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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や 
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
 当分、鬼畜眼鏡側はこの連載に専念しますので宜しくです。

 桜の回想  
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―堂孝典の意識は、気づけば深い闇の中に囚われていた
 
 謎めいた男が突然現れて、こちらを助けられた後に意識を失ってから、
次に目覚めると…目の前には漆黒の空間が広がっていた。
 まるで暗い海の中に浮かびながら当てもなくさまよっているような
奇妙な感覚だった。
 地に足がついているようないないような…フワフワと宙に浮いているような
はっきりしない不思議な浮遊感を覚えていく。
 光らしきものは何も存在しないのに、周囲のものは何も見えないのに…
自分の身体だけは輪郭も何もかもがはっきりと見える。
 実に奇妙な現象だった。
 
「…ここは一体、どこなんだ…?」
 
 周囲を見渡していくが、何も見えない。
 永遠に続いていくかのような暗闇だけが広がっている。
 これでは此処がどこなのかまったく情報を得る事が出来ない。
 思考がぼんやりとした状態のまま御堂は困惑していった。音も光も何も
存在しない空間というのを生まれて初めて経験した。
 
「…どうして、私はこんな所にいるんだ…? いつの間に連れて
来られたんだ…?」
 
 御堂は辛うじてその場から身体を起こしていきながらそう呟いていく。
 闇というのは人間の心に、本能的な恐怖を与えていく。
 夜があるからこそ人は心身の休息を十分に得られるが…古来、明かりを
得るのが困難だった時代には、闇は人間にとって危険な猛獣達に生命の
危険に晒される時間帯でもあった。
 夜、闇を畏れるのは視界が利かず…その中に紛れて何者かが息を潜めて
近づいても知覚し辛いからだ。
 今の御堂とて、その例外ではなかった。
 そして心の中に恐怖がゆっくりと広がっていく中で…無意識の内に御堂は
ただ一人の存在を求めていた。
 
「…克哉」
 
 御堂にとってはこの世で一番愛おしく…同時に心の拠り所にしている存在。
 ただ彼の面影を脳裏に描いて、自らの心を奮い立たせようとしているだけなのに…
唐突に聞こえたたった一声のおかげで歪な方向に変化し始める。
 
―さあ、そのまま愛しい方を欲望のままに翻弄している時の事を心行くままに
思い浮かべて下さいませ…
 
 其れは御堂が先程、意識を失う直前まで側に立っていたあの怪しい男の声だった。
 その声を聞いた瞬間、妄想の中で克哉が乱れ始めていく。
 
―ん、あぁ…孝典さぁん…
 
 こちらがヒクついた後蕾に激しく振動しているローターを挿入しながら、
フェラをするように命じた時の悩ましい表情が生々しく脳裏に再生されていく
 
―はっ……熱いです…! もっと、貴方のモノで俺をグチャグチャに、して…下さい…!
 
 今にも泣きそうな顔を浮かべながら対面座位で深々と克哉を貫いた時の
息も絶え絶えの様子を思い出す。
 そう、いつだって克哉は自分にとっては最高に可愛らしくて
素晴らしく淫らな恋人だった。
 最初は屈服させ、屈辱を与える為に接待という名目で彼を辱める
目的で関係を持った。
 だが、その時の克哉があまりに魅力的で…こちらの欲情を酷く刺激していて、
耐えきれずに身体を繋げてしまったらもう駄目だった。
 あの肉体の持つ魅力に、そして与えられる強い快楽にいつの間にか心は
深く捉えられ…気づけば本気になっていた。
 
―あっ、ああっ…孝典さん! 孝典、さぁん…!
 
 瞼の裏で克哉が乱れて、縋りついてくる。
 この一瞬にいつだって胸が締め付けられそうになる。
 いつから自分の中にこんな感情が芽生えたのか御堂自身
にも良く判らない。
 だが、ふと気づいた時には佐伯克哉という存在が自分の中で大きくなっていた。 
 そして欲しいと、自分の傍にずっと繋ぎ止めておきたいという思いが
徐々に膨らんでいった。
 更に瞼の裏で、克哉が乱れてあられもない姿を晒していく。
 
―んっ…ああっ…! はっ…凄くイイです、孝典、さん…!
 
 蕩けるような眼差しを浮かべていきながら、こちらを甘く見つめてくる。
 その瞬間に男としての支配欲が強く満たされて、背筋がゾクゾクする程の
歓喜が湧き上がる。
 お互いの身体の間に挟まれているペニスはヒクヒクと震えて甘い蜜をしとどに
溢れさせている様が酷く扇情的だった。
 抱く度に喜びが湧き起こり、愛しさが増してくる。
 御堂自身は男女を問わず良くモテたし、何人もの人間と交際してきた。
 だが、自ら同棲を申し出るぐらいに執着した相手は克哉ただ一人だけだった。
 
(おかしい…何でセックスをしている時の事ばかり、克哉の事を考えると
頭の中から出てくるんだ…?)
 
 克哉と過ごしている時間は、恋人としてではない。
 仕事上のパートナーとして、自分の片腕として共に過ごしている時間も
たくさん過ごしている筈なのに、今…幾ら考えても日常の彼の姿がまったく
思い浮かんで来ない。
 普段、ふとした瞬間に見える彼のはにかむような笑顔にいつだって御堂は
心を癒されている筈なのに…今は、ぼんやりとしかその表情を思い出せなくなっていた。
 
―それは此処は貴方の深層意識が…普段、押し殺している願望が正直に
現れる場所…。ここでは貴方が望んでいる事を正直に思い浮かべて構いませんよ…
 
 あの怪しい男の声がねっとりと辺りに響き渡っていく。
 
「これが…私の願望、だと…?」
 
―えぇ、貴方は胸の奥にいつだって己の欲望を押し殺している筈です。本来なら
仕事など面倒だと。佐伯克哉さんただ一人が己の傍にいてくれれば、地位も
名誉も富も何もいらない。そして克哉さんと二人で自分たちだけが存在する
閉ざされた世界で生き、獣のように求め合いたいと…そう心の奥底では
願っているのではないですか…?
 
「…中高生ではあるまいし、そんな願いなど持つなどないだろう。大人になれば
相応の責任や、社会性を持って相手と付き合うのが常識だ。適当な事を言って
こちらを惑わすのは止めて貰えないだろうか…?」
 
―ククッ、体裁など無理に取り繕わなくて結構ですよ。それならどうして…貴方は
先程からこんなに淫らな光景ばかりを思い浮かべているのですか? それこそが…
貴方が胸の底に浅ましい願いを抱いている何よりの証拠。この場では…
偽りは通用しませんよ?
 
「うるさい…黙れ。例えさっきの光景が私の秘められた願望だったとしても…
お前にそれをとやかく言われる筋合いはない。それが何か悪いとでも言うのか?」
 
―いいえ逆ですよ。人生をより味わい深くするには、欲望や快楽は欠かせぬ
ものでしょう…。この世界は煩わしい事は一切考えず、己の欲望を満たす事だけを
考えていても良い世界…。望むならば、克哉さんといつまでも老いる事すらなく、
二人きりで生き続ける事だって可能ですから…
 
「はっ…不老不死でも与えてくれるというのか? 映画や小説では良く聞く
話だがな…。しかしそんなものが現実に叶う訳がない。そんなのは空想や
おとぎ話、物語の世界にしか存在しない。…私がそんな愚かしいものを
信じて、全てを捨てるとでも思ったか…?」
 
 相手の姿が見えぬまま、ゆっくりと深い水底に沈んでいくような錯覚すら
覚えながら奇妙な会話は続いていく。
 Rの声も耳ではなく、こちらの心に直接響いてくるように感じられた。
 体中がぬるま湯に浸かって浮いているようだ。
 心地よいような、暖かいような…ずっとそのまま感じていたいような
奇妙な快感だった。
 緩やかに深い闇の中に引きずり込まれているみたいだ。
 それに本能的な恐怖すら覚えていきながら…御堂は暫し、逡巡して
押し黙っていく。
 
―ですがそれが実際に得られるとしたら…貴方はどのような反応をされますか?
 
 その一言は妙な説得力を感じられた。
 不覚にも、この男ならばそれぐらいの事は平然とやってのけそうな…
そんな気になってしまう。
 そして御堂のその直感は正しかった。
 この男は彼が望みさえすれば、たやすくその奇跡のような願望を
叶えてくれるだろう。
 本当に愛しくて仕方ない人間とずっと変わらずに二人きりで生きていける
楽園を与えて…そして愛し合い、欲望を満たす事だけを考えて生きていける。
 その誘惑に、瞬間…グラリと揺らぎ始める自分がいた。
 
(何を考えているんだ…。そんな事、出来る訳がないのに…。この男の甘言に
何を惑わされているんだ…!)
 
 だが寸前でそう思い直して、即答は避けていく。
 口を完全に閉ざして黙る事で相手の提案を退けようとした。
 
―ふふ、やはり貴方は簡単には流されないようですね。用心深いことは決して
悪い事ではありませんよ…。こちらはもう少し考える時間を差し上げても
構いませんから…
 
「…時間を与えられても、私の答えは変わらない。お前の言葉に踊らされる
事は有り得ない…」
 
 そうきっぱりと宣言すると、次第に意識が遠くなっていくのを感じていった。
 甘い言葉に簡単に流されることのない、強固な意志と信念が感じられる。
 それにMr.Rは感服しつつも、同時に軽い苛立ちを覚えていった。
 
―流石は克哉さんが選ばれた方ですね。なかなかの強い意志を感じられます…。
ですが、私はどうしてももう一人の克哉さんに…あの人の本質の人格の方に
生きて頂きたい。その為には貴方がいるのは邪魔になる…。ですから、
今生きている克哉さんの心と共に眠って頂きますよ…。何としてでもね…
 
 そう、男は眼鏡の方の人格を現実で生きさせる為に…甘い罠を持って
御堂と、今生きている克哉の人格を堕とそうと試みていたのだ。
 だから御堂の前に現れて、この空間に拉致していった。
 もう少しの間だけここに引き止めて説得を試みてみよう。 
 この後に控えている演目に、数少ない観客としてその場に立ち会って
欲しいという願いもあるが…男の本題は御堂を陥落させる方にこそあるのだから。
 そうして、深い闇の中で…Mr.Rは自らの願いを成就させる為に…妖しく
微笑みながら様々な策を巡らし始めていったのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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