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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

忘却の彼方に                       10 11 12 13   14 15
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 お互いに堰を切ったように強く抱きあい…貪るようなキスを交わしていく。
 頭の芯が、それだけで蕩けてボウっとなってしまいそうだった。
 二人とも色々と抑えつけていたものが一気に解放されていくような
感情の迸りを感じていった。
 ベッドの上が、ギシリと大きな軋み音を立てた。

「このバカが…」

 眼鏡が、喉の奥からその言葉だけを振り絞っていく。
 その言葉を聞いた克哉の頭の中も…グチャグチャで、まともに
思考する事など出来なかった。
 克哉の中には二人の男への想いが、今は存在している。
 今…目の前にいる、自分と同じ顔をした男と。
 …そして、本多という恋人がいた事も思い出してしまった。
 今までは記憶喪失だったから、という言い訳がついた。
 けれど…ここで拒まなかったら、其れは恋人に対してに裏切りに
なるというのに…そうする事が出来なかった。

(…もう、駄目だな…オレは…)

 相手の瞳の奥に、涙が…悲しみが存在している。
 其れによって心が揺れ動き、相手を愛おしいと…これ以上泣かせたく
ないという想いに突き動かされてしまう。
 
―それでも…誰を裏切る事になっても、オレは今…お前とこうしたいんだ…

 胸の中に、本多の顔が浮かんだ。
 最初は笑顔だった顔が、悲しそうなものに変わっていく。
 
(ゴメン、本多…)

 謝っても許される事じゃないと判っていても、記憶を失っている間に
眼鏡と共に過ごしていた事によって…克哉の中に、彼が住みついてしまった。
 その事に涙を流していきながらも…夢中で、克哉は相手の激しい
口づけに応えていった。

「抱くぞ…逃げるなら、今の内だぞ…?」

「…今更、逃げないよ…」

「後悔しても知らないぞ…」

「…うん、これ以上されたら痛みは伴うけれど…この手を振り解く方が、
オレはきっと…後悔、するよ…」

「………そうか」

 そうして、服を引きちぎらんばかりの荒々しさで眼鏡の手がこちらの
衣類を剥ぎ取っていく。
 丁寧な愛撫も、何もない。
 歯がぶつかりあうぐらいに不器用で勢いのある口づけを交わし合いながら
獣のように…身体を自分達は繋げようとしていた。
 足を強引に開かされ、指を挿入される。
 唾液によって多少、潤いを与えられていたが…身体はやはり、
迷いによっていつもより緊張してしまっていた。

「はっ…うっ…!」

 身体の奥に、引き連れたような痛みが多少あった。
 散々抱かれて慣れた身体の筈なのに、それでも今…こんな状態に
なってしまっているのは精神的な要素も大きいのだろう。
 眼鏡の手も、いつもよりも強引なのも要因かも知れなかった。
 けれど…その癖、相手の目の奥には欲望の色が宿っていて…
本当に、獣のように感じられた。

「…抱くぞ」

「うん、良いよ…」

 きっとこのまま抱けば、克哉に苦痛を与える事になると判っていても、
男はそう問いかけた。
 克哉もまた、其れを拒まなかった。
 むしろ今は快楽よりも…痛みが欲しかった。
 激しい悦楽によって、罪の痛みが紛れてしまうよりも…罰の方を
与えて貰いたかったから。
 だから…グイ、と一気に相手に貫かれても…きつく克哉は
相手の身体にしがみつき続けていた。

「あっ…くっ…っ…!」

「…動くぞ」

「うん…っ…いい、よ…!」

 身体の奥が、やはり強張っている。
 其れが今まで感じた中で一番の苦痛を克哉に与えていた。
 だが、其れでも相手が動けば…克哉も応えるようにぎこちなく腰を
揺らしていく。
 まるで、記憶を取り戻してしまった事によって生じたぎこちなさを…壁を
無理やり抉じ開けるような、そんな行為だった。
 優しい愛撫も、何もない不器用なセックス。
 けれど…それでも身体を繋げている事でお互いの熱を直接感じ取って…
徐々に身体が熱くなっていく。

「ふっ…うっ…」

 相手の熱が、自分の中で次第に強まっていくのを感じて…やっと
克哉の中で苦痛が和らいでいった。
 多少の出血が伴って、潤いが出たからかも知れない。
 相手が動くたびに痛かったけれど…徐々にそれも快楽によって紛れていく。

「もっと…オレを、抱いて…壊れる、ぐらいに…」

「ああ、そうしてやる…。それぐらい、激しく…今は、抱いてやろう…」

「うん…そう、して…あっ…!」

 そうして、痛みの中で克哉は昇り詰めていく。
 大きな声を喉が枯れるまで上げ続けて…ペニスから白濁がもう
満足に出なくなるぐらい…その日は、抱かれ続けた。
 けれど泥のように意識を失ってしまっても…その夜に、それ以上の
記憶の再生はなされる事はなかったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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