鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※御克前提の澤村話。テーマは桜です。
桜の花が舞い散る中、自分という心が生まれる前のことを
探り始める克哉がメインの話です。後、鬼畜眼鏡Rではあまりに
澤村が不憫だったのでちょっと救済の為に執筆しました。
やっと完結しました。非常にお待たせしましたが…ここまで
付き合ってくださった方、どうもありがとうございました!!
桜の回想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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満開の桜の花は見ていると心が華やぐ。
だが桜が舞い散っている姿はどこかもの悲しく、同時に
儚い美しさを感じていく、
儚い美しさを感じていく、
それは散りゆく終末の美だった。
こんなにも綺麗な花なのに年に一回しか咲かない上に、十日前後で
あっという間に全て花を散らしてしまうからこそ…この花はこんなにも
人の心を捉えていくのだろう。
あっという間に全て花を散らしてしまうからこそ…この花はこんなにも
人の心を捉えていくのだろう。
風が吹き抜ける度に、大量の花びらが舞っていく。
桜の時期も、もう終わりだと告げている合図だ。
明日にはきっと、この辺りの桜の木も寂しい佇まいになるだろうし…
数日後には花の姿は完全に消えてしまうだろう。
数日後には花の姿は完全に消えてしまうだろう。
そうなれば来年まで、この鮮やかな光景は見納め担ってしまう。
そう感じて佐伯克哉は網膜に焼き付けようと…河川敷に規則正しく
植えられている桜並木を眺めていった。
そう感じて佐伯克哉は網膜に焼き付けようと…河川敷に規則正しく
植えられている桜並木を眺めていった。
―その瞬間、ブワっと涙が再び溢れて来そうだった
脳裏に浮かぶのは卒業式の日に袂を分かった二人の少年の情景。
悲しいすれ違いの果てに二人は決別するしかなかった。
その中に自分の存在がいたから、という思いが再び生まれてくるのと同時に、
頭の中に鮮明に一つの声が響いていった。
頭の中に鮮明に一つの声が響いていった。
―いいや、それは違うぞ。これは俺と紀次との間に起こったことであり、
お前は関係ない…
お前は関係ない…
「っ…!」
その声が久しぶりに頭の中で響いた瞬間、克哉はカミナリに
打ち抜かれたぐらいの衝撃を覚えていった。
打ち抜かれたぐらいの衝撃を覚えていった。
「『俺』っ…! お前の声が、どうして…」
―今日はたまたま、調子が良いみたいだな…。久しぶりに意識がはっきり
している…。だからお前と話せるだけだ…
している…。だからお前と話せるだけだ…
「そう、なんだ…良かった…」
記憶の中にある通りの不遜な物言いに克哉はまた涙腺が
緩みそうになっていく。
緩みそうになっていく。
かつては彼の存在に怯えていた時期もあった。
けれど今は…ただ懐かしい想いだけが湧き上がっていく。
溢れた涙で、視界が大きく歪んでいく。
鮮やかな桜の花が、まるで水の中に浮かび上がっているかのようにぼやけて
…淡く見えていった。
…淡く見えていった。
その瞬間、克哉は幻を見た。
幻想だと解っていても、その光景を涙を流しながら眺めていった。
―大人になった澤村と眼鏡が、笑いあいながら楽しそうに過ごしている場面を…
それはきっと、眼鏡自身も叶わぬ夢である自覚はあるのだろう。
けれどきっと…克哉と澤村のやりとりを聞いて、それでも願ってしまったのだろう。
(これは…きっと、お前が叶えたかった夢なんだな…だから、こんなにも
鮮明に見えるんだ…)
鮮明に見えるんだ…)
もう一人の自分の存在をこんなにも強く感じるのも、きっと澤村の言葉に
大きく心を揺り動かされたからだろう。
大きく心を揺り動かされたからだろう。
それだけ離れていても、長い年月が過ぎても…眼鏡にとっては澤村は
大きな存在だったのだ。
大きな存在だったのだ。
それ以上に大切な人間を作れなかったからこそ、今もまた…どれだけ
否定しようとも、もう一人の克哉にとってはあの青年は大きな位置を占めている。
否定しようとも、もう一人の克哉にとってはあの青年は大きな位置を占めている。
それがこの幻想に大きく現れていた。
「これが、お前が本当に望んでいたことだったんだな…」
―そうだ。だが、お前が気にしなくて良い…。俺が勝手に未練がましく
望んでいるだけの話だ…
望んでいるだけの話だ…
「…ううん、けど…お前がこんなにも大切に想っている人とオレは決別を
する選択をしてしまった…。それで本当に…良かった、のか…?」
する選択をしてしまった…。それで本当に…良かった、のか…?」
躊躇いがちに克哉は問いかけていく。
そして一呼吸置いてから、眼鏡はゆっくりと答えていった。
―前が当たり前の顔をして、紀次の親友の座に収まったらその方が
俺は怒っていただろうな…
俺は怒っていただろうな…
「っ!」
それは遠回しに、克哉の選択を容認している言葉だった。
―あいつは俺の、親友だった。だが、お前の親友と呼べる存在は本多と
太一、片桐の三人だろう? 心から信頼して大切の想っている関係。
だが…お前と紀次は、関わりを殆ど持っていない。言葉すら満足に
交わした事がない間柄だ。なら…こうなる事がむしろ自然だろう…?
何を気にする事があるんだ…?
太一、片桐の三人だろう? 心から信頼して大切の想っている関係。
だが…お前と紀次は、関わりを殆ど持っていない。言葉すら満足に
交わした事がない間柄だ。なら…こうなる事がむしろ自然だろう…?
何を気にする事があるんだ…?
「そう、だね…」
もう一人の自分の声は思いがけず優しく、また克哉は静かに
目から滴を零し始めていった。
目から滴を零し始めていった。
この一言で克哉は確かに、罪悪感が和らいでいくのを感じていった。
『ありがとう…』
心の中で克哉は強くそう想っていく。
それが眼鏡にも伝わったのだろう。少しして相手が照れたような
そんな気配がした。
そんな気配がした。
―お前が生きていて良いんだ…
たった一言の言葉が、克哉を救っていった。
他ならぬ、この身体の本当の人格であったもう一人の自分。
克哉が生きていることで、結果的に身体の主導権を奪って…
影に追いやってしまった存在から赦しの言葉を言われること。
影に追いやってしまった存在から赦しの言葉を言われること。
それ以外に、この苦い気持ちを消す方法は存在しなかった。
そして相手は…与えてくれた。認めてくれた。
『自分が生きていても良い』
それが…彼の心に巣食っていた罪悪感をゆっくりと溶かしていく。
氷のようにそれは克哉の中で固まり、凍り付いていた…それが消えて、
ゆっくりと涙という形で表に流れ出していった。
ゆっくりと涙という形で表に流れ出していった。
「ありがとう…ありがとう…」
そして克哉もまた、相手に礼を告げていった。
お互いに感謝の気持ちを相手に伝え合うことで…心が判りあえた気がした。
(ああ…そうなんだ。御堂さんに認めて貰えたのはとても嬉しかったけれど…。
それ以上に『自分自身』に認められる事はこんなにも…嬉しいんだ。
自信って言葉の意味を…ようやく実感出来た気がする…。自分に信じられる、
認められない限り…本当の自信なんて、生まれる訳がなかったんだな…)
それ以上に『自分自身』に認められる事はこんなにも…嬉しいんだ。
自信って言葉の意味を…ようやく実感出来た気がする…。自分に信じられる、
認められない限り…本当の自信なんて、生まれる訳がなかったんだな…)
かつての曖昧で、弱々しかった頃の自分が随分と遠くに感じられる。
今、御堂と…もう一人の自分に認められた克哉は、ようやく地に足をつけて
生きているという実感を覚えていった。
生きているという実感を覚えていった。
人は誰かに必要とされて、本当の意味で満たされる。
どれだけ自己満足を繰り返そうとも、満たされるようには作られていない。
他者と関わり、心を通わせ…血と心の通った関係を生み出すことが
本当の意味での自信に繋がっていくのだ。
本当の意味での自信に繋がっていくのだ。
―俺にそんな礼など言わなくて良い…。さあ、御堂が待っているんだろう…。
早く帰ってやると良い。…お前の生きるべき場所は其処なのだから…。
だから過去を振り返らなくて良い…前を見て、生きろ…
早く帰ってやると良い。…お前の生きるべき場所は其処なのだから…。
だから過去を振り返らなくて良い…前を見て、生きろ…
「うん…判っているよ…『俺』…」
―そう、それで良い…
その瞬間、克哉は見た。
強風が吹きぬけて大量の桜が舞い散る中…一瞬だけ、もう一人の
自分の残影が見えた。
自分の残影が見えた。
懐かしくて見ているだけで…胸が潰れそうだった。
瞳が潤みそうになる。
だが、泣きそうになった瞬間…相手ははっきりと告げた。
『笑えよ…お前の泣き顔など、辛気臭くて見たくない…』
そう憎まれ口を叩いた相手が妙に愛しく感じられて、克哉は泣き笑いに
感じになったが…それでもどうにか口角を上げて笑っていく。
感じになったが…それでもどうにか口角を上げて笑っていく。
瞬間、もう一人の自分も瞳を細めて笑っていった。
これ以上、何を伝えば良いか判らなかった。
胸が詰まって言葉が上手く出てくれない。だからせめて笑い続けて
相手を見つめていった。
相手を見つめていった。
そして…桜の花が一斉に散ったのとほぼ同時に…相手の残影は、
完全に消えていく。
完全に消えていく。
だがその時には克哉の胸には火が灯ったかのように暖かい想いで満ちていった。
『ありがとう…』
そして姿と気配を消した相手に向かって、最後に呟いた瞬間…着信音が
聞こえていった。
聞こえていった。
「っ…! 孝典さんからだ!」
克哉はその音に一気に現実に引き戻されて慌てて上着から携帯電話を
取り出して…通話ボタンを押して対応していった。
取り出して…通話ボタンを押して対応していった。
「もしもし、孝典さん! すみません…連絡が遅れてしまって…」
『いや、別に良い。私もついさっきまで仕事をしていたからな…。それよりも
今日は八時には自宅に帰れそうだ…。君に手間を掛けさせてしまうが、先に
帰宅して簡単なもので良いから夕食を用意しておいて貰えるだろうか…?』
今日は八時には自宅に帰れそうだ…。君に手間を掛けさせてしまうが、先に
帰宅して簡単なもので良いから夕食を用意しておいて貰えるだろうか…?』
「えぇ、大丈夫です。今日は直帰の予定ですから…ここから真っ直ぐに電車で
帰れば八時には確実に間に合わせますから…。美味しい物を作って待っています。
孝典さんも…もう少し仕事頑張って下さいね」
帰れば八時には確実に間に合わせますから…。美味しい物を作って待っています。
孝典さんも…もう少し仕事頑張って下さいね」
『うむ、君の愛情のこもった手料理を楽しみにさせて貰おう。それでは
失礼するぞ…』
失礼するぞ…』
「はい…」
その瞬間、克哉は幸せそうに微笑みながら頷いて…余韻を残しながら
通話を切っていった。
通話を切っていった。
今の自分には帰るべき場所がある。
この世で一番愛しく、そしてこちらを愛してくれている存在がいる。
その人とこれからも手を取り合って自分は生きていくだろう。
もう一人の自分が言った通り、過去に囚われて生きても何も生み出さない。
だから…前を向いていくのが正解なのだ。
そう考えたが…それでも、鮮やかな桜並木を眺めていきながらフっと
瞳を細めていった。
瞳を細めていった。
(それでも…オレは桜を見る度、お前と…澤村さんの事を思い出し、
回想するだろう…。過去ばかりを見つめて生きることはいけない事だけど、
お前のことも…今まで生きてきて体験したことも全て、オレの生きてきた証であり…
軌跡だから。…回想するぐらいは、許してくれな…)
回想するだろう…。過去ばかりを見つめて生きることはいけない事だけど、
お前のことも…今まで生きてきて体験したことも全て、オレの生きてきた証であり…
軌跡だから。…回想するぐらいは、許してくれな…)
そうして克哉は一つの季節が過ぎ去っていくのを感じ取っていった。
これからもきっと何度も春が巡るのを体験していくだろう。
―その度にきっと克哉は思い出していく。もう一人の自分と…親友だった
少年との出来事を…懐かしさと切なさを覚えていきながら…
少年との出来事を…懐かしさと切なさを覚えていきながら…
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女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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