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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
 彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
 途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
 それらを了承の上でお読み下さいませ。

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―あんたは何も知らないようだから簡単にまずは説明してやろう。
 俺ともう一人のオレはな…ゲームをやっているんだ。
 それぞれの命運を掛けて…あんたの心をどちらが捉えて、射止めることが
出来るかという…そういうゲームをな…

「っ…! 嘘だ…! でたらめをいうな…!」

 傲慢な男から語られた事実は、御堂は認めたくなかった。
 克哉と過ごした十一日間が、汚されてしまったような…そんな不快感を
覚えたからとっさに否定していく。

「…ふ、やはりあんたは強情だな…。素直には認めはしないか…」

 そういって、眼鏡が不遜に呟いた瞬間…室内に大きな変化が起こっていく。
 御堂と克哉はクラブRに招かれた時、別々の部屋に分かたれていた。
 だが、彼らは知らない。
 それらの部屋を境目にある鏡が…マジックミラーであった事を。
 スイッチ一つで切り替えられ…お互いの部屋の様子を透かしてみることが
出来る構造であることをまったく知らなかった。
 いや、目覚めたばかりのときはいきなり見知らぬ場所で目覚めたことに
混乱していて、部屋の内装や…どうして壁の一面だけが鏡になっていたのか
疑問に思う暇すらなかったという方が正しいだろうか。
 もう一人の佐伯克哉がゲームの内容を語ろうと口を開こうとした瞬間、
カチっと音が立ち…鏡だった壁が、突然隣の部屋の様子を映し出していった。

「っ…!」

「…ほう、これもあの男の趣向か…」

 核心に触れる内容を御堂本人に語る直前、隣の部屋で克哉が
二人の男に組み敷かれてもがいている姿が映し出されていた。
 声や会話までは鏡で隔てられているせいで聞こえない。
 克哉は裸の状態で、両手首に手錠を掛けられていた。
 胸の突起やペニスなどをガタイの良い男と赤毛の青年にそれぞれ
攻め立てられていて…必死に喘いでいる姿が見えて…御堂は
胸の中に怒りが宿っていくのが判った。

「佐伯…! それに、どうして二人同時に…!」

 今、御堂の目の前には眼鏡を掛けた傲慢な克哉が。
 鏡の向こうには…必死にもがいて、泣きながら抵抗している克哉の
姿が同時に存在している。
 あまりの衝撃的な事実に、思考回路がショートしかけた。
 
『いやだぁ…!! やめてくれ! 本多! 太一っ…!』

 鏡の壁は、普通の大きさの声は遮断するが…叫び声だけは
微かにこちらの部屋にも通していった。
 その声を聞いて、御堂は弾かれたように立ち上がっていく。

―これ以上、他の男に触れられることなど許せない…! 彼は…彼は…!

 その怒りのままに立ち上がろうとした途端に、四本の腕に…いつの間にか
押さえつけられていた。

「っ…! 邪魔するな…離、せ…!」

 だが、自分の右足にしがみついている人物の姿を見た瞬間…御堂は
言葉を失っていく。
 左足にまとわりついている金髪に緑の瞳をした少年らしき人物には
殆ど見覚えはないし…名前も知らない。
 もしかしたら街中のどこかで何度かすれ違ったことぐらいはあるかも知れないが…
他人といっても差支えがなかった。
 だが、反対側にいる人物は違う。
 彼は…間違いなく、片桐稔…プロトファイバーの営業をキクチ・マーケティングが
担当していた期間、御堂と一緒に仕事をしていた男性だった。

「片桐君…! どうして、ここに…!」

 その瞬間、先程の克哉の叫びの中に…『本多』という名前が含まれていた事に
気づいていく。
 失踪した筈の片桐と本多は、ここにいたというのか?
 御堂はその事実に気づいた途端…今、自分がいる場所に猛烈な不気味さを
覚えていった。

「…お久しぶり、ですね…御堂部長…。相変わらず貴方はとても綺麗で…
雄雄しい、ですね…僕にはないものですから…とても羨ましい、ですよ…」

「へえ、この人…御堂さんっていうんだ…。これから、僕らの仲間になるんだから…
ちゃんと、覚えておこうっと…」

「な、何を言っているんだ…君達、早く離してくれ! 私は向こうに行かなければ
ならないんだ…!」

 彼らの発言に動揺を覚えつつ、必死にもがいてその腕から逃れようと
暴れていく。
 だが…少しぐらいの抵抗ではしっかりとしがみつかれた腕から解放
されることは叶わなかった。

「…おいおい、せっかく来たんだ。そんなにつれないことばかり言うなよ…。
向こうの部屋ではあいつの方もお楽しみの最中なんだ…。あんたも
楽しんでいったらどうだ? こいつらの味も…なかなかのものだぞ…?」

 味、というのが何を指しているのが一目瞭然だけに…御堂は更に
苛立ちを募らせていった。
 
「断る! 私は…他の男を抱くつもりも、遊ぶ気もない!」

 きっぱりと言ってのけた瞬間、部屋の空気がいきなり…密度が濃くなった
ような気がした。

―やはり貴方は…強情な方ですね。ですが…それでこそこの方の最後の
獲物たる資格があるというもの…。強い意志を持っている方の心を打ち砕いて
屈服させる方が…よりやりがいがあるでしょう…。
さあ、我が王よ…この方に、貴方の手で従う悦びを与えて差し上げて
下さいませ…

「ふざ、けるな…!」

 唐突に室内にMr.Rの声が響き渡って御堂は怒号を挙げていく。
 しかし…エキゾチックな香りが更に強まると同時に…頭の芯がしびれた
ようになって、身体の自由が効かなくなっていった。
 甘い誘惑に、全てを委ねたくなりそうだった。
 だが…鏡の向こうにある、腹立たしい光景が…御堂の正気を辛うじて
保させてくれていた。

「…さて、そろそろ…あんたの方も楽しむ時間だ。今まで…あんたが
知らなかった快感と悦びを…その身体に教え込んでやるよ…御堂」

 そう不穏なことを呟きながら…王座に座っていた眼鏡を掛けた克哉は
ゆっくりと立ち上がり…御堂の元へと歩み寄っていったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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