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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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     御克前提の澤村話。テーマは桜です。
  桜の花が舞い散る中、自分という心が生まれる前のことを
探り始める克哉がメインの話です。後、鬼畜眼鏡Rではあまりに
澤村が不憫だったのでちょっと救済の為に執筆しました。
 現在終盤真っ最中です。

 桜の回想                      10  
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 佐伯克哉は気づけば、漆黒の空間に横たわっていた。
 一切の光源が存在しない程の暗闇。
 今、自分がどこにいるのかさえ方角を見いだす事すら困難な場所だった。
 
「…ここは一体、どこなんだ…?」
 
 前後の記憶がはっきりせず、どんな経緯でこの場に自分が倒れていたのかが
まったく思い出せなかった。
 身体が鉛のように重くて、満足に動かせない。
 四肢にも5キロぐらいの重しがつけられているかのようだった。
 泥の中から這い上がって、地上に出たかのような感覚だった。
 何もかもが面倒で、かったるくて…何か考えたり、身体を動かすのも
億劫なくらいだった。
 寒いとも暖かいとも感じられない。
 空気の動きすら、殆どない状態だった。
 
「それに、御堂さんも『俺』も…一体、どこにいるんだよ! 
話が違うぞ! Mr.R!」
 
 周囲に何も、誰も存在しない事を確信していくと大声で黒衣の男に向かって
そう訴えかけていく。
 あの男は間違いなく、これから始まる舞台に…滑稽な一幕にこちらを招くと
言っていた筈なのに…。
 しかし克哉の声は空しくエコーを繰り返して、ゆっくりと遠くなっていくのみだ。
 この世界で自分一人しかいないような、そんな恐怖がジワリと湧き上がってくる。
 
「誰も、いない…のか…?」
 
 そして暫く何の反応もないままなので、空虚感を覚えて克哉はその場で
うなだれていく。
 
「御堂さん…『俺』…! 一体、どこにいるんだよぉ!」
 
 耐えきれずに克哉は絶叫しながら、安否が気になる二人に訴えかけていく。
 また無駄に終わるかも知れないと分かっていても、それでも叫ばずには
いられなかった。
 彼らがどうしているか知りたい、顔を見て確認したいと願う気持ちが急速に
湧き上がっていった。
 
―私は、ここにいるぞ…克哉…
 
 ふいに、背後から気配を感じて…克哉はぎょっとなっていく。
 相手の声がした方角にとっさに振り返ろうとした瞬間に…克哉はいきなり、
四つん這いの格好にさせられて地面に転がされていった。
 
「っ! 何が…うあっ!」
 
 いきなり下着ごとスーツのズボンを引き下ろされて…臀部が外気に
晒されていった。
 ぎょっとなった瞬間、ペニスに骨ばった指先が絡みついて的確にこちらの
快楽を引き出していった。
 
「な、何をするんですか! 孝典、さん…!」
 
 辺りは真っ暗なのと背後から触れられているせいで、今…自分に淫らな
行為を仕掛けて来ている人物の顔は見えない。
 けれど愛撫の仕方や、息づかい…そしてその体臭から、御堂に間違いないと
克哉は確信している。
 だが、こんな場所で見境なくこちらに襲いかかってくるような事をあの人が
果たしてやるだろうか。
 
(俺に触れているのは間違いなく、御堂さん本人に間違いない…! けど、
どうしてこんな事を…?)
 
 確かに時に御堂は獣のようにこちらを犯してくる事がある。
 だが、いつだって状況とか克哉の反応を読んだ上でだ。
 こんな風に一方的に、まるでレイプをするかのように強引には暫く仕掛けられて
いなかった為に、胸の中には困惑だけが広がっていった。
 
「孝典、さん…どうし、て…! うぁ、ああっ…!!」
 
 克哉が逡巡している間に、御堂の性器がこちらの隘路を割り開いて
奥まで侵入してくる。
 正式に付き合いだしてから、数え切れないぐらい御堂に抱かれ続けてきた
身体は唐突な挿入でもあっという間にそれを飲み込んでいってしまう。
 ズンズンと激しく腰を突き上げてくる。
 激しいリズムに、まともに呼吸すら出来なくなってしまう。
 
「やっ…あっ…そんな、に…激しく…んあっ!」
 
 躊躇うように何度も腰を捩らせていくが、背後にいる御堂は一切容赦しなかった。
 激しい律動に一方的に付き合わされている状態で、服の隙間に両手を
忍び入れられて…すっかり尖りきった胸の突起を執拗にイジられ続けていった。
 それだけで頭の芯が痺れて、おかしくなってしまいそうだった。
 そうだ、いつだって御堂とのセックスは気持ちが良すぎて…こうして抱かれて
しまったら、他の事など何もかもどうでも良くなってしまう。
 この快楽をいつまでも味わっていたくなる。
 仕事も、他の人間の事も頭の中から吹っ飛んで、ただ御堂とその与えられる
感覚以外は考えられなくなる。
 接合部からはグチュグチュという淫猥な水音が激しく響き続けて、聴覚までも
犯されているようだった。
 
「お願、いです…孝典、さん…何か、何か言って…下さい…! どうして、
こんな一方的に…んはっ!」
 
 懇願の声を挙げていくが、背後の御堂は何も応えない。
 状況を詳しく知ろうにも辺りが暗すぎて、何も分からない。
 しかもこんなバックから貫かれたら、相手がどんな表情をしているのか…
それすらも見る事が叶わなかった。
 
「ん、んんん…せめて、お願い、ですから…何か…言って、下さい!」
 
 もう一度、心から相手に訴えかけていく。
 その瞬間…激しかった律動がピタリと止んで、呻くような声が静かに漏れていった。
 
「克哉…私の、克哉…」
 
「っ…!」
 
 そうしてようやく聞こえたその声は、どこかか細くて切ないものだった。
 まるで迷子のような、どこか弱々しい口調に急速に克哉の心に哀れみの
心が広がっていく。
 
「孝典、さん…」
 
 克哉は相手の顔を見ようと、必死に身体を捩って相手の方に顔を
向けようとした。
 殆ど視界が効かない中、それでも相手の目元だけは辛うじて確認できた。
 大いに迷って、混乱しているような…そんな色合いを帯びていた。
 こんな弱々しい御堂を見たことなど、付き合い初めて二年以上になるが
今までに殆どなかった。
 
「離れない、でくれ…私には、君だけ…なんだ…」
 
「どう、したんですか…一体…?」
 
 先程まで、あれだけ荒々しくこちらを犯していた相手ととても同一人物に
など見えない。
 まったくの別人のようだった。
 
「君がいなければ…私、は…」
 
「大丈夫、です…オレは、貴方の傍に…ずっと、いますから…」
 
 そうして克哉は四つん這いにさせられてバックから深々と貫かれている
苦しい体制で、必死になって相手の方に向き直っている。
 はっきりと相手の顔を見ることは出来ない。
 けれど、相手が泣いている事だけは流れている空気で伝わってくる。
 
「ずっと、私の傍にいて…くれるのか…?」
 
「えぇ、オレは貴方から…絶対に、離れません…」
 
 そう克哉が呟いた時、こちらの手に御堂の手が重ねられていくのが分かった。
 その瞬間、視界が突然目映く輝き始める。
 それは白の統一された豪奢な部屋だった。
 室内に流れる空気はどこか甘い花の香りが漂っていて、調度品の一つ一つは
溜息が出る程立派なものばかりだった。
 真っ白い革製のソファに、王侯貴族が使用しているかのような豪奢な
天蓋付きのキングサイズのベット。
 そして壁と柱は、良く磨かれた大理石で作られ…地面にはフカフカと柔らかく暖かなカーペットが敷き詰められていた。
 
 
「こ、の部屋は…? っ…これは…!」
 
 突然、情景が変わった事に呆然となっていると…いつの間にか首元に
長い鎖に繋がれた首輪がつけられている事に気づいていった。
 御堂は全裸ではなく、ボタンを全部外した状態でYシャツだけを羽織り…
スーツのズボンを身に纏っていた。
 だが髪が軽くほつれている状態で、衣類が乱れている御堂の姿は思わず
息を呑むぐらいに強烈な男の色香が漂っていて…愛しい男性の姿に釘付けになっていく。
 
「克哉…君は私の傍に、ずっといてくれると言ったな…。なら、私とこの楽園で
二人で永遠に生きよう…。君さえ望んでくれれば、私たちの楽園は成立する…」
 
「孝典、さん…? 一体、何を言っているんですか…?」
 
 完璧な現実主義者である御堂の口から漏れたとは思えない言葉だった。
 確かに克哉の中に、御堂と二人だけで生きていきたいという願望は
存在している。
 仕事もその他の人間関係の全てが、この人と愛し合っている時だけは
煩わしく思う事さえある。
 克哉にとって御堂孝典という存在はそれだけ愛おしく、ここまで惚れ抜いた
人は後にも先にもきっと存在しないと言い切れる程だ。
 
(二人だけの楽園だなんて、そんなの…成立する訳が、ない。そんな
夢物語を、どうして…)
 
―いいえ、夢物語ではありません。貴方達二人の意志と…私の力が
あれば実現可能ですよ…
 
「っ…!」
 
 ふいに脳裏にMr.Rの声が鮮明に聞こえてくる。
 
「克哉…私と、共に…生きよう。ずっと…二人、だけで…」
 
 そして黒衣の男の声と、愛しい人の声が重なり…克哉を夢幻の中でしか
存在しない楽園へと誘おうとしていた。
 
「…孝典、さん…Mr.R…。本当に、そんなものが存在する筈がないのに、
どうして…」
 
―いいえ、実現出来ます。愛しい方と二人きりだけでいつまでも生きられる世界は…
貴方が、今望みさえすれば…もう手に届く範囲に存在しているのですよ…
 
 必死になって否定して、その誘惑から逃れようとした。
 だが、男はそれを許さないというように更に言葉を重ねていく。
 
「オレ、は…」
 
 そして克哉はついに心がグラつき始める。
 その瞬間、Mr.Rは愉快そうにほくそ笑んだ。
 
―さあ、楽園の扉は目の前に存在していますよ…?
 
 それは男の望みを叶える為に用意された最大の罠でもあった。
 この御堂もまた、この男が生み出した偽りだった。
 真実を見抜かない限り、このまま楽園という名の奈落に落とされてる
瀬戸際に今…克哉は立たされていた。
 
(御堂さんと二人で、他の事を一切考えずに二人で生きられる…)
 
 そう考えた瞬間、甘美な想いが克哉の中に満ちていく。
 この世で一番愛しい、大切な人。
 日々の業務と与えられた役職に満足している。
 公私ともに御堂のパートナーとして隣に立っている事に誇りを抱いている。
 だが、その奥に貪欲な心は常に隠されていて…心の奥底では、御堂だけを
求めて止まない部分がある。
 この人の事だけを考えて生きたいと、そして自分だけを見ていて欲しいと望む
…貪婪な欲望が男からの問いかけで、ジワリと浮き彫りになった。
 
―さあ、佐伯克哉さん…どうなさいますか? この好機は生涯に一度…
この瞬間にだけ存在するもの。断れば二度と開かれることはありませんよ…?
 
「オレは…オレは…」
 
 どこまでも芳しく、甘い誘惑だった。
 そして克哉はきつく背後の御堂に抱きしめられていく。
 その瞬間、身体の中に収めた御堂の剛直が…的確に克哉の中を
刺激していった。
 
「うあっ…あっ…!」
 
 そして御堂と、この快楽の事以外は考えられなくなり…甘ったるい嬌声が
口から零れだしていく。
 思考が、停止していく。
 何も満足に考えられなくなり…判断力も失いかけていく。
 
―そうして、Mr.Rが仕掛けた最大の策略は静かに幕を開けて…克哉は、
今…最大の岐路に立たされようとしていたのだった―

  

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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