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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は現在、不定期連載中です。(週1~2回程度のペースで掲載)
 その為以前のを読み返しやすいようにトップにリンクを繋げておきます。

  バーニングクリスマス!(不定期連載)                    10 
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 ―代償は、貴方という存在の消失です。結ばれた後に…
貴方と克哉さんの心が離れてしまったり、別の存在に心を奪われれば
お二人の内、どちらかが必ず消えなければならなくなります。
 …その場合、完全な消滅です。片方は必ず消えていなくなるという
リスクが伴います。それでも…貴方は奇跡を望みますか?

 キクチ・マーケーティングの裏手で奇妙な男が、眼鏡に対してそう
問いかけて返答を待っているのとほぼ同じ頃…克哉はようやく、パニックに
なった社内から御堂と共に脱出をしていた。
 否、予想以上の大騒ぎとなり…誰かが警戒して、警察にも連絡を
してしまったので…これから事情聴取が始まる、とアナウンスが流れた
瞬間に…御堂に手を引かれて、そのまま一気に駐車場まで連れて
来られたのだ。
 カッカッカッ…とアスファルトの地面の上に、相手の上等な革靴の音が
響き渡っていく。
 御堂は無言のまま、険しい顔をして自分の車を停めてあるスペースまで
駆け足で向かっていく。
 その様子に鬼気迫るものを感じて、克哉は何も言えないでいた…。

(御堂さんの手、凄く…痛い…。けれど、今のこの人に…オレは何て、声を
掛ければ良いんだろう…)

 ギュっと何度も瞼を強く瞑っていきながら、克哉はグルグルと逡巡していった。
 無意識の内に、空いた方の手は…先程触れられた頬と首筋に宛がわれていった。
 …さっき、二人きりで小さな会議室に篭っていた時に御堂の唇が触れた箇所だ。

(どうしよう…さっきから、御堂さんに触れられた箇所が…おかしい…)

 そして、そうやって優しくキスを落とされながら…深く唇を塞がれた。
 その状態で服の上から胸の突起を探られて、其処を執拗に弄られ続けて…
背筋が痺れるような快感を感じ続けていった。

―あっ…はぁ…

 先程の自分の零した悩ましい声が頭の中で再生されてしまって、克哉は
顔を真っ赤に染めていった。
 あいつ以外の人間にキスをされて、触れられているにも関わらず…感じて
甘い声を出している自分に罪悪感と、甘美な感情の両方を覚えていく。
 御堂の舌の熱さを、味が…こうして手を繋がれている合間にも鮮明に
思い出されてしまって、背骨の辺りから甘い感覚が走り続けていく。

(どうしよう…『俺』…! 多分、お前が何もしないでままでいたら…きっと
流されて、この人に抱かれる事を…拒めそうにない…! 来るなら、早く
顔を出してくれよ! 怒っていても良いから…お前の顔を見ないままでいたら
きっと…オレは、間違えてしまう…!)

 心臓が壊れたようにドックンドックン! と脈動しているのを感じていった。
 本気で、血管という血管が破裂しそうなぐらいに克哉は緊張していた。
 繋がれた手が汗ばみ、耳まで真っ赤に染まっていた。
 恐らく…御堂はこちらの状態に気づいているだろう。
 しかし克哉の方を振り返ることなく、一直線に目的地へと突き進んでいた。
 御堂もまた、もう克哉を抱きたいという己の想いを…取り繕うことが出来ない
状態になっていた。
 車の前に辿りつくと、御堂は克哉を…車と己の身体の間に閉じ込めて…
顎をそっと掴みながら、真っ直ぐに瞳を覗き込んでいった。

 バン!
 
 身体と車体がぶつかりあう音を軽く立てていきながら…御堂はゆっくりと
克哉の方へ顔を寄せていく。
 吐息が感じられる程の近い距離に、御堂の顔がある。
 茜色に染まった世界で…端正な顔をした彼の顔は…目を奪われるぐらいに
綺麗に輝いていた。
 怜悧な印象のある彼が…こんなに熱い眼差しでこちらを見つめている。
 その事実に、克哉は背筋がゾクリとなってしまう。

(御堂さんの目…何か、獰猛な獣みたいだ…)

 怖いのに、同時に強く惹き込まれて目を逸らす事が出来ない。
 ソロリ、と顎から首筋のラインを撫ぜられて…克哉は肩を竦ませていった。

「…佐伯君、いや…克哉。本来ならこの後、レストランの方でディナーを予約
していたのだが…それはキャンセルする。先に…ホテルの方へ向かうが…良いな…」

「…っ! それ、は…まさ、か…」

 この独特の息が詰まりそうな空気と態度。
 それでこんな事を言われたら…導き出される結論は一つしか存在しない。

「そうだ…私は、食事よりも今夜は君を早く抱きたい…良いな…?」

「あっ…の…その…」

 唐突な御堂の言葉に、克哉は気持ちを切り替え切れなかった。
 御堂に、強烈に惹かれている自分がいる。それは事実だ。
 しかし…相手がこちらを求めていると、その意思を感じ取っていく度に…
彼の脳裏には、鮮明にもう一人の自分の面影が浮かんでいた。

―俺を絶対に、忘れるな…

 そう、克哉に訴えかけているように鮮烈に…声までも時折聞こえてくる。
 それが今の彼にとって、最後の砦だった。
 気が狂いそうになるぐらいに…もう一人の自分に惹かれてしまって。
 好きで好きでしょうがなくて、苦しかった。辛かった。
 嫉妬ぐらいして欲しい…執着している気持ちを見せて欲しい。
 そういう動機から、最近の克哉は…想いを寄せてくれていると感じられる
相手には思わせぶりな態度を取り続けていた。
 そして、御堂は今…本気でこちらを口説き、迫っている。

(…どう、しよう…!)

 ここでようやく、自分のして来た事の重大さと罪深さを克哉は自覚した。
 だが…もう、断ることなど出来そうになかった。
 御堂の目は真摯で熱く、中途半端な言葉や答えなどでは決して納得
してくれそうになかった。
 心のどこかで、御堂に抱かれて…この熱く滾った欲望を発散したいという
想いを感じていた。
 一ヶ月以上眼鏡に抱かれていない身体は、乾いてしまっている。
 焼け焦げそうになるぐらいに熱いモノを身体の奥に感じて、悶え狂わせて
貰いたい…そんな浅ましい事を考えている自分は確かに存在しているのだ…!

「…答えないのか。なら、私の勝手にさせて貰おう…。…いや、君が嫌だと
言っても…ここまでこちらの心を煽り、挑発した責任は君自身に取って貰う…。
今夜、君を抱く。断ることは…許さない…」

「あっ…んんっ…!」

 御堂の刃のような鋭い眼差しに射抜かれて、克哉は一瞬…金縛りにあった
ように身体が硬直していった。
 そのまま…強い力で引き寄せられて、荒々しく唇を重ねられていった。
 
 グチャ…グチュ…ピチャ…ジュル…

 そしてそのまま…腰から甘く蕩けていきそうな官能的な口付けを…
夕暮れの光景の中、与えられていく。
 二人のしっかりと重なり合ったシルエットが…鮮やかなオレンジ色に染まった
世界の中に浮かび上がっていく。
 御堂に、快楽と…強い意志で支配されてしまう。
 ギリギリまで保っていた最後の理性のタガすらも、粉々に砕かれてしまいそうに
なるぐらいに…熱烈な接吻だった。
 その合間に、下肢の狭間に太腿を割り込まされていって…硬くなり始めている
其処を擦られ続けているのだから、堪ったものではない。

「んんっ…!」

 もう、満足に立っていることすらも出来なくなって車体に背中を預けて
ギリギリの状態で支えていく。
 しかし御堂の攻めは止まる事を知らない。
 追い立てるように、布地の上から尖りきった胸の突起を弄り上げて…
完全に克哉の身体に火を灯していった。

「や…御堂、さん…あ、いや…」

 それでも、最後の抵抗とばかりに…弱々しく、「いや…」と呟いていく。
 しかしもう…そんな言葉で、男は止めてやる気など毛頭なかった。

「…嫌なら、私の手から逃れて帰れば良い…。いや、しかし…もう
こんなに硬くしていたら、満足に歩くことすらも出来ないかな…?」

「ひゃう…!」

 ふいに、スーツのズボン生地の上から、半勃ち状態の性器の部分を握り込まれて
いって克哉は鋭い声を挙げていく。
 そのまま…耳元に唇を寄せていくと、心底愉快そうな感じで御堂が囁きを
落としていった。

―後はホテルでだ…。続きを楽しみにしていると良い…

 そうして、ヌルっと耳孔に舌を差し入れて其処をくすぐっていくと…御堂は
涼しい顔をして身体を離していった。

「あっ…? 何を…?」

「…嫌だと言ったから、ここでは一旦止めただけだ。…この続きをして欲しいなら
ちゃんと現地に行ってから強請る事だな…」

 そういって、ガチャと手荒く助手席の扉を開けていくと…克哉の身体を押し込み
反対方向に回って、自分も運転席に座っていった。
 濃密で、息が詰まりそうな空気が二人の間に流れていく。

「…行くぞ、克哉…」

「……はい」

 御堂の呼び方が、「佐伯君」から「克哉」に変わっている事だけでも顔が赤く
染まりそうだった。
 そうして…まともに相手の顔を見れないまま、車は発進していく。
 
―本当にもう一人の自分への想いを貫くなら、自分は御堂の手を振り切って
逃げなければならなかった

 それが判っているのに、あいつに会えなくて寂しいという心は叫びを上げていて
そんな克哉の理性をも粉微塵にしていった。
 まともに、言葉など…雑談など出来そうもなかった。
 終始無言のまま、二人は真っ直ぐに前だけを向いて目的地に向かっていく。

 ―しかし彼らは気づいていなかった。彼らが発進した直後…尾行をしていた
ある人物を乗せたタクシーもまた動き始めていた。

 夕暮れが終焉を迎えて、夜の帳がしっかりと降り始めていく中で…各人の
思いは克哉を中心に、激しい交差を繰り広げていく。
 彼らを追いかける車に乗っていたその人物は…非常に思いつめた表情を
浮かべていきながら、暴れたくなる衝動を抑えて…御堂と克哉を乗せた車の
行き先を追いかけ続けたのだった―


 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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