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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                       10 
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 かつての自分は、人の顔色ばかり伺って生きていた。
 誰も傷つけたくなかったから。
 相手に失望されたくなかったから、嫌われたくなかったから。
 だからいつだって当たり障りのない事を言って生きていた。
 曖昧に濁して、決定的な言葉を吐かないようにしていた。
 そんな風に長年生きて来た克哉にとって、太一に対してきっぱりと
想いを受け入れる事は出来ないと断りの言葉を吐くのは…本当の事を
言うと相当に勇気がいる事だった。
 真っ暗な自分の部屋の中、ようやく闇に目が慣れて来たおかげで
相手の輪郭と微かな表情だけはどうにか伺う事が出来る。
 きっと、太一は…泣きそうな顔を浮かべているのだろう。
 そう考えると…酷く胸が痛むが、それでも頭を横に振って流されないように
堪えていった。

(…太一を傷つけてしまうのは辛いけれど…これ以上、オレは
過ちを重ねたくないんだ…!)

 すでに自分は、想いを自覚してから御堂に抱かれてしまった。
 其れが奇妙な薬を強制的に与えられてしまった効能のせいだと
言っても…死ぬ気で抵抗しなかった事、御堂を受け入れてしまった
事は自分の弱さであり…罪でもあった。
 御堂の事だって、嫌いではない。
 本多だって親友と思っているし…太一も大切な友人だ。
 ここ数日に想いを寄せて来た全員が、克哉にとって重要な位置に
存在している人間ばかりだった。
 そんな彼らを傷つける言葉を吐くなんて…本当言えば、相当に
精神的にきついし、相手の辛そうな顔を見れば決心が鈍りそうに
さえなってくる。

(けど、けど…それで相手を傷つけたくないからと言って…他の
人間に抱かれてしまう真似を繰り返したら、オレはあいつに好きという
資格すらなくなってしまうから…)

 もう一人の自分の事だ、好きだ。
 その想いを自覚してから…其れは克哉の中で日々、強くなっているから。
 こんなに誰かを好きになった事、彼の方から求めたのはもしかしたら
生まれて初めてだったかも知れない。
 彼に、何よりも嫌われたくなかった、失望されたくなかった。
 曖昧な態度で濁す事で、流されてしまう事で…もう一人の自分に嫌われて
呆れられてしまう事が今の克哉にとって一番怖い事だった。
 其れにもう…間違いを繰り返したくなかったから。

「…だから、御免な太一…。オレ、好きな人がいるから…太一の気持ちは
嬉しいけれど…受け入れる事は出来ないよ…」

 そして、もう一度…今度はベッドの上で土下座をしていきながら太一に
向かってそう告げていった。
 正直、照明の下だったら全裸に近い格好でそんな真似をするのは
恥ずかしくて死にそうだったに違いないけれど…今は電灯が消されて
いるのが幸いした。
 太一もこちらが裸である事は薄々気づいているだろうけれど…
闇に乗じて、そのままで応対していく。

「…そっか。けど…俺、この気持ちを何処に持っていけば良いんだろう…。
こんなに、克哉さんの事を好きで仕方ないのに…!」

 太一が、必死の声で叫んでいく。
 彼なりに好きな相手の気持ちを汲み取ろうと頑張っていた。
 理解して…身を引こうとしていた。
 なのに…まだ、感情がついていかないのだろう。
 例え薬の効果によって引き出された想いとはいえ、その感情までが
嘘ではないのだ。
 今…彼が自覚しているのは、潜在的に秘められた想い。
 其れはキッカケがないままだったら太一の中で沈められて…
胸の中でこっそりと片隅で息づいていて陽の目を見る事はなかっただろう。
 けれど…今は、自覚してしまった。
 その芽生えたばかりの想いを、摘み取るのは辛い事だっただろう。
 克哉とてその悲痛な声を聞いて、鈍る気持ちが生まれていく。

(けど…ここで、流されちゃ駄目だ…! 駄目なんだ…!)

 人を傷つけても、貫きたい想いがあるならば…それに準じるしかないのだ。
 そうでなければ相手に好きだと言う資格すら失う気がするから。
 恋人になりたい、とおこがましくも思っているなら…相手にとって特別な
存在になりたいのなら…他の人間の想いを断って、貞節を守るように
務める事は、必要な条件に入っていると思うから…。

(大好きだよ、『俺』…! だから本当に御免、太一…。オレは傷つける
事になっても…この想いを貫きたいんだ…!)

 克哉は知らず、泣いていた。
 太一を傷つけてしまった事に対しての胸の痛みが感極まってしまったから。
 けれど瞳を潤ませていきながら…決して相手からは目をそらさなかった。
 断るにしても全力で相手に向き合う事が礼儀だと思ったから。

「克哉さん…克哉さん、凄い…好きなのに…。こんなに、人を好きになったの
俺は初めてだったのに…其れでも、駄目なんだ…?」

「うん、御免…。オレも、譲れない想いだから…」

 太一とて、すぐに諦められる訳ではない。
 出来るだけ粘るだろうし、情にも訴えかけてどうにか克哉の気持ちを変えようと
してくるだろう。

(…正念場はこれからだ。太一に…諦めて貰わないといけない。それが出来なければ
あいつを好きだという資格すらないから…!)

 そして胸が痛んでシクシク痛んでいても、ギュっと唇を噛んでいきながら…
太一と真っすぐ向かい合っていく。
 その時の克哉の顔には…しっかりとした強い意思が確かに宿っていたのだった―



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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