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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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現在連載中のお話のログ

 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                      10

―眼鏡を掛けた佐伯克哉は、ぐったりと力なく横たわるもう一人の
自分を見て複雑な想いを抱いていた

(俺はどうして…こんな奴を気にしているんだ…?)

 Mr.Rを通じて渡した伝言。
 15日、貞操を守れればお前の元に現れると言って、こいつは
一日も守る事が出来なかった。
 なら、二度と会わなければ良いのに…何故、こうして自分は
現れてしまったのか。
 その事に疑問を覚えつつ、深い眠りに陥っている克哉を
どこか冷たい目をしながら見下ろしていく。
 胸の中に何とも形容しがたい感情が渦巻いているのが判った。

(何なんだこの感情は…。どうしてこんなすっきりしない気持ちを
俺はコイツに対して抱いてしまっているんだ…?)

 憎いような、生温かいような…叩き壊してやりたい思いと、優しくして
やりたい気持ちがごちゃ混ぜになっているような感じだった。
 引き寄せられるように口づけてから、眼鏡は混乱していた。
 早くこいつの元から立ち去るべきだと思った。
 幸い、こいつは睡眠不足と強い精神的な葛藤が重なって
泥のように眠り続けている。
 この段階で姿を消せば、存在を気取られる事なく立ち去れるというのに
足がその場に縫いつけられたように動いてくれなかった。

(俺は一体、どうしてしまったんだ…?)

 そんな風に、自分の感情に戸惑いを覚えていきながらもう一度…
克哉の髪を撫ぜていく。
 一昨日の夜、抱いたばかりで…こいつは自分の出した条件を
守れなかった。
 克哉の前に姿を出してやる義理などない。
 
―もうこいつの前に二度と現れてやる義理などない…!

 強くそう思うのに、こちらの思惑を裏切った相手に対して最高の
罰を与えるとしたら…其れが最良だと判っているのに、其れを
実際に行う事に対して躊躇いを覚えている自分がいた。

「ちっ…忌々しい。お前がどうなろうともう俺の知った事ではない…!」

 そう吐き捨てて、妙な感情を断ち切ろうとした。
 だが、其れが出来ない。
 その瞬間…克哉の縋るような眼差しがぶつかってしまったから。

「あれ…『俺』…? まさか、これは…夢。夢、なのかな…?」

 克哉は迷子のような頼りない目をしていきながら…こちらを
見つめてくる。
 現実と幻想の狭間を彷徨っているような不安定な瞳。
 けれどまるで、行かないでというようにこちらの袖を強く
握りしめていく。

「………………」

 眼鏡は克哉の問いに対して、何も答えてやらなかった。
 こっちが応えてやる義理などないと、そういう冷徹な対応をしていくと
克哉は不意に…力なく笑っていく。

「…いい、俺にとって都合の良い夢でも構わない。オレは…もうあいつに
顔を合わせる資格もないんだから。せめて…夢の中でも、会えれば
充分なのだから…」

 資格を喪失した筈の自分の前に、眼鏡が現れてくれる訳がないと
ごく当たり前のように思ったようだった。
 克哉はこれを、夢の中の事と認識したようだった。
 その呟きを聞いた時、ふと…眼鏡は気まぐれな想いを抱いていった。
 強引に相手の背中を掻き抱き、一気に自分と相手との距離を
詰めていった。
 眼鏡の瞳にある強い感情に、視線がぶつかった瞬間に克哉は
覚えた目を浮かべていった。
 だがこの千載一遇のチャンスに対して、決して逃すまいとするかのように
克哉もまた少し遅れて相手の首元に強い力で、抱きついていく。

「…夢で構わない。抱いてくれ…。せめて幻想の中でも構わないから
お前のものになったという夢に浸りたい…!」

 涙を浮かべながら、克哉は縋りついてくる。
 その様子を見て…眼鏡は強く心を揺さぶられていった。
 視線がぶつかった瞬間、真珠のような涙が克哉の目元から
溢れて頬を伝っていく。

「お前は、夢で良いのか…」

 だから、眼鏡は問いかけていく。
 瞬間、克哉は眼を伏せて…慎重に答えていった。

「嗚呼、夢で良い。資格を失ったオレに…甘い夢をもつ事はきっと
許されないのだから。…だからせめて、一時の夢ぐらい見たい。
きっとあいつはもう…オレの前に現れてくれないのなら、せめて…」

 そうして、涙腺が壊れてしまったかのように克哉はポロポロと
涙を零し始めていく。
 其れを見て、眼鏡の気持ちがゆっくりと変化していった。

「…仕方ない。お前の夢に付き合ってやる…」

 そうして眼鏡は溜息を吐きながら…克哉の幻想に
一時付き合ってやる事にしたのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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