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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
 彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
 途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
 それらを了承の上でお読み下さいませ。

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―やっと貴方の元に帰って来れました… 
 
 御堂の力強い腕に包まれながら克哉は、その喜びを深く噛み締めていた。
 どれだけこの一ヶ月間、此処に帰って来れることを待ち望んでいた事だろう。
 
(御堂さん、御堂さん…御堂さん…! 貴方にもう一度会いたいってどれだけ
オレが想っていた事か…! 絶対に貴方にもう一度会いたい。その気持ちが…
ずっと、挫けそうになった時にオレを支え続けてくれたんです…! やっと、
貴方の元に帰って来れたんですね…オレは…!)
 
 ただ抱き締められているだけで感慨深いものが湧き上がり…同時にジワっと
涙が溢れてしまいそうになる。
 克哉はどれくらいの期間、自分がクラブR内で過ごしていたのか時間の
経過をまったく知らない。
 あの場所にはカレンダーも、時間の概念も存在しなかったから。
 一日がいつ終わっていたのかも克哉には知る術がなかったし、御堂と離れてから
どれくらい経過したのか克哉には判らなかった。
 けれど永遠に続くのではないかと、何度も絶望に陥ったことがあった。
 望まぬ行為を強要されて心が折れそうになってしまった事だって
数え切れないぐらいあった。
 けれど克哉は、絶対にこの腕の中に帰りたかった。
 その想いを…息が詰まるぐらいにきつく御堂に抱きしめられていきながら
思い出していく。
 
「御堂さん、御堂さん…! ああ、どれだけ貴方に会いたいとオレが想っていたか
判りますか…。再びこの腕の中に抱き締められる日を夢見て、やっと…叶う日が
来てくれたんですね…」
 
「ああ、そうだ克哉…私も君が帰って来てくれる日をどれだけ願っていた事か…。
これが夢ならどうか、醒めないでくれ…!」
 
「んんっ…。!」
 
 そうして二人は互いの歯がぶつかりあってしまうような不器用で、勢いに
任せたキスを交わしていく。
 カチっと小さく音が立ったが…すぐに御堂はキスの角度を変えて深く唇を重
ね合わせて…熱い舌先を絡ませあっていく。
 お互いの呼吸すら奪い尽くしてしまいそうな情熱的なキスに、すぐに体温が
上がって…身体の奥に生まれた欲望が煽られていくのが判った。
 そうして御堂が克哉を押し倒すと同時に二人分の体重が掛かって、ソファが
ギシっと軋み音を立てていく。
 蛍光灯の明かりが灯る中、鮮明にお互いの姿が照らし出されいるが…強く
正面から抱き合っている格好のせいで表情は良く見えなかった。
 
(貴方の元にこうして帰れるまで、本当に長く感じられました…。けど、オレは
信じていましたから…。貴方の元に必ず帰れると…。ああする事で確実に、
勝利を得ることが出来ると言い聞かせていたから…どんな事をされても
耐えられたんです…)
 
 この腕を、克哉も離したくなかった。
 だから強くこちらからも御堂の体を抱きしめ返していく。
 ドクンドクンとお互いの鼓動が早くなっているのを実感していく。
 ただ抱き合っているだけでお互いの息遣いが荒くなり、体温がジワっと
上がってくるのが判った。
 
「御堂、さん…」
 
「克哉…」
 
 お互いに語りたい事、聞きたい事はいっぱいあった。
 だが今は言葉すら邪魔だった。
 息が出来なくなるぐらいに力を込めて相手の体をきつく抱きしめ合う。
 革張りのソファの上に押し倒されると、身長180cmを越える大の男の体重が
掛かったせいだろうか。
 先程よりも更に大きな音を立てた事で克哉は少しヒヤっとなりつい案じて
いきながら問いかけていく。
 
「あの…寝室に、行きますか…?」
 
「いや、ここで良い。ベッドに移動する時間すら…今は惜しい…」
 
「あっ…」
 
 そうしている間にワイシャツのボタンを外されて裸の胸を露出させられていく。
 途端に克哉の顔に狼狽が生まれていく。
 
「あ、あの…」
 
「っ…!」
 
 克哉が慌てて隠そうとしたがすでに遅かった。
 肌蹴たシャツから見える肌…そう、首筋から鎖骨に掛けて無数の
痕跡が刻まれていた。
 キスマークの他に、鞭で打たれたようなミミズ腫れや細かい裂傷まで
ある事に気づいて、御堂が息を飲んでいく。
 
(その、痕は…! 君が、あいつに好き放題された証なのか…! やはり、
君は…この一カ月、決して平和に過ごしていた訳では…なかったのか…!)
 
 先程まで熱に浮かされてきた想いが、一気に現実に引き戻されていく。
 克哉が姿を消していた一ヶ月間、果たしてどのような行為を繰り返しされて
きたのか想像するだけで…憤死しそうになる。
 憤りによって御堂の拳は、全身はワナワナと震えて…強く握りこんだ手の甲
からは血管すら浮かびあがっていた。
 その様子を見て克哉は、己の迂闊さを心から後悔していた。
 
(…しまった…この身体の痕を見て、御堂さんがどう思うか…それを失念
してしまっていた…。本当に馬鹿だ、オレは…!)
 
 克哉もまた、御堂のその反応を見て…苦い顔を浮かべていった。
 明かりが消えた状態ならば、気づかれずに済んでいたかも知れない。
 克哉もまた、御堂の元にやっと帰る事が出来た喜びが強すぎてその事を
まったく考慮していなかった。
 クラブRで過ごした日々の痕跡がこの肉体に色濃く刻まれている事を。
 其れを見て御堂がどう思うか、その事を失念していた己を呪いたくなった。
 
「克哉、それは…」
 
「………貴方の想像した通りです。けど、他の男にされたものではなく…もう一人の
俺に刻まれたもの。それならオナニーをしているのと何も変わらない。オレは、
そう思って過ごしていました…」
 
「そうかも、知れないが…くっ…!」
 
 目の前で御堂の顔が苦悩で歪んでいく。
 その痕は紛れもなく、克哉がこの一ヶ月決して平穏に過ごした訳
ではない証だった。
 きっと何度も抱かれて、痛めつけられるような行為を繰り返されたのだろう。
 身体に刻まれた傷や、その痕が何よりも雄弁に事実を物語っていた。
 けれど克哉は其れを、もう一人の自分だけにつけられたときっぱり嘘を言った。
 本当は他の四人とも絡まされた。
 時に本多や太一に貫かれる事があった。
 片桐や秋紀を抱かされながら、もう一人の自分に貫かれる事すらあった。
 
(けど、御堂さんに本当の事なんて言わなくて良い。抱かれたのはあいつ…
もう一人の俺だけなのだと。その嘘を信じてくれた方がきっと、御堂さんの
心の負担は軽くなる筈だから…)
 
 この身体に刻まれたものが存在する限り、何もなかったと嘘を言う事は出来ない。
 そんな事を言ったところで何の意味もない。
 だから克哉は少しでも負担にならないように嘘をつく。
 御堂はきっと、あの場所に招かれてもう一人の自分と対峙した時点で…
御堂の元に来て四日目の夜に、克哉を犯したのが彼だという事実を知った筈だ。
 それならすでにこちらをを犯していると判っている相手だけにされていたの
だと言った方が良い。
 
(真実は俺だけが知っていれば良い…貴方には一生涯、あの場所で起こった事の
詳細は言わない…。だからこの嘘を真実と思っていて下さい…)
 
 愛しい人を傷つけるだけの真実などいらない。
 ならせめて貴方の心が少しでも軽くなるように、この嘘を突き通そう。
 もう克哉は御堂の手を離さない。
 その為に、どんな陵辱も恥辱も代わりに受けても構わないと思った。
 だから克哉は歪んだ笑みを浮かべていきながら…静かに告げていく。
 
―その顔は、一ヶ月前に最後に御堂が見た暗いものを感じさせる笑みと
酷似したものだった
 
 その顔を思い出して御堂は言葉を失っていく。
 そして彼は思い知る。克哉の深すぎる情念を…。
 
「…この傷の事は気にしなくて良いです。これは…貴方を他の人間に
触れさせたくないって思ったからやった事ですから…」
 
「克、哉…」
 
 そう告げた克哉の瞳に深い闇が宿っている事に、狂おしいまでの強い感情を
感じ取って御堂は思わず息を詰めてその視線に釘付けになっていく。
 そして克哉はそんな彼から余計な考えと言葉を奪うように、再び何もかも
奪うような深い口づけを交わしていった―
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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