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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                    

 謎の男性に言われた言葉があまりにショックで、帰宅している間もずっと
頭の中でグルグルしていた。
 昨晩の御堂に抱かれていた所を、他の誰かに目撃された事実が、克哉の
神経を大きく苛んでいた。
 
(あんな場面を…他の人に、見られてしまったなんて…)
 
 15日間、貞操を守ればもう一人の自分に会えるチャンスが
与えられる筈だった。
 何が何でも、死守するつもりだった。
 そうして笑顔で眼鏡を掛けた方の自分に会う筈だったのに現実は予想も
つかない出来事ばかりが連続して、彼の思惑とは全くかけ離れた方へと
動きつつあった。
 その失望感が克哉の気力を根こそぎ奪い…危うい足取りで自分のマンションに
戻った頃には、もう着替えて会社に行く事など出来なくなってしまっていた。
 
「胃が、痛い…」
 
 汗で汚れたシャツとスーツを脱ぎ去ると、克哉はパジャマに着替えて
ベッドの上に倒れ込んでいった。
 申し訳ないが、胃がキリキリ痛み…頭が割れるように痛くて、とても
会社に行けるコンディションではなかった。
 
(会社に電話、しないと…。無断欠勤をしたら社会人失格と思われても
しょうがない、しな…)

 だから何もかもが億劫になってしまっても、辛うじて電話に手を伸ばして
体調不良で本日休ませて欲しい旨を片桐に伝えていく。
 本当に消え入りそうな弱々しい声で言っていたからだろう。
 全く疑われる事なく「お大事に」と最後、優しく伝えられて電話が
切られていった。
 その瞬間、ドっと溜めこんでいたものが表に出て…指一本
動かす事すら、もう面倒くさい心境になってしまった。

(…この薬の効果、いつまで続くんだろう…)

 一度、あの銀縁眼鏡をRに返却してからは…比較的穏やかな日々が
続いていたのに、あの薬を飲まされただけで生活は再び一転して
しまった。 
 今日、休んだ理由の中に…これ以上、周りの人間の態度がこの薬の
効果によって豹変するのを見たくないという気持ちも含まれていた。
 人間の消化吸収のサイクルは、24時間が普通だ。
 丸一日経過すれば、グっと効能も落ちるかもしれない。
 そんなか細い希望を抱いていきながら…布団の中で深い溜息を
吐いていく。

「…これから、一体どうすれば良いんだろう…」

 御堂と、あんな形で身体を繋げてしまった。
 しかもそれを得体の知れない男に目撃されてしまったのと…
本多に迫られたという自分にとっての大事件が三つも重なって
しまえば…途方に暮れる以外、何も出来なかった。
 本来なら、解決策を考えなければならないって判っていた。
 けど、今はそれすらも面倒くさくて…全てを放棄したかった。

(…もう、オレはあいつに会えないのかな…)

 絶望が、ジワリと心の奥底に広がっていく。
 脳裏に何度ももう一人の自分の面影が浮かんでは消えて、
罪悪感のようなものを感じていった。
 全ての発端は、あいつに恋心を抱いたから。
 こんな気持ちなど…分、不相応だったというのだろうか?
 一昨日の夜に抱かれて気づいたばかりの想いは…御堂に
抱かれた事によって、チクチクと克哉を苛んでいく。

「…たった一日も、貞操を守れないオレって…本当に情けないよな…」

 克哉は、泥のように重い身体を引きずりながらそう呟いていった。
 あいつに会いたい、心からそう思うのに…もう二度と会えないかも
知れないという恐れが、克哉の中で引きずっていく。
 その恐怖の気持ちが彼の目元に涙を浮かばせて、ゆっくりと
泣き始めていった。

「会いたい、よ…もう、会えないなんて…嫌だよ…『俺』…」

 条件を、守れなかった。
 だからもう会えないと克哉は信じ込んでしまった。
 自分にはもう、あいつを想う資格なんてないと思い込んだ。 
 だから…絶望を抱きながら、いつの間にか泣きつかれて…
克哉は意識を手放していった。

―それからどれくらいの時間が過ぎただろうか。

 克哉は眠っていて、だから夢だと思った。
 自分にとってはあまりに都合が良すぎる夢だと。
 数時間眠ってから、夢うつつに目覚めていくと…克哉の
傍らに、もう一人の自分が立っている気がした。

(これ、夢かな…。あいつが、オレの傍にいる…。触ったら、
消えちゃうのかな…それでも…)

 恐る恐る確かめる為に手を伸ばしていくと、しっかりと触れる事が出来た。
 言葉もなく、相手の頬に触れる。
 …もう一人の自分もまた、何も言わなかった。
 鋭い目線が、こちらの心を深く抉るようだった。

「…御免、な…『俺』…」

 そして謝罪の言葉を呟いていった。
 そんな自分に対して、眼鏡は小さく返していった。

「…馬鹿が…」

 吐き捨てるように言うと、一瞬だけ触れる口づけを克哉の唇に
落としていく。
 其れを引き留めたくて、必死になって相手に抱きつこうとしたけれど…
一瞬のうちに相手の姿は幻のように消えてしまって、その場には
克哉だけが残されていった。

(今のは、夢…。夢、だったのかな…。けど、良い。それでも
一瞬だけでも、会えたなら…)

 そうして克哉は再び、夢の中に意識を落としていく。
 その光景が現実だったのか、それとも都合の良い願望だったのか
判らぬまま…この日は克哉は一日の大半を眠って過ごし、疲れ果てた
身体と心を束の間、癒していったのだった―
 
 


 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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