのだから、
完全にこちらのフィールドに立って出題したようなものだった。
 100%判る訳がないのを最初から承知の上で、克哉は問いかけたのだ。
 そんな自分に少し苦笑をしたくなった。
 
(孝典さんが判る訳ないよな…リキュール類とかはあの人の専門外
だろうから…。それにカクテル本体じゃなくて、ベースに使われている
酒に込められた意味だからな…俺があの人に捧げたかったのは…)

 けれどだからこそ、御堂の気を一時でも引けたのだろう。
 そしてこちらが望んだ通り、燃えるように熱い時間を与えてくれたのだろう。
 抱かれている瞬間は、いつになく気持ちよくて意識が飛びそうだった。
 どう言い繕っても、こちらが感じ切っていたことなど御堂にはお見通しだろう。
 だから約束は果たさないといけない。
 今、自分の隣で安らかな寝息を立てて眠っているこの人が起きたら…
ブルームーンの中に秘めた自分の想いを、キチンと伝えないといけないだろう。
 その事を考えるだけで、カアっと頬が火照ってしまう。
 我ながら随分と大胆な振る舞いをしたと思う。

(うう…やっぱり思い返すと相当に恥ずかしいよな…。ブルームーンの
ベースに使われているスミレ・リキュール…パルフェ・タムールには
『完全な愛』という名がつけられている事…。そして、オレが孝典さんに
望んでいる事もそれだって言ったら…完璧に、愛の告白だよな…)

 一時、克哉はカクテルにハマった時期…ついでにベースとなる酒の事も
興味深いものはそれなりに調べて知識を得ていた。 
 中でもそのリキュールの名前はひどくキザったらしく思えて…それで克哉の
中には印象深く記憶されていたのだ。
 その完璧な愛を材料に使った定番のカクテルであるブルームーンには
「出来ない相談」という意味がある癖に、原料となっているパルフェタムールには
正反対の意味が含まれているのが面白いと思って…それで覚えていたのだ。

 (昔、その事を知った時はこんな風に利用する日が来るなんて…しかもそんな
相手が自分に出来るなんて想像してもいなかったよなぁ…)

 かつての誰とも交わろうとも、深く関わろうともしなかった頃の自分の姿が
ふと脳裏によぎって、克哉はフっと瞳を細めていく。
 昨日の自分の言動に、居たたまれないぐらいの恥ずかしさを覚えていく反面…
照れくさくて、くすぐったい気持ちが胸の奥から湧き上がってくる。

「完全な、愛か…。これから先もずっと、オレだけが唯一無二の存在でいたい。
貴方にとってオレがそういう存在でありたい…。それが、オレがあの一杯に
込めた想いです…孝典さん…」

 今、完全に御堂が深い眠りに落ちていることを承知の上で…予行練習の
つもりで、克哉は小さく呟いていく。
 眠っているこの人を前にして小声で告げているだけでも耳まで赤く染まってしまう。
 きっと真っ直ぐ紫紺の双眸に見つめられている状態で口にするとしたら、
もしかしたら心臓が破裂しそうになるぐらいにドキドキする事だろう。
 照れを隠す為に、御堂の髪を…生え際を撫ぜていく。
 日中、仕事中は一分の隙もなくに整えられている髪が、激しい行為のせいで
少し乱れているのを見て…克哉の心に愛しさがジワっと込み上げてくる。
 こうして抱き合うようになって、克哉の方が先に目覚めても…安心しきって
無防備な姿を晒してくれるようになったのはいつの頃からだろうか。
 接待を強いられていた頃の御堂は最初は決してこちらに同じベッドで
寝ることも克哉に寝顔を見せることもなかった。 

 大抵はこちらが先に意識を失い、目覚めた時には御堂はすでに
身支度を終えている…毎回、そんな感じだった。
 その時期に比べれば、何て自分たちの関係は変わったのだろうかと嬉しくなる。
 パルフェ・タムール。完全な、揺るぎない愛。
 その名には恐らく、そう名付けた作り手の思いが込められているのだろう。
 かつてこのスミレの薫りがするリキュールは、媚薬として19世紀には
重用されていたという。
 他にも、パルフェタムールには「恋人との甘い時間」や「ケンカした二人を
仲直りさせる」効能があるとされていた。
 この魅惑的な風味のする酒は、人の心を心地よく酔わせる効能があったのだろう。
 恋する人間の気持ちを惹く為の媚薬として、多くの人間がその思いが
成就することを、長く続いてくれるように願いを込めたからこそ…このような
名前がつけられたのだろうか。

(完璧な、愛か…。一体どんなものを差すのだろう…。ささいな事では揺
らがない強固な絆を伴ったものか、生涯愛し合い友に連れ添うことなのか、お
互いに理解しあう姿勢を崩さずにただ一人だけを想うのか…解釈は
人によって沢山あるような気がするな…)

 完全な愛、と一言いってもその望む内容は人によって大きく違ってくるだろう。
 なら自分にとっては、何が完全な愛と差すのだろう。
 それを愛しい人の寝顔を見ながら考えていく。

「オレにとっての完全な、愛…。この人との関係に望んでいることは…」

 そうして柔らかく微笑みながら、御堂の唇に口づけていく。
 心の中に湧き上がるのは浅ましいまでの想い。
 けれど偽りない克哉の赤裸々な望みでもあった。

―貴方の傍に寄り添うのは、生涯オレだけであること…他の誰かに
この人を取られるなんて、この唇と熱がこれ以後、オレ以外の人間に
向けられることなんてイヤだ…

 ただでさえ同性同士の恋というだけで、自分たちの関係は普通の
男女に比べてハードルが高くなっている。
 この先、ずっと寄り添って歩いていける保証などどこにもない。
 だが、命ある限り…どんな事があっても自分は御堂の傍にいたい。
 ずっと一緒に歩いていたい。
 そう、その純粋で強い想いこそが…なかなか克哉が口にすることが
出来ない想いなのだから…。

(…なかなか普段は恥ずかしくて面を向かって言えないけれど孝典さんが
目覚めたら、あのカクテルに隠された意味を教えるのと同時に…オレの
本心をこの人に伝えよう…)

 大切な人に面を向かって、想いを伝えるのは気恥ずかしくてあまり
言う機会はないけれど、この人は自分にとってこれ以上愛する人なんて
この先出来ない、と確信出来るくらいに想っている存在だから。
 愛している人だから。
 だから一杯、特別な意味を込めた酒を捧げるのにかこつけて伝えよう。
 カクテルには制作者や飲む人達の様々な想いや、逸話が同時に存在している。
 普段はあまり意識しない裏に隠された意味や物語。
 それに、そっと自分の気持ちを乗せてこの人に伝えたい。
 克哉はそう想いながら、御堂の寝顔を見守っていく。
 この人が目覚めたらこの想いを早く伝えようと…ワクワクした気持ちを
抱きながら、克哉は穏やかに夜明けの頃を迎えようとしていた。

(貴方は一体、どんな顔をして聞いてくれますか…? 少しは驚いたり、
照れたりしてくれるでしょうか…?)

 その様子を想像して、克哉は幸福そうにクスクスと笑っていく。
 大切な人の体温を感じて寄り添いながら…そっとまどろみに浸りながら、
静かに克哉は御堂が自然と起きてくるその時を待っていった。

―貴方が目覚めたらこの想いを伝えよう。一緒にいる間に育まれて今まで
口に出来ずにいた、この秘められた想いを…

 そう心に決めて、微笑んでいる克哉を…柔らかい朝日が静かに
照らし出して、祝福を与えてくれていたのだった―






 こそっと後書き

 興味ある方だけ、「続きはこちら」をクリックしてお読み下さい
 
 


 


 この話は、ちょっとジャズとカクテルに興味持った時期に
書こうと思い立って手を出したお話です。
 カクテルは実際、調べれば調べるだけ興味深くて面白くて…
今では結構、マイナーな酒の雑学がすっかり増えてしまった始末。
  少々個人的な理由で、完結遅れましたが…時間掛かっても
とりあえず完結までこぎつけられて良かったです。 

 …香坂はやっぱり古い雰囲気のジャズバーとか、カクテルとか
そういうものは好きです。
 自分が酒にもう少し強い体質だったらもっと良かったのに~と
思いますが…飲めなくても、少しずつ酒に関しての知識は調べて
いこうと思います。
 ちなみにこの話と対になっている話を6月28日のノマ受けオンリーの
際に無料配布と、通販してくださった方へのお礼話という形で
こっそりと配布したんですが…それ以外の方で読みたいっていう
方がいましたら…リクエストあれば、サイトの方に掲載しようかなって
ちょっと考えていたります。がお~。
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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