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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 4月24日からの新連載です。
 無印の眼鏡×御堂ルートのED.NO「因果応報」を前提にした話です。
 シリアスで、ちょっとサスペンス風味の強い話です。
 眼鏡×御堂ルート前提ですが、眼鏡なしの克哉も色々と出張ります。
 それでも良い、という方だけ付き合ってやって下さいませ。

 

 咎人の夢(眼鏡×御堂×克哉)                            10
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  ―悪魔が書いたシナリオは、ここまでほぼ狂いなく進行していた

 巻き込まれた存在の平穏を願ったからこそ、言いなりになった
平凡な方の佐伯克哉。
 記憶を封じられて…反発しながらもこちらの思う通りに動き続ける
御堂孝典。
 一夜のショーは、そんな彼らの儚い望みを打ち砕く為に用意された
舞台に他ならなかった。

―怒りを、哀しみを…純度の高い感情をそのまま剥き出しのまま
ぶつけあいなさい。平穏な日常よりも、己の欲望のままに生きた
方が遥かに充実して、愉しい日々を送れる筈ですから…

『不当』に命を奪われた御堂孝典の心の断片が、この奇妙な空間に
足を踏み入れたからこそ…ざわめいていく。

―舞台の袖に立つ御堂の瞳が…狂気の色を孕んでいく

 どれだけ強い暗示を掛けても、決して消え去ることのない純度の高い
憎悪が…彼の身体を突き動かそうとしていた。

「はっ…ぁ…」

 それでも、ギリギリの処で御堂は堪え続ける。
 殆ど…正気である方の彼の心は、今は激情に押し流されてしまって
消えつつあった。
 けれど獣のような衝動に負けたら、人として終わりのような
気がしたので…顔全体に脂汗を浮かばせながらも最後の執念で
耐えていった。

―おやおや、強情な方ですね…。意識を失ってでも、なお…
己の欲望から抗いますか…

 十字架に磔にされている佐伯克哉は…今は気を失っている。
 胸の中心に、炎を押し当てられたのが余程の衝撃らしかった。
 Mr.Rは慈しむように、完全に意識を失っている克哉の頬を撫ぜて
いくと…少しだけ困った顔を浮かべていく。

(…意識を取り戻すまで、もう少し時間が掛かりそうですね…)

 ほんの数分程度の時間なら良いが、このまま十字架に繋いだまま意識を
失われ続けたらショーを観覧する人間の熱気が冷めてしまう。
 そうなったら興ざめも良い処だ。 
 御堂が獣のように、気を失った彼を求めてるのが…彼の書いた筋書きの筈
だったのに…それが上手く行かず、軽く舌打ちをしていく。

(…何かが、私の書いた筋書きから狂い始めているのですか…?)

 そうだ、佐伯克哉という存在は…そういう部分がある。
 常に…自分の書いた筋書きを、心地よく裏切ってくれるような…不確定な
要素を常に内包している。
 Rは…右手を挙げて、店内の人間に静かに合図を出していく。
 やや複雑な指先の動きを見せて…万が一、不測事態に陥った時用の
次の演目の準備をさせていった。
 可愛らしい猫が、一匹捕獲出来たので…それを愛でるショーを
見せれば間は繋げるだろう。

―御堂孝典は、爪先を肌に食い込ませていきながら…抗い続ける

 意識を失ってもなお、最後のプライドを…己の矜持を守ろうとするかの
ような鬼気迫る何かがあった。
 その姿に…Rは、どうしてあの人がここまでこの存在に強く執着を
したのか…その理由を垣間見た気がした。

(普通の人間ならば…とっくの昔に、己の中の衝動に負けておられる筈…)

 舞台に暗幕が敷かれていく。
 観客達は、新たなショーが開かれるに思ったに違いない。
 けれど…克哉は気を失い、御堂もまた…自分の思った通りに動かないので
あったならば…予定通りに、御堂が克哉を激しく犯す…今夜の目玉となる
ものを開催出来ない。
 その事実に…初めて、常に余裕の笑みを浮かべ続けていた男の顔に焦りの
ようなものを浮かばせていった。

(一体、どこで…狂ったのですか…? 私は完璧に布石を敷いてきた
筈なのに…?)

 Rは克哉の身体を両手で抱きあげながら…一旦、御堂がいる方と反対の
舞台袖に退去していく。
 その途端に…男は信じられないものを目の当たりにしていった。
 
「っ…!」

 それは滅多に驚くことのない謎めいた男が…心の底から動揺して、驚愕を
覚えた瞬間だった。

「…お前は、そいつを…どうするつもりだ…?」

 目隠しをされて、意識を失ってぐったりしている…克哉を見ながら…
予想外の存在は冷たく言い放っていく。
 その強い威圧感に、威厳。
 何もなかったら、心の赴くままにひれ伏したいとさえ願う…麗しき存在が
瞳に強い怒りを湛えていきながら…其処に立っていた。

「ど、うして…貴方が…!」

 それが、男にとって最大の予想外の出来事だった。
 あれだけ呼びかけても決して応えることがなかった彼が…こんなに早くに
目覚めるなど、思ってもみなかったのだ。
 彼の心は、あちらの世界に存在していた方の彼の心は…いや、どちらの
ものであっても絶望に打ちのめされて、その心は死にかけていた筈だ。
 なのに…今、目の前にいる彼の瞳にはそのような儚さは感じられない。
 誰よりも強く瞳を輝かせながら、其処に存在している。

「…御堂が、生きているのなら…俺は、謝らないといけない…。この店の
中に…あいつの、気配を感じた…だから…だ…!」

「まさ、か…そんな、事が…」

 予想外だった。
 御堂孝典を闇に落として楽しむ為にこの場に招いたというのに…
それが彼の覚醒を促して、こんなにも早く目覚めさせてしまう結果を
招くとは考えもしなかった。

「どけ!」

 本気の怒りを込めて、佐伯克哉が叫んでいく。
 その怒号に、空気が激しく震えていった。
 ビリビリビリとその激しい声に…空気が震えて、その場が揺るがされる。

「えっ…?」

 その声に、意識を失い続けていた…哀れな子羊になる筈だった克哉も
目ざめていった。

「無様だな…。随分と浅ましく、情けない姿をしているじゃないか…『オレ』…」

「ど、どうして…『俺』が…ここに!? 何で、こんなに早く目覚めて…!」

「どうでも良い。どけ…俺の邪魔をするな…!」

 そういって、彼はRと克哉の脇をすり抜けて…御堂の姿を探そうと
試みていった。

「駄目だ! そんな身体で…勝手に動いたりしたら…」

 たった今まで、克哉は意識を失っていたので状況など知りようがなかった。
 けれど…彼が自分の脇を通り過ぎた瞬間に、本能的に嫌な予感を覚えた。
 それは虫の知らせと呼ばれるものだったのかも知れない。
 
「行くな! 行っちゃダメだ!」

 とっさに克哉は裸のまま、視界が利かない状況でも無我夢中でもう一人の
自分の足へとしがみついていく。
 だが、そんなものなど存在しないかのように眼鏡を掛けた方の克哉は…
力強く足を進めていった。
 その瞬間、空気が凍るような気がした。

「…佐伯っ!」

 その瞬間、別人のように低く唸るような声で名を呼んでいく御堂の声が
聞こえていった。
 足跡が半端じゃなく大きく反響していく。
 その音だけで判る。御堂がどれだけ怒りを覚えているのか、激しい感情を
抱いているのか…本能的に察していった。

―ダメだ、このままじゃ…!

 御堂は、咄嗟に…すぐ傍の床に転がっていた蜀台を手に持って…
構えたまま…眼鏡を掛けた方の克哉に突進していった。
 蝋燭を刺して固定する部分が、鋭い凶器となって輝いている。
 こんなもので刺されたら、ただで済む訳がない。
 克哉はそれが全て、見えていた訳じゃなかった。
 けれど…物凄く嫌な予感がしたから、更に強くもう一人の自分の足へと
しがみついていって…彼の身体を本能的に引き倒していった。

「駄目だぁ! 御堂さん…! 貴方はこの世界でも…同じ罪を犯したり
なんかしたら…ダメです! その手をもう…二度と汚さないで下さい!!」

 本気の祈りを込めながら、克哉は叫んでいく。
 その瞬間…御堂の瞳に、一瞬だけ正気が戻り…。

「っ…どうして、君が…二人、いる…?」

 その声で揺さぶられて…あまりに衝撃的な光景を目の当たりにして…
ようやく、正気を取り戻しつつあった御堂の姿が其処に会った。

「御堂、さん…?」

「御堂…あんた…は…」

「ど、うして…」

 そうして、御堂はまるで…糸が切れた糸のようにその場に崩れ落ちていく。
 咄嗟に眼鏡は、相手の元に全力で駆けよって…身体を支えていく。

―まったく…どうして、貴方が関わると…こうこちらの筋書き通りに物事が
進まなくなるのでしょうね…

 その一連の出来事を眺めて、しみじみとRは呟きながら…今夜の自分が
予定していた愉快なショーは…完全に、眼鏡を掛けた方の佐伯克哉が目覚めて
しまったことで完全に壊されてしまった事実を…思い知らされていったのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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