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冒頭部分、試し読みになります。
この最初の部分以降はエロばかりの内容になるので
ご了承下さい。
鬼畜覚醒した眼鏡克哉と、そんな眼鏡に堕とされる克哉の
お話になります。
良ければ、イントロダクションに当たる部分だけでも
見てやって下さいませ。
それでは失礼します。
追記 新刊表紙、70%程度色塗り完成。
表紙線画のみになります。
本文の方は現在、タイトル候補が二つあって
まだどっちかに決めかめているので保留。
本日の夜までには決めますので、その時点で
初めの方だけ本文も掲載させて頂きます。
朝の時点では線画のみの掲載になります。
興味のある方だけ「つづきはこちら」を
クリックしてやって下さい~。
※桜の回想は、もう少し時間を取って掲載していきたいので一旦、間を置いて
こちらを連載開始させて頂きます。(5~6話程度の長さの予定です)
この話は2009年の日付設定で執筆されています。
そして鬼畜眼鏡R経過前提です。
Mr.Rが絡んでくるのでなかなか不可思議なことが起こりまくる予定です。
この三点を予めご了承の上、お読みくださいませ(ペコリ)
丸八ヶ月が過ぎようとした頃。
何を贈って良いのか決めかねていた。
ずっと考え通しだったのだが…いまいち、思考回路は順調とは言えなかった。
てしまう訳だが…一番良いのがなかなか浮かばなかった。
だが…それはまだ早い気がする。せめて二人で運営しているアクワイヤ・
アソシエーションを一年は無事に持たせてもう少しが軌道に乗せてからにしたい…)
目標でもあり、対等に並びたいと望んでいる存在がある。
贈るのは早計だと思った。
これは俺のプライドだけどな…それは、譲りたくない…)
あまりない。
克哉が今求めている水準の代物は運悪く手に入らなかった。
物足りないだろう。
一向に見つかる気配はない。
しまって簡単には流れて来ないレベルの代物ばかりだ。
なかなか上手くいかないものだ…」
探しているのだが、これだ!と思えるものは見つからないままだった。
連れていくような真似はしたくないのに…」
ソファに腰を掛けながら、煙草に火を点けて…紫煙を燻らせていった。
慌ててそちらに視線を向けていく。
難解な言葉掛けと、不吉な予感を与えて去っていくという行動を繰り返している。
存在でもあるのだが、基本的に彼は決してこの男を信用してはいなかった。
区域はオートロック式の上、ここは最上階の筈だぞ…?)
不可能の筈なのである。
克哉は一つ…気づいた事があった。
一体どこに俺たちを案内するつもりだというんだ…?」
とでも申しておきましょうか…?
取り出して彼の前に見せていった。
非日常の世界へと…お連れする為のね…
有り得ない。それにその鍵で、何が出来るというんだ…?」
お二人をお連れして差し上げましょう。まさに其処は非日常…いえ、幻想空間
そのもの。退屈極まりない日常生活内では決して味わえない娯楽と、
エキセントリックに満ちた素晴らしい場所です。サプライズとしては…
恐らくそれ以上のものは望めないでしょう…
言葉を並べ立てていく。
どういった所なのかだけ簡潔に話せ」
その鍵穴にこの鍵を差し込むことによって…様々な趣向を凝らされた素晴らしい
部屋へと誘われる事でしょう。しかし…鍵は五回使えば、壊れてしまいます。
ワクワクしませんか…? スリルと高揚を求めるならば…試されてみるのも一興ですよ…?
ねっとりと甘い声音でこう呟いていった。
秘めて隠していらっしゃる欲望を満たす為の素晴らしい部屋が…幾つも
用意されています。きっとその部屋を引き当てたなら…ご満足して頂けると思いますよ…?
今の発言を聞いて少しだけ試してみても良い、という風に心が傾き始めていった。
判らないがな…。気が向いたなら試してみても良い…」
銀色の鍵を手渡していく。
見られる訳にいかない。
存在しなかった。目を離していたのは本当に一瞬。
どうこういっても仕方がない気がした。
静かに御堂の脇を抜けていった。
暫く考え込んでいったのだった―
夜はヘバっていた香坂です。
それでも昨日、気合で夜の内にアップしようと一本
仕上げましたら…。
アップしようとした時間帯がサーバーメンテナンス中でした(涙)
朝七時に終わるっていうので、7時2分ぐらいにアクセスして
もし出来たら今日はバス一本遅らせてでもアップして出て行って
やるわ! とか思っていたんですが7時5分過ぎてもアクセス出来ないので
おとなしく諦めたら更新したのが日付変更間際になりました。
本当にこんなオマヌケな管理人ですみません(汗)
後、桜の回想…ちょっとまだ頭の中でラストまでの道筋がピシっと
見えて来ないので少し時間頂きます。
ラストはどうするかは決まっているけど、今…アップした分から、其処に
至るまでの経緯が頭の中で組み上がりきっていないので。
少し時間取って、しっかり見えた頃辺り(来週辺りから)取り掛からせて貰います。
という訳で御堂さん誕生日ネタになるメガミドの『魔法の鍵』開始しますよ~!
当分、アップするものがまた前後したり…新刊の製作情報をチョコチョコアップしたり
していくと思われます。
けど、出来るだけ更新して行きます! イベントが終わればまた落ち着いて
いきます。今週は目を瞑ってやって下さいませ。
水曜日は会社が休みなので、出来るだけこの一日でガツンと新刊の製作の方を
進めたいです!
ではん!
無事に完成して送信しました!
つか、マジで間に合って良かったです。
…今週はPCエラーが起こって、二日ロスが出た為に
色んな予定が押してしまって、9月29日の御堂さん誕生日も
当日にはちょっと無理でした…(くう)
とりあえず一段落ついたので10月11日の新刊と、
連載、それと御堂さん誕生日関連のSSもアップしていけたらと
思っています。
…平行してやっているので、ちょっと飛び飛び掲載に
なっていますがご了承下さい。
後、スプレーオンリーの新刊は克克のエロが濃い目の話で
行こうかなって思っています。
現在、誠意製作中です。
表紙等も線画や本文等が仕上がりましたら、サイトの方に
掲載させて頂きます。
本日はちょっと原稿書く方を優先しますので今夜はこの辺で。
イベント情報の方も連載の合間に随時、掲載させて頂きます。ではでは~!
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
当分、鬼畜眼鏡側はこの連載に専念しますので宜しくです。
桜の回想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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ほぼ同じ頃、御堂孝典もまた自らの執務室にいる時に突然男たちに
囲まれる処だった。
よってだ。
微笑みながらこちらに声を掛けていった。
素直に歓迎する訳にはいかないだろう。
男たちに絡ませて自由を奪っている。
彼らの意識も同時に奪っていた。
取り囲んでいた男たちはぐったりとしていて、完全に意識を失って
いるようだった。
胸元が上下している様子から意識を失っているだけだと判断していった。
見ているのか…?)
停止しかけてしまっていた。
現実に起こる訳のない出来事を体験している最中は凍り付いてしまうものである。
身の危険が迫っていたから…私のペットに頑張ってもらっているだけです
からお気になさらずに…
鵜呑みにして、気にせずにいるなどという芸当は出来なかった。
何かあれば、克哉さんが悲しみますからね…
する輩とは決して私は関わっていてもらいたくないのだが…」
なければ…今はしなやかで強くなられた克哉さんに相応しいパートナーとは
言えませんからね…
相手がそんな顔をしようとも胡散臭くしか見えなかった。
当てはめてもしっくりいかないような気がした。
首を傾げているようだった。
いい加減止めてもらおう…」
古い友人と言った処ですね…」
御堂は言葉を軽く失い掛ける。
浮かべて言葉を続けていった。
小学校を卒業した日の事です。大切な人間に裏切られて傷ついた瞳を
浮かべていた彼を…つい放っておけず、その苦しみから逃れさせる為に
手を貸してしまいました。
克哉の口からも、何度も出ているキーワードだった。
放っておけなかっただと…?」
願うほど夢中になり、自分から同棲しようとまで切り出した相手は
彼一人だけだった。
いうのなら、聞き捨てならなかった。
告げられました。心からその相手を信じていたからこそ…少年だった頃の
彼にはその体験は耐え難く、それまでの自分の全てを否定する程の
出来事となってしまわれたのですよ…
二週間前、自分のマンションの入り口に立っていた克哉の親友だと名乗る男と、
相手を覚えてないと必死に言い張る克哉の姿。
その裏切りのショックで記憶が欠落して、思い出せなくなったとしたら…。
起こりうるものなのだろうか…?)
決して珍しくない。
物語に出演させられる便利な設定だからだ。もはや『お約束』とすら
言って良いものだ。
妖しい男に聞かされて少なからず御堂はショックを受けていた。
御堂孝典さん…貴方が今、推測された通りですよ…。今の佐伯克哉さんは
『記憶喪失』された事で引き起こされたペルソナ…。貴方が愛している
克哉さんは、本当の克哉さんが眠っている間…身体を守っているだけの存在。
本質の方が目覚めれば消える筈の儚い存在でした…。なのに貴方との出会いが
その本来辿るべき運命を変えてしまった…。影の方が表に立ち、光が押し込められる
形となった…。私は、その間違った道筋を正したいのですよ…
決して許せる訳がないからだ。
言うつもりなのか…?」
瞬間…彼との出会いの場面を思い出していく。
克哉はそういえば別人みたいになっていなかったか…?)
掛けている間…別人のような行動と言動を取っていたその記憶も遠くなっていた。
言わないのでしたら、続きは私の方から言わせて頂きましょうか…?
佐伯克哉さんがまるで二重人格者みたいな言い方ではないか、
貴方はそう言いかけたのではありませんか…?
宿している。光と影のように、もしくは黒と白のように…相対していながら、
正反対の性質を持った二つの心を同時に宿しています…
存在しそうにないものだ。
御堂を打ちのめしていった。
けどそれを目を逸らしていただけに過ぎない…。違いませんか? 御堂孝典さん…?
突きつけられて…適当なことを言ってやり過ごす事は御堂には出来なかった。
黒衣の男は満足そうに微笑み…片手を挙げて、唐突に御堂を己の作った
仮初の空間にゆっくりと誘い始めていったのだった―
清書&編集作業も終わって、明日の休みでコメントも
完成させればこっちの方は終了します。
後は友人の分の写植等(原稿を頼んだ相手、フォトショップを
持っていないのでこっちでやると約束した)を終わらせれば
OKかな~と。
平行して、来週のイベント用の原稿もボチボチ書き始めて
おります。
…例のごとく、恐らく色んなことが抜け落ちていますが。
一つのことに熱中すると、周りのことが見えなくなるというか…
事務処理能力に著しく欠けている部分が香坂にはあります。
ここら辺が自分でも本当にイヤンです。ご~め~んな~さ~い!
後、リンク報告をコメントにしてくださった方、ありがとうございます。
桜の回想26は今夜から明日に掛けてアップ出来るように
頑張りまっす!
全30話とか以前言っていたけど、恐らく32~35話ぐらいの長さに
なると思います。
鬼畜眼鏡Rのビジュアルファンブックも発売したし、其れを読み込んで
改めて判ったデーターとか情報も織り交ぜられるなら取り込んで
自分に出来る範囲で書き続けていきたいと思っています。
今月末にはとりあえずこのサイトも丸二周年を迎えます。
職場の方では今週からまた新しい作業が始まって…それで
連日筋肉痛でちょっとヘロヘロな日々ですが…エアー
サロンパスを上手く使って切り抜けております(笑)
近況はこんな感じです。
それでは、この辺で失礼しまっす!
※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
当分、鬼畜眼鏡側はこの連載に専念しますので宜しくです。
桜の回想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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都内の某所。
夕方過ぎになると殆ど人通りがなくなる住宅街の傍の、
とある施設の近く。
眼鏡を掛けた方の佐伯克哉は、車に肘をついて軽くもたれ掛かっていきながら、
たった今…かつて親友だった男に電話を掛けて幾つかの連絡事項を告げていくと
静かに携帯の電源を落としていった。
Mr.Rに手配してもらったメタルグリーンに塗装されたカローラの車内に入り
運転席に腰をかけていくと、彼は溜息を吐いていった。
(…澤村、お前はあのお人好しの『オレ』の事を出し抜くつもりだったのだろうが…
お前の筋書き通りにはさせてやらない。また卑怯な手段で俺に勝ろうとして
いる限りはな…)
瞳の奥に強い憤りを秘めていきながら、彼は助手席に座っている片桐を
見遣って行った。
相手が安らかな寝息を立てて眠っている姿を見て、眼鏡は安堵の表情を
浮かべていく。
片桐に関しては間一髪だった。
自分が駆けつけるのがもう少し遅かったら澤村の部下の男たちに
拉致されてしまっていただろう。
「…少し癪だがな…今回ばかりはあの胡散臭い男に助けられてしまったな…」
片桐は本日の正午過ぎにキクチ本社から、そう遠くない位置にある
取引先に一人で出向いていた。
その帰り道…日中でも殆ど人通りのない公園の敷地内を歩いている最中に、
三人の男達に囲まれたのだ。
その公園は今の時期ぐらいから緑が生い茂り始めて、外部からは草木に
覆われて見通しが悪くなる。
片桐自身は日常で良く通っていたから自覚はなかっただろうが…張り込んで
誰かを拉致するには絶好のポイントだったのだ。
Mr.Rが周囲に妖しい香を炊き込める事で…自分以外のその場にいた
全員が深く眠り込んでしまい、特に片桐に関しては効果が絶大で結局6時間
あまりも眠り続けてしまっていた。
自分に対して殆ど効果が出なかったのは…どうやら任意で効果が出る者と
出ない者をあの男には分ける事が出来るらしい。
以前から謎が多い男だと思っていたが…其処まで人間離れした事を平然と
やられてしまうと最早何も言えなくなってしまう。
このカローラも足がつかない手段で確保してきた盗難車だという。
今日一日使用するだけなら問題ないと言ってキーを渡された訳だが…
こう言ったことを可能にするツテがあるのが本当に謎で仕方なかった。
(まあ、そんな事はどうでも良いか…。あの男がどれだけ常識はずれの事を
しようが、人外だろうが役にさえ立ってくれるならそれで良い。…だが、
片桐さんをどうするかだな…)
澤村側にこの車の事はまずバレていないだろうが、意識を失っている
相手を一人この車内に残して離れるのは気が引けてしまった。
本多や太一、そして御堂にももう一人の自分が会社で使っている携帯を
使用して警告文や、指示の類を出してある。だから…彼らを人質にして交渉を
有利に進めようとする澤村の野望は阻止出来ている筈だ。
(まったく…お前は本当に変わっていないな…澤村。また卑怯な手段を
使って俺を叩き潰して…お前は何を得るというんだ…?)
無意識の内に彼は銀縁眼鏡を押し上げる仕草をしていきながら…
溜息を吐いていった。
本当はもう一人の自分が、あいつに狙われていようがどうでも
良いはずだった。
あいつはこちらの踏み込んで欲しくない領域までズカズカと
入り込もうとしていた。
そんな奴を本当なら助ける道義などこちらにはない。
けれど澤村に、例えもう一人の自分が良いようにされて打ち負かされるのは
不快だと感じてしまった。
だから仕方なく手を貸すことにしたのだが…やはり気持ちがモヤモヤしていく。
その瞬間、携帯に一通のメールが着信していった。
「…澤村からの返事だろうな」
そう確信して、メールの文面に眼を通した瞬間…彼は驚きを隠せなかった。
「あのバカ…どこまでお人好しなんだ…」
差出人とタイトルを見ただけで彼は苦々しく舌打ちしていった。
『ありがとう』と、そのメールには書かれていた。
ー片桐さんの件は本当にありがとう。お前がオレを助けてくれるなんて
思ってもみなかったから、嬉しかったよ
そう短く締めくくられた文面を見て、複雑な想いが湧き上がっていく。
それともあいつは、昨晩こちらが部屋を荒らしたことに気づいて
いないのだろうか。
そんな筈はない、無くなった物を参照すればこちらが昨晩…写真を
回収する為に忍び込んだことくらいはすぐに判ることだろう。
それでも、こちらに対して平然と『ありがとう』と告げてくるもう一人の自分の
神経が信じられなかった。
どこまでお人好しなら気が済むのだろうか…。
「ん、んんっ…」
もう一人の自分からのメールを読んで考えて込んでいる間に…助手席で
眠ったままだった片桐がゆっくりと眼を覚ましていく。
「…ふぁ…あれ、もしかして…佐伯君、ですか…?」
「…やっと目覚めたみたいですね。片桐さん」
どうやら、今のメールの着信音をキッカケに長らく意識を失ったままだった
片桐が目覚めたようだった。
うっすらと開かれた眼差しはまたトロンとしていて、夢の世界を漂っているようだ。
「…あの、ここはどこ、ですか…? それに僕はどうしていたんでしょうか…。
何故、こうなっているのか状況が良く掴めないのですが…」
「それは…」
眼鏡にしては珍しく、どう答えようかと言葉に詰まっていった。
直前に起こった出来事を伝えるか否か、とっさに迷ってしまったせいで
暫しの沈黙が降りていく。
(適当に誤魔化すか…? 問題のない範囲でだけ正直に答えておくか…
どちらにすれば良いんだ…?)
こちらが架空の事情を伝えてやり過ごすか否かで考え込んでいる間、
片桐も必死に記憶を探っていた。
「あっ…思い出し、ました…。そういえばさっき…見知らぬ男の人たちに
囲まれてしまって、本当に困ってしまって…後、もう少しで車に押し込められて
浚われる直前に、妙に甘くて不思議な香りがして…意識がスゥーと遠くなった…
其処までは、思い出しました…」
「…………」
片桐が直前の記憶を詳しく思い出してしまった事で彼は言葉を
閉ざすしかなかった。
ここまで思い出されてしまったら付け焼き刃の嘘は通用しなくなる。
だから覚悟して、事情の一部を相手に説明することにした。もう少し考える
時間があるならともかく、口からでまかせを言うくらいなら多少は事情を話した方が
良いと判断していった。
「…片桐さん、すみません。今…俺の方は少し厄介な奴に逆恨みを
されていましてね…。それで、恐らくこちらに睨みを効かせる為に貴方を
拉致しようとしたのでしょう…。面倒な事に巻き込んでしまって申し訳ない…」
「逆恨み…ですか? 佐伯君は一体何をしたんでしょうか…?」
「…俺も詳しい事は知りませんですけどね。去年手がけたビオレードの
パッケージを、御堂部長に提案を持ちかけて俺が材質とデザインを変えるように
提案し、それが通った事が引き金みたいですけどね…。人づてに聞いた話
なのでどこまで信憑性があるのか判りませんですけどね…」
眼鏡の方は、Mr.Rが頼んでもいないのにベラベラと澤村の事を語って
聞かせてくれる為にある程度の所までは把握していた。
そう、澤村がしようとしている事は脅迫であり…決して正当とは
言えない行為だ。
それを阻止する為に、今回だけはこうして自分が現実に現れて色々と
動いた訳である。
「…そう、なんですか…。佐伯君、大変だったんですね…。精一杯仕事を
したのに、それで恨まれてしまうなんて…。パッケージの件は本多君から
以前聞いた事があるんですけど、御堂部長に提案されて全力で取り組んで
必死に考案したから直前で採用されて…其れが通ったと聞きました。
それだけ、君は真剣に仕事をしただけなのに…」
「いや、俺は…」
と言いかけて、それ以上何も言えなくなった。
その採用された一件は自分は関わっていない。
『オレ』が御堂の期待に応えようと努力しただけの話で…こちらがこんな風に
片桐に労られる謂われはない。
なのに片桐は慈愛に満ちた表情を浮かべながら…予想してもいなかった
言葉を向けてくる。
―けど、君がどんな状況になっていようとも…僕も本多君も佐伯君を大切に
想っています。巻き込まれたとしても迷惑だなんて想っていませんから…。
むしろ、そんな人に負けないで欲しいですから気にしなくて大丈夫ですよ…
さっき、自分と澤村との確執に巻き込む形になって…でこの人は複数の男に
囲まれて拉致されそうになった。
それがどれだけこの人は不安に思ったのか、怖かったのか想像すれば
容易に判る筈だ。
なのに…そんな状況に陥ってもこの人はこちらに「気にしなくて良い」と
微笑みながら伝えてくる。
その瞬間、チリリと胸の奥に痛みが走った。
(これが、仲間…か…)
そう、実感した瞬間に認めたくないが…もう一人の自分に強い
嫉妬を覚えてしまった。
小学校時代、自分が孤立した時…誰も味方になどなってくれなかった。
唯一の仲間だと信じていた人間にさえも陰で裏切られていた。
なのにもう一人の自分は…自分が侮って見下している方の人格は
とばっちりを食らう事になっても離れる事のない人間関係を築き上げている。
それを今の片桐の言葉で実感していった。
何と言えば良いのか、判らなくなってしまった。
これ以上、片桐の顔をまともに見ていられなくなり…彼はそっと
ドアを開けて外に出ていく。
「佐伯君…? もしかして、今の言葉…君の気分を害してしまった
のでしょうか…?」
「…関係ありませんよ。ちょっと外の空気を吸いたくなっただけですから…」
そうして、眼鏡は目の前に広がる光景を眼を細めて見遣っていった。
(まったく…あの男は。本当に皮肉に満ちているな…。良くこんな所を
見つけだしたものだ…)
そうして、彼はフェンスの向こうに広がる敷地内を眺めていく。
初めて来た筈なのに、妙に懐かしささえ感じられた。
そう…彼が車を停めているのはとある小学校の裏手の道路だった。
―ここならば貴方が過去と決別するのに絶好のロケーションとなる筈です…
そういってこの車にはナビが設置されていて、片桐を救出した後に真っ直ぐに
ここに向かった訳だが…ここに訪れた時、言葉を失いそうになった。
―ここはあまりに、彼が通っていた小学校に似ていたからだ
建物の外観も、体育館やプールなどの配置も…何もかもが
思い出したくもないあの学校とまったく一緒だった。
確かに小学校なら、児童が帰った後なら身を隠すには絶好の場所になる。
目の前の風景を眺めていきながら…彼は逡巡していった。
(いい加減、過去を吹っ切るべきなんだろうな…)
忌まわしい地に良く似た場所を見つめていきながら…彼は
ごく自然にそう思っていく。
少しずつ、彼が過去と決別する為の舞台が整い始めていることを
感じていきながら…彼は煙草の先に火を灯して、肺の中を紫煙で
満たしていったのだったー
ダブっている状態になっていたのを修正したのと、
ワード文書で1P程度分、加筆させて頂きました。
そしてとりあえず別ジャンルのアンソロジー原稿も
本文は仕上がりました。
後は文体整えて提出するだけです。
軽い報告、添えさせて頂きました。
では本日もこれから仕事、行ってきます~!
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
当分、鬼畜眼鏡側はこの連載に専念しますので宜しくです。
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失いかける。
落ち着かなくなる。
僕は桜が咲くと、こんな不快な思いをし続けるのだろう…)
執務室の中で一人で待機していた。
役職の人間に宛がわれるのに比べれば随分と慎ましいものだ。
力し続けてきたのだ。この部屋こそ…彼がこの会社内でそれなりの功績を
挙げてきたという証でもあった。
社内でも評価が下がりつつある。
いるのかもしれなかった。
しまうんだろう…。僕らは小さい頃からずっといたのに。その他の記憶は
遠く霞んだようになって…いつだって思い出すのは、あの決別の日のことばかりだ…)
叩く仕草をしていった。苛立っている人間特有の癖だ。
向かわせていた。
進めるつもりだった。
出来れば、こちらの勝利は揺るぎないものになる筈だ。
手掛けた仕事は全て失敗か、パっとしない結果に終わっているんだ…。
君が関わっている限り…常にMGNと対抗商品ばかり作っている会社は
さんざんな結果に終わるだろう…。ここで巻き返しをしなければ…
会社での僕の立場も危うくなってしまう…)
部下たちからの連絡を待った。
深呼吸をしていく。
本当に目障りなんだよ…!」
溜息を吐いていった。
MGNと対立している会社にその情報を流すことと…対立している会社に
手を貸して、MGNの現在の地位から引きずり下ろすことだった。
息が掛かった会社に非常に似た商品を先に発売させてMGNの方に
痛手を与える筈だった。 だが澤村が直前に得た情報は、佐伯克哉のせいで
全て無駄になってしまったのだ。
商品が…佐伯克哉が考案したペットボトルでの容器で発売することと
なってしまったのだ。
MGNの新商品を潰すというプランが根本から崩されてしまったのだ。
特に社内でも扱いが非常に軽くなってしまった事を実感していた。
君がいる限り、絶対に僕は上手くいかない…。去年、僕が味わった
苦渋を今度は君が味わう番だよ…!)
与えたその事実を知らないだろう。
気持ちが収まりそうになかった。
自分の前を歩いていた。
努力した時期もあった。
彼は常に自分よりも好成績を叩き出していた。
黒い染みが広がっていった。
誇らしかっのに、ある時期からは…彼の存在が自分の劣等感を酷く
刺激している事に気づいた。
ずっと抑え続けていた。
傍にいることなど出来ないから…
結局、無自覚でこちらの心を痛めつけてくれた相手に対しての静かな
報復を開始していったのだ。
追い抜くか、もしくは相手を貶めて失墜させるか。
深く付き合わないようにしてきた。
しなければ自分の実力はいつまで経っても伸びてくれず…貶めて人に
勝っていても、必ず限界が来ることを。
のではなく…観察して、影で反復練習を繰り返し続けて…『すぐに出来るように
する努力』を欠かさなかった事に彼は気づいていなかったし、
見えてもいなかったのだ。
直視しようとしなかった。
苦しみを訴えていた
幾度も幾度も、澤村の心を抉り続ける。
どうしてあの日の自分は泣いてしまっていたのか、どうしても自分で
理解出来なかった。
部下を持つと苦労する…!」
この場からは動けない。
早く佐伯克哉を打ち負かして、こんなものから解放されたかった。
青ざめるようなものばかりで、特に最後の電話を取った時、彼は怒りのあまりに
蒼白になり…全身を大きく震わせていったのだった―
10 | 2024/11 | 12 |
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当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。