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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―澤村を感情的に殴りつけた後、眼鏡は結局適当に入った
ホテルにて一夜を過ごす事になった

 彼が眠っている間に様々な人間の想いが錯綜していた訳だが…
この時点ではまだ何も知らず、彼は朝日を浴びながら意識を
覚醒していった。

「朝か…」

 小さく呟きながら、彼は目を覚ましていく。
 変な感じだった、ずっと長い事こうして身体を伴って朝を迎えた
事などなかったから。
 たまに姿を現わせば、もう一人の自分を抱くぐらいしかやって来なかったし…
克哉が快楽のあまりに意識を手放してしまえば、それから少し経った頃には
自分は彼の中に還っていたからだ。

(普通の人間にとっては当たり前の朝を迎えるという行為が…俺にとっては
相当に久しぶりの事になる訳か…)

 そんな事をふと考えて自嘲的に微笑みながら、身体を起こしていった。
 出来るだけ安い宿を探したが、Rから渡された資金の十万円の内…5千円を
ただ素泊まりするだけでなくなってしまうのは痛い。
 ついでに言うと10時にはチェックアウトをしないといけないというのも
厳しかった。
 
(あのまま本多の家に泊れていればその辺はタダだった上に朝食ぐらいは
ついてきただろうに…。何故、俺はあんな真似をしてしまったんだ…?)

 そうして気持ちが落ち着いて来たからこそ、昨晩の自分の短絡的な
行動の数々を思い返して…我ながら呆れたくなった。
 あんな行動を取っても得るものなど何もない。
 それなのにどうして自分は…愚かしいとも言える事をやってしまった
のだろうか。
 本多がもう一人の自分に、前の日に迫っていたのを思い出した途端に…
感情のタガが外れて、暴走してしまっていた。

―許せない。お前ごときがあいつに触れるなど…! あいつは、俺のものだ…!

 心の中に湧き上がった純粋とも言える激しい感情。
 其れを振り返って思い出すと…否定したくなって小さく首を振っていった。

(俺は一体…どうしてしまったんだ…? 本多にしてしまった行為など
正気の沙汰とも思えない。だが…あの時は、どうしても抑える事が出来なかった…)

 睡眠は、頭の中を整理して…心も鎮める効能がある。
 落ち着いたからこそ、昨晩の己の愚行に溜息を吐きたくなった。
 全くもって自分らしくない行動だった。
 しかし…どうしてそうなってしまったのか、どの動機を胸に手を当てて探って
いくと…眼鏡にとっては否定したくなる真実にぶち当たっていく。

(…くっ、どうして俺が…もう一人のオレごときにここまで振り回される…?)

 本多にした行動によって、彼の本音は其処に大きく反映されている。
 御堂でも、本多でも、太一でも…他の人間がもう一人の自分に言い寄ったり…
その身体に触れる事がどうしても許せなかった。
 焦がすような独占欲が、胸の中に湧き上がって…彼を翻弄していった。
 認めたくなかった、自尊心がどうしても許せなかった。
 
―あいつにいつの間にか本気になってしまっているなんて…認めたくない…!

 そう強く否定をしようとした次の瞬間、昨日…昼間に抱いた時に見た
克哉の顔を思い浮かべていく。
 必死になってこちらに縋りついてくるその姿に、自分に罰を与えてほしいと
懇願する姿に…会えて嬉しいのだと全身で伝えて来た姿が鮮明に思い出されて…
急速に、会いたいと願う気持ちが芽生えていった。

(なあ…お前は一体、どうしているんだ…?)

 ふともう一人の自分の事が気になっていった。
 まさか昨晩、自分がいない間に太一が忍びこんで来て…そのまま、太一からの
告白を断ったとは言え…寄り添いながら一夜を過ごしているなど全く知らない
眼鏡は…克哉がどうしているのか、非常に気になっていた。
 だが時計の針を見れば午前七時を回っている。
 そして今日は…平日の朝だ。
 このホテルから、克哉の自宅に移動すれば恐らく午前八時を回っていく。
 そして克哉はそれより少し前には家を出てしまっている筈だ。

(かなりの可能性で入れ違いになるな…)

 そう考えて、結局チェックアウト寸前まで此処にいる事に決めていった。
 会社まで行くのは、流石にNGだという事は判っている。
 佐伯克哉が出社している時に自分が顔を出して…同時に存在している
処を見られたらどうなるか、それぐらいは流石に判るからだ。

「…このままあいつが出勤してしまったら、夕方までは顔を合わす事が
出来なくなるな…。それまでの間、何をしていようか…」

 働いている訳ではないから、相手の身体が空くまでこちらは身を
遊ばす事になってしまう。
 そんな事を考えて、ふと気づいていった。
 以前の自分は、相手を慮ってそれまでどうしようと何て考えた事など
なかった事に。
 会いたい時に顔を出していたし…自由気ままに生きていた筈なのに、
いつの間に自分はこんな風になってしまったのだろうか。

「…全く、あいつに知らない間に毒されてしまっているみたいだな…俺は…」

 そう自嘲的に呟きながら、脳裏に克哉の顔を思い浮かべていく。
 …彼の中に真っ先に思い浮かぶもう一人の自分の顔は、いつも切なくて…
どこか儚い笑みを浮かべている顔ばかりで。

(そういえば俺は…あいつの心からの笑顔を見た事などなかったな…)

 ふと、そんな事実に気づいて…何気なく思った。
 もう一人の自分が、心から喜んでいるそんな顔を見てみたいと…以前の
彼であったら、決して抱く事がなかった望みを…静かに想い浮かべていったのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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