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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 何か最近、連載書こうと早起きしてもその時間に
ブログがアクセス集中して編集画面に飛べない事が
多い。
 これも大震災の影響なのかなぁ…(汗)
 ただ、こっちの方は幾分か落ち着いて来たので軽く報告。

 先週辺りはどこのガソリンスタンドに行っても大渋滞。
 スーパーに行っても買い占めが続いていて欲しい物が全く買えないと
トホホな状態が続いていましたけれど。
 ようやくある程度落ち着いて来たのか、23日辺りから24時間やっている
スタンドが通常通り営業するようになっていたり、スーパーでも米、パン、
カップラーメンの類が棚に少量ながら残っているようになってきました。
 計画停電も、昼間のものは実地されない事が増えて来ましたしね。

 駅の方も、エスカレーターや自動販売機は使用できないままだし
何となく薄暗い感じでも、通常の80%程度の量で運行されているので…
少しずつ、日常に戻っている気配は感じられます。
 やっぱり当初の混乱、特にガソリンスタンドに関しては電車が止まってしまって
立ち往生する羽目になった人達が多かったからじゃないかな、と思う。
 香坂もあの日に、パックご飯やカップラーメン、冷凍食品の類はいざって時に
役に立つって実感しましたし。
 その事を痛感した人が、翌日買いに走るのはある意味仕方ないんじゃ
ないかって思う。それでも買い占めまでする人は困ったものだけど。
 とりあえず香坂は、一応普通に働いております。
 ちょっと今、連載を書くのは休んでしまって心配掛けているかもですが、
気持ちは疲れ気味でも身体の方は至って健康なのでそれだけ近況で
報告しておきますね。ではでは~。
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 ブログ、暫く音沙汰ないままですみません。
 ぶっちゃけ言うと…何か色々と疲れてしまって、
やる気になるまで若干、距離置いておりました。

 何て言うかそれぐらい…ブワ~と地震騒動で変わってしまった
日常に対しての疲れが出た、というか。
 19日はちょっと東京を一人で軽く歩いて。
 20日は父方の今まであまり足を向けなかった、そちら側の
親戚の墓参りとかしてて。
 21日はともかく家でゆっくり過ごしておりました。

 滅多にない三連休をそうやって、東京、千葉、神奈川と別々の県で
過ごす事で何か少し気力復活してきました。
 少しずつ混乱も収まって来たし、多少なりとも日常は戻って来ているのを
感じられたました。
 またボチボチ、再開します。
 …ブログ運営してから、こんなに空けたのは初めてですけど。
 ま、マイペースにこれからもやっていきます。ではでは!

※これは香坂の日記というか…その日にあった事の
覚書みたいなものです。
 興味がある方だけお読みくださいませ(ペコリ)

 …本日、会社が休みだったので…朝に母に頼まれて
牛乳と食パンを買おうとコンビニや近所の早朝からやっている
パン屋に足を向けたら、その二つを買うのもスーパーの
開店前から並ばないとアカン状態でした。

 うちなんて相当辺境なんですけどね。
 其処に朝十時、開店前には150人程並んでいて…
開店してから10分も経たない内に米、牛乳、食パン、カップラーメンが
なくなる状況にともかく大変な事になってきているなっていうのを
ヒシヒシと感じました。
 本気で、開店当初に行かないと欲しい物も満足に買えない事態って
今まで経験した事なかっただけにマジでびっくりですわ(汗)

 それでも私の住んでいる地域は一日に3時間程度の停電で住んでいるし、
物を買おうとすればどうにか買えるし、一応三食無事に食べられているって
いうだけでもこの状況では有り難いと思っていますけどね。
 原子力発電のニュースは毎日、ヒヤヒヤしながら見ているけれど…
私達の生活が、どれだけ其処から作っている電気によって支えられていたのか
今、凄く実感しているかも。

 当たり前と思っていた事が、どれだけ幸せか。
 其れをこの事態になって、改めて思い知らされている感じですね。
 そして今日はこれから三時間ばかり停電します。
 …四月末ぐらいまでには落ち着いてくれる事を祈ります。

 多分落ち着くまで、このブログの更新も一層不規則になりますけれど
可能な限り、連載を続けて…近況も軽く報告していきますね。
 ではでは!
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

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 続きの記憶が、蘇る。
 そして自分達は三人で翌週、飲みに行った。
 その冒頭までは克哉は過去を辿っていく形で思い出していった。
 本当は気が進まなかった。
 確かに自分達は同じ大学のバレーボール部に所属していたという
繋がりは確かにあったけれど。
 本多は、自分の方とも…松浦とも交流を持っていた。
 だが、克哉と松浦は殆ど接点を持たないままだった。
 むしろ、松浦にこちらは良く思われていなかったようにさえ思う。
 
―その日、酷く気が進まなかった。それだけは鮮明に覚えているが…
その続きが唐突に途切れて思い出せなくなってしまう

 黒いモヤに一気に包まれて、夢が閉ざされる。

(…この日、一体何があったんだ?)

 其れはいきなり芝居が重い幕に閉ざされてしまって、唐突に中断を
させられてしまったような心境だった。
 何かがあった事だけは薄々判る。
 けれど…其れ以上、克哉に探る事は突然不可能になってしまった。

―そしていきなり、克哉は意識を引きもどされていった

 それまで、順序良く思い出していた記憶が再び、ノイズが
混じって…克哉にとって思い出したくない場面を
真っ先に再生させていく。

―嫌だ、こんなの…嘘だ…現実だって、認めたくない…!

 血まみれになって倒れている本多。
 狂ったように哄笑し続ける松浦。
 彼ら二人は、自分のアドバイスによって関係を修復して…毎週の
ように飲みに行く間柄になった筈ではなかったのか。

(どうして、こんな結末を招いてしまっているんだよ…! あの二人が
仲直りした事に対して、オレはこんなに苦しい思いをしていて…。
嫉妬していたぐらいだったのに、どうして…!)

 間の記憶が、思い出せない。
 彼ら二人の親交の復活から、この結末に至るまでの過程の記憶が…
ザアザアザア、とノイズが混じってしまってこれ以上は無理だった。
 そしてもう一つの場面を思い出す。
 いつまでも目覚めない本多を待ち続けて、憔悴しきった自分。
 苦しくて、胸を掻きむしりたいぐらい辛くて仕方なくて。
 だから、自分は…その後にとんでもないことをしでかそうとしている
場面が一瞬だけ過ぎって、克哉は息を詰めていった。

―止めろ! 止めるんだ! オレ!

 これ以上、自分がやろうとしていた過ちを見たくなかった。
 だから必死に叫ぶことで其れを止めようとした。
 その瞬間、溢れんばかりの光が飛び込んでくる。

『起きろ…起きるんだ…!』

 そして、懸命な声に無理やり夢は中断させられて…克哉の意識は
覚醒していく。
 何度もパシパシと軽く頬を叩かれて、揺さぶられ続けていた。
 体中が鉛のように重くなり、まともに思考とロレツが回らない。

「あ、れ…? ここは…?」

「…やっと、目が覚めたか…お前、凄くうなされていたぞ…。凄い汗だな…」

「えっ…あ、うん…。凄く、嫌な夢を見ていたから…」

「…記憶を思い出してしまったのなら、仕方ない。…どこまで、思い出した?」

 そういえば先程、自分の方から彼に添い寝をした事を思い出した。
 あまりに不安そうで…今にも壊れそうなぐらい眼鏡は、脆い表情をしていたから。
 こちらを案じているようでいて、その癖…自分の方がよっぽど大きな不安を
抱えている風だった。

「…まだ、全部を思い出した訳じゃないんだ…。所々、抜け落ちてしまっている。
…最初にこの世界で目覚めた時、チラリと過ぎった…雨の中で倒れている誰かと
刃物を持って立ちつくしている人が…本多と、松浦だった事までは思い出せたけれど。
…どうして、あの二人がそんな結末を辿ってしまったのか、その過程が全く
思い出せないんだ…。どうして、どうしてなんだよ! あの二人は仲直りを
した筈じゃなかったのかよ! アドバイスしたオレが嫉妬をするぐらい…毎週の
ように一緒に飲みに行くようになって、修復した筈じゃなかったのかよ!
何で…あんな事が起こってしまったんだよ!」

 克哉は、感情のままに叫んでしまった。
 二人がどうしてあんな事になってしまったのか、そのキッカケとなった事。
 起承転結で言えば、起と結の部分だけを思い出して真ん中の部分がスッポリ
抜け落ちてしまっているようなものだ。
 だから克哉は判らず、混乱するしかなかった。
 そんな彼を、眼鏡はしっかりと抱きとめていく。

「…今は無理に思い出そうとするな…」

「無理、だよ…どうしたって、気になる…気にせざるを得ないだろ…!」

「それでも、思い出そうとするな…。お前が全てを思い出したら、その時は…
この世界もまた、消えるのだから…」

「えっ…?」

 その一言に、克哉は衝撃を覚えざるを得なかった。
 混乱してさざ波が立っている中に、また一つ大きな石を水面に投げ込まれて
しまったようなものだ。

(オレが全てを思い出したら…此処が、消えてしまう…?)

 その言葉に、またショックを受けていく。

「この世界が消えるって…そうなったら、オレ達はどうなるんだ…?」

「判らない。俺もまだ其処までは聞かされていない…! だから焦るな…。
焦って全てを思い出そうとするな…! この後、どうなるか判らないのだから!」

 そうして、懇願するような眼差しを浮かべていきながら眼鏡は訴えかけていく。
 相手のこんな脆そうな顔など、今日になるまで見た事がなかった。
 こんなにも不安そうな表情を浮かべているのを見ると…記憶を取り戻す事すら
強い罪悪を覚えてしまう。
 本音を言えば、空白を埋めたい気分がある。
 自分の中で欠けてしまっている記憶のピースを、満たしたい欲求が
不安だからこそ強まってしまっている。
 けれど思い出せばきっと…彼は不安にさせてしまうと思うと…
積極的に空白の記憶を得ようとする気持ちが萎えていくのを感じていった。

(…今は、焦るべきじゃないのかな…。知りたいけれど、知ってしまったら…
コイツを傷つけてしまうような、そんな気がする…)

 その気持ちが芽生えた瞬間、克哉は…ギュっと目を閉じていった。
 確かに焦るべきじゃないのかも知れない。
 自分の中でも次から次に明かされる事実に、ついていけてない部分があるから。
 だから…今は克哉は、本音と真相を追究しようとする気持ちに鍵を掛ける事にした。

―お前を、傷つけたくないから…そんな顔をさせたくないから…

 もう、きっとパンドラの箱は開けられてしまっている。
 きっと一度開いてしまったものを無理やり閉じたとしても…開く以前に
戻す事は不可能なのだと、薄々克哉は察していた。
 けれどせめて心の準備をする時間程度は、相手に与えたいと思ったから…
だから深い溜息を吐く事で、本音を誤魔化していく。
 強い力を相手を抱き締め、克哉は口を閉ざす事にした。

―そんな彼に向かって、眼鏡は噛みつくような口づけを強引に
与えていったのだった―

 
 とりあえず、ここ数日ブログの接続状態がずっと悪くて…
途中で止まってしまう事が多いので何回も今朝、試してしまったら
帰宅してびっくりでした。
 五つも同じ記事が連続して投稿されている状態だったので
すぐに修正いたしました。いや、もうマジですみません(汗)

 とりあえず地震発生してから四日目。
 こちらは停電だの、交通機関の麻痺による被害に思いっきり
巻き込まれて振り回されている感じです。
 水、パン、おにぎり、乾電池、カセットボンベ、冷凍食品、カップラーメン、照明、
ロウソク、携帯ラジオ、電池式携帯電話用充電器などの類は見事に
店の棚から消えていき。
 交通機関も朝は動いても帰りは動かないので早く帰させてしまったり、
親に迎えに来て貰う状態が続いております。
 …まあ、自宅にちゃんと帰って来れているだけ私は恵まれた方だなって
この状況では思いますけどね。

 今日何てうちの住んでいる地域の電車。
 最初の時点では午前11時から16時まで運休しますと言っていたのに、
午後一時半になったら一転して、15時30分まで動かしたらそれ以後は
運転を見合わせます! といきなり方針が一転して…急遽、電車がある内に
帰宅させられる事になり。
 大急ぎで電車に乗って14時10分頃に駅についたら…すでに最寄駅は
完全に封鎖されてしまってニッチもサッチもいかなくなってしまったという…。
 何て言うか、夕方から動かすって言っていたのを真逆にするっていうのは
流石に酷過ぎるだろ…と文句言いたくなりました。

 その鉄道会社に警備員として勤務している兄いわく、現在の駅は
トイレ、エスカレーター、エレベーター、自動改札、切符販売機等は完全に
電気によってコントロールをしている為、停電すると一切の機能がマヒしてしまうから
混乱が起きる前にそういう措置を取ったと事情を聞かせて貰いましたけど。
 計画停電も、今日が初めてだった訳だから皆…困惑して、ワタワタして
振りまわされてしまった気が致します。

 早く、元に戻ってくれ!
 本当に其れを毎日、切実に思っています。
 当たり前のように過ごしていた日常が実に便利で快適なものだった事を
この状況になって、嫌って程思い知らされた気が致しますわ…。
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

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 克哉は電灯の灯っていない自分の部屋に足を踏み入れていくと、
酷く葛藤した表情を浮かべてそのままベッドに倒れこんでいった。
 まだ明かりの灯っている携帯のディスプレイ、それを見るのも
腹立たしくて半ば投げつけるようにしながら…うつ伏せの体制で
ボスン、とシーツの上に横たわっていった。
 胸の中を掻き毟るような不快感と不安がジワリジワリと
湧き上がってくるのが判る。
 
(…凄い、イライラしている…どうして、オレってこんなに
心が狭いんだろう…)
 
 半ば自己嫌悪に陥りながら、一言だけ当たり障りのない
文面を打ち込んだ。
 
『良かったね』
 
 たった一言、本音を押し殺す為に…肯定的な一言を打ち込み、
其れ以上は何も言わない事に決めた。
 また、松浦と一緒に飲みに行く事が決まって嬉しい…という
報告メールなど、今の克哉の心を大きく乱すだけなのに、相手は
全くそれに気付いてくれないから。
 其れを口に出して、本多に嫌われたりうざったく思われたく
なかったから…だから…克哉にはそうするしか出来ないでいた。
 
―本多が喜んでいるんだから、本音なんて言ってはダメだ
 
 松浦と仲直りをしたと聞かされた日から、克哉は毎日のように
その言葉を自分に言い聞かせ続けていた。
 恋人同士になる以前から、本多とは色んな話をした。
 どれだけ今も彼がバレーボールに対して熱い情熱を抱いているのか、
かつての仲間達を大切に思っているのか克哉は嫌っていう程、
良く知っていたから。
 大切な人間が喜んでいるなら、以前の仲間とまた一緒に酒を飲んだり…
バレーの練習をするようになったとしても、手放しで喜ばなくては
ならないのに。
 最近、本多から来る報告メールの文面を思い出して深い溜息を
吐いていき…苦い気持ちを少しでも発散しようと試みていく。
 
『宏明とこの間、一緒にバレーボールの練習をやったんだよ。俺が
加わっているチームの奴らにちゃんと紹介してさ。克哉も今度、
一緒にどうだ?』
 
『この間飲みに行ったら、前回よりも近況とかそういうのを色々
話してくれてさ。まだぎこちない部分があるけど…昔に戻った
みたいで、すげぇ嬉しいよ』
 
『あいつから、また一緒に練習しないか? ってメール来たんだよ。
たったそれだけの事でも大学時代に戻ったみたいで、懐かしく
なっちまったんだ』
 
 最近、一緒にいても松浦の話ばかりをされていて…克哉の嫉妬心は、
日増しに強くなってしまっていた。
 きっと、親友だって線引きしていた頃に松浦と復縁したと聞いたなら
心から自分はその事を祝福出来ていただろう。
 
―本多、本当に良かったね!
 
 と心から口に出し、手放しでその事実を喜ぶ事が出来ただろう。
 けれど…恋人という関係では、とても無理だった。
 自分以外の存在が、本多と親しくする事を…一緒に過ごす時間を
大きく削られてしまう事に対して大きく苛立ってしまっていて。
 だから…最近、自分の部屋に帰る度に、モヤモヤしていた。
 男同士でのセックスは身体の負担が大きいから、だから付き合って
いても本多の部屋に平日は行く事も…抱き合う事も滅多にない。
 けれど他の男と過ごしたり、やりとりする機会が多くなっていると…
今までは当たり前のように仕事後に自分の部屋に帰る、それだけで
無性に寂しさを覚えるようになってしまった。
 週末は一緒に自分と過ごしてくれているのに。
 確かに日曜日の昼から、アマチュアのバレーボールチームの練習に欠かさず
参加しているからずっと一緒に過ごしている訳ではない。
 けれど今まではその事を当たり前のように受け入れられていたのに…
克哉はその事にだって寂しさを覚え始めてしまっていた。
 しっかりと抱き合って、愛してもらっているのに…金曜日の夜だけは、
先週と先々週は松浦とまた飲みに行かれてしまったので…過ごす事が
出来なかったせいだろう。
 そんな自分にまた、強烈な自己嫌悪を覚えざる得なかった。
 
(今までは金曜日の夜からずっと…付き合い始めてから、本多と
過ごす事が当たり前になっていた筈なのにな…)
 
 本多が松浦と友人づきあいをしている限り、これからもずっと…
金曜日の夜の方は、取られ続けてしまうのかな…と思うと非常に
憤りを覚えてしまった。
 本当にみっともないと自分でも思う。
本多は自分だけの為に生きている訳じゃない。
 克哉以外の人間と一緒に過ごしたり、楽しく笑う機会を持ったと
しても文句をいう筋合いじゃない事ぐらい判っている。
 なのに…松浦とこうして飲みに行かれて、本多が嬉しいとか
楽しいとメールで報告をする度に…心の中に黒い染みが
広がっていくのが判る。
 
「…自分で、背中を押した筈なのに…何をやっているんだろ、オレって…」
 
 本多に松浦と仕事上で偶然再会した事を報告された時。
 真剣な顔で、相談を受けた。
 その時…一通りの事情を知っていた克哉は、ほぼ仲が修復出来るであろう
方法を提示した。
 本多の真っすぐな性格を考慮した上で、彼が妥協出来る範囲で…松浦とか
かつての仲間達と修復する為には八百長ではなく、独断で決定した事の方を
キチンと謝れと。
 仲間だったのなら、相談せずに重大な事を決定した事自体は本多の
間違いだったんだよ、と自分は諭して…解決法を提示した。
 そして自分の読みは正しく、本多は大切だった自分の仲間達の内の一人と
こうして交流を再開出来たのだ。
 
(なのに…どうして、オレは…こんなに…寂しいし、気持ちが暗く
なってしまっているんだろう…)
 
 元々、克哉にとって大学のバレーボールチームのメンバーとは
ソリの合わない存在だった。
 いや、克哉は競技自体は好きでも…高校でも大学でも、仲間達とあまり
上手くいかなかった。
 自分の役割というのをいつも忠実にこなすようにしていたけれど。
 克哉からは的確なトスやパスをするように心がけていても、相手から
同じように返してもらった試しは殆どなかった。
 いつだって自分は浮き上がり…心の其処から受け入れられる事など
殆ど皆無だったように思う。
 その中で唯一、必死になって声を掛けて練習しようだとか、一緒に
やろうと働きかけていた存在こそが本多だったのだ。
 だから…仲間を大切に思う気持ちというのが、かつて所属していた
バレーボール部のメンバーを大切に思う気持ちを克哉は共有出来ない。
 …営業八課にいる、今の仕事仲間達は大切に思っている。
 けれど…受け入れられる事なく大学二年の時、途中で退部をしてしまった
克哉にとっては松浦が仲間という感覚は、決して共有出来ないものだった。
 
「…それに、何だか凄い胸騒ぎがするんだ…。これからとても
厄介な事が起こるんじゃないかって…」
 
 きっと、本多に言ったら笑われてしまいそうな気がする。
 だが…松浦と交流を復活させた日から克哉の胸の中には大きな不安と
嫌な予感が決して消えてくれなかった。
 胸を強く掻き毟るようにしながら…克哉は幾度も深呼吸を繰り返して
己の胸の中のどす黒いものを吐き出していく。
 
―だが、皮肉にも克哉が抱いていた予感は…それからしばらくして
最悪の形で的中してしまう事になってしまったのだった―
 
 
 


 3月11日、かなり大きな地震が起こって、かなり各地で
大変なことになっておりますね。
 一応、幸いにも香坂は無事に自宅に帰れました。
 こんな日に携帯電話、電池切らしてマジでシャレにならないって
思っていたんですが、運よく両親が会社の前まで迎えに来て
くれたので無事に帰って、夕食と寝床にありつけました。

 香坂の住んでいる地域では震度5程の大きな揺れは
ありましたが…津波などの被害はなく。
 午後三時から翌日2時前後まで、代わりに停電していた感じです。
 何て言うか今までの人生で、仕事の後片付けもせずに
全て放り出して上司と一緒に高台に避難したなんて生まれて
初めてでしたよ。

 高台から海の方を眺めると、海面が物凄い勢いで水が
引いていて…津波の前の予兆というのを目の当たりにしたり、
ロウソクを灯してガスコンロで鍋を囲んで家族と夕食食べるのも
初めての経験だったよ。

 日頃、電気によって便利で快適な生活を送っているのが
当たり前になっているんだなって実感しました。
 …今朝は生存報告だけで失礼しますね。
 とりあえず昨日、作業の後片付けもちゃんとせずに帰る形になって
しまったのでちょっと早目に出勤して片付けをやろうかなって
思っているので今朝はちょっとあまり時間取れません。

 体力残っていれば、連載の続きは夜か…もしくは明日の朝に
アップする事にしますね。
 それでは失礼致します(ペコリ)
 3月9日、両親と一緒に親戚の家に行った際…
2時間ばかり軽く一人で周辺を彷徨い歩く時間が取れたので
電車乗って秋葉原まで軽く出ました。
 せっかく東京来たのなら、3DSを持ち歩いて果たしてどれくらいの
人数すれ違えるのか非常に興味があったので。

 今回の3DSは、今まではDSとソフトを立ち上げないと
使用出来なかったすれちがい通信をハード本体が搭載して
おりまして。
 3DSのソフトなら、本体にソフトを差していなくても12個まで
登録して自動的にすれちがい通信が出来るようになっているし。 
 他のゲームをプレイしていても、カメラなど他の機能を使っていても
近くに他の3DSがあれば自動的にすれちがいをやってくれるというので
格段に今までに比べてすれちがいが出来やすくなったのですよ。
 今回は本体に『すれちがい広場』というソフトが内蔵されていて。
其処ですれちがいする事によって遊べる簡単なソフトが二本
入っているので。

 地元駅でも一日に1~2人はすれ違えるなら。
 ゲームやっている人間の比率が遥かに高いだろうって予測出来る秋葉原なら
きっと多くすれ違えるだろうって期待を込めて、1時間ちょい大通りを歩きました。
 結果、15人もすれ違ったよ。
 今までニンテンドックス+キャットも一日に一人すれ違えれば恩の字だったのが、
一日で3人も出来ましたし。
 収穫としては期待以上のもので、満足出来ました。

 正直、今まで発売したDSソフトとかは設定出来ないのは
残念ですけど。
 他のゲームをやっていても自動的にすれちがいをやってくれるというのは
3DSをやってて凄いんだなって実感出来る。
 
 ちなみに昨日、うっかりAKB48の公演やっているビルに迷い込みました。
 話としては知っていたけど、今までどのビルだったのか知らなかったので
へえ、ここだったのかって結構新鮮でした。
 結構な回数、今まで秋葉原に来ているのに。
 しかし財布の中にあまりお金が入っていなかった為、この日の秋葉原の
出費はダンスダンスレボリーションを1プレイするだけで、それ以外は
何も一切買わなかったというストイックぶりでした。

 本当にすれちがい通信をする為だけに行った感じでしたが。
 うん、実験結果が良いものだったので満足出来ました。

 

※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
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―佐伯克哉は夢と記憶の狭間に落ちていた

 まず夢の世界に落ちた克哉が一番最初に思い出した記憶は…
一連の事態の発端、本多と付き合い始めて、数ヶ月が経過した頃の
出来事だった。
 その前日、克哉は恋人から真剣な相談を受けていた。
 夕方、約束をしていたので合鍵を使って本多の自宅に足を向けて…
台所に立って夕食を作り始めていく。
 だが、調理をしている間…ずっと胸の中には複雑な思いが
グルグルと回り続けていた。

(もうじき、本多が帰って来るな…結果はどうだったんだろう…?)

 今日、本多はそのまま直帰になる扱いで…あるデパートの営業に
向かっている。
 午後三時から、大学時代に一緒にバレーボールをやっていた
松浦と三度目の交渉をやっている筈だ。
 その仕事上のやりとり自体は成功したと、さっきメールで一言報告が
来たから問題ない。
 しかしその後、本多は上手く行ったら松浦と一杯飲んでくると
言っていた。それが克哉の心を大きく乱していた。

「…あ~あ、オレって本当に心が狭いな…。本多が、オレ以外の男と
二人で飲みに行くってだけで、こんなにモヤモヤしちゃうなんてさ…」

 トントントン、とリズミカルに包丁を叩いていきながら…ついぼやきを
漏らしてしまう。
 昨晩、本多に真剣な顔をして…仕事上で繋がりを偶然持って再会した
松浦と出来れば以前のように一緒にバレーがしたいと。
 その為にはどうしたら良いかと相談を受けた。
 克哉にとって、松浦はあまり親しいと言える間柄の人間ではなかった。
 特に途中で克哉の方はバレー部を中退してしまった訳だし、そんなに深く
接点を持っている訳ではない。
 けれど…親しくなくても、克哉は人間観察を…その人間の特徴や行動を
注意深く見て、ある程度の性格の傾向自体は掴んでいたから。
 本多が犯しそうな失敗を考慮した上で…的確なアドバイスを返したつもり、だった。

(だからオレのアドバイス通りにやっていれば…二人はどうにか仲直りを
済ませて、一緒に楽しく飲んでいる筈…だけどな…)

 けれど、その間…克哉の心はずっと晴れないままだった。
 自分の中にあるドロドロしたどうしようもない独占欲。
 本多から告白されて、暫くの間…友人として、親友としての距離を保とうと
していた頃には感じなかった強い嫉妬の感情が…その事を素直に歓迎
出来なくさせていた。
 一緒に背中を合わせながら飲み、お互いの心情を語った夜に…どれだけ
本多がバレー部でかつて一緒に活動していた仲間達を強く思っていたか、
八百長試合を持ちかけられて、本多の独断で突っぱねたことで仲間達から
うらまれたことを苦しんでいるか知っている筈なのに。
 その中の仲間の一人でも、戻って来てくれる事を切望しているのを
判っているのに…感情がどうしてもついて来てくれなかった。

(オレ…どうしようもなく、嫌な奴だな…)

 半分自己嫌悪に陥りながら、チラリと時計を眺めていく。
 本多は20時までにはこの家に戻ってくると言っていた。
 なのに…少し過ぎているのに、まだ帰って来ていないことに真剣に
不安を覚えていく。
 それでもご飯の支度を黙々とやって、約束の時間を10分程度超えた頃…
丁度タイミングよくご飯の準備を全て終えようとした頃に、玄関の扉が
勢い良く開いていった。

「克哉! 聞いてくれよ! お前にアドバイスして貰ったとおりに言ってみたら
宏明の奴、一杯付き合ってくれたぜ! 本当に良かったぜ!」

「あ、ああ…そうなんだ。良かったね!」

 本多は半端じゃなく上機嫌で、ついでに言うと顔を軽く上気させて
非常にご機嫌な様子だった。
 この様子では普段よりKYな気質がある彼の事だ。
 克哉のこの微妙そうな顔をして応対している事実に決して気づいてなど
くれないだろう。

(やっぱり、上手く行ってしまったんだ…)

 冷静に考えてみれば、その八百長試合の一件が起こるまでは
本多はバレー部のキャプテンを務めて、仲間達と本当に上手くやっていた。
 其れを傍から見ていた克哉からしたら、疎外感をつい覚えてしまう程。
 だからこちらが昨晩言った通り、今…本多を恨んでいるメンバーは潜在的には
好意を抱いている筈だから、八百長試合の条件を呑まなかった事については
謝らなくても、自分の独断で決めてしまったこと、相談せずに事を進めてしまった
事に対してはキチンと謝ったほうが良いとアドバイスした。
 克哉はきっと、八百長試合の件もそうだが…本多が相談せずに一人で
抱え込んで決めてしまった事で怒りを抱いているだろうからと推測したからだ。
 その克哉の読みは正しくて、長かったわだかまりを溶かすことに成功した。
 けれど…克哉の心中は極めて複雑なままだった。
 自分の心の狭さに、独占欲の強さに嫌気すら覚えてしまう。
 どこか口の端に引きつった笑みが浮かんでしまう。
 しかし…今、旧友と仲直りを果たしたばかりの本多はこちらのそんな
微妙な心中を決して判ってくれなかった。

「あ、約束の時間…10分も遅れてしまってわりぃな。けど…やっぱり
不安だったからよ。其れにお前に真っ先に報告したかったし…。
だから呑みに行っても食べるのは程々にして、少しで切り上げたけどよ。
…それでも、久しぶりに宏明と飲みに行けて。他愛無い話しかしなかったけど…
マジで嬉しかった。本当に、お前のおかげだぜ克哉…。独断で事を
進めてしまったことに対しては確かに俺の非だったもんな…。その事を
指摘してくれて助かった…」

「うん、本当に…良かったね。本多…バレーボール部のメンバーと
出来れば仲直りをしたいってずっと思っていた訳だしな…」

「ああ、ずっと思っていた。あの八百長試合の事は俺は間違っていないと
今でも思っているけれど。…その為に、仲間だった奴らにそっぽ向かれて
しまったのは本当にきつかったからな…」

「うん、その気持ち…オレは知っているから。だから…良かったね…」

「おう、ありがとうな!」

 そうして、克哉はやっとどうにか自然に微笑んでいく。
 恋人になったこの男にとって、どれだけ仲間が大事だったかを
知っているから…その事を祝福していく。
 心の中にチリリ、と焼けるような気持ちがあっても。
 その醜い気持ちを悟られてしまいたくなかったから。
 だから純粋に喜んでいる振りをしてしまった。
 そんな克哉の心中など気づかないまま、本多は強い力を込めて
こちらを抱きしめていく。
 その腕の強さが、今の彼の歓喜の感情の強さが感じられて…
また胸の中にドロリ、と黒い染みのようなものが広がっていくのを
感じていく。

(…信じろよ、オレ…。本多はオレだけを見てくれているって…。
愛してくれているって…。だから松浦と仲直りをしても、簡単にオレ達の
仲は壊れたりしないんだって…信じよう…!)

 そう自分に言い聞かせながら、克哉はオズオズと本多に自分からも
抱きついていく。
 この腕の温もりに包み込まれている間はいつだって安堵を覚えて
いたはずなのに…今夜は全く、嬉しくなかった。
 複雑な思いばかりがジワリジワリと湧き上がって、取り繕うのが
大変だったのを良く覚えている。

「…本当に、良かったね…」

 そして、本心とは裏腹の言葉を、相手にそっと与え続けていく。
 本多はそんな言葉に対して、嬉しそうに笑っていた。
 其れが余計に…その晩、克哉を苦しめていたなど…この快活な性格をした
恋人はきっと察することなどなかっただろう。

―そうだ、思い出した…。全ては、この日が発端だったんだ…

 本多が、松浦と仲直りをした事。
 交流を復活させた事がきっと…あの忌まわしい事件を起こす引き金を
生み出してしまったのだと今は確信出来る。
 そして克哉は次の記憶を思い出していったのだった―

 

 

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小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
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一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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