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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
 彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
 途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
 それらを了承の上でお読み下さいませ。

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―自分が生きた証を残したい

 それはこの世に生を受けているなら、どんな生物にもある
根本的な欲求だ。
 だが人間に関して言えば、子孫を残す以外に創作をしたり…
誰かの中に生き続けるといった方法も存在している。

(御堂さんにせめて覚えていてほしいんだ…オレという人間がいたことを…)

 今、克哉は葛藤している。
 帰宅して夕食を終えて、それぞれがシャワーを浴び終えて、克哉は
リビングへ、御堂は寝室の方に落ち着いた頃…強くそう思っていた。
 今は清潔なパジャマに身を包み、皮張りのソファの上に腰をかけながら
彼は覚悟を決めていた。
 残されている時間があまりに短いことが激しい焦燥感を掻き立てられていく。

(明日の夜を…無事に迎えられる保証なんてどこにもないんだ…!)

 今夜にだってもう一人の自分が訪れて…この平穏な日々は終わりを
迎えてしまうかも知れないのだ。
 そうなれば自分は…何もしないままで負けてしまうようなものだ。
 せっかくチャンスを与えられているのなら駄目でも良いから最後に
あがきたかった。

「御堂さんがオレのことを受け入れてくれる保証なんてどこにもないけど
…もう、今夜しかないんだ…!」

 そうして覚悟を決めて、克哉はゆっくりと御堂の部屋に続く廊下を
歩き始めていく。
 ただ近づいているというだけで、心臓が破裂しそうになっている。

(昨晩、キスをしてくれたんだ…脈がない訳じゃない。そう信じるんだ…)

 心の中でそう言い聞かせていても、胸からドクドクドクと激しい心拍数が
聞こえてきて…手足がガタガタと震えてしまっていた。
 自分から御堂に好きだから抱いて欲しい、というのは…それこそ彼にとっては
清水の舞台から飛び降りるぐらいの勇気が必要な行為だった。
 まだ早いのではないのかと…葛藤する気持ちもある。
 しかし…もう今夜を逃したら御堂はもう一人の自分の手に堕ちてしまうのでは
ないかという想いが、彼を突き動かしていた。
 そうして御堂の部屋にたどり着くと…扉をノックして声を掛けていった。

「御堂さんすみません…起きていらっしゃいますか…?」

『佐伯君…どうしたんだ、こんな時間に…。君がこうやって夜に私の
部屋に来るなんて初めてだな…。何か用があるのか?』

「えぇ…貴方に少し話があって。中に入って宜しいですか…?」

『…ああ、構わない。今、扉を開けよう…』

 そうして少し間を置いてから、内側から扉が開かれていく。
 御堂はバスローブ姿に身を包んで、日中は綺麗に纏められている髪が
今はシャワーを浴びた後のせいか軽く乱れていた。
 スーツ姿の時とは違って、妙に色気があるように感じられて…克哉は
胸がまた落ち着かなくなっていくのを感じていた。

(ああ、バスローブ姿の御堂さんって格好良い…。オレって毎日、
こんな姿を見れないでいたのか…って何を考えているんだ…!)

 つい、御堂の姿にボーとなってしまって余計なことを考えてしまった
自分にツッコミを入れてしまう。
 
「…君は私に用があるんじゃなかったのか? 一人百面相をするのは
結構だが…早く中に入ったらどうだ?」

「ああああ、すみません! 今…中に入ります!」

 御堂にもしまいには突っ込まれてしまって、克哉は慌てて室内に
駆け込んでいく。
 何というか、これから言おうとしている内容が内容だけに妙に動転
してしまっていた。
 部屋に入った途端、御堂の視線がこちらに突き刺さるようにすら
感じられるのは気のせいだろうか。

(御堂さんに…見られている。視線が熱いと思うのはオレの方が
自意識過剰だからかな…)

 そうして二人で向き合うと、息が詰まるような空気が流れていった。
 視線で御堂にすでに捕獲されてしまっているような感覚すら
覚えている。
 手のひらは汗ばみ、顔は耳まで真っ赤に染まっている。
 緊張がピークに達していくのを感じながら…いつまでもモタモタして
いられないと思い、再び覚悟を決めていく。

「御堂さん…オレ、貴方に伝えたいことがあります…」

 まっすぐに、想い人の目を見つめていきながら口を開いていく。
 相手は無言のまま、こちらをただ真摯に見つめ返している。
 そうして…ずっと胸の中に存在していた強い願いを、気持ちを…
この人に告げていった。

「オレは貴方が好きです…だから、今夜…抱いて、下さい…!」

 泣きそうな顔をして、必死に想いを告げた瞬間…克哉は
強い力で御堂の腕の中に引き寄せられていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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