鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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現在、自分がダイエットで右往左往しているので
いっそネタにしてしまえ…という感じで勢いで
始めました。
けど、ダイエットする動機って…自分の為もあるけど、
恋人とかいた場合…好きな相手に魅力的に見て貰いたいから
って気持ちってあると思うんですよ。
その辺、克哉に転換してみたら…ああ、可愛いかなって。
そんな感じの話です。
佐伯克哉は、シャワーを浴びた後…十日ぶりに体重計に乗っていった。
其処に表示される数字を見て、思わず凍りついてしまっていた。
最近、やや不規則な生活をしていたという自覚があったから…1キロぐらいの
増加は少し覚悟していた。
けれど其処に示されていた数字は、予想を越えて…今の彼には
無情なものになっていた。
―気づいたら、体重が2キロ増えていた
暫く、多忙を極めていて…十日ばかり、体重計に乗らないで
過ごしてしまっていた。
今度、御堂が手掛けた新商品が海外でも多くの国で販売される
事になったので、その準備の為に…連日、夜22時過ぎまで残業して
不規則な生活を送っていた。
御堂の元で働くようになってから、こういう事はしばしば起こる事だって
判っていたし…自己管理はしっかりやっていたつもりだった。
けれど、十日間…体重計に乗らないだけでここまで効果てきめんに
太ってしまうんだという事実を突きつけられて、克哉は非常にヘコんでいた。
(ううう…この十日間、忙しすぎて…夕食を食べる時間が22時とか23時近く
になってしまった事が何度かあったからなぁ…。今まではその辺は気を
つけていたのに…オレのバカバカバカ…!)
克哉はどちらかというと、スレンダーな体型の方に入る。
2キロぐらいなら、其処まで目立った変化はないし…言わなければ、
周りの人間も気にしないだろう。
けれど…御堂という魅力的かつ、自分に厳しすぎるタイプの人間を
恋人に持ってしまった以上…あまり己を甘やかす事が出来なかった。
(これをこのまま放置していたら…孝典さんに合わせる顔がなくなるよな…。
2キロぐらいなら、頑張ればすぐに戻せる数字だけど…これを放置して、
5キロ、10キロとか増加してしまったら…自己管理が出来ない人間だと
呆れられてしまうよな…確実に…)
其処まで考えて、ストレス発散に…一回だけ、23時過ぎの夕食の時に
ビール一本も追加してしまった事実が重く心に圧し掛かって来た。
一般的に22時以降の夕食は、その後脂肪となって蓄積されやすいという
知識は持っていた筈なのに…忙しいから、とか…たまになら良いと自分に
言い訳をして…やってしまった事に深い後悔を覚えていた。
試しに、風呂上りの自分の腹をつかんでみたら…軽くつまめてしまう。
いや、元々…多少は皮ぐらいはつまめていたが…今は少しとは言え
厚みが伴ってしまっている気がして…克哉はようやく焦り始めた。
(…出来るだけ早く、この増えた分を戻さないとな…)
そうやって葛藤していると…向こうの方から、御堂の声が聞こえた。
『克哉…そろそろ朝食の準備が出来たぞ』
「あ、はい…今、行きます!」
こちらがシャワーを浴びている間、今朝は御堂が朝食の準備をして
くれていた。
基本的には朝食は克哉の方が準備する事が多いのだが…昨日は
克哉の方が帰宅時間が遅くなってしまったので…こちらを気遣って、
シャワーを浴びる時間を作る為に、『今朝は私が準備をしておく。その間に
浴びてくると良い』と言われて…その言葉に甘える事にした訳だ。
克哉が今まで住んでいたアパートを処分して、毎日一緒に暮らすように
なってから数カ月が経過していた。
最初の頃は緊張していた時もあったが…今では、ずっと御堂と一緒に
過ごす事が克哉にとって…日常の一部にもなってきて、馴染み始めて
来ていた。
(だからこそ、つい…緊張感がなくなって来たというか…自分に甘くなって
来てしまったんだけどな…)
体重が二キロ増加した事実を突きつけられて、自分の方に少し緊張感が
なくなってしまっていた事にも気づかされた。
自分は御堂の事を愛している。
恋人同士になってそれなりの時間が経った今も…その恋心は冷めずに
克哉の中で熱く燃えている。
―だからこそ、このままじゃダメだ…! 凄く女々しい考えかも知れないけど…
あの人の目に、少しでも魅力的に映る自分でありたい…!
そう鏡の前で決心していくと、自分に気合いを入れる為に…バッチンと
頬を叩いていき。
そして手早く下着とシャツとズボンを身につけて…リビングに向かっていった
のだった―
いっそネタにしてしまえ…という感じで勢いで
始めました。
けど、ダイエットする動機って…自分の為もあるけど、
恋人とかいた場合…好きな相手に魅力的に見て貰いたいから
って気持ちってあると思うんですよ。
その辺、克哉に転換してみたら…ああ、可愛いかなって。
そんな感じの話です。
佐伯克哉は、シャワーを浴びた後…十日ぶりに体重計に乗っていった。
其処に表示される数字を見て、思わず凍りついてしまっていた。
最近、やや不規則な生活をしていたという自覚があったから…1キロぐらいの
増加は少し覚悟していた。
けれど其処に示されていた数字は、予想を越えて…今の彼には
無情なものになっていた。
―気づいたら、体重が2キロ増えていた
暫く、多忙を極めていて…十日ばかり、体重計に乗らないで
過ごしてしまっていた。
今度、御堂が手掛けた新商品が海外でも多くの国で販売される
事になったので、その準備の為に…連日、夜22時過ぎまで残業して
不規則な生活を送っていた。
御堂の元で働くようになってから、こういう事はしばしば起こる事だって
判っていたし…自己管理はしっかりやっていたつもりだった。
けれど、十日間…体重計に乗らないだけでここまで効果てきめんに
太ってしまうんだという事実を突きつけられて、克哉は非常にヘコんでいた。
(ううう…この十日間、忙しすぎて…夕食を食べる時間が22時とか23時近く
になってしまった事が何度かあったからなぁ…。今まではその辺は気を
つけていたのに…オレのバカバカバカ…!)
克哉はどちらかというと、スレンダーな体型の方に入る。
2キロぐらいなら、其処まで目立った変化はないし…言わなければ、
周りの人間も気にしないだろう。
けれど…御堂という魅力的かつ、自分に厳しすぎるタイプの人間を
恋人に持ってしまった以上…あまり己を甘やかす事が出来なかった。
(これをこのまま放置していたら…孝典さんに合わせる顔がなくなるよな…。
2キロぐらいなら、頑張ればすぐに戻せる数字だけど…これを放置して、
5キロ、10キロとか増加してしまったら…自己管理が出来ない人間だと
呆れられてしまうよな…確実に…)
其処まで考えて、ストレス発散に…一回だけ、23時過ぎの夕食の時に
ビール一本も追加してしまった事実が重く心に圧し掛かって来た。
一般的に22時以降の夕食は、その後脂肪となって蓄積されやすいという
知識は持っていた筈なのに…忙しいから、とか…たまになら良いと自分に
言い訳をして…やってしまった事に深い後悔を覚えていた。
試しに、風呂上りの自分の腹をつかんでみたら…軽くつまめてしまう。
いや、元々…多少は皮ぐらいはつまめていたが…今は少しとは言え
厚みが伴ってしまっている気がして…克哉はようやく焦り始めた。
(…出来るだけ早く、この増えた分を戻さないとな…)
そうやって葛藤していると…向こうの方から、御堂の声が聞こえた。
『克哉…そろそろ朝食の準備が出来たぞ』
「あ、はい…今、行きます!」
こちらがシャワーを浴びている間、今朝は御堂が朝食の準備をして
くれていた。
基本的には朝食は克哉の方が準備する事が多いのだが…昨日は
克哉の方が帰宅時間が遅くなってしまったので…こちらを気遣って、
シャワーを浴びる時間を作る為に、『今朝は私が準備をしておく。その間に
浴びてくると良い』と言われて…その言葉に甘える事にした訳だ。
克哉が今まで住んでいたアパートを処分して、毎日一緒に暮らすように
なってから数カ月が経過していた。
最初の頃は緊張していた時もあったが…今では、ずっと御堂と一緒に
過ごす事が克哉にとって…日常の一部にもなってきて、馴染み始めて
来ていた。
(だからこそ、つい…緊張感がなくなって来たというか…自分に甘くなって
来てしまったんだけどな…)
体重が二キロ増加した事実を突きつけられて、自分の方に少し緊張感が
なくなってしまっていた事にも気づかされた。
自分は御堂の事を愛している。
恋人同士になってそれなりの時間が経った今も…その恋心は冷めずに
克哉の中で熱く燃えている。
―だからこそ、このままじゃダメだ…! 凄く女々しい考えかも知れないけど…
あの人の目に、少しでも魅力的に映る自分でありたい…!
そう鏡の前で決心していくと、自分に気合いを入れる為に…バッチンと
頬を叩いていき。
そして手早く下着とシャツとズボンを身につけて…リビングに向かっていった
のだった―
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※これは御堂と克哉のカップルがふとしたキッカケで
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
『装飾 』 1 2
―結局、克哉は水着を後日に別の通販サイトで購入して
無事に御堂とスポーツジムに出かけていた
それから二週間後、そのサイト閲覧の事など
忘れかけていた頃…克哉にとっての事件は起こったのだった。
いつものように週末の夜を迎えて、御堂のマンションに足を
踏み入れて、夕食を食べてゆっくりしていった。
二人で一緒に食器等を片付けていってから、交互に
シャワーを浴びる流れになった。
「私は君が上がるのを待っていたい。先に入らせて貰って
構わないだろうか…?」
「はい、どうぞ。オレが後から入りますから…」
そんなやりとりをした後、二人はそれぞれシャワーを浴びていく。
先に入った御堂はバスローブに身を包んでベッドルームで寛いでいて…
克哉が風呂から戻ってくるのを静かに待っている筈だ。
もう毎週のように、繰り返されている事なのに…克哉はこの後に控える
甘い時間を想像するとカっと身体が熱くなっておかしくなりそうだった。
(…いつになっても、慣れないな…。このくすぐったいような奇妙にむず痒いような
独特の感覚は…)
付き合い始めて数カ月が経過して、週末はほぼ確実に激しく愛し合っている。
それなのにもうじき御堂に抱かれると思うだけで…それだけで下半身が
気を抜くと反応してしまいそうだった。
全身を隅々まで洗い、清めていく。
いつだったか、フランスの貴族は体臭を重んじる風潮があって日本人のように
シャワーを浴びて身体の匂いを洗い落としてしまうのを勿体ない、と考える
という話を御堂がした際は…事前にシャワーを浴びず、お互いの体臭を
濃密に感じ合いながら抱き会った事もあったけれど…克哉はやはり、愛する
人と抱きあう時は綺麗になった状態の方が安心出来た。
御堂の雄の匂いを強く感じて、確かにセックスの際にはお互いの汗の匂い
すらも興奮を高める要素になるというのは感じられた。
けど、御堂が自分の性器を口に含んだり蕾を刺激して受け入れたり
する時はやはり、身体を清めてからの方が安心は出来る。
(…普段、風呂に入る時はそんなに意識しないのにな…)
自分の下半身を洗うのに、普段だったらこんな気恥しさなど感じないのに。
これから御堂に愛されると思うだけで、洗う手にも妙に力が入っていく。
ドクンドクンと少しだけ平常時よりも早くなっている鼓動の音を自覚していきながら
10分程度の時間を掛けて克哉は身体を清めていく。
そして自分は清潔なパジャマの方に身を包んでいくと、スリッパを履いて
キッチンに移動し…水分補給を終えていくとまっすに御堂の寝室へと向かっていった。
ドアノブに手を掛ける瞬間、少しだけ緊張しながらゆっくりと扉を開いていくと…
ベッドの上にまるで王者のように堂々とした風格で腰を掛けている恋人の
姿が真っ先に飛び込んで来た。
それを見た途端、克哉はつい期待して息を飲んでいってしまう。
「…やっと来たか。今夜は随分と君は丁寧に身体を洗っていたみたいだな…」
「は、はい…。これから貴方と抱きあいますから…その…」
「…全く、君はいつまで経っても処女のような反応をみせるな…。さて、今夜は
君に贈りものがある…。ほら、これを開けてみるんだ…」
「贈りもの、ですか…? あ、ありがとうございます…」
不意打ちのように渡されるプレゼントに驚いていくも、克哉は
それを眩いばかりの笑顔で受け取っていく。
その時、御堂の視線が痛いぐらいにこちらに熱く注がれているのに
気づいて、頬が赤くなっていく。
(一体これなんだろう…。まず、開けてみるかな…)
今日は別に特別な日でも何でもない。
それなのにプレゼントが用意されている事に若干疑問を覚えつつも
その包装を解いていき、克哉は中身を確認して息を飲んでいったのだった―
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
『装飾 』 1 2
―結局、克哉は水着を後日に別の通販サイトで購入して
無事に御堂とスポーツジムに出かけていた
それから二週間後、そのサイト閲覧の事など
忘れかけていた頃…克哉にとっての事件は起こったのだった。
いつものように週末の夜を迎えて、御堂のマンションに足を
踏み入れて、夕食を食べてゆっくりしていった。
二人で一緒に食器等を片付けていってから、交互に
シャワーを浴びる流れになった。
「私は君が上がるのを待っていたい。先に入らせて貰って
構わないだろうか…?」
「はい、どうぞ。オレが後から入りますから…」
そんなやりとりをした後、二人はそれぞれシャワーを浴びていく。
先に入った御堂はバスローブに身を包んでベッドルームで寛いでいて…
克哉が風呂から戻ってくるのを静かに待っている筈だ。
もう毎週のように、繰り返されている事なのに…克哉はこの後に控える
甘い時間を想像するとカっと身体が熱くなっておかしくなりそうだった。
(…いつになっても、慣れないな…。このくすぐったいような奇妙にむず痒いような
独特の感覚は…)
付き合い始めて数カ月が経過して、週末はほぼ確実に激しく愛し合っている。
それなのにもうじき御堂に抱かれると思うだけで…それだけで下半身が
気を抜くと反応してしまいそうだった。
全身を隅々まで洗い、清めていく。
いつだったか、フランスの貴族は体臭を重んじる風潮があって日本人のように
シャワーを浴びて身体の匂いを洗い落としてしまうのを勿体ない、と考える
という話を御堂がした際は…事前にシャワーを浴びず、お互いの体臭を
濃密に感じ合いながら抱き会った事もあったけれど…克哉はやはり、愛する
人と抱きあう時は綺麗になった状態の方が安心出来た。
御堂の雄の匂いを強く感じて、確かにセックスの際にはお互いの汗の匂い
すらも興奮を高める要素になるというのは感じられた。
けど、御堂が自分の性器を口に含んだり蕾を刺激して受け入れたり
する時はやはり、身体を清めてからの方が安心は出来る。
(…普段、風呂に入る時はそんなに意識しないのにな…)
自分の下半身を洗うのに、普段だったらこんな気恥しさなど感じないのに。
これから御堂に愛されると思うだけで、洗う手にも妙に力が入っていく。
ドクンドクンと少しだけ平常時よりも早くなっている鼓動の音を自覚していきながら
10分程度の時間を掛けて克哉は身体を清めていく。
そして自分は清潔なパジャマの方に身を包んでいくと、スリッパを履いて
キッチンに移動し…水分補給を終えていくとまっすに御堂の寝室へと向かっていった。
ドアノブに手を掛ける瞬間、少しだけ緊張しながらゆっくりと扉を開いていくと…
ベッドの上にまるで王者のように堂々とした風格で腰を掛けている恋人の
姿が真っ先に飛び込んで来た。
それを見た途端、克哉はつい期待して息を飲んでいってしまう。
「…やっと来たか。今夜は随分と君は丁寧に身体を洗っていたみたいだな…」
「は、はい…。これから貴方と抱きあいますから…その…」
「…全く、君はいつまで経っても処女のような反応をみせるな…。さて、今夜は
君に贈りものがある…。ほら、これを開けてみるんだ…」
「贈りもの、ですか…? あ、ありがとうございます…」
不意打ちのように渡されるプレゼントに驚いていくも、克哉は
それを眩いばかりの笑顔で受け取っていく。
その時、御堂の視線が痛いぐらいにこちらに熱く注がれているのに
気づいて、頬が赤くなっていく。
(一体これなんだろう…。まず、開けてみるかな…)
今日は別に特別な日でも何でもない。
それなのにプレゼントが用意されている事に若干疑問を覚えつつも
その包装を解いていき、克哉は中身を確認して息を飲んでいったのだった―
※これは御堂と克哉のカップルがふとしたキッカケで
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
『装飾 』 1
―その男性用下着を取り扱っているサイトにはともかく過激な
デザインの一品ばかりが掲載されていた
以前の克哉だったら、そんな物に興味をそそられる事はなかった
ままだったかも知れない。
しかし御堂という恋人を得て、いつの間にかその辺の意識は
変化してしまっていたようだ。
(うわ…これなんて、紫のシースルーでうっすらと透けて見える…。
こんなのを俺や御堂さんがつけたら…)
無意識の内にゴクリ、と息を飲んでいってしまう。
以前なら同性の性器を見たって何の感情も湧かなかったのに、
今の克哉はその事を想像しただけで興奮して堪らなくなっていく。
そして次々に、色んなデザインのものをマウスをクリックして眺めて
いってしまう。
(うわ…これなんて、発禁寸前じゃないのか…? 殆どメッシュ生地の下から
見えてしまっているし…わわっ、こっちなんて、随分と強調されている。
どれも凄い…)
「…凄い、こっちのは殆ど露出してしまっている…。ブーメランみたいな
角度で、凄くいやらしい…」
本当ならそろそろ御堂がいつ帰って来てもおかしくない時間帯だ。
其れに備えて、さっき作った夕食を温めたり色々と準備をしなくては
いけない頃なのに…すっかり妄想に思考が支配され、意識は
パソコンのディスプレイに釘付けになってしまう。
「…オレ、何を考えているんだろう…。まるで、変態だ…」
このサイトに置いてあるようないやらしくセクシーな下着を
身につけて、御堂に責められたら…と思うと、身体が熱くなって
おかしくなりそうだ。
ドクンドクン、と胸の鼓動が高鳴っていくのを感じていく。
御堂と散々身体を重ねて、言葉で攻めたれたり恥ずかしい事を
いっぱいさせられたおかげで、克哉は言葉で責められたり辱め
られる事で快感や興奮を覚えるように変わってしまっていた。
(例えばこの黒いビキニや、スタイリッシュなサテンっぽい生地の
奴を御堂さんがつけたら…それだけで、おかしくなりそう…)
下着から浮き出るもっこりした部分に、意識が釘付けになる。
そろそろパソコンを閉じて離れなきゃいけない、と頭の隅で警報が鳴って
いくも…どうしても視線はそちらに寄ってしまう。
そのサイトは、男性モデルがちゃんと参考画像で着用したものを
掲載してあるからよりリアルに想像が出来てしまう。
特に御堂は定期的にスポーツジムに通って、見事に腹筋が割れた
良い身体をしているから…余計に妄想が膨らんでいってしまう。
(こんないやらしい下着を着せられて、御堂さんに足を大きく開けと
命じられてしまったら…きっと、ゾクゾクしておかしくなるんだろうな…)
そして、いやらしくなった自分を御堂に言葉で責められている場面を
想像して、それだけで下半身が反応しそうになっていった。
ズクン、と下肢に熱と血流が集まっていくのが判る。
(どうしよう…イキ、たい…鎮めないと、頭がおかしくなりそう…)
荒い息を、唇から零しながら今すぐにでも自慰をしたい衝動に
駆られていく。
そろそろ御堂が帰ってくるから、という理性と。
サイトを見ている内にこもってしまった熱を一刻も早く吐き出して
楽になりたいという思いが克哉の中でぶつかりあっていく。
(御堂さん、そろそろ帰ってくるよな…けど、もう…オレ…)
散々苛められて辱められて、我慢が足りなくなった身体はすぐにでも
解放される事を望んでしまっている。
「御堂さんが、帰って来ませんように…」
そうして溢れてくる唾を何度も飲み込んでいきながら、己の股間に
ゆっくりと手を伸ばしていくと同時に…玄関の方から物音が微かに
聞こえていった。
其れを聴いた途端、即座に現実に意識が引き戻らされていった。
「っ…! もう、帰って来た…?」
途端に、少し緩め掛けていたフロント部分を整えて…パソコンを
慌てて電源を切っていく。
こんなサイトを見てしまっていた事を、恥ずかしくて御堂に知られたくなくて
とっさに行動してしまっていた。
「ど、どうしよ…早く行かないと…」
一刻も早く玄関に駆け出したかったが、見ていたサイトがサイトだけに
キチンと終了されているのを見届けなければ気が済まなかった。
PCがログオフするまでの、本来なら短い筈の時間が妙に
長く感じられた。
そして焦れていきつつも…パソコンが終了していくと同時に
背後で部屋の扉が開いていった。
「克哉…其処にいたのか。随分と遅くなってすまない…」
「あ、御堂さん…すみません、貴方が帰って来たのにすぐに
玄関まで出迎えに行かなくて…」
「そんなにこの家では気を遣わなくて良いと以前から言っているだろう?
さあ…早く夕食を食べよう。それからじゃないと君というメインディッシュを
味わう体力が出ないだろうからな…」
「っ…! そ、そんな恥ずかしい事をサラリと言わないで
下さい…全く、もう…」
御堂の言葉から、この後に控える甘い時間を想像してしまって
それでまた身体が熱くなりかけた。
けれどどうにか、今は夕食が優先と自分に言い聞かせて下半身の
欲求をコントロールしていく。
(今は夕食を食べる方を優先しよう…)
そして自分の背後で、パソコンが終了をする音を聞いていきながら
今は克哉は一緒に食べる夕食の方に意識を優先していき。
この時に見ていたサイトがこの後、どんな展開を巻き起こすのか
全く考えもしないまま…机の前から離れていったのだった―
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
『装飾 』 1
―その男性用下着を取り扱っているサイトにはともかく過激な
デザインの一品ばかりが掲載されていた
以前の克哉だったら、そんな物に興味をそそられる事はなかった
ままだったかも知れない。
しかし御堂という恋人を得て、いつの間にかその辺の意識は
変化してしまっていたようだ。
(うわ…これなんて、紫のシースルーでうっすらと透けて見える…。
こんなのを俺や御堂さんがつけたら…)
無意識の内にゴクリ、と息を飲んでいってしまう。
以前なら同性の性器を見たって何の感情も湧かなかったのに、
今の克哉はその事を想像しただけで興奮して堪らなくなっていく。
そして次々に、色んなデザインのものをマウスをクリックして眺めて
いってしまう。
(うわ…これなんて、発禁寸前じゃないのか…? 殆どメッシュ生地の下から
見えてしまっているし…わわっ、こっちなんて、随分と強調されている。
どれも凄い…)
「…凄い、こっちのは殆ど露出してしまっている…。ブーメランみたいな
角度で、凄くいやらしい…」
本当ならそろそろ御堂がいつ帰って来てもおかしくない時間帯だ。
其れに備えて、さっき作った夕食を温めたり色々と準備をしなくては
いけない頃なのに…すっかり妄想に思考が支配され、意識は
パソコンのディスプレイに釘付けになってしまう。
「…オレ、何を考えているんだろう…。まるで、変態だ…」
このサイトに置いてあるようないやらしくセクシーな下着を
身につけて、御堂に責められたら…と思うと、身体が熱くなって
おかしくなりそうだ。
ドクンドクン、と胸の鼓動が高鳴っていくのを感じていく。
御堂と散々身体を重ねて、言葉で攻めたれたり恥ずかしい事を
いっぱいさせられたおかげで、克哉は言葉で責められたり辱め
られる事で快感や興奮を覚えるように変わってしまっていた。
(例えばこの黒いビキニや、スタイリッシュなサテンっぽい生地の
奴を御堂さんがつけたら…それだけで、おかしくなりそう…)
下着から浮き出るもっこりした部分に、意識が釘付けになる。
そろそろパソコンを閉じて離れなきゃいけない、と頭の隅で警報が鳴って
いくも…どうしても視線はそちらに寄ってしまう。
そのサイトは、男性モデルがちゃんと参考画像で着用したものを
掲載してあるからよりリアルに想像が出来てしまう。
特に御堂は定期的にスポーツジムに通って、見事に腹筋が割れた
良い身体をしているから…余計に妄想が膨らんでいってしまう。
(こんないやらしい下着を着せられて、御堂さんに足を大きく開けと
命じられてしまったら…きっと、ゾクゾクしておかしくなるんだろうな…)
そして、いやらしくなった自分を御堂に言葉で責められている場面を
想像して、それだけで下半身が反応しそうになっていった。
ズクン、と下肢に熱と血流が集まっていくのが判る。
(どうしよう…イキ、たい…鎮めないと、頭がおかしくなりそう…)
荒い息を、唇から零しながら今すぐにでも自慰をしたい衝動に
駆られていく。
そろそろ御堂が帰ってくるから、という理性と。
サイトを見ている内にこもってしまった熱を一刻も早く吐き出して
楽になりたいという思いが克哉の中でぶつかりあっていく。
(御堂さん、そろそろ帰ってくるよな…けど、もう…オレ…)
散々苛められて辱められて、我慢が足りなくなった身体はすぐにでも
解放される事を望んでしまっている。
「御堂さんが、帰って来ませんように…」
そうして溢れてくる唾を何度も飲み込んでいきながら、己の股間に
ゆっくりと手を伸ばしていくと同時に…玄関の方から物音が微かに
聞こえていった。
其れを聴いた途端、即座に現実に意識が引き戻らされていった。
「っ…! もう、帰って来た…?」
途端に、少し緩め掛けていたフロント部分を整えて…パソコンを
慌てて電源を切っていく。
こんなサイトを見てしまっていた事を、恥ずかしくて御堂に知られたくなくて
とっさに行動してしまっていた。
「ど、どうしよ…早く行かないと…」
一刻も早く玄関に駆け出したかったが、見ていたサイトがサイトだけに
キチンと終了されているのを見届けなければ気が済まなかった。
PCがログオフするまでの、本来なら短い筈の時間が妙に
長く感じられた。
そして焦れていきつつも…パソコンが終了していくと同時に
背後で部屋の扉が開いていった。
「克哉…其処にいたのか。随分と遅くなってすまない…」
「あ、御堂さん…すみません、貴方が帰って来たのにすぐに
玄関まで出迎えに行かなくて…」
「そんなにこの家では気を遣わなくて良いと以前から言っているだろう?
さあ…早く夕食を食べよう。それからじゃないと君というメインディッシュを
味わう体力が出ないだろうからな…」
「っ…! そ、そんな恥ずかしい事をサラリと言わないで
下さい…全く、もう…」
御堂の言葉から、この後に控える甘い時間を想像してしまって
それでまた身体が熱くなりかけた。
けれどどうにか、今は夕食が優先と自分に言い聞かせて下半身の
欲求をコントロールしていく。
(今は夕食を食べる方を優先しよう…)
そして自分の背後で、パソコンが終了をする音を聞いていきながら
今は克哉は一緒に食べる夕食の方に意識を優先していき。
この時に見ていたサイトがこの後、どんな展開を巻き起こすのか
全く考えもしないまま…机の前から離れていったのだった―
※これは御堂と克哉のカップルがふとしたキッカケで
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
―近い内、一緒に私が良く利用しているジムのプールに出掛けよう
御堂と正式に恋人関係になってから数カ月。
克哉はその言葉を受けて…新しく水着を買う事に決めた。
まだちゃんと付き合い始めてからそんなに時間が経っていないし…
御堂の言動や行動に、一喜一憂している部分もある。
お互いに働いている職場も違うし、終業時間も異なる。
本日は自分の方が早く上がり、御堂はかなり遅くまで残業するとメールで
連絡が来たので…合鍵を使用して部屋にお邪魔させて貰い、二人分の
夕食を準備していった。
けれど食事が出来あがっても、まだまだ御堂が帰宅する予定時間までは
結構あった。
週末は御堂のマンションで一緒に過ごす、というのがパターンになっていた。
部屋の中にある品も、自由に使って構わないと言われている。
(…御堂さんが戻って来るまで、後…30~40分ぐらいあるよな…)
克哉は携帯で時間を確認して、自分がその時間をもてあましている事に
気づいていった。
御堂にMGNに移籍するように声を掛けられて…今はその準備を進めているが、
一通りそれらの件が片付くまではもう少し時間が掛かるだろう。
交際するようになっても、共に過ごせるのは主に週末ぐらいしかなく。
早く会いたいと待ち望む心と…その時まで、もう少し待たないといけないという
気持ちがせめぎ合っているのが判った。
(何にもしないでいると…必要以上に不安になってしまうな…。あ、そうだ…
この間、御堂さんにプールに一緒に行かないかと誘われた訳だし…
新しい水着でも見てみようかな…)
御堂の使用しているディスクトップパソコンは、克哉用のユーザーアカウントを
作成して貰っているので事実上、自由に使える。
けれど御堂が傍にいるとイチャついたり…抱きあう方が優先になってしまうので
殆ど使った事はなかった。
水着を新調したい、と望んでもなかなか仕事返りに水着売り場に立ち寄れる
ものでもない。
けれどせっかく大好きな人と出掛けるのだから…その辺は気合いを入れたいと
考えて、克哉はパソコンが置いてある部屋へと向かっていった。
定期的にハウスキーパーを入れていると言っている御堂の部屋は、どの部屋も
キチンと整理整頓されて…機能的になっている。
パソコンは御堂が書斎として使っている部屋に置かれていて…克哉は電源を
入れていくと…たどたどしい動きで、パスワードを入力していった。
ログインする為の手順を完了させ、暫くディスプレイをにらめっこしていくと…
トップ画面が表示されていった。
インターネットを繋ぐ為のアイコンをクリックしていくと…検索エンジンを選択して
キーワードを打ち込んでいった。
「えっと…男性用水着、通販…と。これで良いサイトが見つかるかな…」
そう選択した時は、まだ平静でいられた。
そして表示された検索結果のトップの方に表示されていた男性用下着を
中心に扱っている店を何気なく選んでいくと…次の瞬間、絶句した。
「うわ…」
そのサイトにはトップ画面にすでに何点も、男性モデルが下着や水着を
つけている写真がアップされていた。
筋骨隆々とした逞しい身体をした男性の腹部から太股に掛けての部分が
クローズアップされていく。
途端に生々しいものを感じて、息を飲んでいった。
(み、水着を早く見よう…その為にこのサイトに来たんだし…!)
そうして慌ててマウスを操作して、水着という単語をクリックしようとしたら…
その上にあった「エレガンス」という単語を間違えて押してしまった。
「わぁ!」
そしてその画面いっぱいに並ぶ、男性下着とは思えないデザインの
数々を見て…思わずパソコンの前で硬直してしまった。
「な、何だこれ…男が、こんなデザインの下着を本当に見に着けるなんて…
とても信じられないんだけど…」
画面には紐パンツやレースを使用して華やかなデザインのものや、シースルー…
それに殆ど危険な部位だけをギリギリ隠しているに過ぎないものなど…克哉から
したら際どすぎる代物ばかりが並んでいた。
妙に性器が浮かび上がって強調されている感じのものまであるし…透けている
ものに至っては、これは人に見せたら確実に犯罪レベルだろう…というものまであった。
「………凄いな、これ…」
一瞬、御堂がこんな際どい水着を着たら…というあらぬ妄想が脳裏をよぎって、
迂闊にも下半身が反応しかけた。
(な、何を考えているんだよオレってば…! 御堂さんがこんなデザインの物を
身につける訳がないじゃないか…!)
そうして、慌てて男性用水着 ビキニ…という項目をクリックすると…
其処でも男性モデル達の逞しい下半身が幾つも一斉に表示されていった。
以前だったらこういう物を見ても、同性のもので反応をする事などなかったのに…
御堂と付き合うようになってから、セクシャルな視線で見るようになってしまった
自分の変化に嫌でも気づかされていく。
(…どれも凄い角度だな…。もしこんなのをあの人が着たら…)
自分が着る用のものを選んでいる筈なのに、脳裏をよぎるのは恋人が
着用したら…という妄想ばかりだった。
ゴクリ、と息を飲んで暫く夢中でその画面を凝視していく。
妙にドキドキして、腰が疼いていくのを感じる。
(何か…身体が凄く熱くなっている…ヤバイ、かも…)
動機は、新しい水着を買う為だった筈なのに…妄想が広がる度に身体の奥が
妙に熱くなっていくのを感じていく。
(他に…どんなのがあるんだろう…)
その好奇心がわき上がった時、御堂がそろそろ帰宅する時間だと言う事が
すっぽりと抜け落ちてしまい…克哉はもう少し、そのサイトをめぐり始めて
しまったのだった―
男性用の下着を扱っているサイトを見て…という感じの
お話です。
妙にエロい感じの会話と雰囲気の話なので了承の上で
お読みください。
―近い内、一緒に私が良く利用しているジムのプールに出掛けよう
御堂と正式に恋人関係になってから数カ月。
克哉はその言葉を受けて…新しく水着を買う事に決めた。
まだちゃんと付き合い始めてからそんなに時間が経っていないし…
御堂の言動や行動に、一喜一憂している部分もある。
お互いに働いている職場も違うし、終業時間も異なる。
本日は自分の方が早く上がり、御堂はかなり遅くまで残業するとメールで
連絡が来たので…合鍵を使用して部屋にお邪魔させて貰い、二人分の
夕食を準備していった。
けれど食事が出来あがっても、まだまだ御堂が帰宅する予定時間までは
結構あった。
週末は御堂のマンションで一緒に過ごす、というのがパターンになっていた。
部屋の中にある品も、自由に使って構わないと言われている。
(…御堂さんが戻って来るまで、後…30~40分ぐらいあるよな…)
克哉は携帯で時間を確認して、自分がその時間をもてあましている事に
気づいていった。
御堂にMGNに移籍するように声を掛けられて…今はその準備を進めているが、
一通りそれらの件が片付くまではもう少し時間が掛かるだろう。
交際するようになっても、共に過ごせるのは主に週末ぐらいしかなく。
早く会いたいと待ち望む心と…その時まで、もう少し待たないといけないという
気持ちがせめぎ合っているのが判った。
(何にもしないでいると…必要以上に不安になってしまうな…。あ、そうだ…
この間、御堂さんにプールに一緒に行かないかと誘われた訳だし…
新しい水着でも見てみようかな…)
御堂の使用しているディスクトップパソコンは、克哉用のユーザーアカウントを
作成して貰っているので事実上、自由に使える。
けれど御堂が傍にいるとイチャついたり…抱きあう方が優先になってしまうので
殆ど使った事はなかった。
水着を新調したい、と望んでもなかなか仕事返りに水着売り場に立ち寄れる
ものでもない。
けれどせっかく大好きな人と出掛けるのだから…その辺は気合いを入れたいと
考えて、克哉はパソコンが置いてある部屋へと向かっていった。
定期的にハウスキーパーを入れていると言っている御堂の部屋は、どの部屋も
キチンと整理整頓されて…機能的になっている。
パソコンは御堂が書斎として使っている部屋に置かれていて…克哉は電源を
入れていくと…たどたどしい動きで、パスワードを入力していった。
ログインする為の手順を完了させ、暫くディスプレイをにらめっこしていくと…
トップ画面が表示されていった。
インターネットを繋ぐ為のアイコンをクリックしていくと…検索エンジンを選択して
キーワードを打ち込んでいった。
「えっと…男性用水着、通販…と。これで良いサイトが見つかるかな…」
そう選択した時は、まだ平静でいられた。
そして表示された検索結果のトップの方に表示されていた男性用下着を
中心に扱っている店を何気なく選んでいくと…次の瞬間、絶句した。
「うわ…」
そのサイトにはトップ画面にすでに何点も、男性モデルが下着や水着を
つけている写真がアップされていた。
筋骨隆々とした逞しい身体をした男性の腹部から太股に掛けての部分が
クローズアップされていく。
途端に生々しいものを感じて、息を飲んでいった。
(み、水着を早く見よう…その為にこのサイトに来たんだし…!)
そうして慌ててマウスを操作して、水着という単語をクリックしようとしたら…
その上にあった「エレガンス」という単語を間違えて押してしまった。
「わぁ!」
そしてその画面いっぱいに並ぶ、男性下着とは思えないデザインの
数々を見て…思わずパソコンの前で硬直してしまった。
「な、何だこれ…男が、こんなデザインの下着を本当に見に着けるなんて…
とても信じられないんだけど…」
画面には紐パンツやレースを使用して華やかなデザインのものや、シースルー…
それに殆ど危険な部位だけをギリギリ隠しているに過ぎないものなど…克哉から
したら際どすぎる代物ばかりが並んでいた。
妙に性器が浮かび上がって強調されている感じのものまであるし…透けている
ものに至っては、これは人に見せたら確実に犯罪レベルだろう…というものまであった。
「………凄いな、これ…」
一瞬、御堂がこんな際どい水着を着たら…というあらぬ妄想が脳裏をよぎって、
迂闊にも下半身が反応しかけた。
(な、何を考えているんだよオレってば…! 御堂さんがこんなデザインの物を
身につける訳がないじゃないか…!)
そうして、慌てて男性用水着 ビキニ…という項目をクリックすると…
其処でも男性モデル達の逞しい下半身が幾つも一斉に表示されていった。
以前だったらこういう物を見ても、同性のもので反応をする事などなかったのに…
御堂と付き合うようになってから、セクシャルな視線で見るようになってしまった
自分の変化に嫌でも気づかされていく。
(…どれも凄い角度だな…。もしこんなのをあの人が着たら…)
自分が着る用のものを選んでいる筈なのに、脳裏をよぎるのは恋人が
着用したら…という妄想ばかりだった。
ゴクリ、と息を飲んで暫く夢中でその画面を凝視していく。
妙にドキドキして、腰が疼いていくのを感じる。
(何か…身体が凄く熱くなっている…ヤバイ、かも…)
動機は、新しい水着を買う為だった筈なのに…妄想が広がる度に身体の奥が
妙に熱くなっていくのを感じていく。
(他に…どんなのがあるんだろう…)
その好奇心がわき上がった時、御堂がそろそろ帰宅する時間だと言う事が
すっぽりと抜け落ちてしまい…克哉はもう少し、そのサイトをめぐり始めて
しまったのだった―
エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1 2
何度も啄むようなキスを交わし合って、穏やかな時間が戻って来る。
こうして抱きあっていると、やっぱり安心出来た。
さっきの「好きな人が出来ました」発言は、エイプリールフールの
嘘だっていうのが判って御堂も複雑ながらも…安堵を覚える事が
出来たらしい。
そうしてそっとこちらの頬を御堂が撫ぜて来ると…バツの悪そうな
顔を浮かべながら呟いていった。
「…さっきは、取り乱してしまってすまない…」
「いいえ、オレの方こそ…。どうせ嘘をつくなら…もうちょっと笑える
感じのものにすれば良かったですね。…けど、オレは結構嬉しかった
ですけどね…」
「え、どうしてだろうか…?」
「…貴方が、嫉妬している姿を見る事が出来ましたから…」
「…嫉妬しない訳がないだろう。…今まで、君程執着した存在はいないし…
絶対に別れたくないと切に思っているのだから…」
「ええ、オレも…同じ気持ちです…。今まで、孝典さん程に好きになった
存在はいませんでしたから…」
そう、御堂と克哉はルックスは結構良い方だ。
だから今まで…お互いにそれなりの数の異性とも交際経験はあった。
しかし出会った頃は二人とも恋人のいない状態だったのは…克哉の方は
優柔不断な部分が、御堂の場合はワーカーホリック的な部分が強くて
恋人よりも仕事を優先する傾向にあったので…そこら辺が原因で破たんして
しまう事が多かった。
けれど二人はお互いと付き合い始めた頃から…仕事の方でも良い
流れを生み出すようになった。
お互いの相性が良い、と最も強く実感するのがその部分だ。
克哉は御堂と出会って、仕事上で必要なものを肌で多く感じ取らせて
貰って成長出来たと思っているし…御堂もまた、克哉と出会った事で
厳しいだけではなく、時に人に穏やかに対応したり寛容である事も
必要である事を自然と学んでいった。
その事をふと自覚すると…胸の中が暖かくなる。
そして、普段言えない言葉が自然と口から零れていった。
「…貴方とこうして恋人関係になり、一緒に仕事をする事になって本当に
オレは成長する事が出来たと思っていますから…。貴方の厳しさ、前に
進もうとする意思の強さ、妥協を許さない真摯な姿勢に…どれだけオレは
啓発されたか判りません。孝典さんを好きなのは…そういった、生きる
姿勢や態度も含まれていますから…。そういう意味でも、貴方はオレに
とって特別な…かけがえのない人ですから…」
「…反則、だな…。まさに飴と鞭だな…」
「えっ…それは、どういう意味…ですか…?」
「…あんな嘘を言われた後で、そんな風にこちらを悦ばすような事を
言われてしまったら嬉しくて仕方なくなる…。なるほど、エイプリルフールの
嘘にはこんな効能もある訳か…」
「えっ…ええっ…?」
その瞬間、御堂が実に狡猾そうな笑みを浮かべていったので密着した
体制にある克哉はドキっとせざるえなかった。
そうして耳元に唇を寄せられて…ゾクっとするような事を言われてしまった。
―来年のエイプリルフールが楽しみだな…
そんな言葉を、耳元で低く甘い声でささやかれてしまったら…嫌な予感と
同時に妙に甘い期待も覚えてしまっていた。
「あっ…た、孝典さん…。一体、どんな嘘をつく…つもりなんですか…?」
「さあな、それは来年になってからの楽しみにしておいてくれ…。そうしたら、
君もまた再来年に嘘をつき返せば良い。一年先でも、二年先でも…
私達の関係はずっと続いていく訳なんだからな…」
「は、はい…」
その言葉の意味を感じ取って、ジワリと胸の奥が暖かくなるのを
感じ取っていった。
来年も再来年も…それは、御堂の方には自分との関係を長く続けていく
ビジョンが存在しているという事実で。
其れを自覚した途端…ホワリ、と胸が温かくなっていった。
(どうしよう…凄く嬉しい…。来年のエイプリルフールにどんな嘘をつかれるか
想像すると不安もあるけど…この人が、一年先も二年先もずっとこの関係を
続けていく気があると知っただけで…涙が出そうなぐらい、嬉しい…)
だから嬉しくて嬉しくて、克哉はギュっと御堂の背中にしがみついていく。
小さな嘘から生まれた、とても幸福な一時。
基本的に、二人の関係を良好に保つためには…相手に対して誠実に応対して、
嘘などつかない方が良いに決まっているけれど。
時に…嘘もまた、相手の本心を映し出す指標になる事はあるから。
自分がついたウソによって、御堂の心がはっきりと映し出された事に…
心から喜びを覚えて、克哉はその幸せを噛みしめていく。
「大好きです…孝典さん…」
そして、真実の気持ちを相手に静かに告げていきながら…
克哉は徐々に口づけを深いものにしていき。
御堂もまた…抱き締める腕の力を強いものにしていきながら…
その想いにしっかりと答え始めていったのだった―
1 2
何度も啄むようなキスを交わし合って、穏やかな時間が戻って来る。
こうして抱きあっていると、やっぱり安心出来た。
さっきの「好きな人が出来ました」発言は、エイプリールフールの
嘘だっていうのが判って御堂も複雑ながらも…安堵を覚える事が
出来たらしい。
そうしてそっとこちらの頬を御堂が撫ぜて来ると…バツの悪そうな
顔を浮かべながら呟いていった。
「…さっきは、取り乱してしまってすまない…」
「いいえ、オレの方こそ…。どうせ嘘をつくなら…もうちょっと笑える
感じのものにすれば良かったですね。…けど、オレは結構嬉しかった
ですけどね…」
「え、どうしてだろうか…?」
「…貴方が、嫉妬している姿を見る事が出来ましたから…」
「…嫉妬しない訳がないだろう。…今まで、君程執着した存在はいないし…
絶対に別れたくないと切に思っているのだから…」
「ええ、オレも…同じ気持ちです…。今まで、孝典さん程に好きになった
存在はいませんでしたから…」
そう、御堂と克哉はルックスは結構良い方だ。
だから今まで…お互いにそれなりの数の異性とも交際経験はあった。
しかし出会った頃は二人とも恋人のいない状態だったのは…克哉の方は
優柔不断な部分が、御堂の場合はワーカーホリック的な部分が強くて
恋人よりも仕事を優先する傾向にあったので…そこら辺が原因で破たんして
しまう事が多かった。
けれど二人はお互いと付き合い始めた頃から…仕事の方でも良い
流れを生み出すようになった。
お互いの相性が良い、と最も強く実感するのがその部分だ。
克哉は御堂と出会って、仕事上で必要なものを肌で多く感じ取らせて
貰って成長出来たと思っているし…御堂もまた、克哉と出会った事で
厳しいだけではなく、時に人に穏やかに対応したり寛容である事も
必要である事を自然と学んでいった。
その事をふと自覚すると…胸の中が暖かくなる。
そして、普段言えない言葉が自然と口から零れていった。
「…貴方とこうして恋人関係になり、一緒に仕事をする事になって本当に
オレは成長する事が出来たと思っていますから…。貴方の厳しさ、前に
進もうとする意思の強さ、妥協を許さない真摯な姿勢に…どれだけオレは
啓発されたか判りません。孝典さんを好きなのは…そういった、生きる
姿勢や態度も含まれていますから…。そういう意味でも、貴方はオレに
とって特別な…かけがえのない人ですから…」
「…反則、だな…。まさに飴と鞭だな…」
「えっ…それは、どういう意味…ですか…?」
「…あんな嘘を言われた後で、そんな風にこちらを悦ばすような事を
言われてしまったら嬉しくて仕方なくなる…。なるほど、エイプリルフールの
嘘にはこんな効能もある訳か…」
「えっ…ええっ…?」
その瞬間、御堂が実に狡猾そうな笑みを浮かべていったので密着した
体制にある克哉はドキっとせざるえなかった。
そうして耳元に唇を寄せられて…ゾクっとするような事を言われてしまった。
―来年のエイプリルフールが楽しみだな…
そんな言葉を、耳元で低く甘い声でささやかれてしまったら…嫌な予感と
同時に妙に甘い期待も覚えてしまっていた。
「あっ…た、孝典さん…。一体、どんな嘘をつく…つもりなんですか…?」
「さあな、それは来年になってからの楽しみにしておいてくれ…。そうしたら、
君もまた再来年に嘘をつき返せば良い。一年先でも、二年先でも…
私達の関係はずっと続いていく訳なんだからな…」
「は、はい…」
その言葉の意味を感じ取って、ジワリと胸の奥が暖かくなるのを
感じ取っていった。
来年も再来年も…それは、御堂の方には自分との関係を長く続けていく
ビジョンが存在しているという事実で。
其れを自覚した途端…ホワリ、と胸が温かくなっていった。
(どうしよう…凄く嬉しい…。来年のエイプリルフールにどんな嘘をつかれるか
想像すると不安もあるけど…この人が、一年先も二年先もずっとこの関係を
続けていく気があると知っただけで…涙が出そうなぐらい、嬉しい…)
だから嬉しくて嬉しくて、克哉はギュっと御堂の背中にしがみついていく。
小さな嘘から生まれた、とても幸福な一時。
基本的に、二人の関係を良好に保つためには…相手に対して誠実に応対して、
嘘などつかない方が良いに決まっているけれど。
時に…嘘もまた、相手の本心を映し出す指標になる事はあるから。
自分がついたウソによって、御堂の心がはっきりと映し出された事に…
心から喜びを覚えて、克哉はその幸せを噛みしめていく。
「大好きです…孝典さん…」
そして、真実の気持ちを相手に静かに告げていきながら…
克哉は徐々に口づけを深いものにしていき。
御堂もまた…抱き締める腕の力を強いものにしていきながら…
その想いにしっかりと答え始めていったのだった―
※2011年度のエイプリールフール企画。
御堂に対して、克哉がちょっとした嘘をついた事をキッカケに
起こった…という設定です。
エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1
他愛無い嘘になる筈だった発言で、完全に頭に血が昇っている御堂を見て…
克哉は不謹慎ながら、ドキドキしてしまっていた。
良く考えてみれば、最初の頃は時々酷い一面を垣間見せていたけれど…
関係が安定してからは、こんな風に御堂が怒っているのを二人きりになって
いる時には殆ど見れなくなっていたから。
(…孝典さんが、嫉妬してくれている…オレに、対して…)
本当なら、ごめんなさいと謝らなければならないのは判っていた。
けれど吸いつく力の強さから、幾つも首筋から鎖骨という危うい場所に
御堂の刻印が刻まれている事に喜びを感じている自分もいた。
嫉妬というのは、相手を好きでなければ…関心がなければ抱かない
感情だからだ。
「あっ…う…!」
「君は、私だけのものだ…。誰にも、渡さない…!」
怒気すら孕んだ声で、御堂が訴えかけていく。
その声に、ゾクゾクと背筋が震えていくのを感じていった。
(早く、言わなきゃ…これはエイプリルフールの嘘だって…)
相手の声に怒りが含まれているのを強く感じ取って、克哉が
口を開こうとした次の瞬間…。
ツゥルルルル…ツゥルルルル…
ソファの前の机に置いてあった、克哉の携帯が着信音を鳴らしていた。
其れに二人は慌てて視線を向けていく。
そしてディスプレイには『本多 憲二』と出ているのを見て、反射的に
御堂は其れを手に取って、感情的に床に叩きつけようとしてしまい…
其れを察して、克哉もとっさに止めていく。
「わあ! 孝典さん! ストップストップ! 携帯に罪はないですから!」
「…す、すまん…! 腹が立っている時に本多君の名前を見ると…つい…」
「本多がウザイ! っていうのは気持ちはよくわかりますけど…落ち着いて
下さい! オレの携帯がそれやったら壊れるか、故障するだけですから!」
必死になって御堂の手首を押さえて、自分の携帯を叩きつけられないように
守っていく。
暫し至近距離でお互い睨みあいが続いていく。
そんな最中、御堂がとんでもない発言をボソリと呟いていった。
「…ま、まさか…さっき君が言った好きな男とは本多君の事なのか…?」
「違います。それだけは何があっても絶対に有り得ません!」
即答だった。
克哉は聞かれた瞬間、全力で持ってその可能性を否定した。
自分はもう、御堂しか見えないし…御堂以外の相手を恋愛対象にしたいとか
微塵も考えた事はない。
確かに学生時代とか、今までにも何人かの女性とは付き合ってきた。
けどその相手に対しても本気になどなった事なかったし…こうやって一緒に
暮らす段階まで達した事も、ここまで愛しく感じる事もなかった。
(オレには、孝典さんだけだ…。そう思っているから、今日ならその嘘も笑い話に
なると思ったのに…。けど、これ以上誤解されたままじゃ嫌だ。オレにとって
この人は唯一無二の…大切な人なんだから…)
克哉が即答した事で、御堂の顔に迷いが生じる。
さっきまで頭に昇っていた血の気が…少し下がったのを感じて、
克哉はようやく否定の言葉を口にしていった。
「…さっき言ったのは、嘘ですよ。今日はエイプリルフール…4月1日でしょう?
嘘をついて良いってルールがある日だから、すぐに貴方が否定して笑い飛ばして
くれると思って言っただけの話です。オレには貴方しかいませんから…
これ以上、真に受けないで下さい…」
「えっ…? エイプリルフール…?」
その言葉にすっかり毒気が抜かれたのか、御堂は呆けた顔を
浮かべていった。
全く予想もしていなかったらしい。
日にちを自覚していたら、直ぐに気づいたかも知れない事でも…
興奮してしまった状態ではなかなか気づけないものだ。
(…この反応、もしかして…孝典さんってあまりこの日に縁が
なかったのかな…。嗚呼、良く考えたら無理もないか…。
親しくなった今なら、オレも冗談の一つも言おうって気になるけど…
部下とか、周りの友人の人達も…迂闊にこの人に対して、4月1日でも
冗談とかそういうの…言えなかったんだろうな…)
御堂が、エイプリルフールを知らない…という事はないだろうが、
縁があまりなかった可能性はあるので、少し申し訳ない気持ちになった。
「ええ、四月バカ…。嘘を言っても良い日ですよ…。だから、さっきの
発言は気にしなくて良いです。オレには…貴方しかいませんから…」
「むっ…」
そういって、克哉の方から御堂の首元に腕を回してギュっとしがみついていく。
唇を重ねて、機嫌を直してもらうように祈りながら口づけていった。
この体制では相手の顔は見れなくて少し不安だったけれど…少し経って、
御堂の方からこちらの身体を抱きしめ返してくれたのを感じて、克哉は
ほっと安堵の息を吐いていったのだった―
御堂に対して、克哉がちょっとした嘘をついた事をキッカケに
起こった…という設定です。
エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1
他愛無い嘘になる筈だった発言で、完全に頭に血が昇っている御堂を見て…
克哉は不謹慎ながら、ドキドキしてしまっていた。
良く考えてみれば、最初の頃は時々酷い一面を垣間見せていたけれど…
関係が安定してからは、こんな風に御堂が怒っているのを二人きりになって
いる時には殆ど見れなくなっていたから。
(…孝典さんが、嫉妬してくれている…オレに、対して…)
本当なら、ごめんなさいと謝らなければならないのは判っていた。
けれど吸いつく力の強さから、幾つも首筋から鎖骨という危うい場所に
御堂の刻印が刻まれている事に喜びを感じている自分もいた。
嫉妬というのは、相手を好きでなければ…関心がなければ抱かない
感情だからだ。
「あっ…う…!」
「君は、私だけのものだ…。誰にも、渡さない…!」
怒気すら孕んだ声で、御堂が訴えかけていく。
その声に、ゾクゾクと背筋が震えていくのを感じていった。
(早く、言わなきゃ…これはエイプリルフールの嘘だって…)
相手の声に怒りが含まれているのを強く感じ取って、克哉が
口を開こうとした次の瞬間…。
ツゥルルルル…ツゥルルルル…
ソファの前の机に置いてあった、克哉の携帯が着信音を鳴らしていた。
其れに二人は慌てて視線を向けていく。
そしてディスプレイには『本多 憲二』と出ているのを見て、反射的に
御堂は其れを手に取って、感情的に床に叩きつけようとしてしまい…
其れを察して、克哉もとっさに止めていく。
「わあ! 孝典さん! ストップストップ! 携帯に罪はないですから!」
「…す、すまん…! 腹が立っている時に本多君の名前を見ると…つい…」
「本多がウザイ! っていうのは気持ちはよくわかりますけど…落ち着いて
下さい! オレの携帯がそれやったら壊れるか、故障するだけですから!」
必死になって御堂の手首を押さえて、自分の携帯を叩きつけられないように
守っていく。
暫し至近距離でお互い睨みあいが続いていく。
そんな最中、御堂がとんでもない発言をボソリと呟いていった。
「…ま、まさか…さっき君が言った好きな男とは本多君の事なのか…?」
「違います。それだけは何があっても絶対に有り得ません!」
即答だった。
克哉は聞かれた瞬間、全力で持ってその可能性を否定した。
自分はもう、御堂しか見えないし…御堂以外の相手を恋愛対象にしたいとか
微塵も考えた事はない。
確かに学生時代とか、今までにも何人かの女性とは付き合ってきた。
けどその相手に対しても本気になどなった事なかったし…こうやって一緒に
暮らす段階まで達した事も、ここまで愛しく感じる事もなかった。
(オレには、孝典さんだけだ…。そう思っているから、今日ならその嘘も笑い話に
なると思ったのに…。けど、これ以上誤解されたままじゃ嫌だ。オレにとって
この人は唯一無二の…大切な人なんだから…)
克哉が即答した事で、御堂の顔に迷いが生じる。
さっきまで頭に昇っていた血の気が…少し下がったのを感じて、
克哉はようやく否定の言葉を口にしていった。
「…さっき言ったのは、嘘ですよ。今日はエイプリルフール…4月1日でしょう?
嘘をついて良いってルールがある日だから、すぐに貴方が否定して笑い飛ばして
くれると思って言っただけの話です。オレには貴方しかいませんから…
これ以上、真に受けないで下さい…」
「えっ…? エイプリルフール…?」
その言葉にすっかり毒気が抜かれたのか、御堂は呆けた顔を
浮かべていった。
全く予想もしていなかったらしい。
日にちを自覚していたら、直ぐに気づいたかも知れない事でも…
興奮してしまった状態ではなかなか気づけないものだ。
(…この反応、もしかして…孝典さんってあまりこの日に縁が
なかったのかな…。嗚呼、良く考えたら無理もないか…。
親しくなった今なら、オレも冗談の一つも言おうって気になるけど…
部下とか、周りの友人の人達も…迂闊にこの人に対して、4月1日でも
冗談とかそういうの…言えなかったんだろうな…)
御堂が、エイプリルフールを知らない…という事はないだろうが、
縁があまりなかった可能性はあるので、少し申し訳ない気持ちになった。
「ええ、四月バカ…。嘘を言っても良い日ですよ…。だから、さっきの
発言は気にしなくて良いです。オレには…貴方しかいませんから…」
「むっ…」
そういって、克哉の方から御堂の首元に腕を回してギュっとしがみついていく。
唇を重ねて、機嫌を直してもらうように祈りながら口づけていった。
この体制では相手の顔は見れなくて少し不安だったけれど…少し経って、
御堂の方からこちらの身体を抱きしめ返してくれたのを感じて、克哉は
ほっと安堵の息を吐いていったのだった―
※これは一日遅れになりましたが…エイプリルフールに
ちなんで書いた御堂×克哉の小話です。
2~3回程度の短い話なので良ければ付き合ってやって
下さいませ~。
今日は、エイプリルフールで。
一年に一回、嘘を許される日という事になっている。
だから、克哉は最愛の御堂に向かってこう言った。
―好きな人が出来ました
たった一言。
四月バカというのが判っていれば、笑って許せる範囲の冗談と
思っていたから。
御堂がそれを理解してくれていれば、「ああ、今日はエイプリルフールだからな」と
サラリと流して…そして笑いあって終わると思っていたから。
―けれど、克哉の予想に反して…御堂は大きく目を見開いてリビングの
ソファの上で固まっていた
(えっ…?)
今年のエイプリルフールは平日だったので、今日の仕事を全力で片付けた
後に訪れた…自分達の団欒の時間が、一気にその一言で終わってしまったのを
克哉は感じて、サァ…と血の気が引くのを感じていった。
笑いながら、克哉はそう嘘を言ってしまった事に早くも強い後悔を感じ
始めていた。
「か、克哉…今の言葉は…本当、なのか…!」
「えっ…あ…」
御堂の真剣ぶりに、克哉も曖昧な返事をするしか出来ない。
冗談を続行させて良いのかどうか…強烈に迷いが生じていく。
これをあくまで嘘にするなら、一旦頷いて…後から、今日はエイプリルフールだからと
言って笑ってジョークにするのが良いのだが…御堂の反応が真剣過ぎて、
克哉の方も狼狽し始めてしまっていた。
(ど、どうしよう…今すぐに冗談だって言った方が良いのか…? それとも
一旦頷いて後からにした方が良いのかな…?)
まさか御堂がここまで真に受けてしまうなんて予想もしていなかっただけに
克哉の方も対応に困ってしまっていた。
お互いに身を寄せ合うような格好でソファに座り…先程までは言葉は
少なかったが触れ合っている個所からとても暖かいものが流れて来て
幸福を覚えていたのに…克哉が不用意に放った言葉のせいで、室内の
空気は一転してしまっていた。
(孝典さん…本当に、ショックを受けている…。それに、真剣な目をして…)
食い入るように、射抜くように見つめてくる御堂の眼差しに…克哉は
とっさに目を奪われてしまう。
その眼差しを見ているととても…今の言葉は冗談でした、と迂闊に言えるような
雰囲気ではなかった。
(…ど、どうしよう…凄く、ドキドキしている。今の言葉で孝典さんにショックを
与えてしまったのに…この人に、こんな真剣な目で、怒っているような
鋭い眼差しで見つめられるのなんて久しくなかったから…ううっ…!)
その視線が真っすぐにこちらに注がれているのを見て…心拍数が
一気に上昇していく。
直ぐに否定をするべきなのに、頭がボウっとしてまともな思考が生まれてくれない。
克哉もまた言葉もなく…相手を見つめる事しか出来なかった。
「…許せない! そんなの許すものか! 君は…私だけのものだ!
他の奴に渡す事など認められるものか!」
「えっ…だから、孝典さん…あの…んんっ!」
御堂の誤解を解こうと、克哉が言葉を開きかけていくと…強引に引き寄せられて
唇に熱い舌を捻じ込まれていった。
相手の激情をヒシヒシと感じるような口づけだった。
身体の体温が一気に上がり、更にまともな思考回路が働かなくなっていく。
(早く、言わなきゃ…言わなきゃ、でも…あっ…こんな、激しくキスされたの…
久しぶりで…腰、砕けそう…)
最近の自分と御堂の関係は安定期に入っていたので週末になれば必ず
抱き合うし…キスだってセックスだってたっぷりとする。
けれどこれだけの激しさを持って口づけられるのは相当に久しぶりだった
為に…相手の反応を見て、不謹慎にも背筋がゾクゾクしてしまっている
自分が確かに存在していた。
こちらの呼吸も奪い尽くすような熱烈なキス。
其れによって…克哉の思考回路は完全に、まともに働かなくなって
しまっていた。
―早く冗談だって、言わなきゃ…言わないと…
そう気持ちは逸っていくのに…物理的に唇をずっと塞がれてしまっていたら、
熱い舌先がこちらの口腔を犯すように蠢き続けてしまっていては、言葉など
発せられる訳がない。
だからやっと解放されて、キスが解けた頃には…下半身はすっかり反応
してしまっていて…頭が働いてくれないというマヌケな状態に陥っていた。
「君が一体…今は誰のものなのか、身体にたっぷりと教えてあげる
事にしよう…」
「あっ…」
相当久しぶりに見る、御堂の傲慢な一面。
其れを見て、更に鼓動が大きく跳ねた。
(…こんな孝典さんを見るのは久しぶりだ…)
その瞬間、克哉の中でズルイ心が芽生えていく。
事態を落ち着かせるにはきっとすぐに言った方が良いのは判っている癖に…
激情に駆られている御堂をもっと見たくて、だから口を噤むのを選ぼうと
していた。
そうして、ワイシャツのボタンが飛ぶぐらいに乱暴に衣服を脱がされ
始めていく。
まるでレイプされているような錯覚すら覚えながら…手荒く、御堂の手によって
克哉は全裸に剥かれ始めて、首筋に吸いつかれて刻印のように赤い
キスマークを刻まれていったのだった―
ちなんで書いた御堂×克哉の小話です。
2~3回程度の短い話なので良ければ付き合ってやって
下さいませ~。
今日は、エイプリルフールで。
一年に一回、嘘を許される日という事になっている。
だから、克哉は最愛の御堂に向かってこう言った。
―好きな人が出来ました
たった一言。
四月バカというのが判っていれば、笑って許せる範囲の冗談と
思っていたから。
御堂がそれを理解してくれていれば、「ああ、今日はエイプリルフールだからな」と
サラリと流して…そして笑いあって終わると思っていたから。
―けれど、克哉の予想に反して…御堂は大きく目を見開いてリビングの
ソファの上で固まっていた
(えっ…?)
今年のエイプリルフールは平日だったので、今日の仕事を全力で片付けた
後に訪れた…自分達の団欒の時間が、一気にその一言で終わってしまったのを
克哉は感じて、サァ…と血の気が引くのを感じていった。
笑いながら、克哉はそう嘘を言ってしまった事に早くも強い後悔を感じ
始めていた。
「か、克哉…今の言葉は…本当、なのか…!」
「えっ…あ…」
御堂の真剣ぶりに、克哉も曖昧な返事をするしか出来ない。
冗談を続行させて良いのかどうか…強烈に迷いが生じていく。
これをあくまで嘘にするなら、一旦頷いて…後から、今日はエイプリルフールだからと
言って笑ってジョークにするのが良いのだが…御堂の反応が真剣過ぎて、
克哉の方も狼狽し始めてしまっていた。
(ど、どうしよう…今すぐに冗談だって言った方が良いのか…? それとも
一旦頷いて後からにした方が良いのかな…?)
まさか御堂がここまで真に受けてしまうなんて予想もしていなかっただけに
克哉の方も対応に困ってしまっていた。
お互いに身を寄せ合うような格好でソファに座り…先程までは言葉は
少なかったが触れ合っている個所からとても暖かいものが流れて来て
幸福を覚えていたのに…克哉が不用意に放った言葉のせいで、室内の
空気は一転してしまっていた。
(孝典さん…本当に、ショックを受けている…。それに、真剣な目をして…)
食い入るように、射抜くように見つめてくる御堂の眼差しに…克哉は
とっさに目を奪われてしまう。
その眼差しを見ているととても…今の言葉は冗談でした、と迂闊に言えるような
雰囲気ではなかった。
(…ど、どうしよう…凄く、ドキドキしている。今の言葉で孝典さんにショックを
与えてしまったのに…この人に、こんな真剣な目で、怒っているような
鋭い眼差しで見つめられるのなんて久しくなかったから…ううっ…!)
その視線が真っすぐにこちらに注がれているのを見て…心拍数が
一気に上昇していく。
直ぐに否定をするべきなのに、頭がボウっとしてまともな思考が生まれてくれない。
克哉もまた言葉もなく…相手を見つめる事しか出来なかった。
「…許せない! そんなの許すものか! 君は…私だけのものだ!
他の奴に渡す事など認められるものか!」
「えっ…だから、孝典さん…あの…んんっ!」
御堂の誤解を解こうと、克哉が言葉を開きかけていくと…強引に引き寄せられて
唇に熱い舌を捻じ込まれていった。
相手の激情をヒシヒシと感じるような口づけだった。
身体の体温が一気に上がり、更にまともな思考回路が働かなくなっていく。
(早く、言わなきゃ…言わなきゃ、でも…あっ…こんな、激しくキスされたの…
久しぶりで…腰、砕けそう…)
最近の自分と御堂の関係は安定期に入っていたので週末になれば必ず
抱き合うし…キスだってセックスだってたっぷりとする。
けれどこれだけの激しさを持って口づけられるのは相当に久しぶりだった
為に…相手の反応を見て、不謹慎にも背筋がゾクゾクしてしまっている
自分が確かに存在していた。
こちらの呼吸も奪い尽くすような熱烈なキス。
其れによって…克哉の思考回路は完全に、まともに働かなくなって
しまっていた。
―早く冗談だって、言わなきゃ…言わないと…
そう気持ちは逸っていくのに…物理的に唇をずっと塞がれてしまっていたら、
熱い舌先がこちらの口腔を犯すように蠢き続けてしまっていては、言葉など
発せられる訳がない。
だからやっと解放されて、キスが解けた頃には…下半身はすっかり反応
してしまっていて…頭が働いてくれないというマヌケな状態に陥っていた。
「君が一体…今は誰のものなのか、身体にたっぷりと教えてあげる
事にしよう…」
「あっ…」
相当久しぶりに見る、御堂の傲慢な一面。
其れを見て、更に鼓動が大きく跳ねた。
(…こんな孝典さんを見るのは久しぶりだ…)
その瞬間、克哉の中でズルイ心が芽生えていく。
事態を落ち着かせるにはきっとすぐに言った方が良いのは判っている癖に…
激情に駆られている御堂をもっと見たくて、だから口を噤むのを選ぼうと
していた。
そうして、ワイシャツのボタンが飛ぶぐらいに乱暴に衣服を脱がされ
始めていく。
まるでレイプされているような錯覚すら覚えながら…手荒く、御堂の手によって
克哉は全裸に剥かれ始めて、首筋に吸いつかれて刻印のように赤い
キスマークを刻まれていったのだった―
※この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11
御堂が自分のガーヴから、このクリスマスの夜に相応しい一本を
選び出している十数分の間、克哉の脳裏には自分達が最初に過ごした
聖夜の出来事が走馬灯のように勢い良く再生されていった。
様々な色合いを放つ光ファイバー製のクリスマスツリーは一時、
克哉を幻想の世界へと誘っていたようだった。
ボウっと記憶の中に意識が没頭し、長い夢を見ていたような
気分になっていく。
そんな彼の背後から、愛しい人がそっと声を掛けていった。
「克哉、随分と待たせてしまったな…」
「え、ああ…大丈夫です。オレも…貴方がどんなワインを選んでくれるのか
楽しみに待っていましたから…」
御堂の方を振り返って、小さく微笑みながら克哉がそう告げていくと
相手もまた穏やかな笑みを返してくれていった。
「…しかし、随分と長くボウっとしていたようだな…。何を思っていたんだ…?」
「えぇ、ちょっとこのクリスマスツリーを買った二年前の…オレ達が最初に
過ごしたクリスマスの事を思い出していたんです。今、振り返ると懐かしい
ですよね…」
「ああ、もうあれから二年が経つのか…。何て言うか、充実した時間というのは
過ぎ去るのもあっという間だな…」
「えぇ、確かにそうですよね…オレにとっても、貴方と恋人同士になって
からのこの二年間は瞬く間に過ぎてしまったように感じられます…」
そうして、あの頃とは比べ物にならないぐらい優しい笑みを浮かべて
御堂は微笑んでくれる。
お互いに気を遣いあっていて二人きりになると息が詰まるようだった
頃とは嘘のように…今の自分達は二人でいる事に馴染んでいた。
暖かな空気が満ちていく。
去年も、今年もこの夜は御堂の自宅で…今では克哉の家でもある
この場所でささやかに過ごしていた。
あの夜景が綺麗なホテルのスィートルームで過ごしたのはあの一度だけの
事だったけれど…一度だけの特別な出来事だからこそ、これだけの年月が
過ぎてもキラキラと宝石のようにその思い出は輝いていた。
御堂がそっとワインの瓶を傍らに置いて、机の前に座っている克哉の
背後からそっと覆い被さるように抱きしめてくる。
その回された腕に己の手をそっと重ねていきながら…克哉はそっと
目を閉じてその暖かさを享受していった。
本来、外国のキリスト教圏でのクリスマスは日本のように盛大なパーティーを
して大騒ぎをする日ではなく、教会でミサに行って聖歌を歌って祈ったり、
ごく親しい人達と自宅でささやかに祝うのが習わしらしい。
だから次の年のクリスマスからは、あまり贅沢な事はせず御堂の自宅で
二人きりで過ごすようになった訳だが…だからこそ、克哉はその幸せを
噛みしめて、ジワリと胸が満たされていくようだった。
(この人と…大好きな孝典さんと、こうやって特別な夜を二人で
過ごす事が出来る…良く考えてみるとそれが何よりも素敵な
贈りものだよな…)
クリスマスにプレゼントを贈り合うような真似はしていない。
二人で普段より少しだけ豪勢な料理を食べ、ちょっと高級なワインのコルクを
開けて飲み合う程度だが…それも、あの傷つけあうような関係から始まった事から
思えば信じられないぐらいの幸せだった。
「孝典さん…これからも、こうやって…毎年、二人でクリスマスを過ごして
いけると良いですよね…」
「ああ、そうだな…」
御堂の方に顔を振り向かせていきながら…克哉はそっと祈るように
呟いていく。
そしてうっすらと瞳を潤ませながら…愛しい人を見遣っていく。
「…そんな目で私を見るな。今からそんな眼差しで見つめられてしまったら
食事やワインを楽しむ前に、君を食べたくなってしまいそうだ…」
「なっ…そ、そんな…!」
自分がどんな目で御堂を見ているかなんて、自分自身では判りっこない。
どうすれば良いのか判らなくて耳まで真っ赤にしながら慌てていくと
御堂は喉の奥でククっと笑いを噛み殺していった。
そうしている間に御堂のこちらを抱き締める腕の力はもっと強くなり…
とっさに息が詰まっていく。
ふと彼の方を振り返っていくと…真摯な眼差しをしてこちらを見つめてくる
御堂の視線とぶつかっていった。
「克哉…」
「はい…」
多分、こういう雰囲気になったらもう余計な言葉などいらない。
静かに目を伏せて、与えられる口づけを受け入れていく。
ただキスをしているだけで、ジインと痺れるような感覚が全身に走り抜けて
いくようだった。
―これからも、この人の傍でこうしてずっと一緒に過ごしていきたい…
克哉は、キスを交わしている間…心の中で強く強く、祈り続けていった。
そして…脳裏に、一瞬だけ最初のクリスマスの夜の記憶の断片が
過ぎっていく。
この人を愛している限り、こうして毎年聖夜を共に過ごしている限り…
その思い出はいつまでも克哉の中で輝き続けるだろう。
愛しい人と積み重ねた記憶は、いつまでもいつまでも特別な意味を持って
光を放っていく。
―いつかのメリークリスマス…最初のクリスマスの夜の記憶を心から
愛しいと思いながら、今夜もまた思い出を重ねていく
克哉の方からも御堂を強く抱きしめていきながら…この夜、こうして
二人で過ごせる事を心から感謝して、そしてこれからも共に歩んでいける事を
強く願っていったのだった―
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8
9 10 11
御堂が自分のガーヴから、このクリスマスの夜に相応しい一本を
選び出している十数分の間、克哉の脳裏には自分達が最初に過ごした
聖夜の出来事が走馬灯のように勢い良く再生されていった。
様々な色合いを放つ光ファイバー製のクリスマスツリーは一時、
克哉を幻想の世界へと誘っていたようだった。
ボウっと記憶の中に意識が没頭し、長い夢を見ていたような
気分になっていく。
そんな彼の背後から、愛しい人がそっと声を掛けていった。
「克哉、随分と待たせてしまったな…」
「え、ああ…大丈夫です。オレも…貴方がどんなワインを選んでくれるのか
楽しみに待っていましたから…」
御堂の方を振り返って、小さく微笑みながら克哉がそう告げていくと
相手もまた穏やかな笑みを返してくれていった。
「…しかし、随分と長くボウっとしていたようだな…。何を思っていたんだ…?」
「えぇ、ちょっとこのクリスマスツリーを買った二年前の…オレ達が最初に
過ごしたクリスマスの事を思い出していたんです。今、振り返ると懐かしい
ですよね…」
「ああ、もうあれから二年が経つのか…。何て言うか、充実した時間というのは
過ぎ去るのもあっという間だな…」
「えぇ、確かにそうですよね…オレにとっても、貴方と恋人同士になって
からのこの二年間は瞬く間に過ぎてしまったように感じられます…」
そうして、あの頃とは比べ物にならないぐらい優しい笑みを浮かべて
御堂は微笑んでくれる。
お互いに気を遣いあっていて二人きりになると息が詰まるようだった
頃とは嘘のように…今の自分達は二人でいる事に馴染んでいた。
暖かな空気が満ちていく。
去年も、今年もこの夜は御堂の自宅で…今では克哉の家でもある
この場所でささやかに過ごしていた。
あの夜景が綺麗なホテルのスィートルームで過ごしたのはあの一度だけの
事だったけれど…一度だけの特別な出来事だからこそ、これだけの年月が
過ぎてもキラキラと宝石のようにその思い出は輝いていた。
御堂がそっとワインの瓶を傍らに置いて、机の前に座っている克哉の
背後からそっと覆い被さるように抱きしめてくる。
その回された腕に己の手をそっと重ねていきながら…克哉はそっと
目を閉じてその暖かさを享受していった。
本来、外国のキリスト教圏でのクリスマスは日本のように盛大なパーティーを
して大騒ぎをする日ではなく、教会でミサに行って聖歌を歌って祈ったり、
ごく親しい人達と自宅でささやかに祝うのが習わしらしい。
だから次の年のクリスマスからは、あまり贅沢な事はせず御堂の自宅で
二人きりで過ごすようになった訳だが…だからこそ、克哉はその幸せを
噛みしめて、ジワリと胸が満たされていくようだった。
(この人と…大好きな孝典さんと、こうやって特別な夜を二人で
過ごす事が出来る…良く考えてみるとそれが何よりも素敵な
贈りものだよな…)
クリスマスにプレゼントを贈り合うような真似はしていない。
二人で普段より少しだけ豪勢な料理を食べ、ちょっと高級なワインのコルクを
開けて飲み合う程度だが…それも、あの傷つけあうような関係から始まった事から
思えば信じられないぐらいの幸せだった。
「孝典さん…これからも、こうやって…毎年、二人でクリスマスを過ごして
いけると良いですよね…」
「ああ、そうだな…」
御堂の方に顔を振り向かせていきながら…克哉はそっと祈るように
呟いていく。
そしてうっすらと瞳を潤ませながら…愛しい人を見遣っていく。
「…そんな目で私を見るな。今からそんな眼差しで見つめられてしまったら
食事やワインを楽しむ前に、君を食べたくなってしまいそうだ…」
「なっ…そ、そんな…!」
自分がどんな目で御堂を見ているかなんて、自分自身では判りっこない。
どうすれば良いのか判らなくて耳まで真っ赤にしながら慌てていくと
御堂は喉の奥でククっと笑いを噛み殺していった。
そうしている間に御堂のこちらを抱き締める腕の力はもっと強くなり…
とっさに息が詰まっていく。
ふと彼の方を振り返っていくと…真摯な眼差しをしてこちらを見つめてくる
御堂の視線とぶつかっていった。
「克哉…」
「はい…」
多分、こういう雰囲気になったらもう余計な言葉などいらない。
静かに目を伏せて、与えられる口づけを受け入れていく。
ただキスをしているだけで、ジインと痺れるような感覚が全身に走り抜けて
いくようだった。
―これからも、この人の傍でこうしてずっと一緒に過ごしていきたい…
克哉は、キスを交わしている間…心の中で強く強く、祈り続けていった。
そして…脳裏に、一瞬だけ最初のクリスマスの夜の記憶の断片が
過ぎっていく。
この人を愛している限り、こうして毎年聖夜を共に過ごしている限り…
その思い出はいつまでも克哉の中で輝き続けるだろう。
愛しい人と積み重ねた記憶は、いつまでもいつまでも特別な意味を持って
光を放っていく。
―いつかのメリークリスマス…最初のクリスマスの夜の記憶を心から
愛しいと思いながら、今夜もまた思い出を重ねていく
克哉の方からも御堂を強く抱きしめていきながら…この夜、こうして
二人で過ごせる事を心から感謝して、そしてこれからも共に歩んでいける事を
強く願っていったのだった―
現在連載中のお話のログ
※この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
目の前に広がるのは白と深い蒼のイルミネーションに飾られた
大きなクリスマスツリーと、目にも鮮やかな夜景だった。
ホテルの一室、大きく取られた窓の向こうには光の洪水とも
言える光景が広がっていて…言葉を失っていった。
まるで地上に、数多の色合いの宝石が散りばめられて輝いている
ように見えて…克哉は感嘆の声を漏らしていった。
「凄い…綺麗、です…」
「そうか、君が気に入ったなら良かった…ここは私のとっておきの
場所だからな…」
「そう、何ですか…?」
「ああ、このホテルのスィートルームは今ぐらいの時期にはとても綺麗な
イルミネーションが見えるからな…。もし、今年のクリスマスを一緒に過ごせるなら
此処が良いと思っていたから手配しておいた…。二カ月前、からな…」
「えっ…?」
部屋の内装を見るだけでも、一泊するだけで相当な値段がする事が
判る豪奢で上品な内装をしていた。
ヒラ社員である克哉には全く縁のない室内。
確かにこのクラスの内装が施されている広い間取りのスィートルームを
この時期に確保するとなったら、相当前から用意していなければならない
事は克哉もすぐに察していた。
その言葉に、克哉は驚いていく。
だが御堂は実に照れくさそうに口元を覆っていた。
「…御堂さん、今…何て言いました…? 二か月前って…まだ、オレ達は
恋人同士になっていない頃じゃあ…」
「ああ、そうだ。このホテルの予約は大体二か月前から受け付けている訳だが
その頃には…私は、クリスマスぐらい君と一緒に…このイルミネーションが綺麗な
この部屋で一緒に過ごしたいと…そう考え始めていたという事だ…」
「そ、それって…」
その言葉に含まれている意図を察した途端、克哉は涙ぐみそうに
なってしまった。
恐らく二か月前と言ったら、自分もまた御堂との関係の在り方に大きな
疑問を覚え始めていた頃だった。
身体を重ねているが…御堂がどう想っているか、その気持ちが判らなくて
見えなくて…葛藤を重ねていたのを良く覚えている。
(二か月前から…御堂さんがそんな風に、想ってくれていたなんて…凄く嬉しくて…
眩暈がしてしまいそうだ…)
たったそれだけの事でも、嬉しくて。
あの長い迷路を彷徨っていたような時期の中でも…御堂の気持ちは
確かにこちらに注がれていたのだと自覚した途端、涙腺が緩んでいってしまった。
「どうしよう…凄く、嬉しいです…」
嬉しくて嬉しくて、克哉は透明な涙を浮かべて幾つも零していく。
けれどその顔は、確かに笑みが刻まれていた。
自分の意思と関係なく涙は零れるけれど…其れは、あまりに幸福だったから…
その気持ちが溢れてくるから流れるものだった。
「…君のそういう顔は初めて見たな…。もう君の涙を見るのはゴメンだと
思っていたが…そういう顔をしながら、泣かれるのは悪くない気分だ…」
「…いや、見ないで下さい…。こんな涙でグシャグシャの顔なんて…」
あまりに御堂が優しい眼差しを浮かべながらこちらを見つめてくるから
気恥しくなって顔をそむけていってしまう。
そうやってささやかに抵抗してこちらから逃げようとする克哉を押しとどめるように
御堂の手がそっと頬に添えられて…彼を見るように向きを直されていった。
愛しい人と目が合った瞬間、息が詰まるようだった。
「…クリスマスに、こんなサプライズが待っているなんて思っていませんでした…」
「いいや、忘れるな克哉。今夜はクリスマスイブだ…。クリスマスの前夜に過ぎない。
明日の当日には、君と私が買ったあのクリスマスツリーが飾ってある私の部屋で
二人きりでパーティーをするんだ…。それが私なりの、君とのクリスマスプランなのだが…
気に入ってくれたか…?」
「と、当然です…。貴方にそう言って貰えただけで…オレ、幸せで…堪らなく
なってしまいますから…」
御堂の行動に、こちらへの想いが確かに存在しているのを感じ取って
克哉はギュっとその身体に抱きついていった。
強く強く愛しくて、嬉しくてこちらから腕に力を込めて抱きついていく。
そのまま深く唇が重ねられて、舌先を強引に捻じ込まれて…荒々しい口づけを
交わし合っていく。
今夜も、御堂に激しく愛されたいという欲求が胸の奥に湧き上がっていった。
この人は自分の事を思ってくれている。
それが恋人関係になったばかりの克哉にとっては何より嬉しいプレゼントであり、
最大の贈り物でもあった。
「ああ、君のそういう嬉しそうな顔は…可愛いものだな…。その顔を今夜
見れただけでも…今夜は充分だな…」
「そんな、可愛いだなんて…からかわないで下さい…それに、見ないで…」
克哉は顔をそむけようとしたが、それを許されず強引にベッドの方まで
誘導してシーツの上に組み敷かれていった。
そうして部屋の照明を消されて、ベッドサイドの淡い光だけで照らされる
格好になっていく。
その途端に窓の向こうに輝くイルミネーションが、一層こちらに迫ってくる
ような錯覚を覚えていった。
御堂の体温が、息遣いが…何かもが愛しく感じる。
「御堂、さん…ありがとう、ございます…」
「ああ、君が喜んでくれたなら…良かった…」
「あっ…」
その瞬間、御堂が蕩けるような優しい顔を浮かべて…克哉は
言葉を失っていった。
幸せの余り、胸が詰まってしまいそうだった。
―そして二人だけの熱い夜が訪れ、そうして…彼らの最初に迎えた
クリスマスの夜は幸福な思い出だけで満たされていったのだった―
※この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
目の前に広がるのは白と深い蒼のイルミネーションに飾られた
大きなクリスマスツリーと、目にも鮮やかな夜景だった。
ホテルの一室、大きく取られた窓の向こうには光の洪水とも
言える光景が広がっていて…言葉を失っていった。
まるで地上に、数多の色合いの宝石が散りばめられて輝いている
ように見えて…克哉は感嘆の声を漏らしていった。
「凄い…綺麗、です…」
「そうか、君が気に入ったなら良かった…ここは私のとっておきの
場所だからな…」
「そう、何ですか…?」
「ああ、このホテルのスィートルームは今ぐらいの時期にはとても綺麗な
イルミネーションが見えるからな…。もし、今年のクリスマスを一緒に過ごせるなら
此処が良いと思っていたから手配しておいた…。二カ月前、からな…」
「えっ…?」
部屋の内装を見るだけでも、一泊するだけで相当な値段がする事が
判る豪奢で上品な内装をしていた。
ヒラ社員である克哉には全く縁のない室内。
確かにこのクラスの内装が施されている広い間取りのスィートルームを
この時期に確保するとなったら、相当前から用意していなければならない
事は克哉もすぐに察していた。
その言葉に、克哉は驚いていく。
だが御堂は実に照れくさそうに口元を覆っていた。
「…御堂さん、今…何て言いました…? 二か月前って…まだ、オレ達は
恋人同士になっていない頃じゃあ…」
「ああ、そうだ。このホテルの予約は大体二か月前から受け付けている訳だが
その頃には…私は、クリスマスぐらい君と一緒に…このイルミネーションが綺麗な
この部屋で一緒に過ごしたいと…そう考え始めていたという事だ…」
「そ、それって…」
その言葉に含まれている意図を察した途端、克哉は涙ぐみそうに
なってしまった。
恐らく二か月前と言ったら、自分もまた御堂との関係の在り方に大きな
疑問を覚え始めていた頃だった。
身体を重ねているが…御堂がどう想っているか、その気持ちが判らなくて
見えなくて…葛藤を重ねていたのを良く覚えている。
(二か月前から…御堂さんがそんな風に、想ってくれていたなんて…凄く嬉しくて…
眩暈がしてしまいそうだ…)
たったそれだけの事でも、嬉しくて。
あの長い迷路を彷徨っていたような時期の中でも…御堂の気持ちは
確かにこちらに注がれていたのだと自覚した途端、涙腺が緩んでいってしまった。
「どうしよう…凄く、嬉しいです…」
嬉しくて嬉しくて、克哉は透明な涙を浮かべて幾つも零していく。
けれどその顔は、確かに笑みが刻まれていた。
自分の意思と関係なく涙は零れるけれど…其れは、あまりに幸福だったから…
その気持ちが溢れてくるから流れるものだった。
「…君のそういう顔は初めて見たな…。もう君の涙を見るのはゴメンだと
思っていたが…そういう顔をしながら、泣かれるのは悪くない気分だ…」
「…いや、見ないで下さい…。こんな涙でグシャグシャの顔なんて…」
あまりに御堂が優しい眼差しを浮かべながらこちらを見つめてくるから
気恥しくなって顔をそむけていってしまう。
そうやってささやかに抵抗してこちらから逃げようとする克哉を押しとどめるように
御堂の手がそっと頬に添えられて…彼を見るように向きを直されていった。
愛しい人と目が合った瞬間、息が詰まるようだった。
「…クリスマスに、こんなサプライズが待っているなんて思っていませんでした…」
「いいや、忘れるな克哉。今夜はクリスマスイブだ…。クリスマスの前夜に過ぎない。
明日の当日には、君と私が買ったあのクリスマスツリーが飾ってある私の部屋で
二人きりでパーティーをするんだ…。それが私なりの、君とのクリスマスプランなのだが…
気に入ってくれたか…?」
「と、当然です…。貴方にそう言って貰えただけで…オレ、幸せで…堪らなく
なってしまいますから…」
御堂の行動に、こちらへの想いが確かに存在しているのを感じ取って
克哉はギュっとその身体に抱きついていった。
強く強く愛しくて、嬉しくてこちらから腕に力を込めて抱きついていく。
そのまま深く唇が重ねられて、舌先を強引に捻じ込まれて…荒々しい口づけを
交わし合っていく。
今夜も、御堂に激しく愛されたいという欲求が胸の奥に湧き上がっていった。
この人は自分の事を思ってくれている。
それが恋人関係になったばかりの克哉にとっては何より嬉しいプレゼントであり、
最大の贈り物でもあった。
「ああ、君のそういう嬉しそうな顔は…可愛いものだな…。その顔を今夜
見れただけでも…今夜は充分だな…」
「そんな、可愛いだなんて…からかわないで下さい…それに、見ないで…」
克哉は顔をそむけようとしたが、それを許されず強引にベッドの方まで
誘導してシーツの上に組み敷かれていった。
そうして部屋の照明を消されて、ベッドサイドの淡い光だけで照らされる
格好になっていく。
その途端に窓の向こうに輝くイルミネーションが、一層こちらに迫ってくる
ような錯覚を覚えていった。
御堂の体温が、息遣いが…何かもが愛しく感じる。
「御堂、さん…ありがとう、ございます…」
「ああ、君が喜んでくれたなら…良かった…」
「あっ…」
その瞬間、御堂が蕩けるような優しい顔を浮かべて…克哉は
言葉を失っていった。
幸せの余り、胸が詰まってしまいそうだった。
―そして二人だけの熱い夜が訪れ、そうして…彼らの最初に迎えた
クリスマスの夜は幸福な思い出だけで満たされていったのだった―
※この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8 9
そうして克哉は胸を高鳴らせ続けていると…十数分後、車はようやく
止まりエンジン音も聞こえなくなった。
(目的地に着いたんだな…一体ここはどこなんだろう…?)
期待と不安が、競り上がって嫌にドキドキしていた。
ギアを動かす音、キ―を回転させて抜く音、運転席の方からシートベルトを
外す音、こちら側のドアのロックを外す音、そしてドアが開いて御堂が車の外に
出る音が鮮明に耳に入って来る。
視界を奪われているせいか、普段よりも異様に音をはっきりと感じて
意識する事になっていた。
そして…御堂は助手席側のドアの前に立ち、外から開いてこちらに
手を差し伸べ始めていった。
「佐伯君…ここからは私がエスコートをする。この手を取ってついて
来て欲しい…」
「は、はい…判りました…」
声がした方に向かって克哉は手を差し出していく。
見えないせいか、最初はその手は空を切るだけだった。
しかしすぐに御堂の手が握り返されて…ドキっとすると同時に強烈な安堵も
覚え始めていったのだった。
(見えないせいか…今は、御堂さんの手が凄く頼りに思えてくる…)
御堂の手の温もりが、克哉を安堵させる。
この人がしっかりと手を引いて自分を導いてくれるのだと…そう信じる事が
出来るような気がした。
そうしてこちらもシートベルトを外して、手を引かれながら慎重に車の
外に出ていった。
見せないせいか、足元すら覚束ない気分になる。
地面の感触からして…コンクリートの舗装された床を歩いているの
だけは判った。
(ここは一体…何処何だろう…?)
目隠しされている状態が恨めしい。
けれど目的地に到着したにも関わらず、御堂がこちらの視界を奪ったままで
いる事は恐らく意味があるのだろう。
そうして手を引かれながら一歩一歩、ゆっくりと歩き始めていく。
「佐伯君…足元には気をつけるんだ…」
「はい、気をつけますね…」
此処は何処ですか、という言葉を必死に抑え込みながら克哉は御堂と
手を繋いで歩き始めていく。
こうしていると普段、視界というのはどれだけ重要な役割を果たしてくれて
いるのかをしみじみ実感していった。
こうして導いてくれている御堂は今、どんな顔をしているのかすら
今の克哉には判らない。
それがどうしようもない高揚感を生んでいき、さっきから本当にこのまま
心臓は破れてしまうのではないかと思った。
目隠しされているせいで、克哉は瞼の裏に万華鏡のように様々な
模様が浮かび始めて形を変え続けていく。
そのせいで、異世界に迷い込んだような錯覚すら覚えていった。
「…足元に不安はあるだろうが、ゆっくり歩けば大丈夫だ。この辺りの道は
舗装されているからな…。私を信じて、ついて来てくれ…」
「はい、信じます。今の貴方が…オレに害を与えるような事をする事は
ないでしょうから…」
「ああ、そうだ。もう私は…無用に君を傷つけるような真似はするつもりはない…」
「ええ、判っています…」
そう、自分達は恋人同士になったのだ。
つい先月までのように…お互いを傷つけあい、相手がどう思っているのかを
知らないままの間柄ではない。
両者とも同じ気持ちであった事を今では知り…同性同士であるにも関わらず
一緒にいる事を選択したのだから。
だから…克哉は御堂を信じていく。
そして一歩一歩歩いていき、そうして…どうやらエレベーターに乗せられていった。
扉が緩やかにしまっていく気配を感じる。
そしてエレベーター特有の、フワっとした浮遊感と微かな機械音が耳に
届いていった。
(これは間違いなくエレベーターに乗せられているってことだよな…。という事は
此処はホテルか、展望台なのかな…?)
エレベーターに乗っている時間は案外長かった。
その事実から、高い階に向かって移動している事実が浮かび上がっていく。
そうして無事に目的のフロアについていくとまた御堂にしっかりと手を引かれながら
暫く歩く事になった。
そしてようやく御堂は立ち止まり、こうこちらに告げていった。
「着いたぞ…。さあ、目隠しを外すぞ…」
「は、はい…」
期待と緊張が入り混じりながら、克哉はその言葉に頷いていく。
御堂の両手がこちらの後頭部の方に回され、身近に相手の息遣いを感じながら
目隠しは外されていった。
布が取られていったからと言って、すぐに視界が回復する訳ではない。
少しの間だけそのまま目を瞑り続けて…深呼吸を一つしていってから
ようやく瞼を開いていった。
「うわぁ…!」
そして、克哉は感嘆の声を漏らしながら…目の前に広がる光景に
釘づけになっていったのだった―
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。
いつかのメリークリスマス 1 2 3 4 5 6 7 8 9
そうして克哉は胸を高鳴らせ続けていると…十数分後、車はようやく
止まりエンジン音も聞こえなくなった。
(目的地に着いたんだな…一体ここはどこなんだろう…?)
期待と不安が、競り上がって嫌にドキドキしていた。
ギアを動かす音、キ―を回転させて抜く音、運転席の方からシートベルトを
外す音、こちら側のドアのロックを外す音、そしてドアが開いて御堂が車の外に
出る音が鮮明に耳に入って来る。
視界を奪われているせいか、普段よりも異様に音をはっきりと感じて
意識する事になっていた。
そして…御堂は助手席側のドアの前に立ち、外から開いてこちらに
手を差し伸べ始めていった。
「佐伯君…ここからは私がエスコートをする。この手を取ってついて
来て欲しい…」
「は、はい…判りました…」
声がした方に向かって克哉は手を差し出していく。
見えないせいか、最初はその手は空を切るだけだった。
しかしすぐに御堂の手が握り返されて…ドキっとすると同時に強烈な安堵も
覚え始めていったのだった。
(見えないせいか…今は、御堂さんの手が凄く頼りに思えてくる…)
御堂の手の温もりが、克哉を安堵させる。
この人がしっかりと手を引いて自分を導いてくれるのだと…そう信じる事が
出来るような気がした。
そうしてこちらもシートベルトを外して、手を引かれながら慎重に車の
外に出ていった。
見せないせいか、足元すら覚束ない気分になる。
地面の感触からして…コンクリートの舗装された床を歩いているの
だけは判った。
(ここは一体…何処何だろう…?)
目隠しされている状態が恨めしい。
けれど目的地に到着したにも関わらず、御堂がこちらの視界を奪ったままで
いる事は恐らく意味があるのだろう。
そうして手を引かれながら一歩一歩、ゆっくりと歩き始めていく。
「佐伯君…足元には気をつけるんだ…」
「はい、気をつけますね…」
此処は何処ですか、という言葉を必死に抑え込みながら克哉は御堂と
手を繋いで歩き始めていく。
こうしていると普段、視界というのはどれだけ重要な役割を果たしてくれて
いるのかをしみじみ実感していった。
こうして導いてくれている御堂は今、どんな顔をしているのかすら
今の克哉には判らない。
それがどうしようもない高揚感を生んでいき、さっきから本当にこのまま
心臓は破れてしまうのではないかと思った。
目隠しされているせいで、克哉は瞼の裏に万華鏡のように様々な
模様が浮かび始めて形を変え続けていく。
そのせいで、異世界に迷い込んだような錯覚すら覚えていった。
「…足元に不安はあるだろうが、ゆっくり歩けば大丈夫だ。この辺りの道は
舗装されているからな…。私を信じて、ついて来てくれ…」
「はい、信じます。今の貴方が…オレに害を与えるような事をする事は
ないでしょうから…」
「ああ、そうだ。もう私は…無用に君を傷つけるような真似はするつもりはない…」
「ええ、判っています…」
そう、自分達は恋人同士になったのだ。
つい先月までのように…お互いを傷つけあい、相手がどう思っているのかを
知らないままの間柄ではない。
両者とも同じ気持ちであった事を今では知り…同性同士であるにも関わらず
一緒にいる事を選択したのだから。
だから…克哉は御堂を信じていく。
そして一歩一歩歩いていき、そうして…どうやらエレベーターに乗せられていった。
扉が緩やかにしまっていく気配を感じる。
そしてエレベーター特有の、フワっとした浮遊感と微かな機械音が耳に
届いていった。
(これは間違いなくエレベーターに乗せられているってことだよな…。という事は
此処はホテルか、展望台なのかな…?)
エレベーターに乗っている時間は案外長かった。
その事実から、高い階に向かって移動している事実が浮かび上がっていく。
そうして無事に目的のフロアについていくとまた御堂にしっかりと手を引かれながら
暫く歩く事になった。
そしてようやく御堂は立ち止まり、こうこちらに告げていった。
「着いたぞ…。さあ、目隠しを外すぞ…」
「は、はい…」
期待と緊張が入り混じりながら、克哉はその言葉に頷いていく。
御堂の両手がこちらの後頭部の方に回され、身近に相手の息遣いを感じながら
目隠しは外されていった。
布が取られていったからと言って、すぐに視界が回復する訳ではない。
少しの間だけそのまま目を瞑り続けて…深呼吸を一つしていってから
ようやく瞼を開いていった。
「うわぁ…!」
そして、克哉は感嘆の声を漏らしながら…目の前に広がる光景に
釘づけになっていったのだった―
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性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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