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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―Rから一連の事の顛末を聞いた眼鏡の行動は実に素早いものだった
 
 話を一通り聞き終えると同時に無為に時間を潰していたスターバックスを飛び出して
彼は繁華街を必死に走り続けていた。
 克哉が現在拉致をされているホテルの詳しい場所をどうにか聞きだしてその
目的地に必死に向かい始めていく。

(少しでも早く行かなければ…! どうか、間に合ってくれ…!)

 そう切実に願いながら…克哉が、小学校時代の自分の親友であった存在に拉致されて、
刻一刻と魔の手が伸ばされつつある状況に、眼鏡は本気の憤りを覚えていた。
 彼は走った、遮二無二…夢中になって駆け続けていた。
 いつもの彼だったらこんな風に服装が派手に乱れるぐらいに全力疾走をする事など
とても考えられないだろう。
 おかしくなっている自覚は薄々…こうして現実にずっと存在するようになってから
感じ続けていた。
 克哉に関係する事に対して、自分はどうしてこんなに取り乱してしまうのか…
冷静でいられないのか。
 その事に対して舌打ちしていきながら…つい、頭の中ではもう一人の自分を
責めてしまっていた。
 
(…チッ、裏で全ての糸を引いているのはあいつだと判っているが…その
張り巡らされた罠にアッサリと引っ掛かる「オレ」にも問題があるな…)
 
眼鏡は焦りを覚えていた。少しでも早く克哉の元に駆けつけてやりたかった。
迫り来る悪意からもう一人の自分を助け出したい…!
そんな強烈な想いを初めて抱いていった。
 
(…全くあいつは自分の身すら満足に守れないのか…! 本多に迫られ、
御堂に犯され、今度は澤村に拉致されただと…! 何で其処まで他人に
良いようにされるんだアイツは…!)
 
本多と御堂の一件だけでも充分にハラワタが煮えくり返りそうだった。
更にその上に澤村までもがもう一人の自分を良いようにするなど…我慢が
出来る訳がないのだ。
その瞬間、彼の脳裏に今まで決して認めようとしなかった想いが湧き上がってきた。
 
―あいつは俺のものだ。他の人間が触れる事など…許せない…!
 
それは薄々と判っていながら、彼が決して認めようとしなかった本音だった。
いつだって小さなプライドが邪魔をしていて、自分の本心から目を逸らし続けていた。
何処かで克哉を馬鹿にして、自分よりも下の人間だと見下している部分があった。
だからこそ…対等と見なしていない相手に本気になってしまった事実を
認めたくない心理が働いてしまっていたのだ。
けれど今なら…それがどんなに無意味で、愚かしい事だったか痛烈に思い知らされる。
後悔の念がまるで黒い染みのように心に急速に広がっていくのを感じていった。
 
―大好きだよ、俺…
 
そして彼の脳裏に鮮烈に切ない微笑みを浮かべながらそう伝えてきた
克哉の姿が喚起されていった。
 
「…克、哉…」

 そして…自然に、相手の名前を呟いていた。
 己と同じ名であり、同一の存在である筈だった。
 けれど…今は、少しずつその関係が変質しつつあった。
 其れを認めざる得なかった。

(お前という存在は…どれだけ、俺の中に浸食して…俺を変えていって
しまうんだ…? 全く、俺らしくない…どうして、お前の身に危険が迫っている事に
対して…ここまで、動揺して取り乱しているんだか…)

 走りながら、眼鏡は自問自答を繰り返していた。
 見えてしまった本心に、困惑して混乱して…認めたくない気持ちがまた
ジワリと浮かび上がってくる。
 だが、立ち止まる訳に行かなかった。
 少しでも早くあいつの元に行かなければ、今はそれだけに専念して
全力で走り続ける。

「くそっ…! 車の一台でも、気を利かせて用意したらどうなんだ…!
徒歩じゃ限界がある…!」

 心底苛立ちながら、思わず叫んでいってしまう。
 その瞬間、一瞬だけ思ってもみなかったものに出くわしていく。

「…御堂?」

 そう、今…自分が向かっている方角に向かって一台の車が走り抜けていき、
一瞬だけ運転している人物が目に入っていった。
 其れに気づいて…瞬間、足を止めていってしまう。

(どうしてあいつが…俺と同じ方向に向かっているんだ…? 一体、何が
こちらの知らない処で動いているんだ…?)

 Mr.Rから澤村が克哉に害を加えようとしているという大まかな事は
聞かされていたが…その詳細までは知らない。
 そしてこの局面で、自分が向かっている方角に対して御堂の車が
向かっている事は…果たして偶然なのだろうか?
 けれど…その光景を見て、自分も徒歩でチンタラと向かっている訳には
行かないと思い知った。
 
(…チッ、徒歩であいつが言っていたホテルに向かったら…それこそ、いつ
到着するか判らない…。もしかしたら、道を間違える可能性すらある…!
この辺りの地理は元々そんなに詳しくないからな…)

 焦燥感を覚えていきながら、素直にその事実を認めていった。
 瞬間、一台の黄色いタクシーが目に入っていく。
 今の彼は自家用車こそないが…タクシーに乗って目的地に向かえる程度の
手持ちは持っている。
 その瞬間、眼鏡は即座に決断していき…大急ぎで駆けよって声を
掛けてタクシーを止めていった。

「おい! 其処のタクシー…止まれ! この先にあるセンチュリーホテルまで
大急ぎで向かってくれ!」

 そして形振り構わず、必死の形相で叫んでいった。
 即座にタクシーの扉が開かれて、大急ぎで飛び乗っていく。
 こちらの剣幕に押されたのか、タクシーの運転手は酷く強張った顔をしていたが
無言のまま車を発車して…向かい始めていってくれた。

―どうか無事でいてくれ…! 『オレ』…!

 切実にそう願っていきながら、眼鏡はそうしてタクシーで急いで目的地へと
向かい始めていったのだった―

 
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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