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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
 彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
 途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
 それらを了承の上でお読み下さいませ。

   GHOST                             10    11    12    13     14    15
                   

 ―御堂の傍で克哉が働くようになってから一週間が経過した頃、東京の
片隅で一人の少年の元にある人物が訪れていた。
 
 行きつけのバーに通って、一度だけ一夜を過ごした男性を待つ日々を
送ってどれぐらいの月日が流れたのだろうか。
 少年―須原秋紀は今日も溜息をつきながら店を後にしていく。

「あ~あ、克哉さんに今日も会えなかったな…。本当に一度ぐらいは
この店に顔を出してくれたって良いのにさ…」

 鮮やかな金髪の髪に、エメラルドグリーンの瞳。そして白磁の肌…日本人
離れした整った容姿をした少年は今日も目的の人物に会えなかった事に
深い落胆を覚えていく。
 顔を合わせたのはたったの一度、出会った日のみ。
 そしてその夜にホテルに直行して、一夜を共にした。
 あの夜に与えられた快楽を、そして強烈な出来事を忘れられなくて…
もう一度だけ会いたいと願って、数か月もの間…毎日のようにこのバーに
通い続けていた。
 整った容姿をしている秋紀は周囲の目を引いていたので…多くの人間に
声も掛けられたし、男女問わずナンパされた。
 それでも…一途に克哉だけを待ち続けて、誰の誘いにも乗らずにいた。
 だが…いい加減季節が二度も巡っても、望んでいる相手に会えない事から…
少年の心は折れようとしていた。

「…克哉さん、本当にどうしちゃったんだよ…。絶対にまたあの店に
顔を出してねって…僕、ちゃんと言ったのに…まだ来てくれないなんて。
もう諦めた方が良いのかな…」

 家の環境は相変わらずで、ずっと自分の部屋にいたくなかった。
 だから夜の街に居場所を求めて出歩いていた少年は…初めて強く心を
惹かれて、身体まで許してしまった存在を強く求めていた。
 セックスがあんなに気持ちの良いものだっていうのは知らなかったし…
それ以上に、秋紀は克哉に心を奪われてしまっていた。
 あんなに傲慢で力強くて、自信に満ち溢れた人間を他に知らないから。
 たった一度会っただけで強烈に己の中に刻みこまれてしまった事を
自覚していたからこそ…秋紀は心が折れそうになっていた。
 数えきれないぐらいに繁華街から自宅に帰る為のこの道を一人で
歩き続けていた。
 その事に、つい耐えられなくなって…弱音を吐いた時、背後から一人の
男の声が聞こえていった。

「…ほう、この程度の期間待たされただけで主人を待つのを諦めるか。
これは改めて躾けないと駄目だな…」

「っ…!」

 それは聞き覚えのある男性の声だった。
 弾かれたように勢い良く背後を振りかえると…其処には長身の眼鏡を
掛けた一人の男性が立っていた。

「嘘、克哉…さん? 本当に…克哉さんなの…?」

「…たかが半年以上会えない程度で、お前は他の人間と俺を見間違うのか?」

 秋紀は憎まれ口をたたくのも忘れて、ただ目の前の男性を凝視していく。
 けれど間違いない…これは、自分の記憶の中にある通りの彼だった。
 まるで王者のように威厳に満ち溢れて、あの夜…自分を征服して思うがままに
蹂躙した…年上の男性。
 銀色のフレームの眼鏡を掛けて、その奥にアイスブルーの瞳が輝いているのを
見て…秋紀は思わず、泣きそうになってしまった。

「…ああ、本当に克哉さんだ…! やっと僕、会えたんだ…!」

 家庭環境が再び悪化して、両親たちは醜い争いを繰り広げている。
 それを見たくなくて、だからこそ余計に秋紀は彼に会いたい気持ちを募らせていた。
 だからもう…可愛げのない態度を取る余裕がない。
 張りつめていたものがプッツリ、と少年の中で切れていく。
 そして…彼は眼鏡を掛けた佐伯克哉の元に駆け寄っていった。

「克哉さん…! 克哉さん…!」

 どうして、こんな風にたった一度会っただけの男性に縋っているのか…
自分でも情けなく思う部分もあった。
 だが、秋紀はいっそ…ここから自分を連れ出して欲しいとすら願っていた。
 そして眼鏡は…彼は声を掛ければ、すぐに自分の元に堕ちてくるのは
判り切っていたから…だから4人目のターゲットは彼にと決めていた。
 他の三人はそれなりに調教してなじませるまでにそれなりの期間が
必要だったが…この少年はすぐに克哉好みに染まる事が判っていたから。
 男のそんな心境を知らぬまま…全力で、少年は抱きつき続けている。

「…秋紀、そんなに俺を求めているのならば…俺の元に来るか?
お前を其処で、どこまでも愛出てやろう…」

「はい…僕、克哉さんの傍にいたい…。克哉さんの傍に、置いてよ…
お願いだよ…」

 心がすでにギリギリの処に置かれて、弱り切っている少年は…涙を
流しながら目の前の男に縋っていく。
 それが甘い悪魔の誘惑だとしても、今…置かれている現実を忘れる為なら
彼は迷いなく頷くだろう。
 そのタイミングを狙って、眼鏡は現れて…そして暖かい抱擁と口づけを
与えて相手を陥落させていく。

「秋紀…」

「あっ…ふ、ううん…!」

 脳髄が蕩けるような濃厚で甘いキスを受けただけで少年の心は折れていく。
 そして…眼鏡は4人目の獲物を、確実に陥落させていった…。

(さて…これで、残っているのは…お前と、御堂だけになったぞ…。後、僅かな
間にお前は…俺よりも鮮やかに御堂の心を捕える事が出来るのか…?)

 秋紀を腕に抱き込みながら、ククっと男は喉の奥で笑いを噛み殺していく。
 きっと相手は平穏な日常を惜しく思っているだろう。
 だからこそ…壊すことに価値がある。
 相手が御堂との日々を大切に愛しく思っていればいるだけ…壊した時の
衝撃は計り知れないものになるだろう。
 其れを想像するだけで愉快だった。

「さあ…秋紀、俺の元に来い…。お前を、可愛がってやる…」

「はい…克哉さん…」

 そうして、あっさりと心を絡め取られて…秋紀は眼鏡の元へと堕ちていく。
 そして…その日を境に、須原秋紀の姿を見たものは誰も存在しなくなって
しまったのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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