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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※本来の予定より若干遅れての掲載になります。
 御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や 
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
 当分、鬼畜眼鏡側はこの連載に専念しますので宜しくです。

 桜の回想  
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 ―片桐は無事だ、ともう一人の自分からメールを受けた克哉はその後…
御堂や太一、本多など他の親しい人達がどうなったのか一人一人、
連絡して回っていた。
 
 本多と太一は何故か合流していたらしく、こちらがコールしようと思った直前に
向こうから掛かってきて、安否の確認をすぐに取る事は出来た。
 だが二人から電話で事情を聞いている内に、二人が合流して難を逃れる事が
出来たのも…どうやらもう一人の自分のおかげであった事が判って、
克哉は胸が熱くなった。
 
(ありがとう…『俺』…。皆を助けてくれて…)
 
 電話を切った後、克哉はしみじみと眼鏡に対して感謝していった。
 片桐も本多も太一も、普段は離れて暮らしているが克哉にとっては今では
とても大切な人達だ。
 澤村の企みや、彼と自分との確執によって身近な人々に迷惑を掛けてしまう
なんて冗談ではなかっただけに、もう一人の自分がそれを阻止してくれた事は
本当に嬉しかった。
 だが、其処で克哉は一つの事実に気づいていく。
 
「…そういえば、御堂さんはどうなっているんだろう…?」
 
 普段離れているあの三人にまで魔の手が迫っていたというのならば、
同棲までしている恋人である御堂に何も手を出さないとは考えられなかった。
 確かに御堂は他の三人と比べて責任や社会的地位も高い。そしてMGNは
重役の執務室などは外部の人間が簡単に足を踏み入れられないように
警備も比較的しっかりしている。
 見知らぬ人間や、怪しい人物が容易に入り込んで部長クラスの存在を浚う事は
決して簡単な事ではない。
 だが、同時に警備の穴は幾つか存在している事…問題点もあった事を
この大会社に一年以上勤務しているおかげで克哉は知っている。
 
(御堂さんも…執務室の方でオレと一緒に残業している筈だし、会社の中に
いて部長クラスの人を簡単に浚ったり出来る訳じゃないけど…確認して、みよう…!)
 
 そうして克哉は自分のプライベートの携帯電話から、御堂の携帯へと
コールしていく。
 だが、何度呼び出し音が鳴り響いても御堂が出る気配はなかった。
 慌てて克哉は執務室の方に赴いたが、部屋は酷く荒らされている上に
御堂の姿はどこにも見えなかった。
 だが奇妙だった。
 
―怪しい男たちが三人も、執務室で意識を失っていたからだ
 
 御堂の姿はどこにも見えず、足取りの手掛かりになりそうなものを克哉は
探したが、何も残されていない。 
 その事実に気づいた時、克哉は愕然とした。
 
「孝典、さん…一体、どこに…?」
 
 
 御堂と連絡が取れない上に行方不明になっている事実に克哉は
現実を認めたくなかった。
 その時、ヒラリと宙から一枚の紙が現れた。
 
「うわっ…一体、この紙はどこから出て来たんだ?」
 
 さっきまでは何もなかった空間部屋には流暢な文字で書かれた
一通の手紙が残されていた。
 御堂の姿と、少しでも手がかりを得ようと必死になって部屋中に
目を凝らしていたのだ。
 この紙を見落としているなどある訳がなかった。
 手のひらにじっとりと嫌な汗が滲んでいく。
 緊張した面もちで克哉がその文面を目で追っていくと…以下のような
内容が記されていた。
 
『貴方の大切な御堂孝典様は無事です。
 ですがこれから始まる愉快なショウの観客の一人として
一足先にお招きしてあります。
 この手紙は私から贈らせて頂く、貴方宛のチケットとなります。
 この手紙を貴方がお読みになった直後から、私からもそちらに
お迎えに上がらせて頂きます。
 安心してこちらをお待ち下さいませ…
Mr.Rより愛を込めて』
 
 手紙に目を通し終わった終わった瞬間、安堵と不安がブワッと
湧き上がってくるのを感じ取っていく。
 御堂が無事なのは嬉しかったが同時にあの男にどこかに招かれている
事実を知って複雑な心境になっていく。
 これで御堂、本多、片桐、太一…今の自分にとって大切な人達
全員の安否が判った。
 それなのにどうして、こんなにも激しく胸がざわつくのだろうか…?
 
「御堂さんが無事だった…それは、嬉しい事の筈なのに…どうして、
こんなにも胸騒ぎがするんだろう…?」
 
 無意識の内に己の胸元を抑えていきながら、小さくそう呟いていく。
 克哉がそう逡巡を開始した瞬間、周囲に濃霧のような白い煙が大量に…
しかも唐突に発生していった。
 その煙はあっという間に部屋中に広がり、視界が満足に効かなくなっていく。
 
「うわっ…何だよこの白い煙! 一体どこから発生したんだよ…!」
 
 不可解な現象が立て続けに起こって、克哉は半ばパニックに陥っていく。
 だが…周囲は完全に真っ白に染まってしまい…何一つ、満足に見えなくなる。
 御堂のディスクも、散乱した書類も…倒れていた男たちも全てが視界から
消えて…白い煙だけが支配していく。
 Mr.Rと出会って以来、不可解な現象等には慣れたつもりだったが…
やはり久しぶりに遭遇すると動揺してしまう。
 
―お迎えに上がりました…佐伯克哉さん
 
 唐突に男の声が聞こえる。
 声がした方に慌てて振り向いていくと…煙で他のものが殆ど見えなくなっている
状況にも関わらず…男の姿だけは鮮明にその場に浮かび上がっていった。
 現実では起こりえない、奇妙な現象。
 けれどこの黒衣の男にはそれぐらいは朝飯前の事なのだという事を克哉は
改めて実感させられていく。
 
「Mr.R! この煙は一体何なんですか! それに…本当に御堂さんは
無事なんですか! それが嘘だったら…オレは貴方を許しません!」
 
 心配と不安と緊張の余りに…克哉は珍しく怒りを露にしていた。
 御堂は今の彼にとってこの世で一番大切な存在だ。
 その人に何かあったら…絶対に自分は許すことなど出来ない。
 アイスブルーの双眸に強い憤りを宿していきながら…克哉は目の前の
男を睨み付けていった。
 だが男は克哉のそんな様子を見て愉快そうに微笑むのみだった。
 
「良い目ですね…流石、あの方の半身。対なる存在…貴方にそんな目で
見られていると思うと、こちらもゾクゾクしますね…」
 
「…御託はそれくらいまでにしておいて下さい。…そしてオレを迎えに来たと
いうのならばさっさと連れて行って下さい。其処に御堂さんが先に
いるのでしたら…の話ですけど…」
 
「えぇ、確かにいらっしゃいますよ…。心より歓迎してもてなしをして…
もう一つの可能性を提示して差し上げたのですが、流石は貴方が
選ばれた方は…心も強いご様子。
 簡単に自分の意思を曲げることはありませんでしたね…」
 
「…っ! 御堂さんに何をしたんですか!」
 
「…ですから、お連れして…軽くお言葉を掛けさせて頂いた事以上は
何もしていませんし…こちらも危害を加えるつもりもありません。
それだけは信じて下さいませ…」
 
「…判りました。危害を加えていないという部分だけは信用します…。
ですから、早くオレもあの人のいる所に連れていって下さい…。この目で
あの人の安否を確認しない限りは安心が出来ませんから…!」
 
 克哉は強い口調でそう言い放っていく。
 普段の彼ならばここまで他者に対して強気に出ることは滅多にない。
 だが…御堂を案じる気持ち、早く無事である事を確認したいという想いの
一心で…怪しい男に対して一歩も引かない態度で応じていく。
 
「えぇ…それなら、貴方をお連れしましょう…これより始まる、かつて
親友同士だった方達の因縁の決着の瞬間を…。そして本来あるべき形へと
貴方たち二人が収められる為に…その為に私が用意した舞台へと…
お連れする事に致しましょう…! さあ、とくと堪能して下さいませ…
愉快で、滑稽な一幕を…!」
 
 男はまるで、舞台の上で観客を盛り上げる為に大げさな身振りや
口調で宣言する…道化のような態度で、大きく右手を掲げていく。
 その瞬間…白い煙と共に、世界の全てが歪んでいくのを実感していった。
 
「うわっ…!」
 
 まるで大量のアルコールを飲んで酩酊して、世界がグルグル回って
いるように感じている時のような感覚を覚えて、克哉は大声を上げていく。
 そうしている内に意識はどんどん遠のいていき…まともに立っていられなくなる。
 
(ダメだ…意識が遠くなって、いく…!)
 
 必死になって踏ん張ろうとしたが…もう自分の身体を支えていられなくなる。
 そうして克哉は…グラっとバランスを崩して、執務室の床に倒れこもうと
したその瞬間…黒衣の男と煙と共に、彼の身体はこの部屋の中から
忽然と姿を消していったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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