鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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とりあえずざっと通販の発送状況についての報告です。
2月13日までに振り込んで下さった方→2月16日早朝に
発送致しました。
数日以内にお手元に届くと思います。
2月16日に振り込んで下さった方→2月18日中に発送
致しますのでもう少しお待ち下さい。
これで現時点で申し込んで下さった方への発送は
ほぼ完了します。
そして順次、感想等を頂いた方への返信作業やりますね。
亀のように、そこら辺は遅い奴で申し訳ない…(汗)
香坂が感想や拍手メッセージ等の返信が遅いのは最早
ディフォルトに近いのであまり気にしないで下さい。
それでは通販報告でした~。
2月13日までに振り込んで下さった方→2月16日早朝に
発送致しました。
数日以内にお手元に届くと思います。
2月16日に振り込んで下さった方→2月18日中に発送
致しますのでもう少しお待ち下さい。
これで現時点で申し込んで下さった方への発送は
ほぼ完了します。
そして順次、感想等を頂いた方への返信作業やりますね。
亀のように、そこら辺は遅い奴で申し訳ない…(汗)
香坂が感想や拍手メッセージ等の返信が遅いのは最早
ディフォルトに近いのであまり気にしないで下さい。
それでは通販報告でした~。
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少し緊張気味に夕食を無事に終えると…相手がシャワーを
浴びている間に片付けと…チョコレートの用意をしていった。
バスルームの方から、水音が聞こえている間…自分の鼓動が
ドキドキしているのが判った。
(…本当に喜んでくれるかなぁ…)
先程、店で買ってきた生チョコレートの入った四角い箱を眺めて
いきながら溜息を突いていく。
…この日に自分から本命チョコを挙げるなど、初めての経験だ。
(去年…本多があまりにうるさくせがむから、仕方なく…コンビニで
100円で売っているガーナチョコレートを買って義理チョコとして
挙げたけど…あの時と全然違うよなぁ…)
そういえば去年は、太一と本多がこのくらいの時期にやたらと
うるさかったので…買って贈っていた事を思い出す。
確か本多が100円程度で、太一のが…その年に新商品として出た
250円程度のプレミアムチョコレートだったことを思い出す。
だが、克哉にとってはやはり…それらは相手から望まれたから贈ったもので
あって…本命に贈るという緊張感はまったくなかった。
実際、今朝…眼鏡にあんな風に言われるまでは、克哉はこの日にチョコレートを
贈ろうなどとまったく考えたこともなかった。
だからこそ余計に、色々と考えてしまう。
―やっぱり、手作りした方が良かったのかな…
いざ、贈る段階になると…買って来たもので済ませてしまうのは凄く
罪悪感が湧いてしまった。
あんなに期待しているようだったら、不安でも何でも…自分は手作りチョコを
作るべきでなかったのか。
昼間にテレビで何回も、手作りチョコの作り方とか…講座が開かれている
のを見て、薄々とそう感じてはいたが…手渡す瞬間が近づけば近づくだけ
その想いは強まっていく。
―買って来たものでも、あいつは喜んでくれるかなぁ…
本当に、もう一人の自分が好きだからこそ…余計なことを考えて
ドキドキしてしまっていた。
暫く、赤いベルベッドを思わせる包装紙に包まれたチョコレートを眺めて
いきながら…逡巡していく。
眼鏡のシャワー時間はあまり長くない。大体、10~15分もあれば上がって
来るのが通例だった。
…今から手作りしたって、間に合う訳がない。
最低でも30分から一時間は見ておかなければ…手作りを相手に贈ることは
無理だった。
ガラリ、と硝子の引き戸が開かれる音が奥の方から聞こえていく。
「あっ…もう、あいつが来る頃だよな…」
一瞬、このまま食堂にいるか…それとも、ベッドルームに向かうか
考えていった。
…風呂から相手が上がったら、後はいつどこで押し倒されてしまっても
おかしくない状況になる。
…後始末の事や、身体の負担を考えたら寝室に移動した方が良い。
そう思って移動しようとした瞬間、風呂から上がったもう一人の自分と
ばったり廊下で遭遇した。
「うわっ…!」
克哉は思いっきり顔を赤らめて、声を漏らしていった。
もう一人の自分は…腰にバスタオルを巻いただけで、上半身は
裸のままだったからだ。
すでに見慣れている姿の筈なのに、やっぱり明るい照明の下で相手の
裸を見てしまうと…妙に意識をしてしまう。
「…相変わらず初心な反応をするな。…俺の裸など、散々見慣れて
いる筈なのにな…」
「そ、そんな事言われたって…」
そう言いながら、相手の脇をすり抜けて…チョコを胸元で大事そうに
抱えていきながら…寝室に向かおうとした。
しかしもう一人の自分は、それを見逃してはくれなかった。
相手の脇を抜けようとした瞬間、がっちりと手首を掴まれてしまって強引に
引き寄せられていく。
「わわっ…!」
そして問答無用で、ペロリと口元を舐められていった。
気分は瞬間沸騰だ。
克哉は本気で、憤死するんじゃないかと疑いたくなるぐらいに…顔を
紅潮させてジタバタと暴れていく。
「い、いきなり何をするんだよ! 心臓に悪いだろ…!」
それでもびっくりしても、これから相手に贈る予定であるチョコは
しっかりと胸元に抱きかかえていた。
けれどバクバクバクと荒い脈動を繰り返しているのが自分でも
充分に判ってしまった。
「…クク、お前がそんなに隙があるのが悪いんだろう…? そんな
無防備な様子で傍をすり抜けようとしているのを見たら…チョッカイを
掛けるなという方が無理だ…」
「…何だよ、その理論は…! 何でそんなに意地悪なんだよ…お前は…!」
克哉がプイ、と顔を背けて拗ねていくと…ふいに相手の顔が
間近に寄せられていった。
そんな彼の耳元に、熱い吐息を吹きかけながら囁きを落としていく。
「…そんな顔をするな。ここで速攻で食いたくなる…」
「な、ななななっ…!」
しかもその瞬間、カプっと耳朶まで甘く食まれてしまったのだから
克哉の動揺は半端ではなくなってしまった。
そのまま…ねっとりとした甘く尾骶骨にまで響くような官能的な
声音で、眼鏡は際どい発言を紡いでいった。
―お前をこのままグチャグチャになるまで犯して、貪り尽くしたい…
そんな腰砕けになるような発言を落として、グチャリと…耳孔に熱い舌を
差し込まれたものだから、克哉は混乱状態に陥った。
腰がマジで立たなくなりそうで…ついでにいうと恥ずかしさの余りに
パニックに陥ってしまった。
ワタワタワタ…と慌てふためきながら、つい克哉は大声で叫んでしまっていた。
「バカッ! 意地悪! 鬼畜~! そんな行動や言動ばっかりして来て…
オレをからかってばかりじゃないか! もう…お前なんて…知らないっ!」
せっかくチョコを贈る気満々で…今日一日、頑張って買いに出たり、
悩んだり迷ったりしたのに…相手にからかわれてばかりで、ついに
克哉は憤ってしまった。
本気で腹立てている訳ではない。
けれど、やっぱり…意地悪な振る舞いと言動ばかりをされてしまって
いるのに悔しくなったのだ。
そう叫んで、素早く相手から身を離していくと…すぐ脇にあった寝室の
扉に慌てて身を滑らせていく。
バッタン!!
そうして、内側から鍵を掛けて篭っていく。
すぐ後にもう一人の自分も慌ててドアノブに手を掛けて中に入ろうと
試みたのだろう。
ガチャガチャ、とノブを回す音が聞こえていったが…扉が開く気配は
まったくなかった。
まさに天の岩戸状態だった。
「…おい、マジでお前は篭るつもりか…?」
『お前なんて…知らないっ! こっちがどんなつもりで…今日一日を
過ごしていたかとか、全然考えてもくれてないみたいだし! 意地悪な
発言とか、行動ばっかりだし…!』
「お前が意地悪したくなるぐらいに、可愛い過ぎるから悪い」
扉越しに眼鏡がきっぱりと言い切っていくと…克哉の方は絶句してしまい…
その後、暫く間があった。
『…うわ~!聞いてて恥ずかしくなった! 『俺』のバカ~!!』
そして、気恥ずかしさの余りに克哉は思いっきり叫んでしまっていた。
しかし…扉を開ける気配はまったくなかった。
その間も何度も眼鏡の方からノブを回していくが…やはり開けられる気配はない。
このまま…チョコも貰えずに、扉の向こうで引き込まれてしまったら…こちらと
しては抱く気満々だっただけに、溜まったものではない。
(まったく…拗ねてしまったあいつの機嫌をどう回復させるかな…)
どうやら、ちょっと力を入れて帰宅してからずっとからかい続けてしまった
ツケがここで来てしまったようだ。
思い返せば、夕食の最中も彼は何度も、克哉を茶化し続けてしまっていた。
嗜虐性がある性格なので、相手が可愛いと思えば思うほど…ついいじめたくなって
しまうのだが、ちょっと今夜は相手側の限度を越えてしまったらしい。
「…まったく、熱を入れすぎてしまったようだな…」
溜息を突きながら、その事実を受け入れていくと…暫く眼鏡は
考えあぐねいでいった。
…どうやって、この扉を開くか。眼鏡は必死に考えていき…ふと、リビングと
すぐ近くの天井の方を見遣っていった。
―良いものがあったな…これを活用するか…
視線を向けた方向に、相手をいぶり出すのに最適なものがあった。
そのまま…強気な笑みを浮かべて、一旦リビングに戻っていく。
…机の上に、必要な道具は置かれたままの筈だ。それを取って戻れば
事は足りていくだろう…。
「まったく、手間の掛かるな…俺の天照大神は…」
そんな軽口を叩いていきながら、眼鏡は…この重く閉ざされた扉を
開く為の手段を、実行に移す準備を始めていったのだった―
浴びている間に片付けと…チョコレートの用意をしていった。
バスルームの方から、水音が聞こえている間…自分の鼓動が
ドキドキしているのが判った。
(…本当に喜んでくれるかなぁ…)
先程、店で買ってきた生チョコレートの入った四角い箱を眺めて
いきながら溜息を突いていく。
…この日に自分から本命チョコを挙げるなど、初めての経験だ。
(去年…本多があまりにうるさくせがむから、仕方なく…コンビニで
100円で売っているガーナチョコレートを買って義理チョコとして
挙げたけど…あの時と全然違うよなぁ…)
そういえば去年は、太一と本多がこのくらいの時期にやたらと
うるさかったので…買って贈っていた事を思い出す。
確か本多が100円程度で、太一のが…その年に新商品として出た
250円程度のプレミアムチョコレートだったことを思い出す。
だが、克哉にとってはやはり…それらは相手から望まれたから贈ったもので
あって…本命に贈るという緊張感はまったくなかった。
実際、今朝…眼鏡にあんな風に言われるまでは、克哉はこの日にチョコレートを
贈ろうなどとまったく考えたこともなかった。
だからこそ余計に、色々と考えてしまう。
―やっぱり、手作りした方が良かったのかな…
いざ、贈る段階になると…買って来たもので済ませてしまうのは凄く
罪悪感が湧いてしまった。
あんなに期待しているようだったら、不安でも何でも…自分は手作りチョコを
作るべきでなかったのか。
昼間にテレビで何回も、手作りチョコの作り方とか…講座が開かれている
のを見て、薄々とそう感じてはいたが…手渡す瞬間が近づけば近づくだけ
その想いは強まっていく。
―買って来たものでも、あいつは喜んでくれるかなぁ…
本当に、もう一人の自分が好きだからこそ…余計なことを考えて
ドキドキしてしまっていた。
暫く、赤いベルベッドを思わせる包装紙に包まれたチョコレートを眺めて
いきながら…逡巡していく。
眼鏡のシャワー時間はあまり長くない。大体、10~15分もあれば上がって
来るのが通例だった。
…今から手作りしたって、間に合う訳がない。
最低でも30分から一時間は見ておかなければ…手作りを相手に贈ることは
無理だった。
ガラリ、と硝子の引き戸が開かれる音が奥の方から聞こえていく。
「あっ…もう、あいつが来る頃だよな…」
一瞬、このまま食堂にいるか…それとも、ベッドルームに向かうか
考えていった。
…風呂から相手が上がったら、後はいつどこで押し倒されてしまっても
おかしくない状況になる。
…後始末の事や、身体の負担を考えたら寝室に移動した方が良い。
そう思って移動しようとした瞬間、風呂から上がったもう一人の自分と
ばったり廊下で遭遇した。
「うわっ…!」
克哉は思いっきり顔を赤らめて、声を漏らしていった。
もう一人の自分は…腰にバスタオルを巻いただけで、上半身は
裸のままだったからだ。
すでに見慣れている姿の筈なのに、やっぱり明るい照明の下で相手の
裸を見てしまうと…妙に意識をしてしまう。
「…相変わらず初心な反応をするな。…俺の裸など、散々見慣れて
いる筈なのにな…」
「そ、そんな事言われたって…」
そう言いながら、相手の脇をすり抜けて…チョコを胸元で大事そうに
抱えていきながら…寝室に向かおうとした。
しかしもう一人の自分は、それを見逃してはくれなかった。
相手の脇を抜けようとした瞬間、がっちりと手首を掴まれてしまって強引に
引き寄せられていく。
「わわっ…!」
そして問答無用で、ペロリと口元を舐められていった。
気分は瞬間沸騰だ。
克哉は本気で、憤死するんじゃないかと疑いたくなるぐらいに…顔を
紅潮させてジタバタと暴れていく。
「い、いきなり何をするんだよ! 心臓に悪いだろ…!」
それでもびっくりしても、これから相手に贈る予定であるチョコは
しっかりと胸元に抱きかかえていた。
けれどバクバクバクと荒い脈動を繰り返しているのが自分でも
充分に判ってしまった。
「…クク、お前がそんなに隙があるのが悪いんだろう…? そんな
無防備な様子で傍をすり抜けようとしているのを見たら…チョッカイを
掛けるなという方が無理だ…」
「…何だよ、その理論は…! 何でそんなに意地悪なんだよ…お前は…!」
克哉がプイ、と顔を背けて拗ねていくと…ふいに相手の顔が
間近に寄せられていった。
そんな彼の耳元に、熱い吐息を吹きかけながら囁きを落としていく。
「…そんな顔をするな。ここで速攻で食いたくなる…」
「な、ななななっ…!」
しかもその瞬間、カプっと耳朶まで甘く食まれてしまったのだから
克哉の動揺は半端ではなくなってしまった。
そのまま…ねっとりとした甘く尾骶骨にまで響くような官能的な
声音で、眼鏡は際どい発言を紡いでいった。
―お前をこのままグチャグチャになるまで犯して、貪り尽くしたい…
そんな腰砕けになるような発言を落として、グチャリと…耳孔に熱い舌を
差し込まれたものだから、克哉は混乱状態に陥った。
腰がマジで立たなくなりそうで…ついでにいうと恥ずかしさの余りに
パニックに陥ってしまった。
ワタワタワタ…と慌てふためきながら、つい克哉は大声で叫んでしまっていた。
「バカッ! 意地悪! 鬼畜~! そんな行動や言動ばっかりして来て…
オレをからかってばかりじゃないか! もう…お前なんて…知らないっ!」
せっかくチョコを贈る気満々で…今日一日、頑張って買いに出たり、
悩んだり迷ったりしたのに…相手にからかわれてばかりで、ついに
克哉は憤ってしまった。
本気で腹立てている訳ではない。
けれど、やっぱり…意地悪な振る舞いと言動ばかりをされてしまって
いるのに悔しくなったのだ。
そう叫んで、素早く相手から身を離していくと…すぐ脇にあった寝室の
扉に慌てて身を滑らせていく。
バッタン!!
そうして、内側から鍵を掛けて篭っていく。
すぐ後にもう一人の自分も慌ててドアノブに手を掛けて中に入ろうと
試みたのだろう。
ガチャガチャ、とノブを回す音が聞こえていったが…扉が開く気配は
まったくなかった。
まさに天の岩戸状態だった。
「…おい、マジでお前は篭るつもりか…?」
『お前なんて…知らないっ! こっちがどんなつもりで…今日一日を
過ごしていたかとか、全然考えてもくれてないみたいだし! 意地悪な
発言とか、行動ばっかりだし…!』
「お前が意地悪したくなるぐらいに、可愛い過ぎるから悪い」
扉越しに眼鏡がきっぱりと言い切っていくと…克哉の方は絶句してしまい…
その後、暫く間があった。
『…うわ~!聞いてて恥ずかしくなった! 『俺』のバカ~!!』
そして、気恥ずかしさの余りに克哉は思いっきり叫んでしまっていた。
しかし…扉を開ける気配はまったくなかった。
その間も何度も眼鏡の方からノブを回していくが…やはり開けられる気配はない。
このまま…チョコも貰えずに、扉の向こうで引き込まれてしまったら…こちらと
しては抱く気満々だっただけに、溜まったものではない。
(まったく…拗ねてしまったあいつの機嫌をどう回復させるかな…)
どうやら、ちょっと力を入れて帰宅してからずっとからかい続けてしまった
ツケがここで来てしまったようだ。
思い返せば、夕食の最中も彼は何度も、克哉を茶化し続けてしまっていた。
嗜虐性がある性格なので、相手が可愛いと思えば思うほど…ついいじめたくなって
しまうのだが、ちょっと今夜は相手側の限度を越えてしまったらしい。
「…まったく、熱を入れすぎてしまったようだな…」
溜息を突きながら、その事実を受け入れていくと…暫く眼鏡は
考えあぐねいでいった。
…どうやって、この扉を開くか。眼鏡は必死に考えていき…ふと、リビングと
すぐ近くの天井の方を見遣っていった。
―良いものがあったな…これを活用するか…
視線を向けた方向に、相手をいぶり出すのに最適なものがあった。
そのまま…強気な笑みを浮かべて、一旦リビングに戻っていく。
…机の上に、必要な道具は置かれたままの筈だ。それを取って戻れば
事は足りていくだろう…。
「まったく、手間の掛かるな…俺の天照大神は…」
そんな軽口を叩いていきながら、眼鏡は…この重く閉ざされた扉を
開く為の手段を、実行に移す準備を始めていったのだった―
※久しぶりの克克新婚ネタでのバレンタインものです。
そして時間の関係上、二~三回に分けて掲載します。
良かったらお付き合い下さいませ~。
―克哉は、結婚してから初めてのバレンタイン当日を迎えていた
すでに時計の針は、もう一人の自分が帰ってくる午後七時を指そうと
していた。
食卓の上には、今晩のおかずがキチンと並べられている。
その前に座っていきながら…ソワソワした様子で、克哉は何度も
膝の上に置いてあるラッピングされたチョコレートを眺めていた。
(ううっ…何か今までのバレンタインの中で、一番緊張しているかも…)
克哉は何度も、しっかりと包装されたチョコを眺めていきながら一人で
百面相を繰り返していた。
今まで、克哉は基本的に貰う側の人間としてこの日を過ごして来た。
だが、今年は…もう一人の自分と結婚をしてしまったが為に、初めて
贈る側になったのだ。
昼間に、ケーキ屋さんで…それなりに上等な生チョコレートを買って
丁寧に包んで貰った時のことを思い出して、更に顔から火を噴きそうに
なってしまった。
…あんなに、バレンタイン当日に男がチョコを買うことが恥ずかしい
事だったなんで、今まで知らなかった。
(何であいつにチョコを贈るのに…こんなに恥ずかしい想いをしなくちゃ
いけないんだよ…!)
けれど、この日を無視するということも克哉にはどうしても
出来なかった。
ふと、今朝の見送りのシーンが頭の中で再生されてしまって…
克哉は思わず、口元を覆ってしまっていた。
―今夜、お前からどんなチョコを贈られるのか楽しみにしているぞ…?
いつものように玄関先で、いってらっしゃいのキスをした直後に
耳元に唇を寄せられて、そんな風に甘く囁かれてしまったのだ。
多分、その一言がなかったら2月14日という特別な日を意識
しないで終わっていただろう。
(…ううっ、あんな風に言われてしまったら無視する事も出来ないしな…。
本当にあいつって、意地悪だ…)
そんな事をグルグルと考えていきながら、一人で顔を真っ赤にしたり
慌てた表情を浮かべたりして逡巡していく。
もうすでに時刻は19時から随分と過ぎてしまっている。
しかし…もう一人の自分が帰ってくる気配はない。
「遅いな…あいつ…」
そんな事を呟きながら、克哉は机の上で頬杖をついていく。
せっかく19時丁度に合わせて暖かいままで夕食を準備したというのに
二十分も経過してしまっては…一部、冷めているものも出始めていった。
克哉としては、この妙に甘酸っぱいような気恥ずかしいような一時が
じれったくてしょうがない。
延々と待たされ続けるのもそれなりに落ち着かない気分だった。
それならいっそ早く帰って来てほしい…そんな事を考えた瞬間に、
玄関の方から物音がしていった。
「…帰って来たのか?」
ドアの開閉音が聞こえた瞬間、弾かれるように克哉はその場から
立ち上がっていった。
そのまま勢い良く…音のした方向へと駆け出していく。
ドタバタドタバタ…!
足音を大きく響かせながら、相手を出迎えに行くと…其処には
愉快そうに口角を上げているもう一人の自分の姿があった。
「ただいま、良い子に待っていたか…?」
いつものように傲岸不遜な物言いで、こちらに語りかけてくる。
相手の顔を見た瞬間、キュン…と何故か胸が締め付けられるような
甘酸っぱい思いを感じていった、
「…いつだって、オレは大人しく家を守っているってば…。おかえり、『俺』…。
今日も一日、お仕事お疲れ様…」
それでも、にっこりと微笑んで…自分の夫に対して労いの言葉を
かけていく。
瞬間、とても穏やかに…眼鏡が微笑んでいった。
その表情は一瞬しか浮かべられないものであったけれど、ある時から
こうやって彼を出迎えて暖かい言葉を伝えていくと…優しい顔を見せて
くれるようになった。
(…この瞬間の、『俺』の顔って優しいから…好きだな…)
きっと、その事を伝えてしまったら…意地っ張りで天邪鬼な性格をしている
彼のことだ。きっと…そのごく自然に浮かべている優しい表情を引っ込めて
隠してしまう事だろう。
「あぁ、無事に帰った…。夕食の支度は出来ているのか…?」
そんな事を問いかけながら、もう一人の自分が克哉の髪先をそっと
くすぐっていく。
その感覚に軽く肩を震わせていきながら…クスクスと笑っていった。
「ん…準備、してあるよ。後…その、もう一つの物も…」
気恥ずかしくて、耳まで赤く染めていきながら克哉は相手に
告げていく。
だが相手は面白そうに笑いながら、こちらの耳元でからかうように
言葉を紡いでいった。
「…楽しみにしているぞ…」
「あ、うん…」
甘く、そんな一言を囁かれて克哉がうっとりと仕掛けていくと…
そのまま、優しく唇を塞がれていく。
チョコと、夕食を用意してくれているのを考慮してくれたのだろう。
それは触れ合うだけの…思いがけない優しいキスだった。
「んんっ…」
深いキスをされないことの方が珍しいので、そのくすぐったいような
唇の感触に…つい、クスクスと笑ってしまう。
「こら…あまり、笑うな…」
そんな事を眼鏡は呟きながら、啄ばむようなキスを繰り返されていく。
…その心地よさに、そっと身体の力を抜いていきながら…暫く克哉は
相手の肩口にそっと凭れかかっていったのだった―
そして時間の関係上、二~三回に分けて掲載します。
良かったらお付き合い下さいませ~。
―克哉は、結婚してから初めてのバレンタイン当日を迎えていた
すでに時計の針は、もう一人の自分が帰ってくる午後七時を指そうと
していた。
食卓の上には、今晩のおかずがキチンと並べられている。
その前に座っていきながら…ソワソワした様子で、克哉は何度も
膝の上に置いてあるラッピングされたチョコレートを眺めていた。
(ううっ…何か今までのバレンタインの中で、一番緊張しているかも…)
克哉は何度も、しっかりと包装されたチョコを眺めていきながら一人で
百面相を繰り返していた。
今まで、克哉は基本的に貰う側の人間としてこの日を過ごして来た。
だが、今年は…もう一人の自分と結婚をしてしまったが為に、初めて
贈る側になったのだ。
昼間に、ケーキ屋さんで…それなりに上等な生チョコレートを買って
丁寧に包んで貰った時のことを思い出して、更に顔から火を噴きそうに
なってしまった。
…あんなに、バレンタイン当日に男がチョコを買うことが恥ずかしい
事だったなんで、今まで知らなかった。
(何であいつにチョコを贈るのに…こんなに恥ずかしい想いをしなくちゃ
いけないんだよ…!)
けれど、この日を無視するということも克哉にはどうしても
出来なかった。
ふと、今朝の見送りのシーンが頭の中で再生されてしまって…
克哉は思わず、口元を覆ってしまっていた。
―今夜、お前からどんなチョコを贈られるのか楽しみにしているぞ…?
いつものように玄関先で、いってらっしゃいのキスをした直後に
耳元に唇を寄せられて、そんな風に甘く囁かれてしまったのだ。
多分、その一言がなかったら2月14日という特別な日を意識
しないで終わっていただろう。
(…ううっ、あんな風に言われてしまったら無視する事も出来ないしな…。
本当にあいつって、意地悪だ…)
そんな事をグルグルと考えていきながら、一人で顔を真っ赤にしたり
慌てた表情を浮かべたりして逡巡していく。
もうすでに時刻は19時から随分と過ぎてしまっている。
しかし…もう一人の自分が帰ってくる気配はない。
「遅いな…あいつ…」
そんな事を呟きながら、克哉は机の上で頬杖をついていく。
せっかく19時丁度に合わせて暖かいままで夕食を準備したというのに
二十分も経過してしまっては…一部、冷めているものも出始めていった。
克哉としては、この妙に甘酸っぱいような気恥ずかしいような一時が
じれったくてしょうがない。
延々と待たされ続けるのもそれなりに落ち着かない気分だった。
それならいっそ早く帰って来てほしい…そんな事を考えた瞬間に、
玄関の方から物音がしていった。
「…帰って来たのか?」
ドアの開閉音が聞こえた瞬間、弾かれるように克哉はその場から
立ち上がっていった。
そのまま勢い良く…音のした方向へと駆け出していく。
ドタバタドタバタ…!
足音を大きく響かせながら、相手を出迎えに行くと…其処には
愉快そうに口角を上げているもう一人の自分の姿があった。
「ただいま、良い子に待っていたか…?」
いつものように傲岸不遜な物言いで、こちらに語りかけてくる。
相手の顔を見た瞬間、キュン…と何故か胸が締め付けられるような
甘酸っぱい思いを感じていった、
「…いつだって、オレは大人しく家を守っているってば…。おかえり、『俺』…。
今日も一日、お仕事お疲れ様…」
それでも、にっこりと微笑んで…自分の夫に対して労いの言葉を
かけていく。
瞬間、とても穏やかに…眼鏡が微笑んでいった。
その表情は一瞬しか浮かべられないものであったけれど、ある時から
こうやって彼を出迎えて暖かい言葉を伝えていくと…優しい顔を見せて
くれるようになった。
(…この瞬間の、『俺』の顔って優しいから…好きだな…)
きっと、その事を伝えてしまったら…意地っ張りで天邪鬼な性格をしている
彼のことだ。きっと…そのごく自然に浮かべている優しい表情を引っ込めて
隠してしまう事だろう。
「あぁ、無事に帰った…。夕食の支度は出来ているのか…?」
そんな事を問いかけながら、もう一人の自分が克哉の髪先をそっと
くすぐっていく。
その感覚に軽く肩を震わせていきながら…クスクスと笑っていった。
「ん…準備、してあるよ。後…その、もう一つの物も…」
気恥ずかしくて、耳まで赤く染めていきながら克哉は相手に
告げていく。
だが相手は面白そうに笑いながら、こちらの耳元でからかうように
言葉を紡いでいった。
「…楽しみにしているぞ…」
「あ、うん…」
甘く、そんな一言を囁かれて克哉がうっとりと仕掛けていくと…
そのまま、優しく唇を塞がれていく。
チョコと、夕食を用意してくれているのを考慮してくれたのだろう。
それは触れ合うだけの…思いがけない優しいキスだった。
「んんっ…」
深いキスをされないことの方が珍しいので、そのくすぐったいような
唇の感触に…つい、クスクスと笑ってしまう。
「こら…あまり、笑うな…」
そんな事を眼鏡は呟きながら、啄ばむようなキスを繰り返されていく。
…その心地よさに、そっと身体の力を抜いていきながら…暫く克哉は
相手の肩口にそっと凭れかかっていったのだった―
本日分(13日)はお休みします。
12日に東京に一日出かけていて、帰宅遅くなったのと
昼間に携帯で内職(春コミの書き下ろし分)頑張ったらちょいと…他の話に
頭を切り替えられなくなりました。
けど、14日分はバレンタインにちなんだネタをアップしますので
ご了承下さい。
今週、お誕生日会あったり…プレゼント貰ったりして心があったかく
なってしまったので残雪書けない…(心が幸せすぎて)
来週辺りには少しはクールダウンしていると思うので少し待って
やって下さりませ。
14日は甘い話、行きます!では!
12日に東京に一日出かけていて、帰宅遅くなったのと
昼間に携帯で内職(春コミの書き下ろし分)頑張ったらちょいと…他の話に
頭を切り替えられなくなりました。
けど、14日分はバレンタインにちなんだネタをアップしますので
ご了承下さい。
今週、お誕生日会あったり…プレゼント貰ったりして心があったかく
なってしまったので残雪書けない…(心が幸せすぎて)
来週辺りには少しはクールダウンしていると思うので少し待って
やって下さりませ。
14日は甘い話、行きます!では!
※この作品は現在、不定期連載中です。(週1~2回程度のペースで掲載)
その為以前のを読み返しやすいようにトップにリンクを繋げておきます。
バーニングクリスマス!(不定期連載) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
―完全に日が落ちようとした瞬間、黒衣の男が問いかける。
『…ご自分の半身を追いかけなくて宜しいのですか?』
『…昨日、俺がお前に頼んだことはちゃんと手配してあるのか?』
眼鏡が傲然と言い放つと、Mr.Rは愉快そうに微笑んでいく。
『えぇ、貴方に頼まれた事をやらないで放っておくなど私には出来ませんから。
その点なら抜かりなく…』
『なら、慌てる必要はない。今からでも向かえば充分間に合う筈だ。
車はすぐに出せるのか…?』
眼鏡は、もう一人の自分の携帯に…本日、御堂がどのレストランと
ホテルを回るのか記されていたのですでに把握していた。
…この場合、ホテルの方に先に行けば確実に捕まえられる。
Rに、どの部屋に泊まることになるのか…すでに調べさせたからだ。
だから、ゴール地点を知っている分だけ彼には余裕があった。
『はい、ご用意してあります。…貴方が望めばどこにだってお連れ致しましょう』
そうして男は恭しく、レッドカーペットに賓客を招くようなそんな仕草で…
眼鏡を誘導し始めていく。
『なら、あいつが御堂と約束したホテルに俺を連れて行け…。本多には
御堂の車が駐車場にある事を…キクチ社内のPCを使用して匿名メールで
伝えてある。時間稼ぎならあいつが充分に役割を果たしてくれている筈だ。
…それと、お前に依頼した手段で多少なら時間は大丈夫だろう。この状況で
俺がするべき事は…その混乱状態の中で、いかにして御堂から鮮やかに
あいつを取り戻すか…それだけだ』
そういって、憤りさえ含みながら力強く眼鏡が言い放っていく。その様子を
Rは嬉しそうに眺めていた。
(嗚呼…静かな怒りを湛えていらっしゃる貴方は本当に美しい…)
心の底から感嘆を込めていきながら、男は自分が手配した車が
ひっそりと置かれている方角へと共に向かっていく。
『貴方にお供しましょう…』
と一言、どこか心酔しきったような返事をしていきながら―
*
眼鏡が動き始めたのとほぼ同じ頃…本多は真剣な表情を浮かべながら
タクシーの前面部の窓から覗いている御堂の愛車を凝視していた。
その表情はどこか鬼気迫るものがあった。
本気の怒りを込めながら、前の車を睨みつけている彼の様子に
運転手も怪訝そうな顔を浮かべていく。
だが今の本多に迂闊に何か言ったら大変なことになりそうな気配が
あるので…黙って、運転手は本多に依頼された通りに車を走らせ
続けていた。
(…御堂の奴、克哉にチョッカイ掛けるとは…本気で許せねぇ…!)
同性である克哉に、恋心を抱いているのを自覚してからすでに
一年以上になる。
そしてその事に気づいた時、無自覚だったが自分は大学時代から
克哉を特別な存在と見なしていた事も判ってしまった。
だから誰にも…本多は克哉を渡したくなどなかった。
自分がハンドルを握っていたら、本多は全力でアクセルを噴かせて
前を走る御堂の車に背後にぶつけてでも止めていただろう。
…この場合、むしろ他の人間が車を走らせてくれていることに真剣に
感謝しなければならないだろう。
(後ろから見ている限り…今は克哉に手を出していないみたいだけどな…。
けれど、さっきは…!)
ギリ、と奥歯を強く噛み締めていきながらさっき見た光景を脳裏に
思い浮かべていく。
誰が送ったのか判らない正体不明のメールを見て…だが、謎の爆発騒ぎで
騒然となっている社内で二人の姿を見失ってしまっていた本多は…藁にも
縋る思いで試しに駐車場まで向かったら、そのメールに記されていた
黄色いタクシーを発見した直後に、現場から少し離れた場所から…衝撃の場面に
出くわしてしまったのだ。
―御堂と克哉のキスシーンだった
それを見て、言葉を失いかけた。
何が起こったのか頭が真っ白になって…ショックの余りに何も行動も、
言う事も出来なかった。
呆然とその光景を見届けてしまった時、タクシーの運転手がこちらに
声を掛けて来た。
『おい、兄さん。さっき…身体の大きな紺色のスーツを着た男をここから乗せて
くれなんて奇妙な依頼を本社の方に受けたんだが…あんたの事かい?』
「えっ…?」
本多は驚きの余りに言葉を失う。
さっきのメールにも…ここに黄色のタクシーがいる筈なので、必要ならば
それを使え…と実に横柄な文章が綴られていた。
ますます訳が判らなかった。まるで知らない人間に見えない糸で操られて
しまっているような奇妙な錯覚を受けていった。
しかし…今、この場にこれ以外の移動手段は存在しなかった。
このタクシーを使って追いかけなければ、二人を確実に見失ってしまう。
だから疑念が心の中で渦巻いていても、使うしかなかった。
―だが、一体どうやって第三者が…このタクシーを手配して、本多に
克哉を追うように手配したのかまったく予想がつかなかった。
考えれば考えるだけ、判らない。
だからつい…知らない内に呟いてしまっていた。
「訳が本気で判らねぇよ…。今日の会社内の騒ぎも、あのメールも…一体
誰が糸を引いているのか…」
しかしただ一つ判っていることは、それらの二つはどちらも…克哉を中心に
して引き起こされた事だという事ぐらいだ。
タクシーの運転手はただ…本多の依頼の通り、御堂のセダンを追いかけるように
して尾行を続けていた。
この40代後半ぐらいの運転手も大変な貧乏くじを引いたものである。
ピリピリした空気を発している本多を乗せて、かなりのスピードを出しながら
訳も判らない状態で尾行などやらされているのだから。
しかし、本多にとってラッキーだったのは…このドライバーの腕前が
確かなことだった。
前を走る御堂の車がどれだけ速度を出していても、日が沈んだ直後で
視界が利き辛く、帰宅途中の車がひしめき合っている場所を通り抜ける
ことになっても付かず離れずの距離でずっとぴったりとくっついて走って
くれていた事だった。
そして御堂の車は、どこかのホテルの地下の駐車場へと静かに
入っていった。
本多が乗っているタクシーも其処に入ろうとしたが、入り口の付近で
運悪く…その間に一台の車が入り込んでしまったので、距離が離されて
しまっていた。
(ちくしょう…!)
その時、悔しさの余りに叫び出したい衝動に駆られたが…どうにかそれを
押さえ込んでいく。
しかし、その瞬間…見てしまった。
「克哉っ…?」
そう、気のせいかも知れない。ただの見間違えかも知れないが…今、
御堂と本多のタクシーの間に割り込んできた黒いベンツには…眼鏡を
掛けた克哉と良く似た人物が乗っているのが見えた。
それに本気で本多は驚きながら…言葉を失っていく。
暫くそのおかげで…タクシーの運転手が声を掛けてくれていたのにも
気づけないぐらい、ショックを受けてしまっていたのだ。
(何で…気のせい、だよな…。俺は確かに御堂の車に乗っている克哉を
追いかけていた筈なのに…。どうして、あいつが前の車にも乗っているんだ…?)
思考が纏まらないまま、グルグルと回っているのが判った。
「お客さん! 前の車…この駐車場のどっかに止まっているみたいですが…
探しますか? それともここで降りますか? どっちか早く決めてくれませんかね!
モタモタしている間にも、メーターは上がり続けますぜ!」
いい加減、タクシーのドライバーもイライラして、大声でそう訴えかけた時に
やっと正気に戻って現状を把握していく。
「あっ…ここまでで良いです。…とりあえず一旦清算で…。ただ、また必要に
なるかも知れねぇから、少しの間…この場所で待ってて貰って良いすか?
とりあえずこれで…」
そういいながら、本多は一万を差し出していく。
細かいものが、今…財布の中になかったからだ。
心の中では相当に焦っていた。
こうしている間に、御堂に部屋に入られてしまったら…もう本多には
打つ手がなくなる。
とりあえず清算を終えて、慌ててタクシーの外に飛び出していくと…その直後に
再び携帯のメールの着信音が聞こえていった。
急いでその内容を確認していくと、其処には一言…こう記されていた。
―最上階のスイートルーム。1001号室に向かえ
たったそれだけが書かれているメールを見て…本多は迷っている暇は
ないと思った。
怪しいことこの上ないメールだ。しかもメルアドはやはり見覚えがない
ものからだった。
しかし今は疑っている暇はない。
ヒントがあるならそれに縋るしか…術はなかった。
そうして…本多はエレベーターに乗り込んで、指定された通り…最上階に
向かっていく。
―其処で予想もしていなかった衝撃の光景に遭遇するなど、まったく
思いも寄らずに―
その為以前のを読み返しやすいようにトップにリンクを繋げておきます。
バーニングクリスマス!(不定期連載) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
―完全に日が落ちようとした瞬間、黒衣の男が問いかける。
『…ご自分の半身を追いかけなくて宜しいのですか?』
『…昨日、俺がお前に頼んだことはちゃんと手配してあるのか?』
眼鏡が傲然と言い放つと、Mr.Rは愉快そうに微笑んでいく。
『えぇ、貴方に頼まれた事をやらないで放っておくなど私には出来ませんから。
その点なら抜かりなく…』
『なら、慌てる必要はない。今からでも向かえば充分間に合う筈だ。
車はすぐに出せるのか…?』
眼鏡は、もう一人の自分の携帯に…本日、御堂がどのレストランと
ホテルを回るのか記されていたのですでに把握していた。
…この場合、ホテルの方に先に行けば確実に捕まえられる。
Rに、どの部屋に泊まることになるのか…すでに調べさせたからだ。
だから、ゴール地点を知っている分だけ彼には余裕があった。
『はい、ご用意してあります。…貴方が望めばどこにだってお連れ致しましょう』
そうして男は恭しく、レッドカーペットに賓客を招くようなそんな仕草で…
眼鏡を誘導し始めていく。
『なら、あいつが御堂と約束したホテルに俺を連れて行け…。本多には
御堂の車が駐車場にある事を…キクチ社内のPCを使用して匿名メールで
伝えてある。時間稼ぎならあいつが充分に役割を果たしてくれている筈だ。
…それと、お前に依頼した手段で多少なら時間は大丈夫だろう。この状況で
俺がするべき事は…その混乱状態の中で、いかにして御堂から鮮やかに
あいつを取り戻すか…それだけだ』
そういって、憤りさえ含みながら力強く眼鏡が言い放っていく。その様子を
Rは嬉しそうに眺めていた。
(嗚呼…静かな怒りを湛えていらっしゃる貴方は本当に美しい…)
心の底から感嘆を込めていきながら、男は自分が手配した車が
ひっそりと置かれている方角へと共に向かっていく。
『貴方にお供しましょう…』
と一言、どこか心酔しきったような返事をしていきながら―
*
眼鏡が動き始めたのとほぼ同じ頃…本多は真剣な表情を浮かべながら
タクシーの前面部の窓から覗いている御堂の愛車を凝視していた。
その表情はどこか鬼気迫るものがあった。
本気の怒りを込めながら、前の車を睨みつけている彼の様子に
運転手も怪訝そうな顔を浮かべていく。
だが今の本多に迂闊に何か言ったら大変なことになりそうな気配が
あるので…黙って、運転手は本多に依頼された通りに車を走らせ
続けていた。
(…御堂の奴、克哉にチョッカイ掛けるとは…本気で許せねぇ…!)
同性である克哉に、恋心を抱いているのを自覚してからすでに
一年以上になる。
そしてその事に気づいた時、無自覚だったが自分は大学時代から
克哉を特別な存在と見なしていた事も判ってしまった。
だから誰にも…本多は克哉を渡したくなどなかった。
自分がハンドルを握っていたら、本多は全力でアクセルを噴かせて
前を走る御堂の車に背後にぶつけてでも止めていただろう。
…この場合、むしろ他の人間が車を走らせてくれていることに真剣に
感謝しなければならないだろう。
(後ろから見ている限り…今は克哉に手を出していないみたいだけどな…。
けれど、さっきは…!)
ギリ、と奥歯を強く噛み締めていきながらさっき見た光景を脳裏に
思い浮かべていく。
誰が送ったのか判らない正体不明のメールを見て…だが、謎の爆発騒ぎで
騒然となっている社内で二人の姿を見失ってしまっていた本多は…藁にも
縋る思いで試しに駐車場まで向かったら、そのメールに記されていた
黄色いタクシーを発見した直後に、現場から少し離れた場所から…衝撃の場面に
出くわしてしまったのだ。
―御堂と克哉のキスシーンだった
それを見て、言葉を失いかけた。
何が起こったのか頭が真っ白になって…ショックの余りに何も行動も、
言う事も出来なかった。
呆然とその光景を見届けてしまった時、タクシーの運転手がこちらに
声を掛けて来た。
『おい、兄さん。さっき…身体の大きな紺色のスーツを着た男をここから乗せて
くれなんて奇妙な依頼を本社の方に受けたんだが…あんたの事かい?』
「えっ…?」
本多は驚きの余りに言葉を失う。
さっきのメールにも…ここに黄色のタクシーがいる筈なので、必要ならば
それを使え…と実に横柄な文章が綴られていた。
ますます訳が判らなかった。まるで知らない人間に見えない糸で操られて
しまっているような奇妙な錯覚を受けていった。
しかし…今、この場にこれ以外の移動手段は存在しなかった。
このタクシーを使って追いかけなければ、二人を確実に見失ってしまう。
だから疑念が心の中で渦巻いていても、使うしかなかった。
―だが、一体どうやって第三者が…このタクシーを手配して、本多に
克哉を追うように手配したのかまったく予想がつかなかった。
考えれば考えるだけ、判らない。
だからつい…知らない内に呟いてしまっていた。
「訳が本気で判らねぇよ…。今日の会社内の騒ぎも、あのメールも…一体
誰が糸を引いているのか…」
しかしただ一つ判っていることは、それらの二つはどちらも…克哉を中心に
して引き起こされた事だという事ぐらいだ。
タクシーの運転手はただ…本多の依頼の通り、御堂のセダンを追いかけるように
して尾行を続けていた。
この40代後半ぐらいの運転手も大変な貧乏くじを引いたものである。
ピリピリした空気を発している本多を乗せて、かなりのスピードを出しながら
訳も判らない状態で尾行などやらされているのだから。
しかし、本多にとってラッキーだったのは…このドライバーの腕前が
確かなことだった。
前を走る御堂の車がどれだけ速度を出していても、日が沈んだ直後で
視界が利き辛く、帰宅途中の車がひしめき合っている場所を通り抜ける
ことになっても付かず離れずの距離でずっとぴったりとくっついて走って
くれていた事だった。
そして御堂の車は、どこかのホテルの地下の駐車場へと静かに
入っていった。
本多が乗っているタクシーも其処に入ろうとしたが、入り口の付近で
運悪く…その間に一台の車が入り込んでしまったので、距離が離されて
しまっていた。
(ちくしょう…!)
その時、悔しさの余りに叫び出したい衝動に駆られたが…どうにかそれを
押さえ込んでいく。
しかし、その瞬間…見てしまった。
「克哉っ…?」
そう、気のせいかも知れない。ただの見間違えかも知れないが…今、
御堂と本多のタクシーの間に割り込んできた黒いベンツには…眼鏡を
掛けた克哉と良く似た人物が乗っているのが見えた。
それに本気で本多は驚きながら…言葉を失っていく。
暫くそのおかげで…タクシーの運転手が声を掛けてくれていたのにも
気づけないぐらい、ショックを受けてしまっていたのだ。
(何で…気のせい、だよな…。俺は確かに御堂の車に乗っている克哉を
追いかけていた筈なのに…。どうして、あいつが前の車にも乗っているんだ…?)
思考が纏まらないまま、グルグルと回っているのが判った。
「お客さん! 前の車…この駐車場のどっかに止まっているみたいですが…
探しますか? それともここで降りますか? どっちか早く決めてくれませんかね!
モタモタしている間にも、メーターは上がり続けますぜ!」
いい加減、タクシーのドライバーもイライラして、大声でそう訴えかけた時に
やっと正気に戻って現状を把握していく。
「あっ…ここまでで良いです。…とりあえず一旦清算で…。ただ、また必要に
なるかも知れねぇから、少しの間…この場所で待ってて貰って良いすか?
とりあえずこれで…」
そういいながら、本多は一万を差し出していく。
細かいものが、今…財布の中になかったからだ。
心の中では相当に焦っていた。
こうしている間に、御堂に部屋に入られてしまったら…もう本多には
打つ手がなくなる。
とりあえず清算を終えて、慌ててタクシーの外に飛び出していくと…その直後に
再び携帯のメールの着信音が聞こえていった。
急いでその内容を確認していくと、其処には一言…こう記されていた。
―最上階のスイートルーム。1001号室に向かえ
たったそれだけが書かれているメールを見て…本多は迷っている暇は
ないと思った。
怪しいことこの上ないメールだ。しかもメルアドはやはり見覚えがない
ものからだった。
しかし今は疑っている暇はない。
ヒントがあるならそれに縋るしか…術はなかった。
そうして…本多はエレベーターに乗り込んで、指定された通り…最上階に
向かっていく。
―其処で予想もしていなかった衝撃の光景に遭遇するなど、まったく
思いも寄らずに―
掲載、日付越えます~。つか潔く12日分でアップします。
けど、バーニングの16話、家を出る前までにアップ
出来るように頑張ります!
このバーニングはオフ本の方のINNOCENT~と、春コミ新刊の
両方とリンクしている箇所があるから、頭の中で纏めるのに非常に
時間掛かります(汗)
だから休みの日とその前日にしか、正直書けません。
明日はお出かけするけど、朝はゆっくりでOKなので…頑張って
アップします。
本気で、オフ本とリンクさせながら前後をキチンと合わせて話を
くみ上げるのがここまで大変とは思いませんでした…。
けど、出来るだけ統合させられるように頑張ります。
春コミ原稿もボチボチ~。週一本ぐらいのペースで書き下ろしを
仕上げて行くっす。ではでは、また後で~。
P.S 前回掲載出来なかった分の編集作業していたら…その4話分だけで
50P分以上、すでにありました…(汗)
春コミの新刊、全部でまた100~120Pぐらいになるかもです…。
克克アンソロジー2と同じぐらいのP数じゃん…どれだけ長い物を
私は作る気だよ! と早くもツッコミ入れたくなりました…。
一旦寝て来ます。起きたらバーニングの続きを書くお~!
けど、バーニングの16話、家を出る前までにアップ
出来るように頑張ります!
このバーニングはオフ本の方のINNOCENT~と、春コミ新刊の
両方とリンクしている箇所があるから、頭の中で纏めるのに非常に
時間掛かります(汗)
だから休みの日とその前日にしか、正直書けません。
明日はお出かけするけど、朝はゆっくりでOKなので…頑張って
アップします。
本気で、オフ本とリンクさせながら前後をキチンと合わせて話を
くみ上げるのがここまで大変とは思いませんでした…。
けど、出来るだけ統合させられるように頑張ります。
春コミ原稿もボチボチ~。週一本ぐらいのペースで書き下ろしを
仕上げて行くっす。ではでは、また後で~。
P.S 前回掲載出来なかった分の編集作業していたら…その4話分だけで
50P分以上、すでにありました…(汗)
春コミの新刊、全部でまた100~120Pぐらいになるかもです…。
克克アンソロジー2と同じぐらいのP数じゃん…どれだけ長い物を
私は作る気だよ! と早くもツッコミ入れたくなりました…。
一旦寝て来ます。起きたらバーニングの続きを書くお~!
※この作品は現在、不定期連載中です。(週1~2回程度のペースで掲載)
その為以前のを読み返しやすいようにトップにリンクを繋げておきます。
バーニングクリスマス!(不定期連載) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14
―代償は、貴方という存在の消失です。結ばれた後に…
貴方と克哉さんの心が離れてしまったり、別の存在に心を奪われれば
お二人の内、どちらかが必ず消えなければならなくなります。
…その場合、完全な消滅です。片方は必ず消えていなくなるという
リスクが伴います。それでも…貴方は奇跡を望みますか?
キクチ・マーケーティングの裏手で奇妙な男が、眼鏡に対してそう
問いかけて返答を待っているのとほぼ同じ頃…克哉はようやく、パニックに
なった社内から御堂と共に脱出をしていた。
否、予想以上の大騒ぎとなり…誰かが警戒して、警察にも連絡を
してしまったので…これから事情聴取が始まる、とアナウンスが流れた
瞬間に…御堂に手を引かれて、そのまま一気に駐車場まで連れて
来られたのだ。
カッカッカッ…とアスファルトの地面の上に、相手の上等な革靴の音が
響き渡っていく。
御堂は無言のまま、険しい顔をして自分の車を停めてあるスペースまで
駆け足で向かっていく。
その様子に鬼気迫るものを感じて、克哉は何も言えないでいた…。
(御堂さんの手、凄く…痛い…。けれど、今のこの人に…オレは何て、声を
掛ければ良いんだろう…)
ギュっと何度も瞼を強く瞑っていきながら、克哉はグルグルと逡巡していった。
無意識の内に、空いた方の手は…先程触れられた頬と首筋に宛がわれていった。
…さっき、二人きりで小さな会議室に篭っていた時に御堂の唇が触れた箇所だ。
(どうしよう…さっきから、御堂さんに触れられた箇所が…おかしい…)
そして、そうやって優しくキスを落とされながら…深く唇を塞がれた。
その状態で服の上から胸の突起を探られて、其処を執拗に弄られ続けて…
背筋が痺れるような快感を感じ続けていった。
―あっ…はぁ…
先程の自分の零した悩ましい声が頭の中で再生されてしまって、克哉は
顔を真っ赤に染めていった。
あいつ以外の人間にキスをされて、触れられているにも関わらず…感じて
甘い声を出している自分に罪悪感と、甘美な感情の両方を覚えていく。
御堂の舌の熱さを、味が…こうして手を繋がれている合間にも鮮明に
思い出されてしまって、背骨の辺りから甘い感覚が走り続けていく。
(どうしよう…『俺』…! 多分、お前が何もしないでままでいたら…きっと
流されて、この人に抱かれる事を…拒めそうにない…! 来るなら、早く
顔を出してくれよ! 怒っていても良いから…お前の顔を見ないままでいたら
きっと…オレは、間違えてしまう…!)
心臓が壊れたようにドックンドックン! と脈動しているのを感じていった。
本気で、血管という血管が破裂しそうなぐらいに克哉は緊張していた。
繋がれた手が汗ばみ、耳まで真っ赤に染まっていた。
恐らく…御堂はこちらの状態に気づいているだろう。
しかし克哉の方を振り返ることなく、一直線に目的地へと突き進んでいた。
御堂もまた、もう克哉を抱きたいという己の想いを…取り繕うことが出来ない
状態になっていた。
車の前に辿りつくと、御堂は克哉を…車と己の身体の間に閉じ込めて…
顎をそっと掴みながら、真っ直ぐに瞳を覗き込んでいった。
バン!
身体と車体がぶつかりあう音を軽く立てていきながら…御堂はゆっくりと
克哉の方へ顔を寄せていく。
吐息が感じられる程の近い距離に、御堂の顔がある。
茜色に染まった世界で…端正な顔をした彼の顔は…目を奪われるぐらいに
綺麗に輝いていた。
怜悧な印象のある彼が…こんなに熱い眼差しでこちらを見つめている。
その事実に、克哉は背筋がゾクリとなってしまう。
(御堂さんの目…何か、獰猛な獣みたいだ…)
怖いのに、同時に強く惹き込まれて目を逸らす事が出来ない。
ソロリ、と顎から首筋のラインを撫ぜられて…克哉は肩を竦ませていった。
「…佐伯君、いや…克哉。本来ならこの後、レストランの方でディナーを予約
していたのだが…それはキャンセルする。先に…ホテルの方へ向かうが…良いな…」
「…っ! それ、は…まさ、か…」
この独特の息が詰まりそうな空気と態度。
それでこんな事を言われたら…導き出される結論は一つしか存在しない。
「そうだ…私は、食事よりも今夜は君を早く抱きたい…良いな…?」
「あっ…の…その…」
唐突な御堂の言葉に、克哉は気持ちを切り替え切れなかった。
御堂に、強烈に惹かれている自分がいる。それは事実だ。
しかし…相手がこちらを求めていると、その意思を感じ取っていく度に…
彼の脳裏には、鮮明にもう一人の自分の面影が浮かんでいた。
―俺を絶対に、忘れるな…
そう、克哉に訴えかけているように鮮烈に…声までも時折聞こえてくる。
それが今の彼にとって、最後の砦だった。
気が狂いそうになるぐらいに…もう一人の自分に惹かれてしまって。
好きで好きでしょうがなくて、苦しかった。辛かった。
嫉妬ぐらいして欲しい…執着している気持ちを見せて欲しい。
そういう動機から、最近の克哉は…想いを寄せてくれていると感じられる
相手には思わせぶりな態度を取り続けていた。
そして、御堂は今…本気でこちらを口説き、迫っている。
(…どう、しよう…!)
ここでようやく、自分のして来た事の重大さと罪深さを克哉は自覚した。
だが…もう、断ることなど出来そうになかった。
御堂の目は真摯で熱く、中途半端な言葉や答えなどでは決して納得
してくれそうになかった。
心のどこかで、御堂に抱かれて…この熱く滾った欲望を発散したいという
想いを感じていた。
一ヶ月以上眼鏡に抱かれていない身体は、乾いてしまっている。
焼け焦げそうになるぐらいに熱いモノを身体の奥に感じて、悶え狂わせて
貰いたい…そんな浅ましい事を考えている自分は確かに存在しているのだ…!
「…答えないのか。なら、私の勝手にさせて貰おう…。…いや、君が嫌だと
言っても…ここまでこちらの心を煽り、挑発した責任は君自身に取って貰う…。
今夜、君を抱く。断ることは…許さない…」
「あっ…んんっ…!」
御堂の刃のような鋭い眼差しに射抜かれて、克哉は一瞬…金縛りにあった
ように身体が硬直していった。
そのまま…強い力で引き寄せられて、荒々しく唇を重ねられていった。
グチャ…グチュ…ピチャ…ジュル…
そしてそのまま…腰から甘く蕩けていきそうな官能的な口付けを…
夕暮れの光景の中、与えられていく。
二人のしっかりと重なり合ったシルエットが…鮮やかなオレンジ色に染まった
世界の中に浮かび上がっていく。
御堂に、快楽と…強い意志で支配されてしまう。
ギリギリまで保っていた最後の理性のタガすらも、粉々に砕かれてしまいそうに
なるぐらいに…熱烈な接吻だった。
その合間に、下肢の狭間に太腿を割り込まされていって…硬くなり始めている
其処を擦られ続けているのだから、堪ったものではない。
「んんっ…!」
もう、満足に立っていることすらも出来なくなって車体に背中を預けて
ギリギリの状態で支えていく。
しかし御堂の攻めは止まる事を知らない。
追い立てるように、布地の上から尖りきった胸の突起を弄り上げて…
完全に克哉の身体に火を灯していった。
「や…御堂、さん…あ、いや…」
それでも、最後の抵抗とばかりに…弱々しく、「いや…」と呟いていく。
しかしもう…そんな言葉で、男は止めてやる気など毛頭なかった。
「…嫌なら、私の手から逃れて帰れば良い…。いや、しかし…もう
こんなに硬くしていたら、満足に歩くことすらも出来ないかな…?」
「ひゃう…!」
ふいに、スーツのズボン生地の上から、半勃ち状態の性器の部分を握り込まれて
いって克哉は鋭い声を挙げていく。
そのまま…耳元に唇を寄せていくと、心底愉快そうな感じで御堂が囁きを
落としていった。
―後はホテルでだ…。続きを楽しみにしていると良い…
そうして、ヌルっと耳孔に舌を差し入れて其処をくすぐっていくと…御堂は
涼しい顔をして身体を離していった。
「あっ…? 何を…?」
「…嫌だと言ったから、ここでは一旦止めただけだ。…この続きをして欲しいなら
ちゃんと現地に行ってから強請る事だな…」
そういって、ガチャと手荒く助手席の扉を開けていくと…克哉の身体を押し込み
反対方向に回って、自分も運転席に座っていった。
濃密で、息が詰まりそうな空気が二人の間に流れていく。
「…行くぞ、克哉…」
「……はい」
御堂の呼び方が、「佐伯君」から「克哉」に変わっている事だけでも顔が赤く
染まりそうだった。
そうして…まともに相手の顔を見れないまま、車は発進していく。
―本当にもう一人の自分への想いを貫くなら、自分は御堂の手を振り切って
逃げなければならなかった
それが判っているのに、あいつに会えなくて寂しいという心は叫びを上げていて
そんな克哉の理性をも粉微塵にしていった。
まともに、言葉など…雑談など出来そうもなかった。
終始無言のまま、二人は真っ直ぐに前だけを向いて目的地に向かっていく。
―しかし彼らは気づいていなかった。彼らが発進した直後…尾行をしていた
ある人物を乗せたタクシーもまた動き始めていた。
夕暮れが終焉を迎えて、夜の帳がしっかりと降り始めていく中で…各人の
思いは克哉を中心に、激しい交差を繰り広げていく。
彼らを追いかける車に乗っていたその人物は…非常に思いつめた表情を
浮かべていきながら、暴れたくなる衝動を抑えて…御堂と克哉を乗せた車の
行き先を追いかけ続けたのだった―
その為以前のを読み返しやすいようにトップにリンクを繋げておきます。
バーニングクリスマス!(不定期連載) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14
―代償は、貴方という存在の消失です。結ばれた後に…
貴方と克哉さんの心が離れてしまったり、別の存在に心を奪われれば
お二人の内、どちらかが必ず消えなければならなくなります。
…その場合、完全な消滅です。片方は必ず消えていなくなるという
リスクが伴います。それでも…貴方は奇跡を望みますか?
キクチ・マーケーティングの裏手で奇妙な男が、眼鏡に対してそう
問いかけて返答を待っているのとほぼ同じ頃…克哉はようやく、パニックに
なった社内から御堂と共に脱出をしていた。
否、予想以上の大騒ぎとなり…誰かが警戒して、警察にも連絡を
してしまったので…これから事情聴取が始まる、とアナウンスが流れた
瞬間に…御堂に手を引かれて、そのまま一気に駐車場まで連れて
来られたのだ。
カッカッカッ…とアスファルトの地面の上に、相手の上等な革靴の音が
響き渡っていく。
御堂は無言のまま、険しい顔をして自分の車を停めてあるスペースまで
駆け足で向かっていく。
その様子に鬼気迫るものを感じて、克哉は何も言えないでいた…。
(御堂さんの手、凄く…痛い…。けれど、今のこの人に…オレは何て、声を
掛ければ良いんだろう…)
ギュっと何度も瞼を強く瞑っていきながら、克哉はグルグルと逡巡していった。
無意識の内に、空いた方の手は…先程触れられた頬と首筋に宛がわれていった。
…さっき、二人きりで小さな会議室に篭っていた時に御堂の唇が触れた箇所だ。
(どうしよう…さっきから、御堂さんに触れられた箇所が…おかしい…)
そして、そうやって優しくキスを落とされながら…深く唇を塞がれた。
その状態で服の上から胸の突起を探られて、其処を執拗に弄られ続けて…
背筋が痺れるような快感を感じ続けていった。
―あっ…はぁ…
先程の自分の零した悩ましい声が頭の中で再生されてしまって、克哉は
顔を真っ赤に染めていった。
あいつ以外の人間にキスをされて、触れられているにも関わらず…感じて
甘い声を出している自分に罪悪感と、甘美な感情の両方を覚えていく。
御堂の舌の熱さを、味が…こうして手を繋がれている合間にも鮮明に
思い出されてしまって、背骨の辺りから甘い感覚が走り続けていく。
(どうしよう…『俺』…! 多分、お前が何もしないでままでいたら…きっと
流されて、この人に抱かれる事を…拒めそうにない…! 来るなら、早く
顔を出してくれよ! 怒っていても良いから…お前の顔を見ないままでいたら
きっと…オレは、間違えてしまう…!)
心臓が壊れたようにドックンドックン! と脈動しているのを感じていった。
本気で、血管という血管が破裂しそうなぐらいに克哉は緊張していた。
繋がれた手が汗ばみ、耳まで真っ赤に染まっていた。
恐らく…御堂はこちらの状態に気づいているだろう。
しかし克哉の方を振り返ることなく、一直線に目的地へと突き進んでいた。
御堂もまた、もう克哉を抱きたいという己の想いを…取り繕うことが出来ない
状態になっていた。
車の前に辿りつくと、御堂は克哉を…車と己の身体の間に閉じ込めて…
顎をそっと掴みながら、真っ直ぐに瞳を覗き込んでいった。
バン!
身体と車体がぶつかりあう音を軽く立てていきながら…御堂はゆっくりと
克哉の方へ顔を寄せていく。
吐息が感じられる程の近い距離に、御堂の顔がある。
茜色に染まった世界で…端正な顔をした彼の顔は…目を奪われるぐらいに
綺麗に輝いていた。
怜悧な印象のある彼が…こんなに熱い眼差しでこちらを見つめている。
その事実に、克哉は背筋がゾクリとなってしまう。
(御堂さんの目…何か、獰猛な獣みたいだ…)
怖いのに、同時に強く惹き込まれて目を逸らす事が出来ない。
ソロリ、と顎から首筋のラインを撫ぜられて…克哉は肩を竦ませていった。
「…佐伯君、いや…克哉。本来ならこの後、レストランの方でディナーを予約
していたのだが…それはキャンセルする。先に…ホテルの方へ向かうが…良いな…」
「…っ! それ、は…まさ、か…」
この独特の息が詰まりそうな空気と態度。
それでこんな事を言われたら…導き出される結論は一つしか存在しない。
「そうだ…私は、食事よりも今夜は君を早く抱きたい…良いな…?」
「あっ…の…その…」
唐突な御堂の言葉に、克哉は気持ちを切り替え切れなかった。
御堂に、強烈に惹かれている自分がいる。それは事実だ。
しかし…相手がこちらを求めていると、その意思を感じ取っていく度に…
彼の脳裏には、鮮明にもう一人の自分の面影が浮かんでいた。
―俺を絶対に、忘れるな…
そう、克哉に訴えかけているように鮮烈に…声までも時折聞こえてくる。
それが今の彼にとって、最後の砦だった。
気が狂いそうになるぐらいに…もう一人の自分に惹かれてしまって。
好きで好きでしょうがなくて、苦しかった。辛かった。
嫉妬ぐらいして欲しい…執着している気持ちを見せて欲しい。
そういう動機から、最近の克哉は…想いを寄せてくれていると感じられる
相手には思わせぶりな態度を取り続けていた。
そして、御堂は今…本気でこちらを口説き、迫っている。
(…どう、しよう…!)
ここでようやく、自分のして来た事の重大さと罪深さを克哉は自覚した。
だが…もう、断ることなど出来そうになかった。
御堂の目は真摯で熱く、中途半端な言葉や答えなどでは決して納得
してくれそうになかった。
心のどこかで、御堂に抱かれて…この熱く滾った欲望を発散したいという
想いを感じていた。
一ヶ月以上眼鏡に抱かれていない身体は、乾いてしまっている。
焼け焦げそうになるぐらいに熱いモノを身体の奥に感じて、悶え狂わせて
貰いたい…そんな浅ましい事を考えている自分は確かに存在しているのだ…!
「…答えないのか。なら、私の勝手にさせて貰おう…。…いや、君が嫌だと
言っても…ここまでこちらの心を煽り、挑発した責任は君自身に取って貰う…。
今夜、君を抱く。断ることは…許さない…」
「あっ…んんっ…!」
御堂の刃のような鋭い眼差しに射抜かれて、克哉は一瞬…金縛りにあった
ように身体が硬直していった。
そのまま…強い力で引き寄せられて、荒々しく唇を重ねられていった。
グチャ…グチュ…ピチャ…ジュル…
そしてそのまま…腰から甘く蕩けていきそうな官能的な口付けを…
夕暮れの光景の中、与えられていく。
二人のしっかりと重なり合ったシルエットが…鮮やかなオレンジ色に染まった
世界の中に浮かび上がっていく。
御堂に、快楽と…強い意志で支配されてしまう。
ギリギリまで保っていた最後の理性のタガすらも、粉々に砕かれてしまいそうに
なるぐらいに…熱烈な接吻だった。
その合間に、下肢の狭間に太腿を割り込まされていって…硬くなり始めている
其処を擦られ続けているのだから、堪ったものではない。
「んんっ…!」
もう、満足に立っていることすらも出来なくなって車体に背中を預けて
ギリギリの状態で支えていく。
しかし御堂の攻めは止まる事を知らない。
追い立てるように、布地の上から尖りきった胸の突起を弄り上げて…
完全に克哉の身体に火を灯していった。
「や…御堂、さん…あ、いや…」
それでも、最後の抵抗とばかりに…弱々しく、「いや…」と呟いていく。
しかしもう…そんな言葉で、男は止めてやる気など毛頭なかった。
「…嫌なら、私の手から逃れて帰れば良い…。いや、しかし…もう
こんなに硬くしていたら、満足に歩くことすらも出来ないかな…?」
「ひゃう…!」
ふいに、スーツのズボン生地の上から、半勃ち状態の性器の部分を握り込まれて
いって克哉は鋭い声を挙げていく。
そのまま…耳元に唇を寄せていくと、心底愉快そうな感じで御堂が囁きを
落としていった。
―後はホテルでだ…。続きを楽しみにしていると良い…
そうして、ヌルっと耳孔に舌を差し入れて其処をくすぐっていくと…御堂は
涼しい顔をして身体を離していった。
「あっ…? 何を…?」
「…嫌だと言ったから、ここでは一旦止めただけだ。…この続きをして欲しいなら
ちゃんと現地に行ってから強請る事だな…」
そういって、ガチャと手荒く助手席の扉を開けていくと…克哉の身体を押し込み
反対方向に回って、自分も運転席に座っていった。
濃密で、息が詰まりそうな空気が二人の間に流れていく。
「…行くぞ、克哉…」
「……はい」
御堂の呼び方が、「佐伯君」から「克哉」に変わっている事だけでも顔が赤く
染まりそうだった。
そうして…まともに相手の顔を見れないまま、車は発進していく。
―本当にもう一人の自分への想いを貫くなら、自分は御堂の手を振り切って
逃げなければならなかった
それが判っているのに、あいつに会えなくて寂しいという心は叫びを上げていて
そんな克哉の理性をも粉微塵にしていった。
まともに、言葉など…雑談など出来そうもなかった。
終始無言のまま、二人は真っ直ぐに前だけを向いて目的地に向かっていく。
―しかし彼らは気づいていなかった。彼らが発進した直後…尾行をしていた
ある人物を乗せたタクシーもまた動き始めていた。
夕暮れが終焉を迎えて、夜の帳がしっかりと降り始めていく中で…各人の
思いは克哉を中心に、激しい交差を繰り広げていく。
彼らを追いかける車に乗っていたその人物は…非常に思いつめた表情を
浮かべていきながら、暴れたくなる衝動を抑えて…御堂と克哉を乗せた車の
行き先を追いかけ続けたのだった―
※2月9日分の更新はどちらの連載ものの続きでは
ございません。
2月8日に開いた誕生会のレポのみとなります。
香坂の作品読みたいよ!&レポなんて興味ないよ~という
人はそっと立ち去って下さいませ~。
興味がある方のみ、「つづきはこちら」…をクリックして
詳細をどぞ。
E坂さん、K有さんが御克ケーキのレポを楽しみにしている
と言ったから、頑張って書いたお~!
今回のみ、参加者の方は伏字なしで書いております。
…許してねv(可愛い子ぶって誤魔化してみる)
ございません。
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今回のみ、参加者の方は伏字なしで書いております。
…許してねv(可愛い子ぶって誤魔化してみる)
今日は、いつもお世話になっている「眼鏡依存症」の如月さんに
捧げる話を投下します!
…ここ3~4日、回線トラブルは起こりまくるわ、仕事で新しい
事を沢山覚えなきゃいけなくなって頭がパンク状態なので…
小説書くのスランプです。すみません~(TT)
けど、本気で如月さんにはお世話になっているし…二日遅れでも
やっぱり一本、何か贈りたいと思ったので書きます。
…これからパーティーで家を出て行くまで一時間切った、という時点で
創作の神が降りてくるっていうのも皮肉やけど。
思いついた以上、書きたいので投下します!
本日は御克です! …最近、何が出てくるか判らないブログに
なっていて本気ですみませぬ!
けど如月さん、誕生日おめでとう!
※このお話は、如月さんのブログに掲載されているイラストの
一枚から、勝手に香坂がイメージを膨らませて書いた作品です。
香坂の独断で書かれたものなので、ご了承下さい。
『貴方に繋がれて』
プロトファイバーの営業期間が終了しても、御堂と克哉の関係は
ずっと続いたままだった。
御堂と会う度に、感じる奇妙な想い。
克哉はその気持ちに名前を敢えて、名をつけずに目を逸らしていた。
そしていつもの週末、克哉は…指定された御堂のマンションへと
足を向けていく。
緊張と、期待に満ち溢れながら…廊下を歩き、御堂の部屋の前で
少し立ち尽くしていった。
(今日も御堂さんに…オレは、抱かれるんだな…)
御堂に半ば脅迫されて肉体関係を持つようになった日から
すでに五ヶ月が経過しようとしていた。
季節はすでに二月、肌寒い時期を迎えていた。
第八課のプロトファイバーの営業は、ドリンク業界の今までの
最高記録を塗り替える程の成果を出していた。
御堂が最初にこちらを揺さぶる手段として用いた…「売り上げ目標値の
繰上げ」の数字すら、とっくにクリアしていて…今となってはこうやって
御堂と身体を繋げることに意味などなくなっている。
―それでも何故、自分達はこんな関係を続けているのだろうか…?
そんな自問をしながら、克哉はインターフォンを押していった。
すでに約束の時間間際だったので、殆ど待たずにその扉は
開かれていった。
「君か…やっと来たようだな。待ちかねたぞ…」
「…はい。お待たせしました…御堂さん」
クスクスと笑いながら、御堂はそっと克哉を招きいれていく。
愉快そうに笑う相手の顔を見て、克哉は少し不安に襲われていく。
それでも敢えて意識せずに…むしろ約束の時間よりも少し早く
訪れたにも関わらず、克哉は一言謝って…室内へと入っていった。
御堂は面白がるように克哉の腕を掴んでいくと、そのまま…腕を
引いて寝室へと連れ込んでいった。
「来い…」
「…はい」
頬を軽く染めながら、克哉は頷いて相手のされるがままになった。
年を空けた頃からだろうか。
克哉と御堂の関係は、接待を繰り返していた頃よりも…少しだけ
変化していった。
何か劇的な事件が起こった訳ではない。しかしその辺りから
御堂はホテルの部屋ではなく、克哉を自分の部屋へと呼ぶように
なっていた。
御堂自身の弁では、「どこから自分達の関係が発覚するか判らないから」
という事だったが、真意は判らないままだった。
性急に御堂のベッドルームに連れ込まれると、いきなり大きなベッドの
上へと押し倒されていった。
手馴れた感じで、あっという間に衣類を剥ぎ取られていく。
もう何回抱かれたかすでに判らないぐらいなのに…克哉の顔は
真っ赤に染まって、居たたまれなさそうに目を瞑っていく。
生娘のように、恥じらいを忘れない態度は却って男の欲望を
煽るだけだと無自覚なままで…。
「相変わらず君はいやらしいな…もう、こんなに胸の突起が
赤く熟れている…」
「あっ…っ…言わないで、下さい…」
そのまま、胸元に顔をうずめられていくと…其処だけを執拗に
攻められ続けた。
甘い疼きが、その度に走り抜けていく。
いつの間にか、克哉の身体も変わってしまった。
御堂に触れられた途端、どこも顕著に反応するようになって
しまっていたのだ。
ギュウっと目を強く瞑りながら、克哉は必死に与えられる感覚に
耐えていくと…ふいに金属音が聞こえた。
ジャラ…
鎖のようなものが擦れ合う音が聞こえて、怪訝そうな顔を
浮かべて目を開けていくと、そこには手錠を持って愉しそうに
微笑んでいる御堂の姿があった。
「っ…! それは…!?」
とっさに暴れようとした。しかし驚いていたので実際に身体が
反応するのは遅れてしまっていた。
その隙に御堂は克哉の片腕をそっと掴んで、ベッドの柵の部分と
繋げてしまっていた。
「御堂さんっ?」
「…たまにはこういう趣向も良いだろう? 君は淫らな性質をして
いるんだからな…」
「そんな、事は…うぅ…!」
御堂の指先が、そっと克哉の頬から首筋にかけてそっとなぞり
上げていく。
たったそれだけの刺激で確かに自分は過敏に反応してしまっていた。
「はっ…あっ…」
甘い声を漏らした瞬間、ふいに足を大きく広げられて…御堂が
自分の足の間に割り込んで来ていた。
熱っぽく、傲慢な双眸。その奥に確かな欲情の色を感じて…
知らず、克哉はゴクンと息を呑むようになった。
―その眼差しに逆らいきれず、支配されてしまう…
「克哉…抱くぞ」
そう一言、熱っぽく言い放って強引にペニスを挿入されていった。
御堂の体重を全身に感じて、その熱さと重量に眩暈すら感じる。
すでに把握されてしまった感じる部位を執拗に擦られながら…相手と
自分の身体の間に挟まれてしまっている性器を扱かれていく。
たったそれだけで…すでに欲望に火を点けられてしまっている事を
自覚せざるを得なかった。
グチッ…ネチャ…
相手の手が絡まり、亀頭の部分から早くも粘性の水音が
響き渡っている。
御堂の整った指先に、自分の体液が絡まっていく様が妙に
卑猥だった。
そうしている間に、真っ直ぐに相手の目線が…こちらの痴態に
注がれていることに気づいて、克哉は羞恥で神経が焼ききれそうになる。
(また…貴方の、その目だ…。御堂さん、貴方は一体…オレに
何を伝えたいのですか…? その熱い目で見られていると…
落ち着かなく、なってしまうんです…!)
最近、御堂は何かを訴えるようにしながら…正面から向き合う
ようになって身体を繋げるようになった。
その度に、メチャクチャに克哉は感じて…乱され続けていく。
彼の自宅で抱かれるようになってから、行為は執拗さと嗜虐性を
増していき…今日の手錠のように、何かSM道具や性具を用いて
辱められることは当たり前のようになっていた。
御堂が激しく、こちらを突き上げる度に…手錠が繋がっている箇所から
皮膚が擦れて、痛みを覚えていった。
それでも…逃れたくても、こうして手錠だけではなく、身体も繋がれて
しまっては克哉としては逃げようがない。
「あっ…はあぁ…! ううっ…んっ…!」
ただ甘い声を漏らして、喘ぐのみだった。
その声に気を好くしたのか…御堂は激しく克哉の唇をも深く
塞ぎながら、激しく突き上げ続けていった。
「…相変わらず、君の中は厭らしくて気持ち良いぞ…この、淫乱…」
「ふっ…言わないで、下さ、…! ああっ!」
そうして、御堂に繋がれながら克哉は翻弄され…今夜もまた
彼の腕の下で啼き続けるだけの存在になっていく。
お互いに胸に抱く想いはあるのに、それを口に出せない。
伝え合わないから、『接待』という名目でしか彼らは逢瀬を重ねる
ことができない。
不器用な人間同士の、切ない関わり。
ほんの少し、態度と言葉に出せばハッピーエンドに結びつけるぐらいに
お互いを想い執着しあっているのに…彼らはまだ、そんな形でしか
顔を合わせる理由を見出せずにいた。
―この胸に宿る感情は、一体何なんですか…? 教えて下さい…
御堂、さん…!
激しく突き上げられながら、今夜もまた心の中でその疑問を浮かべて
声を出さずに問いかけていく。
克哉が自らの思いに気づいて、リアクションを起こせばきっと別の
形へと彼らの関係は変わっていく。
しかし時期を逸してしまった彼らは、『今』は不毛な関係を続けていた。
『あぁー!』
そうして、克哉は今夜も御堂の腕の中で乱れていく。
…彼が自らの想いに気づくのは、きっとこの冬が明ける頃だろうか。
克哉が答えに至るまで、この形で関係は続く。
―『恋人』という間柄になる、その日まで―
捧げる話を投下します!
…ここ3~4日、回線トラブルは起こりまくるわ、仕事で新しい
事を沢山覚えなきゃいけなくなって頭がパンク状態なので…
小説書くのスランプです。すみません~(TT)
けど、本気で如月さんにはお世話になっているし…二日遅れでも
やっぱり一本、何か贈りたいと思ったので書きます。
…これからパーティーで家を出て行くまで一時間切った、という時点で
創作の神が降りてくるっていうのも皮肉やけど。
思いついた以上、書きたいので投下します!
本日は御克です! …最近、何が出てくるか判らないブログに
なっていて本気ですみませぬ!
けど如月さん、誕生日おめでとう!
※このお話は、如月さんのブログに掲載されているイラストの
一枚から、勝手に香坂がイメージを膨らませて書いた作品です。
香坂の独断で書かれたものなので、ご了承下さい。
『貴方に繋がれて』
プロトファイバーの営業期間が終了しても、御堂と克哉の関係は
ずっと続いたままだった。
御堂と会う度に、感じる奇妙な想い。
克哉はその気持ちに名前を敢えて、名をつけずに目を逸らしていた。
そしていつもの週末、克哉は…指定された御堂のマンションへと
足を向けていく。
緊張と、期待に満ち溢れながら…廊下を歩き、御堂の部屋の前で
少し立ち尽くしていった。
(今日も御堂さんに…オレは、抱かれるんだな…)
御堂に半ば脅迫されて肉体関係を持つようになった日から
すでに五ヶ月が経過しようとしていた。
季節はすでに二月、肌寒い時期を迎えていた。
第八課のプロトファイバーの営業は、ドリンク業界の今までの
最高記録を塗り替える程の成果を出していた。
御堂が最初にこちらを揺さぶる手段として用いた…「売り上げ目標値の
繰上げ」の数字すら、とっくにクリアしていて…今となってはこうやって
御堂と身体を繋げることに意味などなくなっている。
―それでも何故、自分達はこんな関係を続けているのだろうか…?
そんな自問をしながら、克哉はインターフォンを押していった。
すでに約束の時間間際だったので、殆ど待たずにその扉は
開かれていった。
「君か…やっと来たようだな。待ちかねたぞ…」
「…はい。お待たせしました…御堂さん」
クスクスと笑いながら、御堂はそっと克哉を招きいれていく。
愉快そうに笑う相手の顔を見て、克哉は少し不安に襲われていく。
それでも敢えて意識せずに…むしろ約束の時間よりも少し早く
訪れたにも関わらず、克哉は一言謝って…室内へと入っていった。
御堂は面白がるように克哉の腕を掴んでいくと、そのまま…腕を
引いて寝室へと連れ込んでいった。
「来い…」
「…はい」
頬を軽く染めながら、克哉は頷いて相手のされるがままになった。
年を空けた頃からだろうか。
克哉と御堂の関係は、接待を繰り返していた頃よりも…少しだけ
変化していった。
何か劇的な事件が起こった訳ではない。しかしその辺りから
御堂はホテルの部屋ではなく、克哉を自分の部屋へと呼ぶように
なっていた。
御堂自身の弁では、「どこから自分達の関係が発覚するか判らないから」
という事だったが、真意は判らないままだった。
性急に御堂のベッドルームに連れ込まれると、いきなり大きなベッドの
上へと押し倒されていった。
手馴れた感じで、あっという間に衣類を剥ぎ取られていく。
もう何回抱かれたかすでに判らないぐらいなのに…克哉の顔は
真っ赤に染まって、居たたまれなさそうに目を瞑っていく。
生娘のように、恥じらいを忘れない態度は却って男の欲望を
煽るだけだと無自覚なままで…。
「相変わらず君はいやらしいな…もう、こんなに胸の突起が
赤く熟れている…」
「あっ…っ…言わないで、下さい…」
そのまま、胸元に顔をうずめられていくと…其処だけを執拗に
攻められ続けた。
甘い疼きが、その度に走り抜けていく。
いつの間にか、克哉の身体も変わってしまった。
御堂に触れられた途端、どこも顕著に反応するようになって
しまっていたのだ。
ギュウっと目を強く瞑りながら、克哉は必死に与えられる感覚に
耐えていくと…ふいに金属音が聞こえた。
ジャラ…
鎖のようなものが擦れ合う音が聞こえて、怪訝そうな顔を
浮かべて目を開けていくと、そこには手錠を持って愉しそうに
微笑んでいる御堂の姿があった。
「っ…! それは…!?」
とっさに暴れようとした。しかし驚いていたので実際に身体が
反応するのは遅れてしまっていた。
その隙に御堂は克哉の片腕をそっと掴んで、ベッドの柵の部分と
繋げてしまっていた。
「御堂さんっ?」
「…たまにはこういう趣向も良いだろう? 君は淫らな性質をして
いるんだからな…」
「そんな、事は…うぅ…!」
御堂の指先が、そっと克哉の頬から首筋にかけてそっとなぞり
上げていく。
たったそれだけの刺激で確かに自分は過敏に反応してしまっていた。
「はっ…あっ…」
甘い声を漏らした瞬間、ふいに足を大きく広げられて…御堂が
自分の足の間に割り込んで来ていた。
熱っぽく、傲慢な双眸。その奥に確かな欲情の色を感じて…
知らず、克哉はゴクンと息を呑むようになった。
―その眼差しに逆らいきれず、支配されてしまう…
「克哉…抱くぞ」
そう一言、熱っぽく言い放って強引にペニスを挿入されていった。
御堂の体重を全身に感じて、その熱さと重量に眩暈すら感じる。
すでに把握されてしまった感じる部位を執拗に擦られながら…相手と
自分の身体の間に挟まれてしまっている性器を扱かれていく。
たったそれだけで…すでに欲望に火を点けられてしまっている事を
自覚せざるを得なかった。
グチッ…ネチャ…
相手の手が絡まり、亀頭の部分から早くも粘性の水音が
響き渡っている。
御堂の整った指先に、自分の体液が絡まっていく様が妙に
卑猥だった。
そうしている間に、真っ直ぐに相手の目線が…こちらの痴態に
注がれていることに気づいて、克哉は羞恥で神経が焼ききれそうになる。
(また…貴方の、その目だ…。御堂さん、貴方は一体…オレに
何を伝えたいのですか…? その熱い目で見られていると…
落ち着かなく、なってしまうんです…!)
最近、御堂は何かを訴えるようにしながら…正面から向き合う
ようになって身体を繋げるようになった。
その度に、メチャクチャに克哉は感じて…乱され続けていく。
彼の自宅で抱かれるようになってから、行為は執拗さと嗜虐性を
増していき…今日の手錠のように、何かSM道具や性具を用いて
辱められることは当たり前のようになっていた。
御堂が激しく、こちらを突き上げる度に…手錠が繋がっている箇所から
皮膚が擦れて、痛みを覚えていった。
それでも…逃れたくても、こうして手錠だけではなく、身体も繋がれて
しまっては克哉としては逃げようがない。
「あっ…はあぁ…! ううっ…んっ…!」
ただ甘い声を漏らして、喘ぐのみだった。
その声に気を好くしたのか…御堂は激しく克哉の唇をも深く
塞ぎながら、激しく突き上げ続けていった。
「…相変わらず、君の中は厭らしくて気持ち良いぞ…この、淫乱…」
「ふっ…言わないで、下さ、…! ああっ!」
そうして、御堂に繋がれながら克哉は翻弄され…今夜もまた
彼の腕の下で啼き続けるだけの存在になっていく。
お互いに胸に抱く想いはあるのに、それを口に出せない。
伝え合わないから、『接待』という名目でしか彼らは逢瀬を重ねる
ことができない。
不器用な人間同士の、切ない関わり。
ほんの少し、態度と言葉に出せばハッピーエンドに結びつけるぐらいに
お互いを想い執着しあっているのに…彼らはまだ、そんな形でしか
顔を合わせる理由を見出せずにいた。
―この胸に宿る感情は、一体何なんですか…? 教えて下さい…
御堂、さん…!
激しく突き上げられながら、今夜もまた心の中でその疑問を浮かべて
声を出さずに問いかけていく。
克哉が自らの思いに気づいて、リアクションを起こせばきっと別の
形へと彼らの関係は変わっていく。
しかし時期を逸してしまった彼らは、『今』は不毛な関係を続けていた。
『あぁー!』
そうして、克哉は今夜も御堂の腕の中で乱れていく。
…彼が自らの想いに気づくのは、きっとこの冬が明ける頃だろうか。
克哉が答えに至るまで、この形で関係は続く。
―『恋人』という間柄になる、その日まで―
取り急ぎ、通販状況について。
2月5日に振り込まれた方については…2月8日、本日に
荷物を発送します。
これで当面、現時点で振込みをすでに終了された方については
全員、荷物を発送した事になります。(こちらに勘違いとかなければ)
現時点で入金されておらず、連絡もない方は2月10日前後で
キャンセルとして扱います。
現在の通販状況は以上です。
2月6、7日と出勤だったのでゆうちょの方は記帳して確認出来ず
若干対応が遅れてすみませんでした。
本日、発送致します。ではでは!
2月5日に振り込まれた方については…2月8日、本日に
荷物を発送します。
これで当面、現時点で振込みをすでに終了された方については
全員、荷物を発送した事になります。(こちらに勘違いとかなければ)
現時点で入金されておらず、連絡もない方は2月10日前後で
キャンセルとして扱います。
現在の通販状況は以上です。
2月6、7日と出勤だったのでゆうちょの方は記帳して確認出来ず
若干対応が遅れてすみませんでした。
本日、発送致します。ではでは!
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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