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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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4月24日からの新連載です。
 無印の眼鏡×御堂ルートのED.NO「因果応報」を前提にした話です。
 シリアスで、ちょっとサスペンス風味の強い話です。
 眼鏡×御堂ルート前提ですが、眼鏡なしの克哉も色々と出張ります。
 それでも良い、という方だけ付き合ってやって下さいませ。
 
 咎人の夢(眼鏡×御堂×克哉)                           10
                                                        11  12  13  14

 ―自分は果たして、何をやっているのだろうかと思った。

 疑問ばかりが浮かんだ昨日と違い、本日は驚くぐらいにいつもと
変わらない一日が過ぎていった。
 当然、昨日の午後に起こった地震の余波のようなものは多少はあった。
 一部、電話線やライフライン等が老朽化していた地域などでは
多少の混乱等はあったみたいだが…昨日の午前中に起こった出来事の
不可解さを思えば…御堂にとっては微々たるものだった。
 そして己のやるべき業務を終えて、御堂はMGNからそう遠くない位置にある
例の公園の入口に立っていた。
 ここが…今朝、送信されたメールの主が指定してきた場所だった。

「確か…この公園の中央のベンチの前、だったな。…どうして、こんな
場所を指定してきたのか…理解に苦しむが…」

 御堂は待ち合わせの場所に立った時点で、不吉な想いを抱いていた。
 この風景には見覚えがあった。
 …二日前に見た悪夢で、自分が佐伯克哉を刺した場所に近かった。
 そう…少し離れた処に樹木が生い茂った場所があって、その裏手に確か
自分は隠れていて…。

「…何を、考えているんだ…。あれは単なる夢の…筈、だろう…」

 其処まで思い出した時点で、必死になって頭を振って否定していく。
 この二日間、どれぐらい…そんな行為を繰り返してきたのだろうか。
 夢だと思い込みたい自分と、薄々と現実ではないかと恐れている自分と…
異なる意見を持つ自分が、ずっとせめぎ合っているような感じだった。
 公園に灯る街灯は、煌々としていて…すでにとっぷりと日が暮れて
薄暗くなっている敷地内を眩いぐらいに照らし出していく。
 
―何故、この場所をわざわざ相手が指定してきたのかが気になった

 まるで自分が見た夢の内容を見透かされているようだ…と感じた瞬間、
闇の中から何かが浮かび上がってくる。

「っ…!」

 とっさに身構えていく。
 だが相手はこちらのそんな反応などお構いなしに…いきなり現われては、
あっという間に距離を詰めていった。

「こんばんは~」

「…はっ?」

 そして極めて能天気な声で、笑顔で挨拶されていって…御堂は
呆気に取られていった。
 その時になって、突然現れた人物に何となく見覚えがあるような気がしたが…
具体的に思い出せなくて、御堂は難しい顔を浮かべていく。

(…この男、以前にも会った事があったか…?)

 何故、この二日間…こんなにも記憶の欠落とか、何かが思い出せなくなっていることが
多くなってしまっているのだろうか。
 しかし…こんなに妖しい雰囲気を纏いつつ、能天気そうに声を掛けてくる人間など
絶対に顔を合わせていたら忘れられそうにないと思うのだが…。

(一体いつ、私はこの男と会ったんだ…?)

 空白を埋めたくて、こんな得体の知れない男からの誘いに勇気を出して
乗ってみたというのに…また一つ、自分の中から何かが欠けている現実に
気づかされて、御堂のモヤモヤは一層深くなっていく。

「私からの誘いに…乗って頂いてありがとうございます。御堂孝典様。
まさか…こんなにすんなりと来て頂けるとは思っていなかっただけに…
実に嬉しく思いますよ…」

「あぁ、宜しく…」

 相手は満面の笑みを浮かべていたが、御堂はこの時点でどうしてこんな男からの
メールに乗ってしまったのだろうかと早くも後悔し始めていた。
 本当に、氏素性の判らぬ相手からの突然のメールにこうして応えるなど…
慎重な自分らしからぬ行動であった。
 けれど…この男の誘いの文章の中に「佐伯克哉さんに関して、知りたいことが
ありましたら…」と記されていた。
 その一文が、どうしても無視し切れずに…結局、訝しみながらも御堂は
ここまで来てしまったのだ。

「さあ…それなら、早速向かいましょうか。私について来て下さいませ…」

「えっ…?」

 しかも相手は挨拶をすると同時に、早くも踵を返して歩き始めていく。
 唐突な事態に、御堂はついていけなくなった。
 まだロクに言葉も交わしていなければ、何の情報の交換もしていない。
 その状態でいきなり「ついて来い」と言われようとも…こちらはどう対応
して良いのか判り兼ねた。

「待て! いきなりメールを送って…ついて来いなど言われても、素直に
はいそうですか…などと出来る訳がないだろう!」

 そして御堂は耐え切れずにそう訴えていくと、憎たらしいぐらいに胡散臭くて
爽やかな笑顔を浮かべながら男は言い切っていった。

「判りました。その場合は交渉は決裂という事で。このまま私は立ち去らせて
頂きますね~」

「待て! そんなのでお前は本当に良いのか!」

 あまりにもあっさりと言い切られてスタスタと早足で男はその場から
立ち去ろうとしたので…御堂は慌てて相手を引きとめてしまった。
 しかしそれこそ、こちらの性格を把握した上での相手の戦略であったことなど
この時点の御堂には知る由もない。
 相手の袖を掴んで、引きとめてしまった途端に…男は我が意を得たり…と
言った感じで愉しそうに微笑んでいった。

(しまった…!もしかして、罠だったのか…?)

 その顔を見て瞬間的に御堂は身構えていくが…すでに相手の術中というか
ペースにすっかりハメられてしまっていた。

「…あのメールに書いた通りですよ。貴方が…佐伯克哉さんに強い興味を
抱いているというのなら…これから、私に付き合って下さいませ。其処で…
最高のショウを貴方にお見せいたしましょう…」

「それを見ることに、何の意味があるんだ…?」

「…貴方が知りたいことの断片を、其処で確実に得られるでしょう。私から
言えることはそれだけです…」

 そして男はどこまでも妖しく嗤(わら)う。
 背筋が凍りつくような…そんな笑みだった。

「…判った。一応付き合おう。だが…くだらないものだったり、虚言だったと
判断した時は…立ち去らせて貰う。それで構わないな」

「えぇ、それで構いませんよ。それでは…案内いたします」

 そうして男は、金色の長い髪をなびかせていきながら…御堂を
ゆっくりと自分のテリトリーへと案内していく。
 彼はこの時、幾重にも張り巡らされた運命へと…知らぬ間にこの男に
誘導されていたその事実を、今は知る由もないまま…黙ってその後を
静かについていったのだった―




 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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