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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                      10  11

―克哉が夢と思って、もう一人の自分に縋りついているのと
ほぼ同時刻…御堂は、深い溜息をついていた。
 自分の執務室の椅子に座り、大量の書類に目を通し終わって
一段落がついた頃…ふと、御堂は窓の外を眺めて思案し始めていた。
 時刻はとっくの昔に昼休みを迎えていたが…心の中にモヤモヤした
想いが強烈に広がっているせいで、空腹を感じる事が出来なくなって
しまっていた。

(昨晩の私は…どうかしていたな。何故、あんなにも自分を抑える事が
出来なくなってしまったんだ…?)

 同性の相手を、無我夢中で…狂ったように抱き続ける。
 そんな行動に出た自分を、今さらながら信じられなくなっていた。
 だが…どれだけ打ち消そうとしても、こちらがシャワーを浴びている間に
克哉がいなくなってから、筆舌しがたい焦燥感が湧いていて…仕事に
集中している時ならともかく、ふと隙間時間が生じる度に…苦い
想いを噛み殺すしか出来なくなっていた。

「佐伯、克哉…。何故、私は君に対して…いきなり、こんなにも抑えがたい
感情をいきなり抱いているんだ…?」

 昨日、街中で顔をばったり合わせてから…それまでとは違う感情が
急に湧き上がった事に、御堂自身も疑問に覚えていた。
 何故、唐突に…今まで仕事上の付き合いしかなかった筈の相手を
こんな風に想うようになってしまったのか御堂自身も理由が
判らなかった。
 だが、昨日…克哉から脳が蕩けてしまいそうな甘い香りが立ち昇っていて、
其れをずっと嗅いでいる内に…気持ちが徐々に変わってしまったのは
辛うじて覚えていた。

(君から立ち昇っていた…あの甘い香りは一体、何だったんだ…?
私が知っているどんなフレグランスとも、香水とも違う…不思議な
匂いだったが…?)

 今朝、克哉が自分の傍にいた時は…『何故』や、『どうして?』を
考える間など全くなかった。
 克哉の中に己を刻みこむのに夢中で。
 彼の心をどうにかして得たくて、それ以外の事など一切考える事が
出来ないぐらいに克哉を求めてしまっていたから。
 だが…こうして仕事に忙殺される日常に戻り、彼が傍らにいない事によって
少しだけ疑問に思う余裕が生まれていった。
 冷静になってみれば、昨晩の自分がどれだけおかしかったのかを
嫌でも自覚出来る。
 それでも…急速に胸の中に生まれた感情に、ただ翻弄されるしか
今の御堂は出来ないでいた。

「…どうして、こんなにも…君が、欲しくて堪らないんだ…。一体、
私はどうなってしまったんだ…」

  昨晩公園にて…強引に連れ込んだホテル内で、克哉を衝動のままに
犯して…五回もその中に熱い精を放った。
 だが、本当ならそれでも足りないと思っていた。
 彼の意識が完全に失われて、がっくりと意識を失っていたから…
その回数で止めたのであって、克哉の意識が残っていたのならば…
昨晩の御堂はそれこそ、何度でも克哉の中に己を刻み続けていたのだろう。
 まるでこれではセックスを知ったばかりの高校生みたいではないか。
 そんな風に夢中になって、狂ったように相手を求める自分など…
御堂は信じられなくて、ふと遠い目になっていく。

―だが、昨晩の出来事は紛れもなく現実の事であった事を…
御堂自身も、認めざるを得なかった

 本当なら、克哉の事を考えて溜息をついている余裕など
御堂にはない筈だった。
 自分が情熱を注いで作り上げた製品がもうじき完成して…
これから全力を注いで、そのプロジェクトに当たらないといけない
時期である筈なのに。
 昨日までそれ以外の事など、御堂の頭の中には全く存在して
いなかった筈なのに…今は、気を抜くと克哉の事ばかり考えて
しまって…あれだけ、全力を注いで開発に当たった製品の
事さえも吹っ飛んでしまいそうになった。

「佐伯君…どうして、私は急にこんなにも君を想うようになって
しまったんだ…? 私にとって君は…一体…?」

 そう疑問に思って小さく呟いていっても、答えてくれる
者などどこにもいなかった。
 まるで…禁断の果実を口にしてしまったような気分だった。
 彼という豊潤で甘い香りを漂う果実を一度口にしてしまったら最後…
虜になって、他の事などどうでも良くなってしまう。
 そんな馬鹿げた考えがふと浮かびあがってしまい…御堂は
自嘲的に微笑んでいった。

「…ふっ…馬鹿げた考えだ…」
 
 そう思い、一旦は御堂は思考を切り替えていく。
 今は…仕事に集中しなければならない。
 そう理性を働かせた瞬間、ふと一つの考えが浮かんでいった。

(後で佐伯君に連絡してみよう…。確か彼の携帯の番号はまだ…
私のアドレス帳に登録されていた筈だから…)

 そう考えて、気持ちを仕事の方へと向けていく。
 だが…御堂のこの気まぐれのような考えが、予想もつかない
自体をまた一つ引き起こすトリガーになってしまう事を、
彼もまた…予想する事なく。

―克哉が同時刻に、どんな事をしているのか…まだ御堂は知ることなく
再び意識を仕事の方へと、今は戻していったのだった―

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無題
恋人の条件の10が読めません
NONAME 2011/01/27(Thu)11:22:49 編集
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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