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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―太一の告白を断った翌日の夕方から、克哉の運命は大きく動き始めていた

 朝、目覚めると同時に太一と一緒に自宅で朝食を取りながら雑談してから
別れて、克哉は出社していった。
 先日に休んだ事については、本当に迷惑を掛けてすまないと第八課に
いる全員に謝罪してから通常の仕事に戻った。
 何故か本多は…一昨日はあんなにもこちらに熱烈に迫っていたにも関わらず
今日顔を合わせたら、腫れものを触るかのような対応になっていたのだけは
解せなかったが、昨日休んでしまった事で溜まった大量の業務をこなしている間、
何度もふとした瞬間に…こちらに想いを寄せてくれている御堂と本多に対して
どうしようかという事に考えを巡らせていた。
 そうして昼休みの時間を迎えていくと…本多と顔を合わせるよりも前に
逃げるように屋上に移動して、一人で物想いに耽っていた。
 本日の天気は快晴、目にも鮮やかな青空が広がっているというのに…
自分の心は暗澹たるものだった。
 今、こうして眺めていると…本当に良い天気なのに、今朝の天気予報では
夕方から大きく崩れると言っていた。
 とてもそうは感じられないな…とふと考えていきながら、空を眺めて…
克哉は自分の心の整理を始めていった。

(…やっぱり、二人に対してもキチンと顔を合わせて断りを入れるべきだよな…。
例えあの例の薬の力が大きいにしても…太一と同じように、あの二人も
真剣に想ってくれている…。それなのに、いつまでも曖昧に引き延ばして
いたら凄く失礼だし…残酷だと思うから…)

 昨日、太一に泣きながら謝った事で…克哉は腹を括る覚悟が出来ていった。
 真剣に想ってくれている相手の気持ちを断るのは、非常に胸が痛む事だ。
 けれど…それ以上に、いつまでも相手の気持ちを弄ぶような真似はしたくないと
いう感情が生まれて来ていた。

(…オレは、あいつが好きなんだ…。他の人間から見たら不毛な想いかも知れない…。
いつも一緒にいられるようなそんな関係は築く事が出来ないだろうし、あいつの方が
オレをどう想ってくれているかも判らない。けど…それでも好きなんだ…)

 もう自分の本心に気づいてしまったから。
 だからこれ以上、問題に対しても目を逸らす事が出来ない。
 なじられるかも知れない、泣かれるかも知れない、そして…下手をすればこれまで
築いて来た相手の関係を壊してしまう事になるかも知れない。
 その事を考えると少し怯んでしまいそうになるが…こんな曖昧な状況を続けて
しまう事の方が罪だと考える事にした。

(…今日、本多を呼び出して…まずは本多に対して、謝ろう…。それから…御堂さんに
顔を合わせて、言おう…。想ってくれているのは嬉しいけれど…オレには本当に
好きな相手がいますから…ごめんなさいって…)

 御堂に対しては一昨日に、あんなにも情熱的に抱かれてしまった部分があるから…
克哉の中にも大きく惑う部分があった。
 あの激しさを、熱さを覚えているからこそ…気を抜くと後ろ髪を引かれてしまうような
気分になってしまう。

―克哉、愛している…

 何度もせつなそうな声で、耳元でそう囁いてくれていた。
 その声に、ゾクっとして…けれど必死に頭を振っていく。

(…どうしよう、御堂さんにも…オレ、惹かれ始めている…。けど、駄目なんだ…。
二人とも、欲しいだなんて…そんな事を、考えちゃいけない。どちらか片方を
選ぶしかないんだ…。それなら、オレは…オレは…!)

 そうして、もう一人の自分の顔を必死に想い浮かべていった。
 けれどすぐに御堂の顔も浮かんで来てしまう。
 自分の中でせめぎ合う感情が、苦しかった。
 どちらも好きなのだと、罪深い思いがジワリと広がって…片方を諦めないと
いけないという理性が…克哉を大きく責め立てていた。

「好き、だよ…『俺』…大好き、だよ…」

 だから自分の想いに負けないように、勇気を振り絞っていった。
 そして…迷いを断ち切る為に、本多にメールを打つことに集中していった。
 
『今夜、本多に大切な話がある。夕食を一緒に食べてくれないか?』

 其れは余計な感情を一切交えない、簡潔な一文だった。
 散々迷いながら、どんな事を書けば良いか考えて…削除を繰り返していきながら
結局、そうやって纏めて…相手に向かって送信していった。
 だが、次の瞬間…フワリ、と甘い匂いが漂っていくのを感じていった。
 急速な眠気が、襲い掛かってくる。

(あれ…何だろう…。どうして、こんな…眠気、が…。満足に、立って
…いられない…。この、香りは…一体…?)

 克哉は、唐突に訪れる強烈な睡魔に…恐怖すら覚えていった。
 この香りはどこか…覚えがあるからだ。
 周囲の人間を惑わしたあの例の薬の匂いに、根底が似ている気がしたから。
 瞼が重くなって、開く事すら億劫になっていく。
 それでもどうにか目を開いて状況を把握しようと努めていくと…いきなり、
背後からはがい締めにされて…何か布みたいなものを押し当てられた。

「っ…!」

 叫ぼうとした、だが声がすでに出てくれなかった。
 何者かの気配を、体温を感じていく。
 うっすらと視界に…白い手袋が、目に入った。

(オレの背後にいるのは…誰、何だ…? これは…Mr.R? それとも…
他の誰か、なのか…? どうして、こんな処に…?)

 相手の着ている服の袖が、辛うじて視界に入ったけれど…其れは黒い服なのか、
または濃い色のスーツなのか…ぼやけてしまっている頭ではまともに
認識が出来ない。
 そうしている間にも…其れはまるで甘い毒のように克哉の自由を奪い、そして…
意識を堕としていった。

(助けて…『俺』…御堂、さん…!)

 そして、無意識の内に…心の中に強く存在している二人に向かって助けを
求めてしまう。
 うっすらと涙を流しながら、必死に身体を揺すって微々たる抵抗を試みて
いきながら…。
 克哉の意識はそうして完全に閉ざされていき。

―そして数時間後、彼は予想もしていない場所で目を覚ます事になったのだった―
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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