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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―現実に長い時間、存在し続けるのは久しぶりだった

 だから眼鏡はどうやって過ごせば良いのか判らず…己を持て余して、
当てもなく街を彷徨い歩いていた。
 職がある訳でもなく、友人関係を持っている訳でもない。
 どちらも其れは…もう一人の自分のものであり、眼鏡自身のものでは
なかったから。
 だからとある駅前にあるスターバックスのオープンテラス席に座って、
ただ無為に時間を過ごしていた。

(俺という存在は一体何なんだ…?)

 そんな哲学的な事を考え始めている自分がいた。
 一日を、無為に消耗する事しか出来ない身が歯がゆかった。
 自分に与えられた十日という時間は、あの男はどうして与えたのだろう。
 存在し続けるという事に慣れていないせいで、彼はとにかく戸惑いを
覚えながら…在り続けていった。
 すでに陽の落ちるのは早くなっているせいで…午後五時を回れば
日が大きく傾き始めていた。
 ふと空を眺めていくと…様々な色合いが折り重なって、空に美しい
夕暮れの景色が浮かび始めていった。

「逢魔ヶ時…か…」

 朝と夜の境、夕暮れの時間帯には古来から魔と逢いやすい時間帯と
されていた。
 だからこそそういった言葉が生まれた訳だが、そんな事をふと
考えて呟いた瞬間、いつの間にか自分の傍らには黒衣の男が立っていた。

「っ…!」

 まるで一瞬で自分の傍らに現れたような気がして、眼鏡は言葉を
失っていく。
 だが…目の前の男は、そんな様子をただ愉快そうに眺めるだけだった。
 そして気づけば、自分達以外の周りの人間の時間が止まっているような
そんな奇妙な空間が生まれていく。
 此処で自分達が何を話しても、行動しても周りの人間が気づく事がない…
不思議な空気を、あっという間にMr.Rは生みだしていったのだった。

「…こんにちは、いや…もう日が暮れるからこんばんはでしょうか。
残り後九日になりましたが…本日という一日を有意義に過ごされたでしょうか…?」

「ちっ…見れば判るだろう。今日という一日は無為に終わっている…。わざわざ
イヤミを言いに来たのか…?」

「おやおや…貴方様はどうして私が十日間という時間を貴方に与えたのか、
どうして昨日澤村様と出会うように仕向けたのか…その意図を全く理解されて
いないようですね…。こうしている間にも、ゆっくりと佐伯克哉さんに悪意の手が
伸ばされて来ているのに…。しかも貴方の軽率な行動がその速度を急速に
早めていってしまったのに…」

「…っ! 何だと、どういう意味だ…!」

「…言った通りの意味ですよ。今…佐伯克哉さんに危機が迫って
来ています…。貴方がこうして無駄に一日を過ごしていた間にも…
克哉さんは悪意に飲み込まれてしまいそうになっている…。
元々、佐伯克哉という人物に対して強烈な劣等感と嫉妬心を抱いていた
澤村様は…一昨日の夜の、御堂様と克哉さんの情事を偶然撮影した
事で…これまで抱いていた感情を昇華する行動に出ていたのに…
貴方はそれを止める処か、加速する行動を昨晩された訳ですからね…。
果てさて、どうされている事でしょうか…」

「…貴様っ! あの二人の事は…お前が糸を引いたようなものだろうが…。
あいつに男を惑わす香りを纏わせたのも、澤村をその場面に誘導したのも…
どうせ全て、お前が絡んでいるんだろうが…!」

「えぇ、その通りですよ…。多少、予想外の事が起こっておりますが…
今回の一連の出来事は全て、私が裏で糸を引かせて貰っております…」

「…ほう、随分と素直に認めるんだな…」

 あまりに平然と笑いながら答えられてしまったので…眼鏡はむしろ
拍子抜けしていった。
 だが…男の纏う不気味な空気は一層濃密さを増していく。

「…えぇ、貴方達二人があまりに不器用な恋愛をなさっているみたいですからね…。
じれったくなって、少し突かせて貰ったんですよ…。私はどのような結果になっても
構わないと思っております…。私はその翻弄する様をも愉しんでおりますから…。
貴方達二人は…私の退屈を埋めて下さる最高の素材ですからね…。
ですから、今回のシナリオもこっそりと私の方で用意させて貰った訳です…。
これだけ多くの人間が介入している中で…どのような結末が貴方達二人に
用意されているか…其れを眺めていきたいと思いましたからね…」

「…貴様、まるで人を実験動物か何かのように言うんだな…。良い根性を
しているじゃないか…」

「えぇ、否定はしませんよ…。私が今、お二人をもてあそんでいる立場なのは
事実ですからね…」

 そうしてMr.Rは瞳を細めて眼鏡を見遣っていった。
 其れに負けじと…彼の方も、自分たちをもてあそんでいる男を鋭い眼差しで
見つめていった。

(あいつに一体何が起こっているんだ…?)

 正直、怒鳴り散らしたい衝動に…不快だから早く立ち去れと言いたい気分
だったが…最初の方に言われた、克哉に悪意の手が迫っているという言葉が
引っかかったのでどうにか抑えていく。
 恐らくその行動を取ってしまったら、手遅れになる予感がしたから…大きく
乱され続ある自分の感情をどうにか抑えていきながら、眼鏡は一先ず…Rから
詳しい情報をもう少し引き出していく事に専念していったのだった―


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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