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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※このレポは本当は30日中にアップする予定でしたが、
夜に激しい頭痛に襲われてしまった為に遅れました。
 ご了承下さいませ(ペコリ)

 こんにちは、グッコミお疲れ様でした。
 こっそりと無料配布だけ置かせて貰う形で参加させて
貰った香坂です。
  本日のイベントはまったりと過ごせて、アフター後は
Hよさんとそのご友人たちとご一緒させて頂いて楽しかったです。
 今回は軽いイベントレポの内容を公開させて頂きます。
 請求頂いた方にコソっと近日中に、本をメール便で送らせて頂きます。
今 後、少数しか請求されなかったので…送料取らないことにしました。
 欲しいといって貰えただけ満足なので、振込み代入りません。
 香坂側が負担する形にします。
 折り返し、メールでもその旨を伝えさせて頂きます。
 良ければ見てやって下さいませ。

 今回は無料配布を置かせて貰うためだけに参加させて貰って
自分の目的っていうのは特になかったのですが、交互に
Hよさんと、ご友人の方と一緒に服飾の方とか…それぞれ二人が
好きなジャンルの方を一緒に回らせて貰って、結構新鮮な
体験をさせてもらいました。

 特に服飾は、回っている最中に…「あ! これは絶対にHよさんに
ぴったりだな!」とか…「ご友人の方に贈ったら喜んで貰えそうだ!」
という物を見つけた時、嬉しかったですし。
 …香坂、小物系や服飾見る時…「自分が気に入るか、使う」視点じゃなく
喜んでくれそうな相手を考えながら見る傾向にあると改めて気づきました。
 長い付き合いの友人相手にミニSD用のドレス…それなりの値段やったけど
これで喜んでくれれば良いかな、と一着ドレス買っちゃったし。
 服飾で自分用に買ったの、あれ…? カメさんの小物と、ロトの勇者のコスプレした
ピ〇チューのポストカードとひよこぐらい…?
 何か自分で石を磨いてアクセサリー作っている店が一軒、香坂も一度…
自分で石を磨いて宝石作ってみたい! って興味あったのでお店の方と話させて
貰いまして…もうちょいお金に余裕あれば一つ買わせて頂きたかったけれど
今回は泣く泣く断念…。次回、機会あったら絶対買うんだから!
 
 という訳で普段と違う畑にご一緒させて頂いた事で、あぁ…普通の女の子って
だからショッピングを楽しむんだな~と開眼しました。
 …いや、香坂…どれだけ女子属性なかったんだよ、と自分でツッコミたい(汗)

 後、今日…イベント顔出して、一つ吹っ切ったことがあった。
 詳細は語りません。
 けど、少し休んで気力も戻ってきたし…過ぎたことにいつまでも
囚われていても仕方ないと思った。
 ボチボチ、気持ち切り替えていきます。
 仕事も始まるし、八月いっぱいを持って充電期間終了という事で。
 もうちょい、本腰入れて鬼畜眼鏡の方も書いていきますので
宜しくです。
 簡単ですが、イベントレポでした。
 ここまで読んで下さった方、ありがとうございました(ペコリ)
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 こんにちは、香坂です。
 …今週は、つか今月はマジでブログの更新が少なく
なっていてすみません(汗)
 鬼畜眼鏡以外のものを沢山書いていたので、こっちまで
書く気力が回っていませんでした。
 あ、でも今…明日のグッコミ用の原稿の見直しとか
製本作業やっています!
 明日、絶対に机の上に並べてお待ちしていますので
顔を出される予定の方は良かったら手に取ってやって
下さいませ!

 …今回の修羅場、十日ぐらい前からプリンターが
壊れて、自力で直そうと足掻いていたんですが…直らず。
 漫画喫茶か何かで打ち出して、コンビニコピーしか
もうないかしら…と諦めていたんですが、昨日駄目元で
父に声を掛けてちょっと見て貰ったら…直りました。
 …香坂の父、浄水器の取り付け&メンテナンスをやっている
人なんですけど、他の機械とかも場合によっては修理とか
出来る場合があるんですよ。
 プリンターの修理は微妙かな~と思っていたんですが…
今回の故障原因はインク漏れで、印刷が汚くなっている程度の
エラーだったので父でも対応出来た模様。
 いや、本気で助かった。…今回、首の皮一枚で繋がったという
感じでございます…ありがたや~!
 
 後、今朝の段階でもっと面白い展開が思いついたので
無料配布の本、途中から差し替えというか打ち直しやって
おります。おかげでギリギリ状態です。
 けど、とりあえず今晩中には仕上げて明日持っていきますので
良ければ明日、笑顔で会いましょう…!
 それではそろそろ失礼します! グッコミ終わったら本腰入れて
サイトの方も再開するのでもうちょいお待ち下さい! 
 ではでは!
  気づいたら、イベントまで後数日しかないので
本日はちょっとした告知です。
 えっと…「恋鎖」のHよさんの好意で、8月30日の
グッコミで香坂、こそっと本を置かせて頂きます。
 6月28日に発行した「胡蝶の夢」と当日新刊の克克の
無料配布の二種類を置かせて頂きます。
 スペースの方は…。

 東2ホールチ46a

  になりますので宜しくです!
 あくまで人様の処での委託参加なので、こっそりと
させて頂きます。
 …しかし、今年に入って一月、三月、五月、六月、そして
夏コミと別ジャンルの含めてイベント参加して本を出しているんですが…。

 自分でスペース取っているのが6月28日のノマ受けしかない!

 という事実に最近気づいて、お前…自分でスペース取れよ! とか
確実に突っ込まれそうです。
 いや、五月はごにょごにょな事情だったし、夏コミは申し込んだんだけど
落ちたんだもん! と目一杯言い訳してみますが。

 んっと…今年は後、九月にももしかしたら別ジャンルの友人の
援護射撃で一冊、何か出すかも知れなくて。
 後、10月のGO!GO!HEAVEN5と、11月のスパーク4と
冬コミに申し込みました。
 …あれ、何だかんだ言いつつ今年…トータルで10回以上イベント
参加することになっていないか? って感じですが…まあ、無理の
ない範囲でやっていきます(汗)
 
 今年は年明けから働いている処がヤバい事になったり、無職期間が
4ヶ月ぐらいあったりと…節約しなきゃいけなかったから今年は
無料配布がメインになっていますが…見栄を張って人に借金して
迷惑掛けるよりは身の丈にあった範囲で活動使用って考えなだけです。
 10月では、一冊ぐらいオフか…少しP数が厚いコピー本ぐらいは
キチっと用意したいです…フフフ。

 とりあえず9月と12月締め切りの原稿もボチボチ書いているし…
まあ都合によってはどっちか一本だけになるかもだけど、オリジナルの
方も地道に進めています。
 サイトの方は更新、以前に比べて落ちていますけど…けど、一つだけ
言わせて貰うけど…失業してからのこの四ヶ月、毎日キーボードに
最低三時間は触れて、何かしら打ち込んで来ました。
 それだけは胸を張って言えます。

 ・・・逆言えば、サイト更新以外のものを大量に打ち込んでいる日々を
送っていたから、ちょっと書くことに食傷気味になっていると
言えるんだけど…(汗)
 まあ、おかげで打ち込むスピードはまた速くなってきたので自分の武器は
見事に強化出来ました。
 とりあえず九月一日から出勤するし、バス→電車→バスの三本の
交通機関を使って通勤することになるのでPOMERAも目一杯
活躍することになりそうです。

 とりあえずグッコミ、参加したり一般で来られる方はよければ
お立ち寄り下さい。
 後、無料配布本に興味ある方は…送料だけ頂ければそちらの
手元に送らせて頂きますので(無料配布だから本自体はタダです)
メールフォームより気軽に問い合わせ下さい。
 イベント終了後に、メール便にて手元に送らせて頂きます。
 それでは本日はこれにて失礼します。

 後、Hよさんに私信。
 ボーカロイドの曲、僕も最近興味持ったよ~!
 カンタレラ、千年の独奏歌、WEBデザインぐらいならどうにか
歌えるようになった…かも?
 次にカラオケ行くことになった時用にレパートリーを増やして
おくので宜しくっす! 貴方のサンホラ楽しみにしているわよ~!
  
※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や 
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。

 桜の回想 
                

―心の世界で、もう一人の自分と対面した時…最後に見た
彼の切ない表情が克哉の心に焼き付いていった

「泣かないで…『俺』…」

 夢から醒める直前、克哉は無意識の内にそう呟いていく。
 どうしてあんなに悲しそうな、辛そうにしているのか理由を知りたかった。
 中学生より以前の事が殆ど思い出せなくても、今まで克哉は生きていくのに
まったく支障などなかった。
 だから思い出せなくても特に困らなかったし…その必要性も感じなかった。

(…けど、どうしてお前は…あんなに辛そうな顔を、しているんだ…?)

 桜が舞い散る中で見た、もう一人の自分の姿が…克哉の中に潜む
何かを引きずり出していく。
 だが思考をめぐらせ始めた途端に、御堂に肩を大きく揺さぶられて顔を
覗き込まれていく。
 恋人の端正な顔立ちがグイっと迫って来て、克哉は一瞬…心臓が止まりそうに
なってしまった。
 

「克哉…大丈夫か? ずっとうなされていたみたいだが…」

 心配そうな顔をして御堂が覗き込んでくる。
 夢の世界と、現実の境目があいまいになって…今、自分がどこにいるのか
判らなくなってくる。

「御堂、さん…?」

「…起きたか、克哉…?」

「えぇ…大丈夫です…」

 と答えたにも関わらず、御堂はこちらの身体をきつく抱きしめ続けていた。
 そういえばさっき、あの男性の事を思い出す糸口を掴むために…連想を
してみろと促された筈だった。
 その直後に自分は意識を失い、夢の世界に意識を引き込まれていた訳だが
御堂からしたら…気が気じゃなかっただろう。

「…克哉、無理強いさせて…すまなかった。そんなに…君にとって…
あの男との間にあったのは辛い事だったんだろうな…」

「…いえ、違うんです。…その、やっぱりあの人の事に関しては…
オレは何も思い出せないんです…」

「…ここまでやっても何も思い出せないのか…? それじゃあ…まるで
記憶喪失みたいだな。現実にそんなことがそうあるとは思えないが…」

「記憶、喪失…?」

 その一言がヤケに心に引っ掛かった。
 …そう、中学校以前の記憶がない。
 それは突き詰めていけば…それ以前の記憶が、今の自分の中から
欠損しているという事で。
 忘れているというよりも、ここまでしても何も思い出せないというのならば
其れは…もしかしたら、記憶喪失と呼ばれるものなのかも知れなかった。

―そう、貴方という存在は…全てを忘れた上で成り立っている

 不意にMr.Rの声が脳裏に鮮明に響き渡っていく。
 其れに克哉は目を見開いてしまい…更に眼前にいる御堂は
言葉を失っていく。

「今、何て…?」

「…克哉?」

―貴方は、あの方の願いによって生み出されたペルソナ。
耐え難い苦痛と葛藤を忘れて…眠る為に、その間…あの方の
心を守る為に私が作り出した…仮初の心に過ぎません…

「っ…!嘘、だ…」

 あまりに衝撃的な言葉をぶつけられて、目の前にいる筈の
御堂の叫びが再び克哉には届かなくなった。
 仮初、という言葉が彼の胸に深く突き刺さっていく。

―貴方は、ペルソナ。あの方が眠っている間にその肉体を
守る為の番人に過ぎない筈でした。…そして、全てのキッカケと
なったのが…貴方が先程、出会った人なのですよ。
 …彼の事を思い出したいのならば、満開の桜が咲き誇る時期に…
私と去年、再会した公園に来て下さいませ。
 その時、貴方が生まれるキッカケとなった出来事を…
思い出す手助けをして差し上げましょう…

 Mr・Rの声はどこまでも甘く、ねっとりと頭の中に響き渡る。

「…本当に、それで…オレは思い出せるんですか…? 満開の
桜の咲いている、中央公園に行けば…良い、んですか…?」

―えぇ、貴方にその勇気があれば…私は貴方の重く閉ざされた
記憶の扉を開く手助けをさせて頂きましょう。
 貴方の人格が生まれたキッカケを、あの方が貴方に隠そうと必死に
なっていたその出来事を…教えて差し上げましょう…

「判り、ました…行きます…桜が、咲き誇る時期に…必ず…!」

 其れは、Mr.Rの声が聞こえていない御堂からすれば…克哉が
独り言をぶつぶつ言っているだけに過ぎない情景だった。
 けれどしっかりした意思を持って克哉が答えると同時に、謎の男は
穏やかに微笑んで…ゆっくりとその気配を消していく。
 そうしてようやく…愛しい人が心配そうにこちらを眺めている
その現実に気づいていった。

「…克哉? さっきから君はどうしたんだ…? 気を失ったり…
独り言を延々と呟いていたり。どう見ても…今の君は…おかしいぞ?」

 恋人関係になって一年以上が経過しているが、その間…
克哉がここまで奇妙な反応を繰り返しているのは…関係が
安定してから暫くなかったので、御堂は大きく狼狽していた。

「…御免なさい。孝典さんに…心配を掛けさせてしまいましたね…。
けど、大丈夫です。貴方が言ったように…どうやら、桜がキーワードに
なっているようですから…。来週か再来週ぐらいには桜が満開の頃を
迎えますから…その時期が来ればきっとあの人の事を思い出す
糸口を掴めると思いますから…」

 克哉はとっさに…夢の中で逢ったもう一人の自分のことや
鮮明に脳裏に響き渡ったMr.Rの事を話すべきかどうか
大きく迷った。
 だが…現実主義である御堂に話しても、きっと信じては
貰えないだろうと判断して…要点だけ、相手に伝えていく。
 御堂が目の前にいたというのに、意識が浚われ続けていた自分を
見て相手は果たしてどう思っていたのだろうか?
 そのことに猛烈に不安を感じつつも、本当の事をありのままに
話せないでいる自分に苛立っていった。

(…仕事上の事とかそういうことだったら孝典さんに幾らでも気兼ねせずに
話したり相談出来る。けど…『俺』の事や、Mr.Rの事はあまりに非現実
過ぎて、御堂さんに話しても信じてもらえるかどうか判らない…)

 その事にチクチクと後ろめたさを感じつつも、詳しく話すことが
出来ないでいた。
 きっとこれでは納得して貰えない。言及されることは必死だろうと
覚悟の上でそう克哉は言ったのだが…御堂は暫く考えた後、
思ってもみなかった発言を口にしていった。

「…満開の桜を見れば、思い出すというのか…。なら、それに
私も同行しよう…」

「えっ…?」

 怪訝そうな顔をして、信じて貰えない。
 その反応が絶対返ってくると予想していただけに…御堂のこの
一言は予想外だった。
 慌てて相手の顔を見ていくと、眉間にシワが寄っていて非常に
納得していないというか…苦虫を噛み潰したよな微妙な表情を
浮かべていた。

「…本当にそれで思い出せるのかどうか、信じがたい気持ちが
あるが…桜の事で連想させた途端にさっき意識を失ったことを
思えば…君の中に、桜が深く関わっていることは事実だろう。
 …また、失神をしたら大変だからな。…君を支えられるように
私も同行する。満開の頃に、どうにかスケジュールを調整して
出掛けることにしよう…」

「えっ…? えっ…?」

 御堂の口から、考えてもいなかった言葉ばかりが零れて
克哉は動揺を隠せなくなっていく。
 だが…深い溜息を吐きながら、御堂はそっと呟いていった。

「…私には、あの男の事で…今の君は凄く不安定になって
いるように思う。不可解な行動や言動が見えるが…迷っていたり
悩んでいる時の人間はそんなものだ。…君が弱っているなら
私は手助けしたい。…ただそれだけの事だ。他意はない」

「あっ…はい! ありがとうございます…孝典、さん…」

 御堂が、ぶっきらぼうに頬を染めながらそう告げてくるのを聞いて
克哉はびっくりしながらも…礼を告げていく。
 そう告げた瞬間…克哉は、痛いぐらいの力を込めて…
御堂の腕の中に抱き込まれていったのだった―

 
 
 
 

 こんにちは香坂です。
  唐突ですが、本日は私のオリジナル作品を投下させて
頂きます。
 あ、鬼畜眼鏡の連載もちゃんと続けますからその点は
心配しないで下さいませ!(ちゃんとこれは宣言しておく)
 この話は六月末に出版社に持ち込んでみた作品で
先日、編集者の人から感想が戻って来たのですよ。

 その言葉を要約すると、「設定や話の組み立て、見せ方や描写は
光る処あるけど現時点では書籍化出来るレベルではない。
けど練りこんだり、磨きを掛けていけばもっと良くなると思います」
 みたいな評価でした。

 んで、この感想を聞いて…もうちょいこの話を練りこもうと思い…
もう一度見直し&修正していく過程を踏みたいと考えて
 此処で公開するのを踏み切らせて頂きます。
 ボリューム的にはワード文書で60P前後の話ですが、後半部分を
特に加筆修正していく予定なので、もう少しページ数的には多くなって
いくと思います。全部で6~10回の間ぐらいの掲載量になると思います。
 
 12年前と幾つか設定等は変わっていますが基本的な話の筋書きは、
高校生の時に文芸部の部誌で掲載したものをベースにしてあります。
  主人公とヒロインが出会う序章なんですが…何というか、ちょっと
男女の役割が反対になっている倒錯的な部分があるお話です。
 この作品が、香坂にとっては…生まれて初めて人に「君の話を読んでみたい
から書いてみそ」と友人に言われた事をキッカケに執筆して、人に「面白い!」と
言って貰えた思い入れのある原点の話なので、掲載に踏み切らせて頂きます。

 鬼畜眼鏡以外の話は興味ないよ~という方はどうぞ
スルーしてやって下さいませ。
 けど、もし感想等や意見がありましたら拍手やメールフォーム等で
伝えて頂ければ励みになります。
 …最近、オリジナルをせっせと水面下で書いていたんですが…一人で
やっていると励みにならないというか、やっぱり作品は人に見てもらって
ナンボだと思い知りました…。

 今書いている投稿を意識した話は流石に掲載出来ないけれど、
(未発表のものじゃないといけない規定があるから)こちらはまあ…
香坂はオリジナルだと、こんなものを書くんだ、というのが判ると思います。
 良ければ付き合ってやって下さいませ(ペコリ)
※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や 
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。

 桜の回想 
              



 御堂に問いただされて、言われた通りに連想した途端に
克哉の意識はゆっくりと落ちていった。
 まるでブレーカーが落ちたかのように、唐突に身体と意識の
連結が解かれていく。
 克哉が覚えているのは、其処までだった。
 彼が目を開けると…其処には満開の桜が舞い散っていた。

「こ、こは…?」

 それは幻想の桜。
 克哉の記憶の中にある、一つの情景だった。
 だが…それを目の当たりにした瞬間…言いようのない不安が
胸の中に巣食い始めていった。

「…一体此処はどこなんだ…。御堂、さんは…?」

 さっきまで自分は、御堂のマンションで一緒に過ごしていた筈なのに
どうしてこんな処にいるのだろうか?
 そう疑問を感じて、満開の淡い花弁をつけている桜の木の大群の中を
彷徨い歩いていく。
 見る者の心を捕えるぐらいに美しい光景だった。
 なのに、妖しいぐらいに綺麗すぎて…却って克哉には怖かった。

―心配するな。此処は俺達の真相意識だ…。お前の肉体は変わらず
御堂の部屋の中にある…

「えっ…まさか、『俺』…なのか!」

 声がした方角を振り返っていくと、其処にはもう一人の自分が立っている。
 ダーク系の色合いのスーツに赤いネクタイ、自分が好んで身につける
組み合わせを身に纏いながら…桜が舞い散る中、静かに立っていた。

―この場所でこうしてお前と対話するのは、一体どれくらいぶりだろうな…。
いや、お前とこうして対峙して言葉を交わすこと自体が久しぶりか…。
相変わらずのマヌケ面だな、『オレ』…

「むっ…! 何だよ、その言い草! 久しぶりに顔を合わせたというのに
随分な言いようだな…!」

 相手はまったく変わっていない。
 その捻くれた言い回しなど、やはりこいつはこういう奴なのだと
実感していく。
  しかしこちらが不機嫌そうな表情を浮かべても相手はまったく
動揺した様子を見せない。
 むしろ愉快そうに、傲慢な顔を称えているだけだ。

―事実を口にして何が悪い。だが…わざわざこうしてお前を
呼んでやったんだ。無駄な時間を費やすつもりはない。
…お前に言いたい事はただ一つだ。二度と、澤村には関わるな。
それをお前に伝えたかった…

「澤村…? それ、一体誰だ…?」

 まったく聞き覚えのない人物の名前を出されて、困惑している。
 そう…結構長い時間、先程マンション前で待ち伏せしていた
人物と会話したけれど、その間に一回も相手の名前が出たことはなかった。
 だから克哉の中で、その苗字は何にも繋がらない。

―チッ、お前はあいつを忘れているのを前提の上に成り立っているんだったな。
仕方ない…説明してやろう。…お前がさっき、マンションの前に待ち伏せを
していたあの男だ…。あいつの苗字が澤村だ…

「…っ! お前は、あの人の名前を知っているのか…! なら、教えてくれ!
一体あの人は何なんだ…! お前と、どんな関わりがあったんだ?」

―余計な事をお前に話すつもりはない。俺が言いたいのはあの男には
二度と関わるな、その忠告だけだ。
 あの男は深入りすれば、絶対にお前に災いを齎すだけだ。
 そして俺は…澤村が視界に入るだけで不快だ。だから何を言われても
何も反応せず、相手にするな。良いな…

「ちょっと待てよ! 言いたいことを一方的に言って…こちらには何も
教えてくれないのかよ! 相変わらずお前…勝手な奴だよな!
 オレはまったくあの人のことを思い出せないんだ! お前の関係者だって
いうならせめて触りぐらいは教えておいてくれよ!」

 克哉は必死になって、目の前に立つもう一人の自分に向かって
訴えかけていく。
 だが、眼鏡はどこまでも冷たい眼差しを浮かべながら冷然と
言い放っていった。

―お前には関係ない

 まるで、克哉と自分は関わりのない存在だと断言するかのように
冷たく告げていく。
 その言葉に、紛れもなく先程の男は…もう一人の自分の方に関わりが
ある事を確信していく。
 だが、どれだけ睨んでも…相手は揺らぐ気配すら見せない。
 その瞬間、桜の花の芳香が…周囲に一層濃くなっていく。
 風に乗って辺りに舞い散る花弁の量が一気に増えて…もう一人の自分の
姿を遠いものへ変えていった。

「待てよ! 『俺』…! お願いだから、教えてくれよ! お前とあの人との
間に…一体何があったっていうんだよ!」

 もう一人の自分の輪郭が、姿が霧のようなものに紛れてゆっくりと
儚いものへと変わっていく。
 そんな相手を繫ぎとめるように必死になって手を伸ばしていったけれど
克哉の差し伸べた指先は…虚しく空を切るのみだった。
 
―さっきも言った。…お前には、関係ない 
 
 そして何もかもを切り捨てるように、眼鏡は口にしていく。
 その顔は何かを堪えているようで、苦しそうだった。

(どうして…お前はそんな顔を浮かべているんだよ…! どうして
オレに何も教えてくれないんだよ!)

 今までの克哉にとって、もう一人の自分は脅威であり…不安や
恐怖を与えるだけの存在だった。
 だが、彼の苦しそうな顔を見て…初めて、理解したいとか…少しでも
助けになりたいという気持ちが生まれ始めていく。
 
「ど、うして…何も、教えてくれないんだよ!」

 癇癪を起こした子供のように克哉は叫んで告げていくが…相手の
態度は変わらないままだった。
 縋るような目を向けて、それでも克哉が手を伸ばし続けるが…決して
相手に届くことはない。
 そうしている間に一時の夢は覚めていく。
 どれだけ相手を、この幻想を留めようと克哉が努力をしても
まるで水を掬ってもそのままならいずれ指先から零れ落ちてなくなって
しまうように…消え去っていくのみだった。

―お前は、知らなくて良い…その為に、俺は…お前を…

「えっ…」

 その時、克哉は初めて…もう一人の自分の泣きそうなぐらいに
切ない顔を目撃した。
 見た途端に胸が締め付けられて、こちらまで悲しくなって
しまいそうだった。

(一体、あの人とお前との間に…何があったっていうんだ…?)

 夢が醒める。
 けれどその中で、克哉は初めて…もう一人の自分のことを知りたいと
理解したいと思うようになった。

『克哉、しっかりしろ!』

 そしてその瞬間…ようやく、克哉に向かって声を掛け続けていた
御堂の必死な声が…彼の耳に届いたのだった―

 こんにちは香坂です。
 とりあえず本日、職の方…採用が決まりました!!
 失業保険も60日延長して…一先ず、入社日の前日まで
支給される形になりましたし、こちらとしては一安心です。
 というか、やっと働けるよ…うぉぉぉぉぉぉ!!(雄叫び)

 何ていうのか、この数ヶ月面接を何十箇所も受けては、落ち続けて
いたのでちょいと弱気になったり迷ったりを繰り返していたんですよ。
 けど先週夏コミで遠方の友人と会ったり人と話したりして奮起して
「今週中に決めるぐらいの勢いでやったる!」と今週は全力で面接に
当たっていたんですがやっと…拾ってくれる場所見つかりました。
 
 交通の便は極めて悪い箇所ですが、存分に働くことは出来そうな
職場なので…えぇ、十分ですとも。
 雇ってくれる場所がようやく見つかっただけ御の字ですよ、いや本当に…。
 九月一日に初出勤決まりました。

 …あ~やっと、失業保険に頼って生きる生活から脱却出来る。
 昨日…久しぶりにじいちゃんの墓参りをしてきたんですが、その
加護かも知れませんね。
 ありがたいことです、なむなむ~。
 とりあえず五月から長い夏休みというか、長期休みに近い感じに
なっていましたが…この期間で300~400冊は本を読み漁って過ごして
いましたし、充電期間としては十分かと。

 ブログの方もちょっと暫くの間…グダグダな運営になっていましたが…ボチボチ
気合入れてまた活動していきますので宜しく。
 たっぷり休んだので、英気はかなり養えましたしね(笑)

 現在、水面下で8月30日のグッコミの原稿を作成中です。
 …プリンターの調子が悪くて、ちょっと打ち出しが上手く出来ないんですが
ちょっと前倒しで作っております。
 この無料配布、夏コミに配布する予定だったのがこちらの都合で
間に合わなかったので…送料(メール便代80円)だけ貰う形で希望者の
手元に届けさせて頂こうかな~とかちょっと目論んでおります。

 本自体は無料配布なので、タダです。
 内容は克克で…チョコバナナを食べているバカでエロい話になります。
 行為そのものでなく、言葉攻めでエロな空気を出しているような雰囲気。
 興味ある方は、気軽に問い合わせ下さい。
 後、7月の通販を利用した方には無条件でURL送りつけるので
ご了承下さいませ(ニッコリ)
 
 今夜の分の連載はこれから書いて来ます。
 良し、やっと希望が見えて来て…気持ちが明るくなってきました。
 本当に良かったよ~!!

※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や 
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。

 桜の回想 
            

 ―見も知らぬ男性を振り切って、御堂は強引に克哉を自宅に
連れて行ったが…その瞳は、ガラス玉のようなままだった。
 とりあえずリビングのソファの上に座らせて…お互いにスーツの上着
だけは脱いでいったが…腰を掛けている克哉は四肢をダラリとさせていて
呆然としているようだった。
 ネクタイを解いていきながら、まるで人形のように生気を失った恋人を
眺めて御堂は困惑の表情を浮かべていく。

―ごめんなさい…

 必死になって、壊れたスピーカーのように相手への謝罪の言葉を
繰り返していた克哉の姿を見て痛ましいと思うと同時に、大きな
疑念が膨れ上がっていく。

(本当に君は…あの男を知らないのか?)

 あの男は、克哉と何かしらの因縁がありそうだった。
 言動と雰囲気からして、それを十分に察することは出来た。
 だが、克哉は知らないと…相手を思い出せないという言動を
繰り返して涙まで浮かべている。
 その様子はあまりに悲痛で、傍らで見ている御堂ですら
これ以上は見ていられないという心境に陥った。
 だから…あの男から引き離す意味で、強引に連れて返った訳だが
同時に…これで良かったのか? という思いも胸の中に生じていく。

「…克哉、聞こえているか?」

 出来るだけ穏やかな声を作って、克哉に声を掛けていく。
 だが、相手は殆ど反応を見せない。

「…今、君の傍にいるのは私だ。聞こえているのなら…何か返事を
してみせてくれ…」

「あっ…」

 真っ直ぐに強い視線で相手の瞳を覗き込み、頬を撫ぜながらそう
問いかけてやっと…僅かな反応が返ってくる。
 真摯な声で御堂が問いかけ、呼びかけていった。
 …そうしている間に、克哉の瞳に生気が戻っていく。
 先程までは夢幻を彷徨っていた眼差しが焦点が宿っていくのを見て
少しだけ御堂は安堵していった。

「…克哉、もう一度聞く。あの男は…誰だ…?」

「…御免なさい。孝典さんに…隠し事はしたくないのに、どうしても…
オレ、思い出せないんです…」

 まるで怯えた子供のように、弱々しく訴えかける。
 その度に胸の中に疑念と、憤りが生まれていく。
 あの男の正体を知りたいという猛烈な欲求と、こんな参っている風の
克哉に問い質してはダメだという両方の思いが胸の中に
宿って葛藤していく。

(…ここで強く出ても、きっと回答は出ないな…。それで判ると
いうのなら幾らでも強気に出れるのだが…)

 辛うじて、胸の中のモヤモヤを抑えて…克哉の身体をそっと
抱きしめていく。
 暫く優しく背中を撫ぜていくと、少し相手の緊張も解れていったようだ。
 最初は硬かった克哉の身体も…その動作を繰り返している内に
少しずつ柔らかくなっていく。

「…克哉。無理に思い出さなくて良い。だが…何か糸口ぐらいは
思い出せないだろうか…? あの男本人のことは思い出せなくても…
あの男を思い出すことで、連想出来る何かはないか…?」

「あの人を思い出して、連想する…事、ですか…?」

 そう、人間の記憶というのは案外繋がっている。
 関連する事柄や、イメージ…キーワードの類を思い出すことによって
普段は沈められていた記憶が浮かび上がってくるものだ。
 御堂はあの男の事を思い出せないなら、代わりに思い浮かぶものを
辿ってみるのも良いのではないか。
 そう判断して、提案を持ちかけていった。

「あぁ…そうだ。克哉…連想することを辿って、思い出していくというのは
案外有効な筈だ。人間の記憶というのは繋がっている。連想出来る
事柄を思い出すことで芋づる式に昔の事を思い出せるかも知れない…」

「…判りました、ちょっと連想してみます…」

 そうして、先程まで話していた男性を鮮明に脳裏に思い描いていく。
 克哉はその途端に奇妙な感覚を覚えていった。

(…何でだろう。まったく記憶に残っていない人の筈なのに…思い浮かべると
心の中に強く引っ掛かる…)

 あの男性の事を思い浮かべると、心の中が大きくざわめいて…
激しく警鐘が鳴り響いていく。
 思い出すな、と…それ以上は考えるなと無意識が訴えかけていく。
 それはまるで心の奥底にある禁断の扉とも、パンドラの箱とも
称することが出来るのかも知れない。

―それ以上、思い出すな…

(えっ…? 俺…?)

 不意に鮮明に、久しく聞くことがなかったもう一人の自分の声が
脳裏に響き渡る。
 だが、その注意を無視して…克哉はただ、記憶を思い出すことだけに
専念していく。
 その瞬間、頭が真っ白になるのを感じていった。

「っ!!」

「克哉っ…?」

 克哉の目が唐突に大きく見開いていって、御堂は驚愕の
声を漏らしていく。
 だが、克哉の意識は一瞬で…開かれた記憶の扉から覗いた
イメージの中に浚われていく。
 目にも鮮やかな桜の花の大群。
 百花繚乱と形容するに相応しいそのイメージが頭と意識を支配していき、
克哉はその光景に囚われていく。

「桜、だ…」

 そう、消え入りそうな声で呟くと同時に…克哉は澤村紀次に再会した夜、
御堂の目の前で…突然意識を失って、ソファから転げ落ち…床の上に
倒れこんでいったのだった― 
 遅れましたが、夏コミに参加された方、一般で行かれた方…
どちらもお疲れ様でした。
 香坂は今年は完全に一般でしたが、二日目は暑かったです。
 …家に帰宅して、首元や肩の部分が真っ赤になっているのを見て
真夏の太陽恐るべし! とか叫んでしまいましたよ。
 とりあえずやっと痛くなくなって来ましたけどね。

 夏コミの日は買いたいもの、人に頼まれて代わりに購入しておいた
ものの九割は無事に買えましたのでホクホクです。
 一個だけ、「うみねこのなく頃に 散」だけは会場では買いそびれたけど
翌日に地元の穴場ショップで無事に購入出来ましたし。
 …あまりその店に置かれているの知っている人が少ないようなので
次回からうみねこシリーズは其処で買うようにしようかな~と。
 あ、でも特典は欲しかったなぁ。
 wikiにでも掲載された時にはこっそりとチェックしようと目論んでいます。

 今年の夏は、とりあえず人を驚かそうとクーラーバックに飲み物を
凍らせて詰めていき、それを知り合いの管理人さんとかに配って回って
おりました。
 人をびっくりさせる為だけに3.5キロのクーラーバックを会場まで
持って行く自分の行動力に突っ込み入れたい…。
 けど、自分が貰う側だったら暑い会場で冷たい飲み物は嬉しいよな~とか
思ってしまったのでちょっと頑張りました。
 …おかげで翌日はバタンキューでしたが。そんなノリと勢いで持ってきた
コールドドリンクを受け取ってくださった方、ありがとうございました。

 イベント後は池袋の執事喫茶に初めて行って来ました。
 …そして幾つか、緊張のあまりに初心者らしい失敗とかボケを
かまして帰って来ました。
 ヴィクトリアというセットを頼んだんですが…スコーンを初めて食べた時、
指先に力を込めすぎて爆発? というか盛大に弾け飛ばしてしまったり…
今、思い返すとあたた~な失敗やらかしました。
 この店特有のルールも知らない状態だったので何度か常連の友人に
耳打ちで教えて貰いました。
 …やっちまったものはしょうがない。次回行く機会あったら教えてもらった
事だけでも生かしたいと思います。
 今回は初めて来たから、というので甘く見てもらえたけど…次は
それに甘えたくないので…もうちょい食事マナーとかそういうの勉強して
おこうと思いました(汗)

 けど、そういう失敗談はさておき…執事喫茶は居心地が良く、綺麗に
整えられた空間で…食事もとても美味しかったです。
 予約がなかなか取れない、というのも納得でした。
 リピータ―がつくのも納得です。執事やフットマンの男性たちもどなたも
格好良かったですしね。

 帰宅後は、休んだ後に…兄上と一緒にうみねこの新作をプレイして、
17日は…日中は冬コミの申し込みとか、就職活動の準備とか履歴書
書いていたら一日あっという間に終わっていました。
 その為、二日間音沙汰まったくなくてすみませんでした。
 ボチボチ、思考切り替えて連載進めていきます。

 ちなみに今週は3件面接入れた。
 夏コミで某Yさんに就職活動、四月から30件以上は受けて落っこちたと話したら
「今年は本当に皆さん大変みたいですから、私の知り合いの方も50件受けて
2~3箇所受かれば良い方だって言っていました。だから後、20件頑張って下さい!」
 といわれて…うん、じゃあ後二十件落ちる覚悟で挑んでやるか、とか
考え始めましたので。
 何か落ち続けていたので流石にヘコんで、参っていた部分あるけど…
私だけじゃないんだから頑張るしかないべ、と…この一言で勇気付けられた。
 つ~訳で、ちょいと暫くまた面接頑張って来ます。

 私信 E坂さん。夏コミの成果は近日中に発送しますのでもう少し
お待ち下さい。
 Hよさん、グッコミではよろしくお願いしますね。
 夏コミ、お疲れ様でした~!
※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。

 桜の回想 
          

―人はどうして、誰かを憎むのか
  嫉妬して蹴落とそうとするのか
  貶めて、相手を傷つけようとするのか
  それらの感情には、相手に対して何らかの強い思いを
 抱いていなければ成立しない
 関心でも羨望でも好意でも愛情でも、それらの感情が
 何らかの要因で変貌を遂げ、それが相手を傷つけたり
 痛めつけたり孤立をさせたいという暗い欲望へと変質する

 だが、憎しみや嫉妬を抱く場合…その前に抱いているのは相手への
関心や好意である場合が多い。
 離れていく相手に、自分を刻み付ける為に犯した罪。
 しかしそれを行った上でその対象が自分のことを忘れていたら、
その心から自分の存在を消し去ってしまっていたら…
加害者は果たして、何を想うのだろうか…?

『ごめんなさい、ごめんなさい…』

 男が…澤村紀次が衝撃を受けて呆然としている間も、
佐伯克哉は相手を思い出せないことを謝罪し続けていく。
 しかし、彼が悲痛な顔を浮かべながらこちらに謝っていく度に
溢れるのは苦々しい思いだけだった。

(中学に入る以前の記憶がない…? それは、僕と過ごしてきた
時間の全てが存在しないって事じゃないか…)

 記憶喪失、という単語は物語やドラマの世界では良く存在する。
 だが現実にあるものとは、澤村は認識していなかった。
 しかも憎らしくて仕方ない存在が、そんな殊勝なものを患って…
こちらのした事を全て忘れているなど想定外以外の何物でもなかった。

―ざまあみろ、僕は君に勝ったんだ…!

 卒業式の日、彼の前から立ち去った時…澤村は彼の泣き顔を見て
心が痛むと同時に、スっとするような開放感を味わった。
 どれだけ焦がれても、彼の心を…自分が求める意味では得られない。
 強く願ったとしても、彼を勉強でも運動でも勝ることは出来ない。
 その嫉妬心と失望から、最高学年に上がったときから澤村は周囲の
人間を操って、佐伯克哉がクラス内から孤立するように策を巡らせていった。
 猛烈なカタルシスと罪悪感、相反する感情を同時に抱いたおかげで…
十年以上顔を合わせた事もないのに、澤村にとって…佐伯克哉は
特別な存在で在り続けた。

―僕が君を忘れないように、君も絶対に僕を忘れることはないんだ…

 当然のようにそう想っていた。
 なのに現実はまったく逆だった。
 あの決別の日から十数年。
 自分の中にずっと色濃く存在していた相手は、自分の事など一切
思い出すことなく日々を過ごしていたのだと…その事実を突きつけられて
愕然とするしかなかった。
 ショックのあまり、その場に膝を突いてしまいそうだった。

「う、そだ…」

 澤村はあまりに残酷な現実を認めたくなくて、知らず呟いていく。
 お前が、こっちを忘れる筈なんて有得ないんだ。
 
―自分はどんな形でも相手に忘れて欲しくないから罪を犯したのに…

 なのに、その相手の心の中から…自分の存在が完全に抹消を
されてしまっていたのならば、自分の価値は何だというのだろうか?

「いつまで、そんな演技を続けているんだよぉ! 佐伯克哉!
君は決して、僕を忘れる筈がないんだ! ずっと僕は小さな頃から君の
傍らにいた! 親友として…一番の理解者として! そんな人間を
忘れるぐらい、君は薄情な人間だったのかよ!」

 思わず、力いっぱい叫んでしまっていた。
 言っていて自分で空々しく思えてしまう。
 その『親友』と信じて疑わなかった相手を、裏で裏切っていたのは
紛れもなく自分だった。
 冷静に考えれば、あんな行動をした自分が…彼の親友と胸を張って
言える訳がない。
 無意識の領域ではその事実に気づいていたが、認めたくない気持ちの方が
勝って感情の制御が利かなくなった。
 だが、その時…澤村は見た。
 
―僅かな時間だけ、こちらを射殺す勢いで睨み付けるその眼光に…

「っ!」

 懇願していた筈の男が、一瞬だけあまりに怜悧で鋭い視線をこちらに
浴びせていった。
 冷たく凍てつくような眼差し。
 其れが澤村の心を抉っていった。

「…君、は…?」

 訳が判らなくなった。
 混乱して、彼の言葉や態度の何が嘘で、何が本当なのか判別がつかなくなる。
 困惑した顔を浮かべて暫く立ち尽くしていると…傍観を決め込んでいた
御堂がやっと動き出して、強引に克哉の腕を掴んでいった。

「…もう夜も遅い。君の戯言にこれ以上…私も佐伯君も付き合わされるのは
遠慮したい。今日はそろそろ引き下がってもらえないだろうか…?」

「はっ…?」

 そう声を掛けられて、ようやく…澤村は其処にもう一人、男がいた事実を
思い出していく。
 だがその反応がイマイチ鈍かったせいで、御堂は躊躇いなく克哉の腕を
掴んでマンションの方に向かっていった。

「待って! まだ僕と克哉君の話は全然終わって…」

「黙れ…。いきなり人の家の前に待ち伏せして、不可解な言動を繰り返している
相手にこれ以上付き合う気はない。お引取り願おうか…」

「くっ…!」

 その時の御堂の目はどこまでも鋭くて、視線だけでこちらを痛めつけて
傷つけてしまえそうなくらいだった。
 澤村はその眼差しに言葉を奪われ、立ち尽くしていく。

「行くぞ、克哉…」

 そう告げて、御堂は問答無用で…克哉の腕を引いて自室へと
戻っていった。
 だが、その時…克哉はまるで壊れた人形のように、空ろな眼差しを称えて
涙を流し…今、このときを…現実を見ていないような、実に危うい眼差しを
浮かべていた―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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