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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―澤村紀次が謎の宛先から来たメールの通りに、指定された場所に向かうと…
其処には後ろに手を纏められた形で両手首を縛られて猿ぐつわをされて、
茂みの中に転がされている佐伯克哉の姿が其処にあった
 
 彼は其れを見つけて、得体の知れない相手に対しての畏れと
言いようのない高揚感を覚えていった。
 
「はは…ははははっ! ほ、本当にいた…! まさか、昨日あんな風に
僕を殴った克哉君がこんな格好で地面に転がされているとはね!
 あははは! 良い気味だ!」
 
 そしてその姿を見た時、昨日された事に対しての屈辱や怒りなど
何もかもが吹っ飛ぶ気がした。
 真っ昼間のオフィス街で一人の人間をこんなに堂々とさらって拉致して…
こんな場所に転して、こちらに其れを回収するように指示された時は
相手の正気の沙汰を疑った。
 だが、澤村はその正体の判らない相手の指示に一回は従ったからこそ…
夜の公園で、御堂と克哉がセックスしている場面に遭遇出来たのだ。
 
―貴方の敵を、もっと追いつめてみませんか? 私の指示に従って頂ければ
最も効果的な方法で御堂様を追いつめる為の材料が手に入りますよ…?
 
 メールの最後にはそう記されて、このキクチ・コーポレーションの近くに
存在する小さな公園の茂みに来るように、その際には近くまで車で
乗り付けて来るように記されていた。 
 
(顔も知らない相手の指示に従うなんて薄気味悪いけれど…もう、
僕には後は残されていない…。MGNの手を何が何でも引かさない限り…
僕はもう、クリスタル・トラストに在籍する事も出来なくなってしまう…!)
 
 現在の澤村の社内での立場は、追いつめられたものだった。先日、
MGNが満を持した新商品として発売したビオレード。
 其れの為にクリスタルトラストは間接的に大打撃を被る形となった。
 次の新商品の開発を中止に追い込むか、または大幅な発売延期を
しない事には…下手をすればその関連会社は潰れる形になるかも知れない。
 その為の工作員として澤村は抜擢された。
 
(だが、これは…失敗すれば僕にとって致命傷になる。リストラされても
文句がいえない状況に追いやられる。だからこそ…絶対に失敗する
訳にはいかないんだ…!)
 
 急鼠、猫を噛むという諺がある。
 ネズミのような小物でも追いつめられれば自分よりも遙かに大きくて
強い猫に向かって噛みつく事もあるという意味の古い格言だが、今の澤村は
まさにその状態だった。
  生来の卑怯さに加えて、今在籍する会社にいられるかどうかの瀬戸際の
前には…モラルなんてものは見事に消し飛んでいた。
 
(それに…君の身体で、昨日僕を殴りつけた事に対してのツケを
存分に払って貰う事にしよう…!)

 同時に、澤村の脳裏には…昨晩の御堂と克哉とのセックスがチラリと
過ぎっていった。
 喘ぎ声に紛れて、はっきりとは言葉のやりとりが聞きとれない事も多かったが
御堂はあの時、しきりに彼に対して…「好きだ」と「愛している…」を繰り返していた。
 今頃、あのビデオはMGNの御堂の元に届けられているかも知れない。
 偽名と架空の住所を使って届けた訳だが、あれが何であるかを遠まわしに
示唆した…パソコンで打ち込んだ文書も添えてある。
 それだけでも充分かも知れないが、更に御堂に追い打ちを掛ける為には…
今、転がっている克哉は充分な素材だった。

(例えば愛して止まない存在が…僕の手にとって、散々いたぶられて、
啼いている声を電話で聞かせたら…どんな反応を見せるんだろうね…)

 其れは立派な犯罪行為だ。
 けれど澤村はその辺の悪辣な行為に対しての嫌悪感などすでに失って
久しいし…天下のMGNの部長に、一泡吹かせられるならそれぐらいの事など
何でもないように思えてくる。
 チラリ、と克哉を見る。
 仄かに甘い芳香の残り香を感じた気がした。
 御堂に激しく貫かれた日、克哉は潜在的に彼に対して強い感情を抱いている
存在の想いを引き出す…特殊な香りを纏っていた。
 そして…セックスの場面を多少離れていたとはいえ…澤村は撮影して、
知らぬ間にその甘い毒に犯されていたのだろう。
 
「…くくっ、君を屈辱に震わせながら屈服させる事が出来たら…其れは
最高のエクスタシーだろうねぇ、克哉君…。今…その為のステージに
君を連れてってあげるよ…!」

 そうして愉快そうに微笑みながら、彼を車まで苦労しながらも
運んでいった。
 自分と同体格ぐらいの男を運ぶのは並大抵の労力ではなかったが…
この後に待ち受けているショータイムの事を考えれば、それぐらいの事は
何でもないように思えてくる。
 しかも何故かオフィス街の真っただ中にあるというのに…澤村が克哉を
車に運ぶ間、一切の人通りもなく…車の通りすらなかった。
 見えない何かによって、世界までも操られてしまっているような奇妙な
感覚を覚えたが…克哉をこれから存分に弄りものに出来るという高揚感が
あった為に彼は深く考える事はなかった。
 そうして克哉をトランクルームに詰め込んで、澤村は公園を後にしていく。

―その口元に邪悪な笑みを讃えていきながら…








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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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