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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
 彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
 途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
 それらを了承の上でお読み下さいませ。

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―黒衣の男は主の頭を己の膝の上に乗せながら小さく溜息をついていた

 赤い天幕で覆われた部屋の中は、今は甘い香りに満たされていた。
 特殊な香を焚いたおかげだろうか、Mr.Rを除いて全ての者が深い眠りについていた。
 
(まさか…眼鏡を掛けていない克哉さんの方にここまでして
やられてしまうとはね…)

 少し苦々しく思いながらも、どうにか気持ちを切り替えて男は
事後処理に入っていた。
 この空間には一ヶ月あまり、この場に残っていた眼鏡を掛けていない方の
佐伯克哉が存在していた。
 その期間内、眼鏡とその性奴隷となった四人は全力で克哉の心を懐柔したり、
打ち砕く為に尽力し続けた。
 だが決して克哉の意志を曲げる事は出来ず、ついに今日…完全にこのゲームの
勝利条件を満たされてしまったので、Rは彼を解放したのだ。
 難癖をつけて無理矢理引き留める事は可能だった。
 だが男は…他ならぬ最愛の主君の為にそうしなかった。
 何故なら…。

「嗚呼、こんなに深く心を傷つけられてしまって…。貴方は他の者に悟られないように
していましたけど、私には判ります。あれだけの情熱を注いでももう一人の貴方の心を
手に入れる事も曲げる事も出来なかった事でどれだけ自尊心が痛めつけられて
しまったのか…。けれどそんな事で貴方が歪められてしまうのならば今は
お眠りになって下さい…。貴方が目覚める頃には苦い思い出は綺麗に消えていますから…」

 そうあやすように言葉を紡ぎ、愛しげに主たる存在の髪を優しく梳いていく。
 その場に倒れている本多、片桐、太一、秋紀の四人も軽く一瞥していきながら…
男は洗脳する為の言葉を、歌うように紡ぎ続けていく。

―此処は貴方が君臨する場所。四人の愛しい奴隷が貴方を心から慕って
おります…。そして貴方の欠けた御心は必ずもうじき埋められます…。
ですから今は眠っていて下さい…。貴方を脅かす苦い記憶が消えるまで…

 そうして主の額に優しく口づけていった。

(そう…もうじき、別の世界とこの場所を繋げて…もっと弱々しい眼鏡を
掛けていない貴方と、御堂孝典さんを連れて来ます…。それならば貴方に
屈して、そして永遠に明けない夜を貴方と紡いでくれるでしょうから…)

 Rは克哉が、勝利条件を満たした事…一ヶ月も前に宣言した事が決して
はったりではなかった事を今は痛感させられていた。
 結果、捕獲対象だった御堂の心からは一欠片も…眼鏡を掛けた方の彼は
介入することが叶わなくなった。
 其れを悟ったからこそ、脆い部分を併せ持つ主の精神に必要以上に深い傷跡を
残さない為に…あの克哉を解放したのだ。
 
―これ以上手元に残していても、最愛の主君の心は傷つけられるだけだと
悟ったからだ…

 だからMr.Rは彼を眠らせる。
 まるでギリシャ神話の中に出てくる眠りの神、ヒュプノスのように…この場にいる
全ての者にあの佐伯克哉の存在を忘却させるための深い眠りを与えていたのだ。

「忘れて下さい…全てを。あの強情な眼鏡を掛けていない佐伯克哉さんの事を
いつまでも覚えていても…貴方の心は辛くなるだけですから…」 

 何度も何度も、諭すように優しく言葉を伝えていく。
 まるで幼子をあやすように、子守唄でも聞かせてやるかのように…穏やかな
声音で、辛い記憶を手放すように促し続けていく。

「うっ…ううっ…」

 そして何度も、主は額に汗を浮かべていきながら呻き続ける。
 それは彼なりの抵抗の証だった。
 忘れろ、とやんわりと諭すRの言葉を素直に聞き入れてくれていないのだろう。
 だからこそ、延々と男は伝え続けていく。

(…判っていますよ…。貴方なりにもう一人のご自分に愛着を持って接して
おられた事は…。だからこそ、最後まで相手の心を得られなかった事は深い
傷を与えている事を…。けど、もうあの佐伯克哉さんと御堂孝典さんの間に
入り込む事はかなり厳しいでしょう…。そんな無駄な努力をさせてこれ以上
貴方を苦しませるぐらいなら…私は貴方に忘れ去らせる方を選びます…)

 其れは主君への労りであると同時に、この佐伯克哉をRが望む者へと
在り続けさせる為に必要な事だった。
 純粋な愛など、一種の暴力行為に等しいのではないだろうか。
 あの佐伯克哉は…その姿勢を見せ続ける事で、愛しい主を大きく変革させて
しまった。その影響はあまりに大きすぎて、こんな事をしなければならない
ぐらいだった。

「忘れなさい…全てを。辛い記憶など、抱いていても貴方が歪められるだけ…。
あの時のように私の手を取って、平穏を取り戻して下さい。いつまでも手に入れられなかった
存在に心を残しても…辛いだけですよ…」

 そうして男は、考えを巡らせていく。
 必ず無数に存在する可能性の中には、あっさりと陥落する眼鏡を掛けていない
佐伯克哉と御堂孝典も存在する筈だ。
 嗚呼、それと…自分が彼に介入するキッカケを作った、彼の親友辺りも
此処に招いても良いかも知れない。
 喪失など気にならなくなるぐらい、新たな存在を与えて彼をこの場に君臨
させれば良いのだ。
 そうして…Rは邪な笑みを浮かべていく。

―貴方は私の望む者にもっとも近くなった存在。貴方を誰にも渡しはしません…。
此処に繋ぎ止める為なら、私は何でもいたしましょう…

 そうして彼への強い執着を垣間見せていく。
 記憶操作や、洗脳する事にだって何の躊躇いも見せない。
 この明けない夜の中にずっと留まってくれるならば…それで良いのだ。

『貴方は永遠に私のモノです。私が貴方という存在を貪り尽くすまで…。
飽きてもういらないという日が来ない限りは…決して私は貴方を
手放す事はありませんよ…我が主…』

 そうして、誓いの口づけのように恭しく…己の膝に頭を乗せている佐伯克哉の
唇にキスを落としていく。
 愛しさと、呪縛の両方の意味を込めながら…。

―貴方を繋ぎ止める為なら、私は何でも致しましょう…

 そう呟いていくと…再び彼に呪文のように、優しく言葉を紡いでいく。
 そのRの表情は慈愛に満ちていると同時に、酷く禍々しく…天使と悪魔の要素を
両方併せ持つような…不思議な笑みをたたえていたのだった―

 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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