鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1 2
何度も啄むようなキスを交わし合って、穏やかな時間が戻って来る。
こうして抱きあっていると、やっぱり安心出来た。
さっきの「好きな人が出来ました」発言は、エイプリールフールの
嘘だっていうのが判って御堂も複雑ながらも…安堵を覚える事が
出来たらしい。
そうしてそっとこちらの頬を御堂が撫ぜて来ると…バツの悪そうな
顔を浮かべながら呟いていった。
「…さっきは、取り乱してしまってすまない…」
「いいえ、オレの方こそ…。どうせ嘘をつくなら…もうちょっと笑える
感じのものにすれば良かったですね。…けど、オレは結構嬉しかった
ですけどね…」
「え、どうしてだろうか…?」
「…貴方が、嫉妬している姿を見る事が出来ましたから…」
「…嫉妬しない訳がないだろう。…今まで、君程執着した存在はいないし…
絶対に別れたくないと切に思っているのだから…」
「ええ、オレも…同じ気持ちです…。今まで、孝典さん程に好きになった
存在はいませんでしたから…」
そう、御堂と克哉はルックスは結構良い方だ。
だから今まで…お互いにそれなりの数の異性とも交際経験はあった。
しかし出会った頃は二人とも恋人のいない状態だったのは…克哉の方は
優柔不断な部分が、御堂の場合はワーカーホリック的な部分が強くて
恋人よりも仕事を優先する傾向にあったので…そこら辺が原因で破たんして
しまう事が多かった。
けれど二人はお互いと付き合い始めた頃から…仕事の方でも良い
流れを生み出すようになった。
お互いの相性が良い、と最も強く実感するのがその部分だ。
克哉は御堂と出会って、仕事上で必要なものを肌で多く感じ取らせて
貰って成長出来たと思っているし…御堂もまた、克哉と出会った事で
厳しいだけではなく、時に人に穏やかに対応したり寛容である事も
必要である事を自然と学んでいった。
その事をふと自覚すると…胸の中が暖かくなる。
そして、普段言えない言葉が自然と口から零れていった。
「…貴方とこうして恋人関係になり、一緒に仕事をする事になって本当に
オレは成長する事が出来たと思っていますから…。貴方の厳しさ、前に
進もうとする意思の強さ、妥協を許さない真摯な姿勢に…どれだけオレは
啓発されたか判りません。孝典さんを好きなのは…そういった、生きる
姿勢や態度も含まれていますから…。そういう意味でも、貴方はオレに
とって特別な…かけがえのない人ですから…」
「…反則、だな…。まさに飴と鞭だな…」
「えっ…それは、どういう意味…ですか…?」
「…あんな嘘を言われた後で、そんな風にこちらを悦ばすような事を
言われてしまったら嬉しくて仕方なくなる…。なるほど、エイプリルフールの
嘘にはこんな効能もある訳か…」
「えっ…ええっ…?」
その瞬間、御堂が実に狡猾そうな笑みを浮かべていったので密着した
体制にある克哉はドキっとせざるえなかった。
そうして耳元に唇を寄せられて…ゾクっとするような事を言われてしまった。
―来年のエイプリルフールが楽しみだな…
そんな言葉を、耳元で低く甘い声でささやかれてしまったら…嫌な予感と
同時に妙に甘い期待も覚えてしまっていた。
「あっ…た、孝典さん…。一体、どんな嘘をつく…つもりなんですか…?」
「さあな、それは来年になってからの楽しみにしておいてくれ…。そうしたら、
君もまた再来年に嘘をつき返せば良い。一年先でも、二年先でも…
私達の関係はずっと続いていく訳なんだからな…」
「は、はい…」
その言葉の意味を感じ取って、ジワリと胸の奥が暖かくなるのを
感じ取っていった。
来年も再来年も…それは、御堂の方には自分との関係を長く続けていく
ビジョンが存在しているという事実で。
其れを自覚した途端…ホワリ、と胸が温かくなっていった。
(どうしよう…凄く嬉しい…。来年のエイプリルフールにどんな嘘をつかれるか
想像すると不安もあるけど…この人が、一年先も二年先もずっとこの関係を
続けていく気があると知っただけで…涙が出そうなぐらい、嬉しい…)
だから嬉しくて嬉しくて、克哉はギュっと御堂の背中にしがみついていく。
小さな嘘から生まれた、とても幸福な一時。
基本的に、二人の関係を良好に保つためには…相手に対して誠実に応対して、
嘘などつかない方が良いに決まっているけれど。
時に…嘘もまた、相手の本心を映し出す指標になる事はあるから。
自分がついたウソによって、御堂の心がはっきりと映し出された事に…
心から喜びを覚えて、克哉はその幸せを噛みしめていく。
「大好きです…孝典さん…」
そして、真実の気持ちを相手に静かに告げていきながら…
克哉は徐々に口づけを深いものにしていき。
御堂もまた…抱き締める腕の力を強いものにしていきながら…
その想いにしっかりと答え始めていったのだった―
1 2
何度も啄むようなキスを交わし合って、穏やかな時間が戻って来る。
こうして抱きあっていると、やっぱり安心出来た。
さっきの「好きな人が出来ました」発言は、エイプリールフールの
嘘だっていうのが判って御堂も複雑ながらも…安堵を覚える事が
出来たらしい。
そうしてそっとこちらの頬を御堂が撫ぜて来ると…バツの悪そうな
顔を浮かべながら呟いていった。
「…さっきは、取り乱してしまってすまない…」
「いいえ、オレの方こそ…。どうせ嘘をつくなら…もうちょっと笑える
感じのものにすれば良かったですね。…けど、オレは結構嬉しかった
ですけどね…」
「え、どうしてだろうか…?」
「…貴方が、嫉妬している姿を見る事が出来ましたから…」
「…嫉妬しない訳がないだろう。…今まで、君程執着した存在はいないし…
絶対に別れたくないと切に思っているのだから…」
「ええ、オレも…同じ気持ちです…。今まで、孝典さん程に好きになった
存在はいませんでしたから…」
そう、御堂と克哉はルックスは結構良い方だ。
だから今まで…お互いにそれなりの数の異性とも交際経験はあった。
しかし出会った頃は二人とも恋人のいない状態だったのは…克哉の方は
優柔不断な部分が、御堂の場合はワーカーホリック的な部分が強くて
恋人よりも仕事を優先する傾向にあったので…そこら辺が原因で破たんして
しまう事が多かった。
けれど二人はお互いと付き合い始めた頃から…仕事の方でも良い
流れを生み出すようになった。
お互いの相性が良い、と最も強く実感するのがその部分だ。
克哉は御堂と出会って、仕事上で必要なものを肌で多く感じ取らせて
貰って成長出来たと思っているし…御堂もまた、克哉と出会った事で
厳しいだけではなく、時に人に穏やかに対応したり寛容である事も
必要である事を自然と学んでいった。
その事をふと自覚すると…胸の中が暖かくなる。
そして、普段言えない言葉が自然と口から零れていった。
「…貴方とこうして恋人関係になり、一緒に仕事をする事になって本当に
オレは成長する事が出来たと思っていますから…。貴方の厳しさ、前に
進もうとする意思の強さ、妥協を許さない真摯な姿勢に…どれだけオレは
啓発されたか判りません。孝典さんを好きなのは…そういった、生きる
姿勢や態度も含まれていますから…。そういう意味でも、貴方はオレに
とって特別な…かけがえのない人ですから…」
「…反則、だな…。まさに飴と鞭だな…」
「えっ…それは、どういう意味…ですか…?」
「…あんな嘘を言われた後で、そんな風にこちらを悦ばすような事を
言われてしまったら嬉しくて仕方なくなる…。なるほど、エイプリルフールの
嘘にはこんな効能もある訳か…」
「えっ…ええっ…?」
その瞬間、御堂が実に狡猾そうな笑みを浮かべていったので密着した
体制にある克哉はドキっとせざるえなかった。
そうして耳元に唇を寄せられて…ゾクっとするような事を言われてしまった。
―来年のエイプリルフールが楽しみだな…
そんな言葉を、耳元で低く甘い声でささやかれてしまったら…嫌な予感と
同時に妙に甘い期待も覚えてしまっていた。
「あっ…た、孝典さん…。一体、どんな嘘をつく…つもりなんですか…?」
「さあな、それは来年になってからの楽しみにしておいてくれ…。そうしたら、
君もまた再来年に嘘をつき返せば良い。一年先でも、二年先でも…
私達の関係はずっと続いていく訳なんだからな…」
「は、はい…」
その言葉の意味を感じ取って、ジワリと胸の奥が暖かくなるのを
感じ取っていった。
来年も再来年も…それは、御堂の方には自分との関係を長く続けていく
ビジョンが存在しているという事実で。
其れを自覚した途端…ホワリ、と胸が温かくなっていった。
(どうしよう…凄く嬉しい…。来年のエイプリルフールにどんな嘘をつかれるか
想像すると不安もあるけど…この人が、一年先も二年先もずっとこの関係を
続けていく気があると知っただけで…涙が出そうなぐらい、嬉しい…)
だから嬉しくて嬉しくて、克哉はギュっと御堂の背中にしがみついていく。
小さな嘘から生まれた、とても幸福な一時。
基本的に、二人の関係を良好に保つためには…相手に対して誠実に応対して、
嘘などつかない方が良いに決まっているけれど。
時に…嘘もまた、相手の本心を映し出す指標になる事はあるから。
自分がついたウソによって、御堂の心がはっきりと映し出された事に…
心から喜びを覚えて、克哉はその幸せを噛みしめていく。
「大好きです…孝典さん…」
そして、真実の気持ちを相手に静かに告げていきながら…
克哉は徐々に口づけを深いものにしていき。
御堂もまた…抱き締める腕の力を強いものにしていきながら…
その想いにしっかりと答え始めていったのだった―
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震災後、三月末ぐらいまでは香坂が使っている電車の路線は
土日休日ダイヤを一部変更した特別ダイヤでずっと運行して
おりましたが…4月に入り暖かくなり、暖房などをあまり使用しなくても
過ごせるようになったおかげか、節電対策でずっと使用出来なかった
自動販売機が使用可能になったり、駅のコンビニや立ち食いソバ屋が
17時で閉店しなくなったり、日常に徐々に戻って来ております。
スーパーでも、パンや米、カップラーメンの類がちゃんと
買えるようになってきましたしね。
水の方も一人一点、という対策を店側が立てるようになったので
店頭で見かけるようになりました。
…何て言うか、直ぐに買い占めに走る人は本当にこういう時
困ったもんだと思うけど(苦笑)
納豆の方は相変わらず品薄で朝早くに行かないと買えない状況が
続いておりますけど…ニュースによると、原料の豆が足りなくなったのではなく
外装に使用しているフィルムを、東北で多く作っていて…大震災によって
工場が全壊してしまったりして、そのフィルムの関係で作れなくなって
しまっているそうです。
香坂、結構納豆好きな人間だからこの辺は早く解決して欲しいなぁ。
んで…個人的に一番、問題だった毎日仕事している日は昼間に
食べている春雨スープ。
近所のハック○ラッグで一個88円で売っているのでそれを食べて
身体を暖めるようにしているんですが(工場内はマジで冷えるので)
…震災後、カップラーメンなどの非常食になるものが店頭から消えた際、
これも煽りをくらってずっと見かけなくなってしまったんですが、
昨日顔を出したらやっと見かける事が出来ました。
けど一つ問題が…。
一家族、2点限り
…香坂、大体月に2回ぐらい…一回につき10~12個ぐらい買ってと
いうペースで補給していたんですが、一回につき2個までしか買えなく
なってしまったので補給が非常に面倒になりました。
せめて3個まで買えるようにしてくれよ…。
確かに多くの人に行きわたらせるには買える点数を限るというのは
このご時世には必要な事だって理解は出来るけどね。
という訳で、頻繁にドラッグストアに足を向ける事が多くなりそうです。
ま、商品を見かけるようになっただけマシだと考えて…ボチボチやって
いきますわ。では、近況でした(ペコリ)
土日休日ダイヤを一部変更した特別ダイヤでずっと運行して
おりましたが…4月に入り暖かくなり、暖房などをあまり使用しなくても
過ごせるようになったおかげか、節電対策でずっと使用出来なかった
自動販売機が使用可能になったり、駅のコンビニや立ち食いソバ屋が
17時で閉店しなくなったり、日常に徐々に戻って来ております。
スーパーでも、パンや米、カップラーメンの類がちゃんと
買えるようになってきましたしね。
水の方も一人一点、という対策を店側が立てるようになったので
店頭で見かけるようになりました。
…何て言うか、直ぐに買い占めに走る人は本当にこういう時
困ったもんだと思うけど(苦笑)
納豆の方は相変わらず品薄で朝早くに行かないと買えない状況が
続いておりますけど…ニュースによると、原料の豆が足りなくなったのではなく
外装に使用しているフィルムを、東北で多く作っていて…大震災によって
工場が全壊してしまったりして、そのフィルムの関係で作れなくなって
しまっているそうです。
香坂、結構納豆好きな人間だからこの辺は早く解決して欲しいなぁ。
んで…個人的に一番、問題だった毎日仕事している日は昼間に
食べている春雨スープ。
近所のハック○ラッグで一個88円で売っているのでそれを食べて
身体を暖めるようにしているんですが(工場内はマジで冷えるので)
…震災後、カップラーメンなどの非常食になるものが店頭から消えた際、
これも煽りをくらってずっと見かけなくなってしまったんですが、
昨日顔を出したらやっと見かける事が出来ました。
けど一つ問題が…。
一家族、2点限り
…香坂、大体月に2回ぐらい…一回につき10~12個ぐらい買ってと
いうペースで補給していたんですが、一回につき2個までしか買えなく
なってしまったので補給が非常に面倒になりました。
せめて3個まで買えるようにしてくれよ…。
確かに多くの人に行きわたらせるには買える点数を限るというのは
このご時世には必要な事だって理解は出来るけどね。
という訳で、頻繁にドラッグストアに足を向ける事が多くなりそうです。
ま、商品を見かけるようになっただけマシだと考えて…ボチボチやって
いきますわ。では、近況でした(ペコリ)
※2011年度のエイプリールフール企画。
御堂に対して、克哉がちょっとした嘘をついた事をキッカケに
起こった…という設定です。
エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1
他愛無い嘘になる筈だった発言で、完全に頭に血が昇っている御堂を見て…
克哉は不謹慎ながら、ドキドキしてしまっていた。
良く考えてみれば、最初の頃は時々酷い一面を垣間見せていたけれど…
関係が安定してからは、こんな風に御堂が怒っているのを二人きりになって
いる時には殆ど見れなくなっていたから。
(…孝典さんが、嫉妬してくれている…オレに、対して…)
本当なら、ごめんなさいと謝らなければならないのは判っていた。
けれど吸いつく力の強さから、幾つも首筋から鎖骨という危うい場所に
御堂の刻印が刻まれている事に喜びを感じている自分もいた。
嫉妬というのは、相手を好きでなければ…関心がなければ抱かない
感情だからだ。
「あっ…う…!」
「君は、私だけのものだ…。誰にも、渡さない…!」
怒気すら孕んだ声で、御堂が訴えかけていく。
その声に、ゾクゾクと背筋が震えていくのを感じていった。
(早く、言わなきゃ…これはエイプリルフールの嘘だって…)
相手の声に怒りが含まれているのを強く感じ取って、克哉が
口を開こうとした次の瞬間…。
ツゥルルルル…ツゥルルルル…
ソファの前の机に置いてあった、克哉の携帯が着信音を鳴らしていた。
其れに二人は慌てて視線を向けていく。
そしてディスプレイには『本多 憲二』と出ているのを見て、反射的に
御堂は其れを手に取って、感情的に床に叩きつけようとしてしまい…
其れを察して、克哉もとっさに止めていく。
「わあ! 孝典さん! ストップストップ! 携帯に罪はないですから!」
「…す、すまん…! 腹が立っている時に本多君の名前を見ると…つい…」
「本多がウザイ! っていうのは気持ちはよくわかりますけど…落ち着いて
下さい! オレの携帯がそれやったら壊れるか、故障するだけですから!」
必死になって御堂の手首を押さえて、自分の携帯を叩きつけられないように
守っていく。
暫し至近距離でお互い睨みあいが続いていく。
そんな最中、御堂がとんでもない発言をボソリと呟いていった。
「…ま、まさか…さっき君が言った好きな男とは本多君の事なのか…?」
「違います。それだけは何があっても絶対に有り得ません!」
即答だった。
克哉は聞かれた瞬間、全力で持ってその可能性を否定した。
自分はもう、御堂しか見えないし…御堂以外の相手を恋愛対象にしたいとか
微塵も考えた事はない。
確かに学生時代とか、今までにも何人かの女性とは付き合ってきた。
けどその相手に対しても本気になどなった事なかったし…こうやって一緒に
暮らす段階まで達した事も、ここまで愛しく感じる事もなかった。
(オレには、孝典さんだけだ…。そう思っているから、今日ならその嘘も笑い話に
なると思ったのに…。けど、これ以上誤解されたままじゃ嫌だ。オレにとって
この人は唯一無二の…大切な人なんだから…)
克哉が即答した事で、御堂の顔に迷いが生じる。
さっきまで頭に昇っていた血の気が…少し下がったのを感じて、
克哉はようやく否定の言葉を口にしていった。
「…さっき言ったのは、嘘ですよ。今日はエイプリルフール…4月1日でしょう?
嘘をついて良いってルールがある日だから、すぐに貴方が否定して笑い飛ばして
くれると思って言っただけの話です。オレには貴方しかいませんから…
これ以上、真に受けないで下さい…」
「えっ…? エイプリルフール…?」
その言葉にすっかり毒気が抜かれたのか、御堂は呆けた顔を
浮かべていった。
全く予想もしていなかったらしい。
日にちを自覚していたら、直ぐに気づいたかも知れない事でも…
興奮してしまった状態ではなかなか気づけないものだ。
(…この反応、もしかして…孝典さんってあまりこの日に縁が
なかったのかな…。嗚呼、良く考えたら無理もないか…。
親しくなった今なら、オレも冗談の一つも言おうって気になるけど…
部下とか、周りの友人の人達も…迂闊にこの人に対して、4月1日でも
冗談とかそういうの…言えなかったんだろうな…)
御堂が、エイプリルフールを知らない…という事はないだろうが、
縁があまりなかった可能性はあるので、少し申し訳ない気持ちになった。
「ええ、四月バカ…。嘘を言っても良い日ですよ…。だから、さっきの
発言は気にしなくて良いです。オレには…貴方しかいませんから…」
「むっ…」
そういって、克哉の方から御堂の首元に腕を回してギュっとしがみついていく。
唇を重ねて、機嫌を直してもらうように祈りながら口づけていった。
この体制では相手の顔は見れなくて少し不安だったけれど…少し経って、
御堂の方からこちらの身体を抱きしめ返してくれたのを感じて、克哉は
ほっと安堵の息を吐いていったのだった―
御堂に対して、克哉がちょっとした嘘をついた事をキッカケに
起こった…という設定です。
エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)
1
他愛無い嘘になる筈だった発言で、完全に頭に血が昇っている御堂を見て…
克哉は不謹慎ながら、ドキドキしてしまっていた。
良く考えてみれば、最初の頃は時々酷い一面を垣間見せていたけれど…
関係が安定してからは、こんな風に御堂が怒っているのを二人きりになって
いる時には殆ど見れなくなっていたから。
(…孝典さんが、嫉妬してくれている…オレに、対して…)
本当なら、ごめんなさいと謝らなければならないのは判っていた。
けれど吸いつく力の強さから、幾つも首筋から鎖骨という危うい場所に
御堂の刻印が刻まれている事に喜びを感じている自分もいた。
嫉妬というのは、相手を好きでなければ…関心がなければ抱かない
感情だからだ。
「あっ…う…!」
「君は、私だけのものだ…。誰にも、渡さない…!」
怒気すら孕んだ声で、御堂が訴えかけていく。
その声に、ゾクゾクと背筋が震えていくのを感じていった。
(早く、言わなきゃ…これはエイプリルフールの嘘だって…)
相手の声に怒りが含まれているのを強く感じ取って、克哉が
口を開こうとした次の瞬間…。
ツゥルルルル…ツゥルルルル…
ソファの前の机に置いてあった、克哉の携帯が着信音を鳴らしていた。
其れに二人は慌てて視線を向けていく。
そしてディスプレイには『本多 憲二』と出ているのを見て、反射的に
御堂は其れを手に取って、感情的に床に叩きつけようとしてしまい…
其れを察して、克哉もとっさに止めていく。
「わあ! 孝典さん! ストップストップ! 携帯に罪はないですから!」
「…す、すまん…! 腹が立っている時に本多君の名前を見ると…つい…」
「本多がウザイ! っていうのは気持ちはよくわかりますけど…落ち着いて
下さい! オレの携帯がそれやったら壊れるか、故障するだけですから!」
必死になって御堂の手首を押さえて、自分の携帯を叩きつけられないように
守っていく。
暫し至近距離でお互い睨みあいが続いていく。
そんな最中、御堂がとんでもない発言をボソリと呟いていった。
「…ま、まさか…さっき君が言った好きな男とは本多君の事なのか…?」
「違います。それだけは何があっても絶対に有り得ません!」
即答だった。
克哉は聞かれた瞬間、全力で持ってその可能性を否定した。
自分はもう、御堂しか見えないし…御堂以外の相手を恋愛対象にしたいとか
微塵も考えた事はない。
確かに学生時代とか、今までにも何人かの女性とは付き合ってきた。
けどその相手に対しても本気になどなった事なかったし…こうやって一緒に
暮らす段階まで達した事も、ここまで愛しく感じる事もなかった。
(オレには、孝典さんだけだ…。そう思っているから、今日ならその嘘も笑い話に
なると思ったのに…。けど、これ以上誤解されたままじゃ嫌だ。オレにとって
この人は唯一無二の…大切な人なんだから…)
克哉が即答した事で、御堂の顔に迷いが生じる。
さっきまで頭に昇っていた血の気が…少し下がったのを感じて、
克哉はようやく否定の言葉を口にしていった。
「…さっき言ったのは、嘘ですよ。今日はエイプリルフール…4月1日でしょう?
嘘をついて良いってルールがある日だから、すぐに貴方が否定して笑い飛ばして
くれると思って言っただけの話です。オレには貴方しかいませんから…
これ以上、真に受けないで下さい…」
「えっ…? エイプリルフール…?」
その言葉にすっかり毒気が抜かれたのか、御堂は呆けた顔を
浮かべていった。
全く予想もしていなかったらしい。
日にちを自覚していたら、直ぐに気づいたかも知れない事でも…
興奮してしまった状態ではなかなか気づけないものだ。
(…この反応、もしかして…孝典さんってあまりこの日に縁が
なかったのかな…。嗚呼、良く考えたら無理もないか…。
親しくなった今なら、オレも冗談の一つも言おうって気になるけど…
部下とか、周りの友人の人達も…迂闊にこの人に対して、4月1日でも
冗談とかそういうの…言えなかったんだろうな…)
御堂が、エイプリルフールを知らない…という事はないだろうが、
縁があまりなかった可能性はあるので、少し申し訳ない気持ちになった。
「ええ、四月バカ…。嘘を言っても良い日ですよ…。だから、さっきの
発言は気にしなくて良いです。オレには…貴方しかいませんから…」
「むっ…」
そういって、克哉の方から御堂の首元に腕を回してギュっとしがみついていく。
唇を重ねて、機嫌を直してもらうように祈りながら口づけていった。
この体制では相手の顔は見れなくて少し不安だったけれど…少し経って、
御堂の方からこちらの身体を抱きしめ返してくれたのを感じて、克哉は
ほっと安堵の息を吐いていったのだった―
4月4日、本来ならダイハツ クーザを観に行く為に
取っていた休みだったんですが…直前になって調べてみたら、
大震災が起こった翌日から、4月9日の午前中の公演まで
中止になっている事実が発覚し、ちょっと切なかったです。
一応、対象期間内にチケットを取っていた場合はお金が返ってくるので
後で手続きしますけどね。
せっかく休み取ったのに…と言うので母が、どうせなら映画でも
見に行く事にしよう! と提案し…ラプンツェル一緒に観に行きました。
ディズニーの映画で、前回観に行ったのは「魔法にかけられて」で。
時々ミュージカル風になるアメリカ的なノリはちょっとついていけない部分が
あるんですが、魔法~の時も小動物が可愛らしかったり全体的に
コミカルな雰囲気が好きだったので、ラプンツェルも興味あったのですよ。
んで…観た結果、結構楽しかったです。
そして一番、印象に残ったのは…。
馬
原作のラプンツェルに比べれば相当にアレンジの効いた設定なんですが、
ヒロインと相手役の男。そして悪役の魔女のストーリーの中核を担うキャラに
匹敵するぐらいにキャラが濃かったのが…このマックスという白馬でした。
フリン・ライダーと名乗る相手役の男性(作中に別に本名が出て来ますが)が
お城からティアラを盗んだ時、全力で追いかけて来て…ラプウツェルと男性が
知り合った後もずっと追いかけ回すんですが、途中ヒロインに「今日一日だけは
見逃してあげて!」と頼まれた辺りから少し態度が軟化。
そして男が色んな罠にはまって、絶体絶命の危機…という時にラプンツェルが
仲良くなった荒くれ者の男たちに訴えかけて颯爽と助けに現れる…という
ヒーローポジションをしっかり獲得しておりました。
あ、侮りがたし馬…! しかも物語が終わった後もかなり国にとって重要な
存在になったみたいだし。
何て言うか要所要所で、この馬とヒロインが肩に乗せているカメレオンが
笑わせてくれたのが良かった。
結構、個人的には気に入りました(^^)
そして映画を観終わった後、映画館の前にあった巨大ポップを見て…
ヒロインと、相手役の男性と一緒に当たり前のように「馬」がいるのを見て…
扱いについて心底納得しました。
うん、ここにも馬が重要だって示されていたね。
映画見る前まであんまり意識していなかったけどね。
ディズニーの映画は、そんなに数は見ていないけど…結構、質は良いと思う。
途中に出てくるシーンの幾つかも幻想的で綺麗だし、画像のクオリティ自体は
凄く良いと思う。
二人がその後、どうなったかは…映画を見て確認してやって下さいませ。
私はあくまで、馬について語るだけでございます(笑)
取っていた休みだったんですが…直前になって調べてみたら、
大震災が起こった翌日から、4月9日の午前中の公演まで
中止になっている事実が発覚し、ちょっと切なかったです。
一応、対象期間内にチケットを取っていた場合はお金が返ってくるので
後で手続きしますけどね。
せっかく休み取ったのに…と言うので母が、どうせなら映画でも
見に行く事にしよう! と提案し…ラプンツェル一緒に観に行きました。
ディズニーの映画で、前回観に行ったのは「魔法にかけられて」で。
時々ミュージカル風になるアメリカ的なノリはちょっとついていけない部分が
あるんですが、魔法~の時も小動物が可愛らしかったり全体的に
コミカルな雰囲気が好きだったので、ラプンツェルも興味あったのですよ。
んで…観た結果、結構楽しかったです。
そして一番、印象に残ったのは…。
馬
原作のラプンツェルに比べれば相当にアレンジの効いた設定なんですが、
ヒロインと相手役の男。そして悪役の魔女のストーリーの中核を担うキャラに
匹敵するぐらいにキャラが濃かったのが…このマックスという白馬でした。
フリン・ライダーと名乗る相手役の男性(作中に別に本名が出て来ますが)が
お城からティアラを盗んだ時、全力で追いかけて来て…ラプウツェルと男性が
知り合った後もずっと追いかけ回すんですが、途中ヒロインに「今日一日だけは
見逃してあげて!」と頼まれた辺りから少し態度が軟化。
そして男が色んな罠にはまって、絶体絶命の危機…という時にラプンツェルが
仲良くなった荒くれ者の男たちに訴えかけて颯爽と助けに現れる…という
ヒーローポジションをしっかり獲得しておりました。
あ、侮りがたし馬…! しかも物語が終わった後もかなり国にとって重要な
存在になったみたいだし。
何て言うか要所要所で、この馬とヒロインが肩に乗せているカメレオンが
笑わせてくれたのが良かった。
結構、個人的には気に入りました(^^)
そして映画を観終わった後、映画館の前にあった巨大ポップを見て…
ヒロインと、相手役の男性と一緒に当たり前のように「馬」がいるのを見て…
扱いについて心底納得しました。
うん、ここにも馬が重要だって示されていたね。
映画見る前まであんまり意識していなかったけどね。
ディズニーの映画は、そんなに数は見ていないけど…結構、質は良いと思う。
途中に出てくるシーンの幾つかも幻想的で綺麗だし、画像のクオリティ自体は
凄く良いと思う。
二人がその後、どうなったかは…映画を見て確認してやって下さいませ。
私はあくまで、馬について語るだけでございます(笑)
ちょっと四月のエイプリール企画用の話の
タイトルが納得いかなかったので、変更しました。
最初のままだと何の捻りもなかったので。
ライアーは嘘つき、という意味なのでこっちの方が
しっくり来るかなと…。
とりあえず一言だけ断っておきますね。
ではでは!
タイトルが納得いかなかったので、変更しました。
最初のままだと何の捻りもなかったので。
ライアーは嘘つき、という意味なのでこっちの方が
しっくり来るかなと…。
とりあえず一言だけ断っておきますね。
ではでは!
※これは一日遅れになりましたが…エイプリルフールに
ちなんで書いた御堂×克哉の小話です。
2~3回程度の短い話なので良ければ付き合ってやって
下さいませ~。
今日は、エイプリルフールで。
一年に一回、嘘を許される日という事になっている。
だから、克哉は最愛の御堂に向かってこう言った。
―好きな人が出来ました
たった一言。
四月バカというのが判っていれば、笑って許せる範囲の冗談と
思っていたから。
御堂がそれを理解してくれていれば、「ああ、今日はエイプリルフールだからな」と
サラリと流して…そして笑いあって終わると思っていたから。
―けれど、克哉の予想に反して…御堂は大きく目を見開いてリビングの
ソファの上で固まっていた
(えっ…?)
今年のエイプリルフールは平日だったので、今日の仕事を全力で片付けた
後に訪れた…自分達の団欒の時間が、一気にその一言で終わってしまったのを
克哉は感じて、サァ…と血の気が引くのを感じていった。
笑いながら、克哉はそう嘘を言ってしまった事に早くも強い後悔を感じ
始めていた。
「か、克哉…今の言葉は…本当、なのか…!」
「えっ…あ…」
御堂の真剣ぶりに、克哉も曖昧な返事をするしか出来ない。
冗談を続行させて良いのかどうか…強烈に迷いが生じていく。
これをあくまで嘘にするなら、一旦頷いて…後から、今日はエイプリルフールだからと
言って笑ってジョークにするのが良いのだが…御堂の反応が真剣過ぎて、
克哉の方も狼狽し始めてしまっていた。
(ど、どうしよう…今すぐに冗談だって言った方が良いのか…? それとも
一旦頷いて後からにした方が良いのかな…?)
まさか御堂がここまで真に受けてしまうなんて予想もしていなかっただけに
克哉の方も対応に困ってしまっていた。
お互いに身を寄せ合うような格好でソファに座り…先程までは言葉は
少なかったが触れ合っている個所からとても暖かいものが流れて来て
幸福を覚えていたのに…克哉が不用意に放った言葉のせいで、室内の
空気は一転してしまっていた。
(孝典さん…本当に、ショックを受けている…。それに、真剣な目をして…)
食い入るように、射抜くように見つめてくる御堂の眼差しに…克哉は
とっさに目を奪われてしまう。
その眼差しを見ているととても…今の言葉は冗談でした、と迂闊に言えるような
雰囲気ではなかった。
(…ど、どうしよう…凄く、ドキドキしている。今の言葉で孝典さんにショックを
与えてしまったのに…この人に、こんな真剣な目で、怒っているような
鋭い眼差しで見つめられるのなんて久しくなかったから…ううっ…!)
その視線が真っすぐにこちらに注がれているのを見て…心拍数が
一気に上昇していく。
直ぐに否定をするべきなのに、頭がボウっとしてまともな思考が生まれてくれない。
克哉もまた言葉もなく…相手を見つめる事しか出来なかった。
「…許せない! そんなの許すものか! 君は…私だけのものだ!
他の奴に渡す事など認められるものか!」
「えっ…だから、孝典さん…あの…んんっ!」
御堂の誤解を解こうと、克哉が言葉を開きかけていくと…強引に引き寄せられて
唇に熱い舌を捻じ込まれていった。
相手の激情をヒシヒシと感じるような口づけだった。
身体の体温が一気に上がり、更にまともな思考回路が働かなくなっていく。
(早く、言わなきゃ…言わなきゃ、でも…あっ…こんな、激しくキスされたの…
久しぶりで…腰、砕けそう…)
最近の自分と御堂の関係は安定期に入っていたので週末になれば必ず
抱き合うし…キスだってセックスだってたっぷりとする。
けれどこれだけの激しさを持って口づけられるのは相当に久しぶりだった
為に…相手の反応を見て、不謹慎にも背筋がゾクゾクしてしまっている
自分が確かに存在していた。
こちらの呼吸も奪い尽くすような熱烈なキス。
其れによって…克哉の思考回路は完全に、まともに働かなくなって
しまっていた。
―早く冗談だって、言わなきゃ…言わないと…
そう気持ちは逸っていくのに…物理的に唇をずっと塞がれてしまっていたら、
熱い舌先がこちらの口腔を犯すように蠢き続けてしまっていては、言葉など
発せられる訳がない。
だからやっと解放されて、キスが解けた頃には…下半身はすっかり反応
してしまっていて…頭が働いてくれないというマヌケな状態に陥っていた。
「君が一体…今は誰のものなのか、身体にたっぷりと教えてあげる
事にしよう…」
「あっ…」
相当久しぶりに見る、御堂の傲慢な一面。
其れを見て、更に鼓動が大きく跳ねた。
(…こんな孝典さんを見るのは久しぶりだ…)
その瞬間、克哉の中でズルイ心が芽生えていく。
事態を落ち着かせるにはきっとすぐに言った方が良いのは判っている癖に…
激情に駆られている御堂をもっと見たくて、だから口を噤むのを選ぼうと
していた。
そうして、ワイシャツのボタンが飛ぶぐらいに乱暴に衣服を脱がされ
始めていく。
まるでレイプされているような錯覚すら覚えながら…手荒く、御堂の手によって
克哉は全裸に剥かれ始めて、首筋に吸いつかれて刻印のように赤い
キスマークを刻まれていったのだった―
ちなんで書いた御堂×克哉の小話です。
2~3回程度の短い話なので良ければ付き合ってやって
下さいませ~。
今日は、エイプリルフールで。
一年に一回、嘘を許される日という事になっている。
だから、克哉は最愛の御堂に向かってこう言った。
―好きな人が出来ました
たった一言。
四月バカというのが判っていれば、笑って許せる範囲の冗談と
思っていたから。
御堂がそれを理解してくれていれば、「ああ、今日はエイプリルフールだからな」と
サラリと流して…そして笑いあって終わると思っていたから。
―けれど、克哉の予想に反して…御堂は大きく目を見開いてリビングの
ソファの上で固まっていた
(えっ…?)
今年のエイプリルフールは平日だったので、今日の仕事を全力で片付けた
後に訪れた…自分達の団欒の時間が、一気にその一言で終わってしまったのを
克哉は感じて、サァ…と血の気が引くのを感じていった。
笑いながら、克哉はそう嘘を言ってしまった事に早くも強い後悔を感じ
始めていた。
「か、克哉…今の言葉は…本当、なのか…!」
「えっ…あ…」
御堂の真剣ぶりに、克哉も曖昧な返事をするしか出来ない。
冗談を続行させて良いのかどうか…強烈に迷いが生じていく。
これをあくまで嘘にするなら、一旦頷いて…後から、今日はエイプリルフールだからと
言って笑ってジョークにするのが良いのだが…御堂の反応が真剣過ぎて、
克哉の方も狼狽し始めてしまっていた。
(ど、どうしよう…今すぐに冗談だって言った方が良いのか…? それとも
一旦頷いて後からにした方が良いのかな…?)
まさか御堂がここまで真に受けてしまうなんて予想もしていなかっただけに
克哉の方も対応に困ってしまっていた。
お互いに身を寄せ合うような格好でソファに座り…先程までは言葉は
少なかったが触れ合っている個所からとても暖かいものが流れて来て
幸福を覚えていたのに…克哉が不用意に放った言葉のせいで、室内の
空気は一転してしまっていた。
(孝典さん…本当に、ショックを受けている…。それに、真剣な目をして…)
食い入るように、射抜くように見つめてくる御堂の眼差しに…克哉は
とっさに目を奪われてしまう。
その眼差しを見ているととても…今の言葉は冗談でした、と迂闊に言えるような
雰囲気ではなかった。
(…ど、どうしよう…凄く、ドキドキしている。今の言葉で孝典さんにショックを
与えてしまったのに…この人に、こんな真剣な目で、怒っているような
鋭い眼差しで見つめられるのなんて久しくなかったから…ううっ…!)
その視線が真っすぐにこちらに注がれているのを見て…心拍数が
一気に上昇していく。
直ぐに否定をするべきなのに、頭がボウっとしてまともな思考が生まれてくれない。
克哉もまた言葉もなく…相手を見つめる事しか出来なかった。
「…許せない! そんなの許すものか! 君は…私だけのものだ!
他の奴に渡す事など認められるものか!」
「えっ…だから、孝典さん…あの…んんっ!」
御堂の誤解を解こうと、克哉が言葉を開きかけていくと…強引に引き寄せられて
唇に熱い舌を捻じ込まれていった。
相手の激情をヒシヒシと感じるような口づけだった。
身体の体温が一気に上がり、更にまともな思考回路が働かなくなっていく。
(早く、言わなきゃ…言わなきゃ、でも…あっ…こんな、激しくキスされたの…
久しぶりで…腰、砕けそう…)
最近の自分と御堂の関係は安定期に入っていたので週末になれば必ず
抱き合うし…キスだってセックスだってたっぷりとする。
けれどこれだけの激しさを持って口づけられるのは相当に久しぶりだった
為に…相手の反応を見て、不謹慎にも背筋がゾクゾクしてしまっている
自分が確かに存在していた。
こちらの呼吸も奪い尽くすような熱烈なキス。
其れによって…克哉の思考回路は完全に、まともに働かなくなって
しまっていた。
―早く冗談だって、言わなきゃ…言わないと…
そう気持ちは逸っていくのに…物理的に唇をずっと塞がれてしまっていたら、
熱い舌先がこちらの口腔を犯すように蠢き続けてしまっていては、言葉など
発せられる訳がない。
だからやっと解放されて、キスが解けた頃には…下半身はすっかり反応
してしまっていて…頭が働いてくれないというマヌケな状態に陥っていた。
「君が一体…今は誰のものなのか、身体にたっぷりと教えてあげる
事にしよう…」
「あっ…」
相当久しぶりに見る、御堂の傲慢な一面。
其れを見て、更に鼓動が大きく跳ねた。
(…こんな孝典さんを見るのは久しぶりだ…)
その瞬間、克哉の中でズルイ心が芽生えていく。
事態を落ち着かせるにはきっとすぐに言った方が良いのは判っている癖に…
激情に駆られている御堂をもっと見たくて、だから口を噤むのを選ぼうと
していた。
そうして、ワイシャツのボタンが飛ぶぐらいに乱暴に衣服を脱がされ
始めていく。
まるでレイプされているような錯覚すら覚えながら…手荒く、御堂の手によって
克哉は全裸に剥かれ始めて、首筋に吸いつかれて刻印のように赤い
キスマークを刻まれていったのだった―
エイプリルフール企画、というのをちょいと
気分転換に開始します。
というか思いついた話を2~3回に分けて
掲載する程度の簡単なものですけど。
昨日はちょい、職場でちょっと色々ありまして…
珍しく22時過ぎまで起きてられるぐらいコンディションはマシだったけど
小説書くまでは…というので、一日遅れになりますが
今日から連載に挟む形でやりますね。
三月はちょい、ガタガタだったので…4月から仕切り直しという事で。
ではでは!
気分転換に開始します。
というか思いついた話を2~3回に分けて
掲載する程度の簡単なものですけど。
昨日はちょい、職場でちょっと色々ありまして…
珍しく22時過ぎまで起きてられるぐらいコンディションはマシだったけど
小説書くまでは…というので、一日遅れになりますが
今日から連載に挟む形でやりますね。
三月はちょい、ガタガタだったので…4月から仕切り直しという事で。
ではでは!
3月27日、母と一緒に漫才ギャングを見て来ました。
オカンいわく…主演の一人、上地君とは香坂は保育園では
2歳から6歳まで4年間一緒のクラスで過ごしていたらしく…
それが理由で、見たいと言って来たので付き合いました。
うちの母にとっては、やっぱり自分の子供と多少なりとも縁が
あった子がこうしてテレビに出たり主演映画を持ったりするのが
感慨深いんでしょ。
上地君の実家もうちの近所にあるし、親世代同士は顔を合わせたら
立ち話をする程度は交流あるから。
私と上地君自体は、小学校は別々になったから卒園以降は
本当に接点ないんですけどね(苦笑)
ま、そんな話はさておき。
この映画はお笑い芸人の品川ヒロシさんが書いた小説を、
執筆した本人が監督して作り上げた作品で…映画の方は、
多くのお笑い芸人が役を演じているので、会話のテンポがともかく
秀逸でした。
日常の会話が、そのまま漫才になっている。
そういう空気が良く出ていたし…実際に、登場人物たちの他愛無い会話や
漫才シーンのネタを見て笑える、というだけでも結構凄いと思った。
売れないお笑い芸人、飛夫は10年間売れなくても頑張って漫才を続けていたけれど
10年来の相方、石井にいきなりコンビ解散を告げられた処から物語がスタート。
トラブルに巻き込まれて、ひょっこり留置所のお世話になった飛夫と。
友達がさらわれたので助けにいって、大ゲンカをした上地君が扮する竜平が
留置所でひょっこり出会って、一緒にコンビを組むというのが大筋の話。
それぞれの登場人物が結構イキイキしてて、見てて本当に楽しめた。
後、複線の貼り方が上手いなと純粋に感心した。
他愛無い場面にある、チラっと見せている一場面が…ちゃんと後に生かされていて、
最後のオチもちゃんと一捻りしてあって、スタッフロールが終わるまでちゃんと
見てしまった。
映画に興味もったので原作の方はどうかな…と思ってチェックしたら、
どうも原作の方は批評みたら散々な様子だったけど。
けど自分自身で監督をして、小説の時にあった問題点やアクを
キチンと取り除いて、面白い映画を作り上げた品川さんは純粋に凄いと思った。
基本的に会話が面白い、という処で好評価を持ったけれど。
一つ万人に薦める上で問題点があるのは…ちょっと暴力描写の割合が
多い処かな。
そういうの見ても大丈夫、という人なら問題ないけど…見ているだけで
痛い! 何か嫌だ…という人にはあまりオススメしないかも。
ただ飛夫と別れた元彼女とのやりとりとか、所々に人の優しさを感じられる
描写もあるので…ある程度、それも中和はされていると香坂は感じましたけど。
漫才が好きな人、テンポの良い会話などが好きな方は…映画の方は
一度見てみるの薦めてみます。
あまり期待しないで見たんだけど、予想外に面白かったのでここに
書いておきます。
オカンいわく…主演の一人、上地君とは香坂は保育園では
2歳から6歳まで4年間一緒のクラスで過ごしていたらしく…
それが理由で、見たいと言って来たので付き合いました。
うちの母にとっては、やっぱり自分の子供と多少なりとも縁が
あった子がこうしてテレビに出たり主演映画を持ったりするのが
感慨深いんでしょ。
上地君の実家もうちの近所にあるし、親世代同士は顔を合わせたら
立ち話をする程度は交流あるから。
私と上地君自体は、小学校は別々になったから卒園以降は
本当に接点ないんですけどね(苦笑)
ま、そんな話はさておき。
この映画はお笑い芸人の品川ヒロシさんが書いた小説を、
執筆した本人が監督して作り上げた作品で…映画の方は、
多くのお笑い芸人が役を演じているので、会話のテンポがともかく
秀逸でした。
日常の会話が、そのまま漫才になっている。
そういう空気が良く出ていたし…実際に、登場人物たちの他愛無い会話や
漫才シーンのネタを見て笑える、というだけでも結構凄いと思った。
売れないお笑い芸人、飛夫は10年間売れなくても頑張って漫才を続けていたけれど
10年来の相方、石井にいきなりコンビ解散を告げられた処から物語がスタート。
トラブルに巻き込まれて、ひょっこり留置所のお世話になった飛夫と。
友達がさらわれたので助けにいって、大ゲンカをした上地君が扮する竜平が
留置所でひょっこり出会って、一緒にコンビを組むというのが大筋の話。
それぞれの登場人物が結構イキイキしてて、見てて本当に楽しめた。
後、複線の貼り方が上手いなと純粋に感心した。
他愛無い場面にある、チラっと見せている一場面が…ちゃんと後に生かされていて、
最後のオチもちゃんと一捻りしてあって、スタッフロールが終わるまでちゃんと
見てしまった。
映画に興味もったので原作の方はどうかな…と思ってチェックしたら、
どうも原作の方は批評みたら散々な様子だったけど。
けど自分自身で監督をして、小説の時にあった問題点やアクを
キチンと取り除いて、面白い映画を作り上げた品川さんは純粋に凄いと思った。
基本的に会話が面白い、という処で好評価を持ったけれど。
一つ万人に薦める上で問題点があるのは…ちょっと暴力描写の割合が
多い処かな。
そういうの見ても大丈夫、という人なら問題ないけど…見ているだけで
痛い! 何か嫌だ…という人にはあまりオススメしないかも。
ただ飛夫と別れた元彼女とのやりとりとか、所々に人の優しさを感じられる
描写もあるので…ある程度、それも中和はされていると香坂は感じましたけど。
漫才が好きな人、テンポの良い会話などが好きな方は…映画の方は
一度見てみるの薦めてみます。
あまり期待しないで見たんだけど、予想外に面白かったのでここに
書いておきます。
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20
痛みを伴う情交は、いつしか時間感覚すら狂わせていた。
快楽と苦痛と、胸の痛みがせめぎあいながら永遠に続くと思われていた行為も
いつの間にか終わりを迎えていて。
そして克哉は…夜明け頃、目覚めた。
身体中の筋肉は軋み、全身が鉛のように重く…腰も痛くて、相手の熱を受け入れ
続けた個所からは鈍痛が残っていた。
(身体、動かないや…)
何もかもが、面倒になって億劫になる気持ちが生まれていく。
思考回路も何処か麻痺してしまっていて、まともに考えられない。
ただ、深呼吸を繰り返して…どうにか、胸の中に溜まっている何か重いものを
吐き出していった。
今は何も考えたくないのに、モヤモヤと自分の中で渦巻いているのが判る。
二人の男への思いと、真実とか入り混じって…克哉はただ、戸惑うしかない。
(色んな事が一斉に押し寄せて来て…何か、訳が判らなくなっちゃったな…)
傍らには、先程まで抱きあっていた相手の姿はいつの間にか消えていた。
けれどあれだけ汗まみれになるまでセックスしていた割に身体はさっぱりした
感じがあるし…ベッドサイドに水差しと、グラスがさりげなく置かれているのに
気づくと…やっとの思いで手を伸ばし、ベッドにうつ伏せになったままの体制で
ぎこちなくだが、水分補給をしていった。
「美味しい…」
程良く冷たい水は、冷蔵庫から出されて間もないという事実を
示している。
それが酷く乾いた身体に沁みて…胸がジワリ、と暖かくなるような気がした。
さりげない相手の優しさが、其処から感じられた。
そう感じ取った瞬間…ポロリ、ポロリと涙が溢れて来た。
「あ…」
たった一杯の水がこんなに美味しく感じられた事はなかった。
それくらい今の自分は身も心もカラカラなのだと実感させられていく。
「…水をこんなに美味しく感じたのって、初めてかも知れない…」
そうして、もう一杯の水を喉に流し込んでいった。
また、ポロポロと涙が溢れてくる。
泣いたって現状は何も変わらないのだというのは判っていた。
けれど優しさが嬉しくて…同時に、切なくて。
眼鏡への思いが溢れて、それをどうすれば良いのか判らなくて
克哉は泣くしかなかった。
本当はすぐにでも決断をするべきなのだと思う。
けれど…眼鏡は其れを恐れている風でもあったから。
だから余計にどう動けば良いのか、克哉は迷わざるを得なかった。
「好き、だよ…お前が、どうしようもなく…」
泣きながら、克哉は零す。
その度に本多の顔が浮かんで、消えていく。
もう言い訳が出来ない処まで自分は相手に踏み込んでしまった事を
嫌でも自覚せざるえなかった。
「大好き…」
だけど、きっと…もう少しだけ自分達には時間が必要なのだろう。
その事を薄々と察しているからこそ、克哉は思いを…虚空に向かって
呟く事で…少しだけ落ち着かせていく。
眼鏡が何に迷い、苦しんでいるのか知らない。
其れが判らない限り、見極めない限り…感情のままに動いたら、何となく
取り返しがつかない事が起こりそうな予感がしたから。
水を飲んだら、少し気持ちが落ち着いていった。
けれど今は…身体は重くて、指一本動かすのもしんどい気がした。
(もう少し…眠りたい…)
今は何も考えず、少し休みたかった。
それで体制を整えた上で…これからどうするのか、一番良い道を模索して
いきたいと克哉は思った。
コンディションが最悪のまま、決断をしても良い結果は得られないという事は
今までの人生の中で何となく学んで来ていたから。
だから、克哉は一旦…意識を再び手放していく。
(目覚めたら、一緒に考えていこうよ…これから、どうするのか。
オレ達はどうしたいのか、そしてお前が何を思い考えているのかを…
ちゃんと、聞きたいよ…)
そう、まずは相手から聞きださないといけない事が沢山あった。
抱きあって快楽に逃げていても、其れは一時しのぎにはなっても根本的な
解決にならない事を克哉は悟ってしまったから。
だからそう心に誓いながら克哉は眠りに落ちていく。
―それから十分後、眠りに落ちた克哉の元に…一人の人影がそっと
近づいてその寝顔を覗きこんでいたのだった―
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
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痛みを伴う情交は、いつしか時間感覚すら狂わせていた。
快楽と苦痛と、胸の痛みがせめぎあいながら永遠に続くと思われていた行為も
いつの間にか終わりを迎えていて。
そして克哉は…夜明け頃、目覚めた。
身体中の筋肉は軋み、全身が鉛のように重く…腰も痛くて、相手の熱を受け入れ
続けた個所からは鈍痛が残っていた。
(身体、動かないや…)
何もかもが、面倒になって億劫になる気持ちが生まれていく。
思考回路も何処か麻痺してしまっていて、まともに考えられない。
ただ、深呼吸を繰り返して…どうにか、胸の中に溜まっている何か重いものを
吐き出していった。
今は何も考えたくないのに、モヤモヤと自分の中で渦巻いているのが判る。
二人の男への思いと、真実とか入り混じって…克哉はただ、戸惑うしかない。
(色んな事が一斉に押し寄せて来て…何か、訳が判らなくなっちゃったな…)
傍らには、先程まで抱きあっていた相手の姿はいつの間にか消えていた。
けれどあれだけ汗まみれになるまでセックスしていた割に身体はさっぱりした
感じがあるし…ベッドサイドに水差しと、グラスがさりげなく置かれているのに
気づくと…やっとの思いで手を伸ばし、ベッドにうつ伏せになったままの体制で
ぎこちなくだが、水分補給をしていった。
「美味しい…」
程良く冷たい水は、冷蔵庫から出されて間もないという事実を
示している。
それが酷く乾いた身体に沁みて…胸がジワリ、と暖かくなるような気がした。
さりげない相手の優しさが、其処から感じられた。
そう感じ取った瞬間…ポロリ、ポロリと涙が溢れて来た。
「あ…」
たった一杯の水がこんなに美味しく感じられた事はなかった。
それくらい今の自分は身も心もカラカラなのだと実感させられていく。
「…水をこんなに美味しく感じたのって、初めてかも知れない…」
そうして、もう一杯の水を喉に流し込んでいった。
また、ポロポロと涙が溢れてくる。
泣いたって現状は何も変わらないのだというのは判っていた。
けれど優しさが嬉しくて…同時に、切なくて。
眼鏡への思いが溢れて、それをどうすれば良いのか判らなくて
克哉は泣くしかなかった。
本当はすぐにでも決断をするべきなのだと思う。
けれど…眼鏡は其れを恐れている風でもあったから。
だから余計にどう動けば良いのか、克哉は迷わざるを得なかった。
「好き、だよ…お前が、どうしようもなく…」
泣きながら、克哉は零す。
その度に本多の顔が浮かんで、消えていく。
もう言い訳が出来ない処まで自分は相手に踏み込んでしまった事を
嫌でも自覚せざるえなかった。
「大好き…」
だけど、きっと…もう少しだけ自分達には時間が必要なのだろう。
その事を薄々と察しているからこそ、克哉は思いを…虚空に向かって
呟く事で…少しだけ落ち着かせていく。
眼鏡が何に迷い、苦しんでいるのか知らない。
其れが判らない限り、見極めない限り…感情のままに動いたら、何となく
取り返しがつかない事が起こりそうな予感がしたから。
水を飲んだら、少し気持ちが落ち着いていった。
けれど今は…身体は重くて、指一本動かすのもしんどい気がした。
(もう少し…眠りたい…)
今は何も考えず、少し休みたかった。
それで体制を整えた上で…これからどうするのか、一番良い道を模索して
いきたいと克哉は思った。
コンディションが最悪のまま、決断をしても良い結果は得られないという事は
今までの人生の中で何となく学んで来ていたから。
だから、克哉は一旦…意識を再び手放していく。
(目覚めたら、一緒に考えていこうよ…これから、どうするのか。
オレ達はどうしたいのか、そしてお前が何を思い考えているのかを…
ちゃんと、聞きたいよ…)
そう、まずは相手から聞きださないといけない事が沢山あった。
抱きあって快楽に逃げていても、其れは一時しのぎにはなっても根本的な
解決にならない事を克哉は悟ってしまったから。
だからそう心に誓いながら克哉は眠りに落ちていく。
―それから十分後、眠りに落ちた克哉の元に…一人の人影がそっと
近づいてその寝顔を覗きこんでいたのだった―
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
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お互いに堰を切ったように強く抱きあい…貪るようなキスを交わしていく。
頭の芯が、それだけで蕩けてボウっとなってしまいそうだった。
二人とも色々と抑えつけていたものが一気に解放されていくような
感情の迸りを感じていった。
ベッドの上が、ギシリと大きな軋み音を立てた。
「このバカが…」
眼鏡が、喉の奥からその言葉だけを振り絞っていく。
その言葉を聞いた克哉の頭の中も…グチャグチャで、まともに
思考する事など出来なかった。
克哉の中には二人の男への想いが、今は存在している。
今…目の前にいる、自分と同じ顔をした男と。
…そして、本多という恋人がいた事も思い出してしまった。
今までは記憶喪失だったから、という言い訳がついた。
けれど…ここで拒まなかったら、其れは恋人に対してに裏切りに
なるというのに…そうする事が出来なかった。
(…もう、駄目だな…オレは…)
相手の瞳の奥に、涙が…悲しみが存在している。
其れによって心が揺れ動き、相手を愛おしいと…これ以上泣かせたく
ないという想いに突き動かされてしまう。
―それでも…誰を裏切る事になっても、オレは今…お前とこうしたいんだ…
胸の中に、本多の顔が浮かんだ。
最初は笑顔だった顔が、悲しそうなものに変わっていく。
(ゴメン、本多…)
謝っても許される事じゃないと判っていても、記憶を失っている間に
眼鏡と共に過ごしていた事によって…克哉の中に、彼が住みついてしまった。
その事に涙を流していきながらも…夢中で、克哉は相手の激しい
口づけに応えていった。
「抱くぞ…逃げるなら、今の内だぞ…?」
「…今更、逃げないよ…」
「後悔しても知らないぞ…」
「…うん、これ以上されたら痛みは伴うけれど…この手を振り解く方が、
オレはきっと…後悔、するよ…」
「………そうか」
そうして、服を引きちぎらんばかりの荒々しさで眼鏡の手がこちらの
衣類を剥ぎ取っていく。
丁寧な愛撫も、何もない。
歯がぶつかりあうぐらいに不器用で勢いのある口づけを交わし合いながら
獣のように…身体を自分達は繋げようとしていた。
足を強引に開かされ、指を挿入される。
唾液によって多少、潤いを与えられていたが…身体はやはり、
迷いによっていつもより緊張してしまっていた。
「はっ…うっ…!」
身体の奥に、引き連れたような痛みが多少あった。
散々抱かれて慣れた身体の筈なのに、それでも今…こんな状態に
なってしまっているのは精神的な要素も大きいのだろう。
眼鏡の手も、いつもよりも強引なのも要因かも知れなかった。
けれど…その癖、相手の目の奥には欲望の色が宿っていて…
本当に、獣のように感じられた。
「…抱くぞ」
「うん、良いよ…」
きっとこのまま抱けば、克哉に苦痛を与える事になると判っていても、
男はそう問いかけた。
克哉もまた、其れを拒まなかった。
むしろ今は快楽よりも…痛みが欲しかった。
激しい悦楽によって、罪の痛みが紛れてしまうよりも…罰の方を
与えて貰いたかったから。
だから…グイ、と一気に相手に貫かれても…きつく克哉は
相手の身体にしがみつき続けていた。
「あっ…くっ…っ…!」
「…動くぞ」
「うん…っ…いい、よ…!」
身体の奥が、やはり強張っている。
其れが今まで感じた中で一番の苦痛を克哉に与えていた。
だが、其れでも相手が動けば…克哉も応えるようにぎこちなく腰を
揺らしていく。
まるで、記憶を取り戻してしまった事によって生じたぎこちなさを…壁を
無理やり抉じ開けるような、そんな行為だった。
優しい愛撫も、何もない不器用なセックス。
けれど…それでも身体を繋げている事でお互いの熱を直接感じ取って…
徐々に身体が熱くなっていく。
「ふっ…うっ…」
相手の熱が、自分の中で次第に強まっていくのを感じて…やっと
克哉の中で苦痛が和らいでいった。
多少の出血が伴って、潤いが出たからかも知れない。
相手が動くたびに痛かったけれど…徐々にそれも快楽によって紛れていく。
「もっと…オレを、抱いて…壊れる、ぐらいに…」
「ああ、そうしてやる…。それぐらい、激しく…今は、抱いてやろう…」
「うん…そう、して…あっ…!」
そうして、痛みの中で克哉は昇り詰めていく。
大きな声を喉が枯れるまで上げ続けて…ペニスから白濁がもう
満足に出なくなるぐらい…その日は、抱かれ続けた。
けれど泥のように意識を失ってしまっても…その夜に、それ以上の
記憶の再生はなされる事はなかったのだった―
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
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お互いに堰を切ったように強く抱きあい…貪るようなキスを交わしていく。
頭の芯が、それだけで蕩けてボウっとなってしまいそうだった。
二人とも色々と抑えつけていたものが一気に解放されていくような
感情の迸りを感じていった。
ベッドの上が、ギシリと大きな軋み音を立てた。
「このバカが…」
眼鏡が、喉の奥からその言葉だけを振り絞っていく。
その言葉を聞いた克哉の頭の中も…グチャグチャで、まともに
思考する事など出来なかった。
克哉の中には二人の男への想いが、今は存在している。
今…目の前にいる、自分と同じ顔をした男と。
…そして、本多という恋人がいた事も思い出してしまった。
今までは記憶喪失だったから、という言い訳がついた。
けれど…ここで拒まなかったら、其れは恋人に対してに裏切りに
なるというのに…そうする事が出来なかった。
(…もう、駄目だな…オレは…)
相手の瞳の奥に、涙が…悲しみが存在している。
其れによって心が揺れ動き、相手を愛おしいと…これ以上泣かせたく
ないという想いに突き動かされてしまう。
―それでも…誰を裏切る事になっても、オレは今…お前とこうしたいんだ…
胸の中に、本多の顔が浮かんだ。
最初は笑顔だった顔が、悲しそうなものに変わっていく。
(ゴメン、本多…)
謝っても許される事じゃないと判っていても、記憶を失っている間に
眼鏡と共に過ごしていた事によって…克哉の中に、彼が住みついてしまった。
その事に涙を流していきながらも…夢中で、克哉は相手の激しい
口づけに応えていった。
「抱くぞ…逃げるなら、今の内だぞ…?」
「…今更、逃げないよ…」
「後悔しても知らないぞ…」
「…うん、これ以上されたら痛みは伴うけれど…この手を振り解く方が、
オレはきっと…後悔、するよ…」
「………そうか」
そうして、服を引きちぎらんばかりの荒々しさで眼鏡の手がこちらの
衣類を剥ぎ取っていく。
丁寧な愛撫も、何もない。
歯がぶつかりあうぐらいに不器用で勢いのある口づけを交わし合いながら
獣のように…身体を自分達は繋げようとしていた。
足を強引に開かされ、指を挿入される。
唾液によって多少、潤いを与えられていたが…身体はやはり、
迷いによっていつもより緊張してしまっていた。
「はっ…うっ…!」
身体の奥に、引き連れたような痛みが多少あった。
散々抱かれて慣れた身体の筈なのに、それでも今…こんな状態に
なってしまっているのは精神的な要素も大きいのだろう。
眼鏡の手も、いつもよりも強引なのも要因かも知れなかった。
けれど…その癖、相手の目の奥には欲望の色が宿っていて…
本当に、獣のように感じられた。
「…抱くぞ」
「うん、良いよ…」
きっとこのまま抱けば、克哉に苦痛を与える事になると判っていても、
男はそう問いかけた。
克哉もまた、其れを拒まなかった。
むしろ今は快楽よりも…痛みが欲しかった。
激しい悦楽によって、罪の痛みが紛れてしまうよりも…罰の方を
与えて貰いたかったから。
だから…グイ、と一気に相手に貫かれても…きつく克哉は
相手の身体にしがみつき続けていた。
「あっ…くっ…っ…!」
「…動くぞ」
「うん…っ…いい、よ…!」
身体の奥が、やはり強張っている。
其れが今まで感じた中で一番の苦痛を克哉に与えていた。
だが、其れでも相手が動けば…克哉も応えるようにぎこちなく腰を
揺らしていく。
まるで、記憶を取り戻してしまった事によって生じたぎこちなさを…壁を
無理やり抉じ開けるような、そんな行為だった。
優しい愛撫も、何もない不器用なセックス。
けれど…それでも身体を繋げている事でお互いの熱を直接感じ取って…
徐々に身体が熱くなっていく。
「ふっ…うっ…」
相手の熱が、自分の中で次第に強まっていくのを感じて…やっと
克哉の中で苦痛が和らいでいった。
多少の出血が伴って、潤いが出たからかも知れない。
相手が動くたびに痛かったけれど…徐々にそれも快楽によって紛れていく。
「もっと…オレを、抱いて…壊れる、ぐらいに…」
「ああ、そうしてやる…。それぐらい、激しく…今は、抱いてやろう…」
「うん…そう、して…あっ…!」
そうして、痛みの中で克哉は昇り詰めていく。
大きな声を喉が枯れるまで上げ続けて…ペニスから白濁がもう
満足に出なくなるぐらい…その日は、抱かれ続けた。
けれど泥のように意識を失ってしまっても…その夜に、それ以上の
記憶の再生はなされる事はなかったのだった―
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性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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