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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                       10 
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―誰かに触れられて、泥のように深く眠っていた克哉の意識は
ゆっくりと覚醒していった

 最初は、誰の指か認識する事は出来なかった。
 けれどとても大切なものを確認するような、そんな優しい手つき
だったので…不快になる事もなく、ぼんやりしながら暫くその指の
好きなようにさせていった。
 穏やかな手つきで、こちらの髪や頬をそっと撫ぜられると何処か
くすぐったかった。
 そうして暫くこちらの顔を探っている内に…ついに唇に辿り着いて、
何度もなぞりあげられるように撫ぜられていった。
 
「ん…くすぐったい…」

 反射的に身体を捩って逃れようとするが、その手は執拗に
追いすがって…克哉の唇に触れ続けていた。
 モゾモゾと何とも形容しがたいもどかしい感覚が身体の奥に
生まれていくのが判った。

「はっ…やっ…」

 そしてついに、克哉の口から艶めかしい声が漏れていくのと同時に…
その何者かの唇が重ねられていった。
 其れが誰のものなのか、まだ寝ぼけていて判断することも出来なかったので
克哉は為すがままになっていく。
 口づけは最初は恐る恐る触れるだけのものだったが、重ねられている内に
大胆なものへと変わっていき…克哉が気を緩ませて唇を少し開いていった瞬間、
熱い舌先が割り込んでいった。

「ふっ…ぅ…」

 克哉の口から、くぐもった声が零れていく。
 相手の舌先で口腔を犯されている内に…先程生じた、怪しい疼きは更に
強さを増していった。
 息苦しくなる程、情熱的なキスをされて…頭の芯がボウっとなってまともな
思考回路などなくなっていってしまう。
 そうして身体の熱すら上がり始めていった頃…唐突に胸の突起に
指を這わされて、両方同時にソフトに触れられ始めていく。
 焦らすように最初は僅かな乳輪の部分から。女性の其れに比べればウンと
小さい突起をじっくりと時間を掛けて愛撫されていくと…克哉は一層、耐えられないと
いうようにしきりに腰を捩り始めていった。

「んんっ…あ…はぁ…」

 少し触れられていっただけで克哉の胸の突起はあっという間に赤く充血して
硬くなっていった。
 其れを弾くように同時に攻め立てられて…堪らず身体をくねらせていけば…
相手の身体がこちらにどっしりと圧し掛かって来た。

「克哉、さん…」

「えっ…?」

 何者かが、こちらの名前を優しく呼んでいく。
 その声音を聞いて、克哉は一瞬…困惑した。
 自分に触れているのは、無意識の内にもう一人の自分だと思ったから。
 後はMr.Rぐらいしかこの部屋の鍵を無視して部屋の中に入り込むような
真似は出来ないと思っていたから…その声を聞いた時にぎょっとなった。

「えっ…もしかして、太一…?」

「…そうだよ。ねえ、一体…誰だと思っていたの…?」

 克哉がこちらの事を、別の誰かだと思っていたとしか思えない反応に
太一は明らかにムっとなっていく。
 確かに不法侵入をした上に、寝込みを襲うような真似をしているのは
こっちだが…克哉が、今、…暫く愛撫に身を委ねてくれて天にも昇る
心持ちだったのが一気に引き落とされてしまったような気分になった。

「あの、それは…その…」

「…何で答えられないんだよ。まさか…克哉さん、とっくの昔に誰か他の男に
こんな風に触られていた訳…?」

「えっ…? そ、そんな…事は…」

 昨日は御堂に、そして今日は夢か現実か判らないがもう一人の自分に
克哉は思いっきり抱かれていた。
 そして此処が紛れもなく自室であると判っていたから、今…優しくこちらに
触れてくれていた指先は、もう一人の自分のものであると思いこんでいた。
 だからまともに答える事が出来なくて言い淀んでいくが…太一はそんな
相手の煮え切らない態度に心底苛立ちを覚えていった。

「…克哉さん、声が裏返っているよ…。そんな風に動揺しまくりの様子で
否定したって全く説得力がないんだけど…?」

「う、ううううっ…!」

 克哉は太一に組み敷かれる体制でジタバタともがいてその腕から
逃れようとしていった。
 だが彼とて、簡単に愛しい相手を逃がしたりはしなかった。
 しっかりとその身体を強く掻き抱いて、離れないでくれという意思を
伝えていく。
 体格の上では克哉が勝っていても相手に上になられて力を込めて
抑え込まれてしまったら逃げる事も出来なくなる。

「うっ…ね、ねえ…どうして太一が、こんな処にいるんだよ! 此処…確か
オレの部屋で、鍵はしっかりと掛けてあった筈なんだけど…」

「ううん、開いていたよ。だから俺が入って来れたんじゃん?」

 こっそりと作ったスペアキーの事は一切言わず、平然とそう答えて
すり替えていった。
 そんな事はわざわざ言う必要はないし、それくらいの腹芸はあの五十嵐の家で
長年育ってきたのだから容易いものだった。

「うっ…け、けど…それがこうして太一に押し倒されている状況の説明には
全く繋がらないと思うんだけど…! 何で、こんな事を…!」

「えっ…? マジで気づいていない訳? うっわ~克哉さんってばそういう事に
関してはもしかして凄く鈍い方な訳? そんなの…克哉さんを愛しいとか、
抱きたいとか、触れたいとか…そういう風に思っていなければ有り得ない事でしょ?」

「え、ええええっ…! あああああ~やっぱり太一までおかしくなっちゃって
いたのか~! もう勘弁してくれ~!」

「…ちょっと待って、克哉さん…。今、何て言った?」

「はっ…! そ、その…何でもない! 何でもないです!」

 太一からすれば、一世一代の勇気すら込めて言った告白に対して、
『太一まで』という単語が入って嘆かれたのは正直、プチっと何かが
切れてしまいそうなぐらいの憤りを覚えていった。
 しかもその後に続く、『もう勘弁してくれ~!』というのは…克哉に対して
告白したり触れたりしてきた人間が、自分だけではないという事実を如実に
示していた。

(えっ…もしかして、こうして克哉さんに触れたのってやっぱり俺だけじゃ
ないって事…? ちくしょう…一体誰だよ! 俺の克哉さんに勝手に触れた
そいつは…!)

 その一言を聞いた瞬間、フツフツと怒りが湧き上がっていくのを感じていった。
 昨日、喫茶店ロイドに克哉が立ちよってくれた時から…確かに自分はおかしく
なってしまったのかも知れない。
 緊急事態にしか使わないと戒めていた鍵を使ってこの部屋に侵入したり、
克哉の寝込みを襲ってしまったり…自分でもとても正気の沙汰ではないと思う。
 だが、何よりも太一の正気を奪っていったのは…今の克哉の態度と
発言だった。
 その一言が引き金となって…日頃の生活では秘められている太一の中の
凶暴性がゆっくりと息を吹き返していく。

―はあ、はあ…はあ…

 そうしている内に、興奮しているからだけじゃない理由でこちらの息は
次第に大きく乱れていった。
 激しい衝動が、胸の奥に湧き上がっていくのを感じていく。
 誰だか判らないが、克哉にこうして触れた人間が自分以外にもいるという事実が…
太一を、狼に静かに変えていった。

「た、太一…?」

 相手の様子が変わった事に克哉も気づいたのだろう。
 どこか怯えたような顔を浮かべて…伺うようにこちらに声を掛けていく。
 だが、太一の中ですっかりスイッチは入ってしまっていた。

―許せないね克哉さん。これは…お仕置きしないと、気が済まないよ…俺…!

 そして、邪悪な笑みを闇の中でうっすらと浮かべていく。
 克哉はその気配の変化に、畏れすら抱いていきながら…身体を竦ませて、
易々と太一に組み敷かれて、抵抗を奪われていったのだった―



 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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