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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

忘却の彼方に                         10 11  12 13   14 15
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 そして本多に対して、不満を訴えて泣き縋った夜から一カ月後。
 克哉は就業時間の間際に、携帯電話に直接…公衆電話からの発信で
一通の電話を受け取った。

(公衆電話から…? 一体誰からだろう…?)

 一瞬、訝しげに思ったが、携帯電話を一人一台持つのが当たり前に
なっているご時世でも、時々充電が切れて公衆電話や自宅電話を使用して…
というケースは少ないが確かに存在している。
 誰からか判らない…という不安は多少なりともあったが、それを押し殺して
克哉が応対していくと…。

「はい、もしもし…佐伯ですが…」

『…お前の大事な人間を守りたかったら、お前の会社の付近にある大きな
公園の中心の街灯の下まで一人で来い…』

「えっ…?」

 全く予想もしていなかった事をいきなり切り出されて克哉の頭は
真っ白になりかけた。
 だが相手は押し殺した声で…こちらの都合など一切構わずに
こう告げていった。

『…決してこの事は誰かに言うな。言った場合はお前の大事な人間の
無事は保証しない…良いな、必ず一人で来い…』

「ちょっと待て…! お前は、一体…!」

 此処が職場である事も忘れて、克哉は声を張り上げていった。
 大事な人間、という言い回しをされたら克哉にとって該当するのは
恋人である本多しかいない。
 今日、彼は外回りで遅くなると言っていた。
 だから今、営業八課のオフィス内にその姿は見えない。
 其れが余計に克哉の不安を煽っていく。

『俺が誰かなど、どうでも良い事だ…。良いな、こちらの言った事を
忘れるな。破った場合は保証しないぞ…』

「待って、待ってくれ…! くっ…!」

 そして克哉の叫びも虚しく、無常にも通話は一方的に断ち切られていった。
 胸の中にどす黒い不安が、急速に広がっていくのを感じていった。

(もしかして…本多に何かあったのか…?)

 たった今、電話の主から告げられた言葉が克哉の頭の中で
グルグルと回り始めていく。
 もしかして本多は、今の電話をしてきた相手に拉致でもされて
しまったのだろうか?
 そう考えた途端、克哉はいてもたってもいられなくなった。

(本多…お前に、何かあったらオレは…! オレは…!)

 もうそれしか考えられなくなった。
 頭の中が、本多が無事でいるかどうか…それだけでいっぱいになってしまう。

「佐伯君…一体、どうしたんですか。今…電話で叫んでいたみたいですし、
それに顔色も…」

「あ、片桐さん…す、すみません! ちょっと…今日、早退させて貰って
良いですか? ちょっと大変な事が起こってしまったみたいで…」

「や、やっぱり緊急事態か何かを告げる電話だったんですか?」

「は、はい…そうなんです。それで取り乱してしまって…其れでちょっと
向かわないといけない場所が出来たので…申し訳ないですが…」

「ええ、そういう事情なら構いません。早く行って下さい…」

「はい、ありがとうございます…!」

 克哉は、電話の内容はあくまでぼかして…片桐が言った緊急事態、という
言葉に乗っかって会話を続けていった。
 そう…今の電話の詳細を告げたらきっとパニックになって余計な
心配を煽るだけだし、それに電話の主には『誰にも告げず一人で来い』と
念を押された以上…誰にも言う訳にいかなかった。
 守った処で安全が保証される、という確信はない。
 けれどもし誰かに話したのが脅迫犯にバレたら…どういう事が起こるか
予測出来ない以上…迂闊な事は出来なかった。
 克哉は強烈な不安を抱えながらも大急ぎで自分の机の上を片付けていくと
荷物を纏めて、オフィスを飛びだしていった。
 電話の主から言われた公園には一つしか心当たりがなかった。

―其れはMr.Rと出会って、あの銀縁眼鏡を渡された公園だった

 その事に奇妙な因果を感じていきながら、克哉は全力疾走で公園まで
向かっていく。
 その頃、都内の空は曇天に覆われて灰色に染まり始め…緩やかに雨の気配が
漂い始めていったのだった―

 

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 ※この話はラブプラスを遊んでいて、眼鏡キャラとかでこういうの
やったら面白そうだな…という妄想から生まれています。
 基本、完全にギャグでアホな話なので流せる方だけ宜しくお願いします。
(一話掲載時とはタイトル変更しました)
 
 ラブ眼鏡+   

 
 克哉は渡されたゲーム機の画面を信じられないという様子で
眺めていった。
 何と言うかこんな形式のゲームが流行した…とはどこかで小耳に
挟んだ事はあるが、ポリゴンではなくテレビのように鮮明な画像を
通して、もう一人の自分がしっかりと映し出されている。

「あ、あの…これは一体何なんですか…?」

「ええ、貴方とあの方がいつでも身近にいられるように私がちょっと
戯れで作ったものです。その機械を通して、貴方の無意識下にいる
もう一人の貴方といつでもアクセス出来るようにした物ですよ…。
これで気軽に話したり、コミュニケーションを取ったり出来るようになりますよ…」

「あの~本当に、そんな事が出来るんですか…?」

「ええ、私には朝飯前ですよ(ニッコリ)」

「そ、そうなんですか…(相変わらず謎の多い人だ…)」

 まるで当たり前の事のようにあっさりと言い切られてしまったので、克哉と
してもそれ以上何もいう事は出来なかった。
 見た目も巷で流行っているゲーム機と似た感じで作られているので
感心しながら克哉は外観を眺めていった。

『…おい、いつまでもその男とばかり話していないで少しは俺の方を
見たらどうなんだ…?』

「うわ! またしゃべった! 一体これ、どういう仕組みなんだ…?」

『そんな瑣末な事はどうでも良いだろう。これで今まで殆ど会話したり、
この男の気まぐれがなかったら接点を持つ事が出来なかった俺達が
気軽に話したり、色々と愉しい事をするチャンスが増えた訳だしな…。
もう少しぐらい喜んだらどうなんだ…?』

「あ、ゴメン…その、お前とこうして話せて嬉しくない訳じゃないんだけど…
ちょっと、びっくりして展開についていけなかったから…」

 そう、今まで何カ月に一回ぐらいの頻度でしかもう一人の自分に
会えなかった。
 ついでに言うとザクロを食べた時ぐらいしか会えず、その逢瀬の後は
大抵頭の中がぼやけて記憶が曖昧になる事が殆どだったので
こんな形でやりとり出来るようになったのがとても信じられないのだ。

(しかし確かこういう仕組みのゲームってどっかで見たような…。しかもこの
ゲーム機械だって、一番古い型のDSそっくりだし…。折りたたみ式だし、
もしかしたら下の画面をタッチすると反応するのかな…?)

 最初はびっくりしたけれど、徐々にこの状況に順応していくと…ふいに
そんな疑問が湧き上がってくる。
 眼鏡は今、顔から首の部分が上の画面に。
 首から胸元に掛けてが下の画面に表示されている形になっている。
 恐る恐る、下画面のタッチパネルと思われる部分にそっと手を伸ばし
指先をスライドさせていくと、ビクン…と眼鏡が震えていった。

『っ! 貴様…俺に断りもなく勝手に触れるな!』

「うわっ! ゴメン」

「おやおや克哉さん、それは少し先走り過ぎですよ。まだ説明は全て
終わっていませんのに…。まあ、簡単に説明すればそれは上下の画面とも
触れれば反応が出る仕様になっております。
 今は私が目の前にいるので控えて頂きたいのですが…その画面に表示
されているもう一人の貴方に触れたり、言葉のやりとりを交わして…
気分を最高にまで高めて下されば…その夜、もう一人の貴方様が一晩
ずっといてくれる事でしょう…」

「はぁっ…?」

 それではまるっきりゲームの攻略みたいな感じではないか。
 思いっきりそう考えた瞬間、まるでこちらの心を読んだかのように
答えが返ってくる。

「ええ、そうですよ…これはいわば、もう一人の貴方様をご自分の手で
口説き落とす為のゲームです。期限は三カ月だけ差し上げましょう。
その間に相手を口説き落とす事が出来てずっと一緒にいたいと
思わせるようになったら貴方の勝ち。ですが…それに至らなかった場合は…」

「ど、どうなるんですか…?」

「さあ、どういたしましょうかね…。こんな千載一遇のチャンスを与えても
ダメだった場合はそれ以上の救済処置を与えて差し上げるのは
どうかなって思いますし…」

(そ、それって…成功しなかった場合はもしかして二度と、
もう一人の自分と会えない、とか…?)

 ヒヤリ、としたものが背中を伝っていくのを感じていく。
 
『グダグダと説明は良い。お前はともかく…俺をその気にさせる事を
考えろ。まあ…一応、この画面上では俺は全部は脱げない仕様に
なっているから安心しろ。その状態でお前が俺に上手く接触出来れば
実際に抱きあったり、触れ合ったりする機会もその日一晩だけだが
可能になる。お前が俺に逢いたいならせいぜい頑張るんだな…おっと』

「え、どうしたの…<俺>!」

『そろそろこの機械の充電が切れそうな感じだ。さっさとそいつから
コードを受け取って充電してくれ』

「えええええっ! ちょっと待ってて!」

「はい、克哉さん…こちらを受け取り下さい。では、説明も大体
あちらの方から受けたみたいですから、これで退散しますね」

「えっ、あ…ちょっと待って! っていうか何ですかこれは!
何だか変なものがついていますよ! って…もういないし!」

 電源コード自体の形状は普通だったけど、そのコードの先端部分付近に
どうもエネ○グラに良く似たアクセサリーのようなものが付けられていて
克哉はついツッコミの声を漏らしていった。
 あ、あまりに悪趣味過ぎる! と思ったが充電を切らしたらどうなるか
判らなかったので…とりあえずコードを機械と電気プラグに差していくと…。

『ああ、生き返るな…悪くない感覚だ…』

「…うん、それなら良かったね…」

 と当たり触りのない事を言いながら、ポツリと呟いていった。
 しかしドっと疲れが襲ってきたのも事実だった。

(うう、一体これからどうしていけば良いんだ…!)

 心の中で嘆いていきながら、こうして克哉の眼鏡を攻略する為の
受難の日々がいきなり始まっていったのだった―
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

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 克哉がどちらを選ぶか、決断した事によって…夢の世界は崩壊していく。
 罪の記憶を忘れる事によって、一時の癒しを与えてくれていた場所が…
真っ白く、眩いばかりの光に満たされてゆっくりと消えていった。
 眼鏡はとっさに克哉の身体を必死になって抱き締めた。
 克哉もまた…其れに応えていく。
 そして…抱きあった状態のまま、足場すら消えて…二人の意識は…
ゆっくりと光に飲み込まれて、一時…輪郭を失っていった。

―そして…克哉は、発端となる出来ごとの記憶を想い浮かべていく

 二人はそうして…束の間、一つに意識が重なりあい…一連の出来事の
記憶を辿っていく事となった―

                      *

 本多と松浦が、毎週のように金曜日の夜に飲みに行くようになって
三カ月余りが経過した時、克哉は耐えきれずに其れを知っていながら
本多を呼びだした。
 すでにその頃には金曜日に松浦と飲みに行く事は当たり前になっていて、
その日は…克哉に対して、一言断りもしなかった。
 其れがどうしても許せなくて、衝動的に行動してしまった。
 そして二人が良く使用している居酒屋が立ち並んでいる歓楽街に
近い場所にある公園に先に訪れて、悶々としながら待っていた。
 
(…早く来てくれよ。オレに行って来る、と一言言ってくれている内はまだ…
我慢する事が出来たけど、松浦と過ごすのが当たり前になってきているのだけは…
どうしても、許せないんだ…。凄くみっともないって判っているけど…)

 時刻は20時を少し過ぎた辺り。
 いつも通りの流れなら、予約しているのは19時からで…まだ、始まってから
一時間弱と言った処だ。
 こんな時間帯に本多を呼びだすのはマナー違反だって判っている。
 みっともない嫉妬に駆られた行動だっていう自覚はある。
 けれど…松浦と再会してから、金曜日の夜から日曜日の夜まではずっと
一緒に過ごす事は出来なくなって。
 日曜日だって、バレーボールの練習や試合が入れば…克哉と過ごすよりも
本多はそっちに行ってしまう事が徐々に多くなり、耐える事が出来なくなった。
 本多の気持ちが、自分以外のものに注がれている事が許せなくなり。
 そのキッカケとなった松浦に対しても、敵意のようなものが日増しに
強まっていく。

「何、やっているんだろ…オレ…」

 待っている間、ふと正気になって克哉はそう呟いていくのと同時に…
本多の声が聞こえた。

「克哉! 其処にいたのか!」

「…本多、良かった…」

 ようやく本多が来てくれた事で、胸の中のどす黒い気持ちが収まって…
安堵を覚える事が出来た。
 そして、脇目も振らずにこちらからも駆け寄って…強い力でしがみついていく。

「…来て、くれた…。本当に、良かった…」

「お、おい…克哉…一体、どうしたんだ…? 何か、あったのか…・」

「…急に、呼びだしてゴメン。今日だって…いつものように松浦と一緒に飲んでいるのは
薄々知っていたけれど。今夜の事は、オレに一言の断りもなく…当たり前の顔をして
飲みに行こうとしていただろ? それが凄くモヤモヤしちゃって…耐えられなくなっちゃった…。
本当に、ゴメンな…」

「えっ…?」

 克哉が弱々しい表情をしながら謝っていくと、本多は面喰ったような
顔になっていった。
 そんな事、今まで考えもしなかったというのが見て取れた。
 其れが余計に…克哉の心を暗いもにに変えていく。
 その顔を見られたくなくて、とっさに…街灯の下に煌々と照らされているにも
関わらず、本多に深い口づけをして…強い力でしがみついてしまった。

「…ゴメン、これがみっともないヤキモチだって判っているんだ…。
けど、松浦と再会してから…本多、オレと一緒に過ごしてくれる時間が激減したし、
話す内容もバレーボールと松浦と、今のチームの仲間たちの事ばかりで…
そういったものに、本多を取られてしまうような気がして…寂しかったんだ。
其れで衝動的にこんな真似してしまった。…こんな情けない奴で、
本当に…ゴメン、な…」

 薄らと涙を浮かべていきながら、切々と胸の内を語っていく。
 今まで物判りの良い顔をして、何も文句を言わないようにしていた。
 バレーボールの事も仲間の事も、松浦の事も本多にとってはとても大切なものだと
判っていたから…それらに時間を取られる事になっても仕方ないんだって、
納得しようとしていた。
 けれど…日曜日を試合や練習で取られてしまう事は我慢できる。
 だが、自分以外の男と毎週のように二人で会って飲む事だけは…もう
我慢できそうになかった。
 男同士の恋愛が特殊なものだって判っている。
 こんな邪推をしている自分がおかしいんじゃないかって思う部分もある。
 けれど三カ月、ずっと我慢して…克哉はもう限界を迎えていた。
 だから泣きながら、急に呼びだしてしまった事を謝っていった。

「…こっちこそ、ゴメンな。俺が宏明と過ごしたり…バレーに熱中する事で
克哉をそんな風に傷ついていたなんて…今まで、気づいてなかったよ…」

「ううん、本多が謝る事じゃない。オレが…悪いんだよ…」

 そうしてお互いに謝りあっていきながら、抱きあっていく。
 街灯に自分達の姿がくっきりと映し出されている事に気づかぬまま…
二人の世界を作り出して、周りのものは見えなくなっていった。
 其れが…大きな災厄を後に招く結果になるとは気づかずに…。

「いや、俺はお前の恋人だからな…。可愛い恋人をこんな風に寂しい思いを
させちまったのは反省しないといけないな…。今夜、これから時間あるか?」

「うん、あるよ…。だってオレにとっては…本多よりも優先する事なんて
ないからさ…」

「全く、可愛い事を言うな。判ったよ…。それじゃあ今から俺の家に来いよ…。
久しぶりに金曜日の夜を一緒に過ごそうぜ…」

「うん、ありがとう…」

 そうしてようやく、克哉は心からの笑顔を浮かべていき…本多はそんな
恋人の肩をしっかりと抱きしめながら、自宅の方に向かっていた。
 この時、二人はお互いしか見えない状態になっていた。
 だから…物陰に、本多を全力で追いかけていた松浦がいた事も…
自分達のこの日のやりとりを一部始終見ていた事も全然気付かなかった。

 そしてこの日以降、本多は松浦と二人で一緒に飲みに行く事もなく…
日曜日も、克哉と過ごす事を優先するようになった。
 水面下で、大きな流れが生まれていた事に気づかず…克哉はただ、
本多の目がまた自分だけを映すようになった事に満足して、
それ以外の事から目を逸らそうとしていた。

―そしてその日から一カ月後、あの大事件が起こったのだった―
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
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―オレは、お前を選ぶよ…。もう、本多の手を取る資格はないから…

 泣きそうな顔をしながら、克哉がそう告げていく。
 うっすらと透明な涙が瞳に浮かんで、宝石のように輝いていた。
 克哉が縋るように、眼鏡の方に指先を伸ばしていく。
 それをそっと握っていってやりながら…続きの言葉に耳を傾けていった。

「そう、か…」

 眼鏡は安堵を覚えつつも、克哉の言い回しに複雑な気持ちも
同時に抱いていた。
 資格がない、という言葉に…強い引っかかりを覚えていく。

(もしかして…あいつは、あの日の事をはっきりと思い出してしまったのか…?)

 そう危惧した瞬間、その疑問を肯定する言葉が克哉の口から零れていった。

「だって…本多はあんなに、松浦と仲直りが出来た事を喜んでいたのに…
オレの嫉妬から出た行動のせいで、全てが壊れてしまって…二年以上も
昏睡状態にさせてしまったんだよ? そんなオレが…どうして、あいつの
傍にいられるんだよ…」

「…そうか、お前は其処まで思い出したのか…」

「うん、本多もMr.Rも繰り返し…その事は忘れろ、と言ってくれて
いたけれど…其れは、オレが犯してしまった過ちだから。
そしてしまいにはその罪悪感に耐えられなくて…消えてしまいたくなって、
死にたくなって、其れに本多を巻きこもうとした…。そんなオレに、
どうしてそれ以上…傍にいたいと言う資格があるんだよ…」

「………」

 克哉は、殆どの記憶を思い出したのだろう。
 そして事の詳細を全て辿れば、自分が原因であの事件が起こった事を…
その事で二年以上、自分を責め続けて心が弱り切っていたからこそ…
耐えきれず、本多を巻き込んで心中しようとするまで…追い詰められてしまった。
 眼鏡は、知っている。
 克哉の内側に存在する彼だからこそ、どれだけ克哉がその事で罪悪感を
抱き続けていたか、苦悩していたかを。
 …だから、土壇場でどちらの件でも自分は介入してしまった。
 こんな面倒な事は沢山だ、と思う気持ちもあったけれど…結局、克哉は
自分にとっては鏡の裏のような存在で。
 
―見てられなくて、放っておけなかった…

 結局、その気持ちが勝って…こんな酔狂な真似さえしてしまったのだ。
 泣いてベッドの上に横たわっている克哉を上から覆いかぶさるようにして
抱き締めていってやる。
 そして、静かな声でこう告げていった。
 
「もう良い…それ以上、自分を責めるな。俺だけは…お前がどれだけその一件で
苦しんでいたか、自分を責め続けていたか知っているから…」

「ふっ…うううっ…」

 けれど、その労わりの言葉を聞くと同時に…克哉の双眸からは更に
大量の涙が、堰を切ったように溢れてくる。
 ずっと胸の底に抱えていた罪悪感や、痛みを洗い流して浄化する為に…
ただ、子供のように克哉は泣きじゃくっていった。

「ゴメン、今は…泣かせてくれよ…。涙が、止まらないんだ…」

「…仕方ない。もう少し我慢しておいてやる…」

「…うん、ありがとう…」

 そうして眼鏡の胸に額を擦りつけていきながら、礼を告げて…
嗚咽を殺して、泣き続ける。
 きっと…こうやって誰かに頼って甘える事が出来れば、克哉は心中未遂の方の
事件は起こさなかったのかも知れない。
 けれど元々、人付き合いが苦手な方の克哉には…そうやって甘えられる存在は
本多以外に存在せず、その唯一の相手が二年間も植物人間状態になってしまって
いた事で…追い詰められてしまったのだ。
 労わるように、克哉の身体をベッドから上半身だけ起こさせるようにして…
ポンポンと背中を叩いていってやる。

「…この三カ月で、お前のお守はもう慣れた…」

「そう、だね…。オレはずっと…記憶を失っている間…お前に甘えてばかりだった…。
けど、その時間があったから…オレは、救われたんだ…。本当にありがとう…」

 そうやりとりをしている間に、世界が淡く輝き始めていく。 
 少しずつ、周りの景色が輪郭を失い…光に溶けていくようだった。

(夢の終わりを迎えているんだな…)

 眼鏡は、そう悟った。
 恐らく克哉の方も…其れを感じている事だろう。
 だが、最後にこれだけは聞いておかなければならなかった。
 本多の方を自分は選ぶ資格がない…という理由だけで選ばれたのは
どうしても納得いかなかったから。
 この不思議な世界が終る間際、眼鏡はそっと問いかけていく。

「…最後に一つ聞く。お前は、俺の事をどう思っているんだ…?」

「…大好き、だよ…。お前を選んだのは、それが一番の理由…」

「…判った、なら良い…」

 そうしてこのゆりかごのような世界が終る直前、光に包まれながら
二人はそっと口づけを交わし合っていく。
 そして…相手を見失わない為に、お互いに強く抱きあいながら…
夢の世界は静かに終焉を迎えていったのだった―

 ※このネタは香坂がラブプラスを実際に遊んだ経験があるのと、
現在ジャンプで思いっきり銀魂で、それをパロった内容の連載を
やっているのに影響受けて、頭の中で思い浮かんだ非常に
アホな話です。
 ギャグ寄りなので、それを覚悟の上でお読みください。
 そしてまた例によって、克克です。
 …お前、他のCPももうちょい書けよと自分でツッコミ
入れておきます、はい…。
(どれだけ偏っているんだって話ですが…)

 オレには秘密の恋人がいる。
 けれどそれは…他の人間に紹介する事も、公にすることも出来なくて。
 携帯で電話する事もメールもする事もなく。
 ついでに言えば、相手といつ会えるかも保証もない関係で。
 そんな関係が気がつけば始まって…一年余りが経過していた。

―そろそろ、疲れて来たな…

 ちょっと相手を待つだけの関係に疲れて来た頃。
 唐突に、その日々は終止符を打たれて…とんでもない展開が
舞い込んで来たのだった―

                    *

  いつものように仕事が終わると、電気の消えた自分の部屋に戻っていく。
 世の中には、この瞬間が寂しく感じられるので…出掛けた時はずっと
部屋の電気を点けたままにしておく人もいると聞いた事があるが…
今の克哉なら、その心境は何となく理解出来た。

(…何か、今夜はいつもにも増して…センチメンタルな感じだな…オレ…)

 そう自嘲していきながら明かりを点けて、背広のスーツを脱いで…
ハンガーに吊るし始めていく。
 その瞬間、唐突に玄関の方から声が聞こえていった。

「こんばんは~佐伯克哉さんはいらっしゃいますか?」

「ええっ?」

 明るい口調で声を掛けられて、完全に克哉は面喰っていった。
 しかもその声の主が、予想外の人物のものだったせいで余計だ。
 慌ててドタドタと音を立てて玄関の方に向かっていけば…其処には
漆黒の独特の衣装を身にまとった実に妖しい長い金髪の男性がいた。
 今更言うまでもない、謎多き男性…Mr.Rその人だった。

「ど、どうして貴方がオレの家に現れているんですかー!」

「おやおや…久しぶりにこうして貴方と顔を合わせたというのに…実につれない
反応ですね。あの方になかなか会えない…その寂しさを抱えて胸を痛めている
貴方の心をいやす為に…とても良い物を今夜は持ってきたと言いますのに…」

「いや、その…貴方みたいな妖しい人がいきなり現れてびっくりしないと
いうのがそもそも有り得ないですから…。んで、今度は何を持って来たというんですか?
 あの妖しい眼鏡をまた持って来たというのならお断りしますよ? 
 今のオレには…自分を大きく変えるようなアイテムなんて必要と
していないんですから…」

「けど、もう一人の御自分そのものは…求めていらっしゃるんでしょう?」

「っ…!」

 不意におどけた口調から、図星を突く発言を言われて克哉はとっさに
言葉に詰まっていく。

「ふふ、相変わらず正直な方ですね…。克哉さんのそういう処は好感が
持てますよ…」

「…そんな、事は…」

「ダメですよ…こういう時は素直になられないと…。なかなかあの方に会えない
現実に寂しさを覚えてしまっているのでしょう? そんな貴方の孤独を埋めるために
巷に流行っているというゲームを元に、ちょっとした良い物を用意したんですから…」

「良い物って一体…何ですか?」

「これですよ…」

 そういって、男はエメラルドグリーン色の機械を取り出していった。
 何となくデザインが一昔前に出たニンテン〇ーDSに良く似ているが…
微妙に細部が異なっていて、妙にパチ物臭さがにじみ出ていた。

「…これってゲーム機ですか? 何でこんな物を貴方が…?」

「ちょっとしたイタズラ心という奴ですよ。ちょっと開いて見て下さい。
きっと貴方が気に入って下さいますから…」

「わ、判りました…」

 正直、嫌な予感がしなかったと言えばウソになる。
 けれどこうしてこの男性がわざわざ持って来た代物がどのようなものなのか
好奇心が湧いたのもまた事実だった。
 恐る恐る二つ折り構造になっているゲーム機を開いていくと…其処には
とんでもない物が表示されていった。

「…やっと開いたか、待ちわびたぞ…」

「ええええええっ…!」

 其処には思いっきり、もう一人の自分の顔がリアルに表示され…
音声までしっかりついていた。
 
 そう…滅多に会えない愛しい男は、ゲーム機という媒体を通して…
突然、身近な存在になろうとしていたのだった―
 
 

 
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
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 本多と会話をした後、眼鏡は真っすぐに自分達が生活していた
建物の方に向かっていった。
 迷いない足取りで、自分達が昨晩抱き合ったベッドが置かれている
部屋の方まで向かっていく。
 そして様子を伺うようにドアをそっと開いていくと…淡い光が窓から差し込む中、
克哉は白いシーツの上に穏やかな顔をして眠っていた。

(まるでおとぎ話の中の眠り姫みたいだな…。こいつはれっきとした男だが…)

 フっと微笑みながら、眠る克哉の元に静かに歩み寄る。
 その瞬間、窓の外の空が不安定に揺れていった。

(夢の終焉は近い…か…)

 今までこの世界の空はプリズムやオーロラのように様々な色合いを
内包していたが…基本的に安定して穏やかな感じだった。
 それに大きな変化が訪れた事と、克哉の記憶がよみがえった事は
恐らく連動している。
 そして…克哉がどちらの手を取る事を選択するのか、畏れる気持ちはあった。
 だが、決断する時はすでに迫っているのだと察して…深呼吸を何度かした後、
緩やかに克哉の肩を掴んで軽く揺すりあげていった。

「おい…起きろ…『オレ』…」

 この世界に来てから、こういう風に克哉を呼ぶ事はしなかった。
 記憶を失っている状態の時に、お互いを『俺』『オレ』と呼び合う事は本多に
関係する記憶を呼び覚ますキッカケになる可能性があったから。
 けれど今は、克哉は殆どの記憶を思い出してしまった以上…これ以上、
隠す為の工作の類はする必要はなかった。
 その事実に多少、複雑な気持ちを抱きながら克哉の覚醒を促していった。

「…ん…」

「…起きたか…?」

「…うん…」

 甘えるように、はにかむように克哉が笑う。
 その表情に愛しさを感じて、眼鏡はそっと髪と頬を撫ぜて…目元や瞼に
柔らかく口づけていく。
 以前の自分だったら、克哉にこんな甘ったるい事をする事は考えられなかった。
 数カ月間ここで二人きりで暮らしている間に…きっと、大きな心境の変化が
知らない内に訪れていたのだろう。
 そうしていると…克哉の方もまた、こちらの首元に向かって両腕を伸ばして
そっと抱きついてくる。
 ほんのりと、相手の匂いがフワリ…と鼻腔を突いていく。
 口を開く前に、ほんの少しその触れ合う時間を惜しむように二人は無言の
まま…過ごしていく。

(…この時を、覚えておこう…。これがこいつと過ごす最後の思い出になったとしても…
こいつが選んだ事なら、仕方がない…)

 先程、対話した本多は覚悟を決めているようだった。
 恋敵でもある彼がそのように腹を括っているのなら…自分もまた、
素直に克哉の決断の結果を受け入れようと思った。
 その事に強烈な不安を覚えているのは事実だ。
 けれど…これは、代償が存在する代わりに未来が開ける道でもある。
 克哉が、眼鏡か本多かを選び…選ばれなかった方とは、『二度と会えない』と
いう代価が存在するからこそ…それを糧に、本多を目覚めさせる事が出来る。
 それだけが、唯一の救いでもあった。
 あのまま…きっと、何もしないままでいたら本多の覚醒は…十年先になっても
保証される事はなかったのだから…。
 そう覚悟した瞬間、この世界に来る直前の…あの運命の日の記憶が
眼鏡の中に蘇っていった。

―オレと一緒に死んでよ…! もう、嫌だよ…待てないよ…辛くて、もう…
オレは、駄目だよ…!

 大きな過ちを犯そうとしたあの日の克哉の声が、脳裏に蘇っていく。
 あの日、本多が眠る病室に足を踏み入れた時に…克哉は、松浦が
眠っている本多に口づけている場面を目撃してしまった。
 そして、松浦と口論になり…その後、克哉一人が病室に残った時に
あの出来ごとは起こった。
 果物ナイフで、克哉は衝動的に己の手首を大きく切り裂いた。
 ボロボロと泣きながら…今まで必死に堪えて何かが堰を切って溢れて
来たように叫び声を挙げていた。
 今まで抑え込んでいた不安や、ドロドロした感情が強烈な嫉妬をキッカケに
溢れだし、克哉は暫し正気を失った。
 自分の手首を切った後、そのナイフで本多の頸動脈を切ろうとした。
 泣きながら、もうこの膠着状態から抜け出す為に…『お互いの死』で持って
ケリをつけようとした。
 眠っている本多に、他の男が…自分の見てない内に、口づける事など
許す事が出来なかったから。
 あの時の克哉の心には、本多しかいなかった。
 一途に愛しているからこそ、起こった悲劇だった。

『止めろ…!』

 そして眼鏡は、その直前で叫んだ。
 その時…本多が意識を失った日のように…眼鏡は、現実に姿を現した。
 克哉と対峙したのは、実に二年ぶりの事で。
 其れにより、克哉は凶刃を止めて…泣き腫らした顔でこちらを見ていた。
 しばしの睨みあいの後…唐突に、Mr.Rの姿が現れて…克哉は唐突に
昏睡状態になり、そして…この世界を紡ぎ、一時忘れさせる事で克哉の心を
癒す事を提案されたのだ。
 そして、こちらにその為の協力をしてくれと言われて…頷いた事が、
全てのキッカケだった。

(だが…その夢も、もう終わる…)

 克哉が身体を軽く起こしていけば、背中に腕を回してギュっと
こちらからも抱き締めていった。
 そして…ついに、この言葉を発していく。

「…お前は、どちらの手を取るか…決まったのか…」

「うん…決まったよ…」

 切なそうに、克哉は答える。
 其れを聞いて…眼鏡もまた、覚悟を決めていった。

―俺もまた、どんな結果になっても受け入れよう…

 どれだけ辛くても寂しくても、愛する者に選択肢を与える事。
 自分の思いで、相手を縛らない事。
 其れはとてつもない痛みを伴う事であるけれど…相手に意思を委ねる事もまた、
愛なのだ。
 本多がそうしたのなら…自分も其れに習おう。
 そう覚悟を決めて…ギュっと目を閉じていく。

「なら教えてくれ…。お前が選んだのはどちらの手なのかを…」

「うん…それは…」

 そうして、克哉は今にも泣きそうな顔を浮かべていきながら…選んだ方の
名前を静かに告げていったのだった―
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

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  本多の意識と重なり合った事で、暫し眼鏡の方もまた…この世界での
輪郭を失っていく。
 夢の中を彷徨っているような気分になりながら、幾つかの場面を断片的に
見る形になっていった。
  この不思議な世界で本多と顔を合わせ、眼鏡は今まで知らなかった…
昏睡状態になってからの彼の記憶を垣間見る形となっていた。
 それはバラバラのピースだったが、本多がどうして…克哉に選択肢を与える
決断をしたのか、それを察する事が出来る材料に充分になりえる内容だった。
 本多が倒れた当初は、多くの人間が見舞いの為に足を運んだ。
 けれど長期化してから、それでも頻繁に訪れたのは本多の家族達と…
克哉と、それと松浦だけになっていった。

(これが、お前が…あいつを手放す結果になっても構わないという…理由か…)

 その記憶を垣間見て、眼鏡はそっと目を伏せていった。
 病室に仕事帰りに訪れる克哉も、そして松浦も…眠っている本多の頬に
そっと触れ、帰り際に口づけを毎回…落とすようになっていた。
 克哉はいつだって苦しそうに、おとぎ話の中に出てくるお姫様のように…
愛情を込めて口づける事で、いつか恋人が目覚めてくれるのを祈っているようだった。
 そして松浦の方は…一見、無表情に。
 けれど自分の犯した罪の重さに耐えかねて、切ない表情を浮かべていた。
 二人の人間が、交互に口づけてくるのに対して…本多は何も出来ない事を
心から歯がゆく思っているようだった。
 同時に、少しずつ…克哉に対しても、松浦に対しても案じる気持ちが募っていく。

―それが、理由だ…。俺は、克哉の恋人なのに…宏明に対して、憎む事が
出来なくなってしまった…。それ処か、情まで湧き始めてしまっている。
あいつを一途に見れない癖に…縛り付ける資格なんて、俺にはないだろう…?

「…お前は、松浦を好きになったのか…?」

―判らねぇ…。俺は男をそんな風に恋愛対象として見たのは…そもそも克哉が
初めてだった訳だし。キスしたいとか、セックスしたいとかそういう欲望を覚えたのも
克哉だけだ。だから…宏明の事を、恋愛対象として好きなのかどうかは判らないが…
気には掛けているのは事実だ…

「なら、気にしなければ良いだろう…。お前がはっきりと、松浦の方を愛したというなら
遠慮なく奪うが…まだ、あいつの事を愛しているんだろう…?」

―ああ、愛しているよ。世界中で誰よりもな…

「そう、か…」

 その言葉を聞き、眼鏡はまた惑う心が生まれていくのを感じた。
 いっそ、この男が救いようのない悪人なら良かったのにと心底思った。
 決別する場合、相手がロクでもない人間の方が変な未練を抱く事なく
すっぱりと断ち切れるものだからだ。
 良い奴だから、善人だからこそ…簡単に断ち切る訳にいかなくなる。

(お前が良い奴だからこそ…俺も、あいつも苦しまずにはいられない…。
そういう意味では、罪な男だなお前は…)

 心の中でそう思い浮かべると、それでも伝わってしまったのか…何となく
本多が照れくさそうな様子になっているのを感じていった。
 水中や大気の中に、自分という人間が溶けているような不思議な
感覚を味わいながら…彼らの奇妙な会話は続いていく。

―けどな、愛しているからこそ…俺はあいつに笑っていて欲しいという気持ちを
強く感じているんだ…。俺は、あのままじゃ…あいつを抱きしめてやる事も、
落ちこんだ時に胸を貸してやる事も…助けになってやる事も出来ずに
苦しめるだけだったから…。病室に来るたびに、苦しそうな顔をさせちまって。
俺が目覚める事を祈って、けど病室に訪れる度に現実を突きつけられて
絶望させちまって…。その繰り返しに、俺も少しずつ心を痛めていったからな…

「………そう、か…」

 本多が感じている痛みは本当の意味で理解してやる事は出来ない。
 自分がなった事がない事に対しては、あくまで想像して推測する事しか
出来ないからだ。
 けれど、笑っていて欲しい存在が自分の為に苦しみ…傷ついている姿を
見るのが忍びない。
 本多はそう考えて、決断した事だけは確かに伝わってきた。

(お前は本当に…お人好しだな…)

 本多という人間の人の良さを、佐伯克哉は大学時代からずっと近くにいた分だけ
良く知っていた。
 克哉が彼からの猛烈アタックに押され、交際するに至ったのも…その優しさと
懐の広さが要因になっているのだろう。
 自分にはきっと、出来ない。
 眼鏡はこの世界に来た時に、もし克哉がもう一つの道を選んだ時は…という
其れ相応の覚悟はしていたつもりだった。
 けれど実際にその可能性が間近になってくると、尻ごみして恐れているのに…
本多の方は達観しているようで、其れが無性に腹立たしく…嫉妬すら覚えざるえなかった。

―あいつが、笑ってくれているのが一番だからな…

 そういって、本多が笑っているのを感じていった。
 其れはきっと見る事が出来たら、切ないものが滲んでいるだろうなと
薄々察した。
 だから眼鏡もまた、こう答えていった。

『其れは俺も同じ考えだ…』

 そう口にした途端、本多は破顔したようだった。
 ようやく、朗らかな太陽のような笑顔を浮かべているような気配を感じた。

『嗚呼、だから良いんだ…。あいつが笑っていてくれるならどんな結末を
迎えても、な…』

 其れは一人の男の切ないまでの覚悟だった。
 眼鏡はしっかりとその想いを胸に刻んでいくと…緩やかに現実に戻っていく。
 気がつけば、元の草原で一人…佇む形になっていた。

「…今のは、白昼夢なのか…? それとも…」

 けれど、確かに本多の想いのようなものを強く感じた。
 いきなり現実に引き戻された事に対して…違和感はあったけれど、
何かを決意したような表情を眼鏡は浮かべていく。

「…いつまでもウダウダ考えていても仕方ない。…もうじき、この世界は終わる。
それなら…少しでもマシな運命を引き寄せるしかないな…」

 恋敵の覚悟のようなものを感じ取って、眼鏡もまた腹を括っていく。
 そして…眼鏡は、迷いない足取りで克哉の元へと真っすぐに向かい
始めていったのだった―

 
※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

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 眼鏡にはどうして今、自分の目の前に本多の姿が存在しているのか
理由が判らなかった。
 けれど不思議な色合いを帯びた空の下に立っている人物は紛れもなく…
本多の姿だった。
 だが其れはどこか透けていて、ホログラフのようにすら見えた。

「どうして、お前が此処にいるんだ…?」

 共学を隠せない様子で眼鏡が呟いていくと、本多は…どこか弱々しい笑みを
浮かべていった。
 其れに強烈な違和感を覚えざるを得なかった。

(コイツは…こんな顔を浮かべる男だったか…?)

 眼鏡の中にある本多という男の人物像は、豪放磊落と形容するに相応しかった。
 いつだって慣れ慣れしくて、豪快で…例えていうなら、太陽や大地などどっしりと
構えていたり…力強い輝きを放つものがぴったりくるような、そういう性格をしていた。
 だから…こんな顔は、この男には似合わない。
 そう感じながら眼鏡は本多と対峙していく。

「何か、答えたらどうだ…?」

 眼鏡は真っすぐに見つめながら問いかけていく。
 本多はそれに応えるように、口を開いていった。

―克哉を、宜しく頼む…

「っ!」

 その言葉を聞いた途端、眼鏡はカっとなった。

「…お前は本当に、それで良いのか…?」

―ああ…

 ただそれだけ、短く本多は答えて頷いていった。
 見ているだけでこっちすら胸が切なくなりそうな顔を浮かべていた。

―これ以上、俺を待ち続けて…あんなに苦しそうにしているあいつの姿を
見ていたくないからな…。俺にはもう、あいつに何もしてやれない…。
温かい言葉を掛ける事もこの腕に抱く事も…このバカげた賭けに乗らない限りは
俺には二度と出来ない事だったんだからな…

「馬鹿げた賭け、か…そうだな…。選ばれなかった方は二度とあいつに会う事は
出来なくなる…か。確かに、馬鹿げた賭けだな…。けど、あの得体の知れない男の
申し出を受けない限りは…お前は、いつ目覚める事になるか判らないままだった。
それが五年先か、十年先か…それとも一生目覚める事もないまま生き続ける事に
なるか誰にも判らないからな…」

―俺は、家族にも克哉にも…宏明にも、生きている事でそんなに負担掛けているなら
いっそ死にたいとすら思うようになっていたぜ…。けど、頑丈なせいで生き延びちまって…
そのまま死ぬ自由すら与えられないまま、二年が過ぎちまった…。本当に、
歯がゆいったらなかったぜ…

「やはりお前に微かな意識は、存在していたんだな…」

―ああ、ずっと心は存在していたぜ。うっすらとだが俺が眠っている間に何が起こって
いたか…あの病室であった範囲では、把握している…。けど、俺にはそれを他の人間に
伝える術はずっと存在していなかった…。指の一本すら、動かす自由を与えられないまま…
俺はただ、生きていただけだったよ…

 言葉を交わせば交わすだけ、本多は苦しそうだった。
 けれど同時に…恨みごとでも愚痴でも、本心を語る事が出来る自由が与えられた事に
対しての強烈な喜びも覚えているのだろう。
 しゃべることも食べる事も排泄する事も身体を動かす事も…自分の意思では
する事が出来ず、生かされ続けている事は肉体という檻に囚われているに等しい。
 
―正直、俺の恋人だった克哉にこれから先…二度と会えなくなるっていうのは辛いぜ…。
けど、俺はあいつに自由になって欲しいんだ…。俺の事を忘れている間だけでも笑顔を
取り戻して、他に愛する人間が出来たなら…幸せになって欲しい…。
俺の元に縛り付ける事で、あんなに辛そうな姿を見せ続ける事になるなら…その方が
ずっと良いからな…

「…本当に、後悔しないのか…?」

―ああ、構わない。それであいつが笑ってくれるなら…其れで、良い…

 そうして、何処か悲しそうに本多は笑った。
 その顔を見て、一層眼鏡は…胸が締め付けられる。
 この男がもっと嫌な奴なら良かったのに。
 そうしたらきっと、克哉を奪う事に何の痛みも感じずに済んだ。
 けれどこの男はどこまでも恋人を想いながら…断腸の思いで、恋人の幸せを
願い…執着を断ち切ろうとしているのが見て取れて、知らず…眼鏡は苦しくなった。

「判った…なら、遠慮なくあいつをお前から奪わせて貰おう…。せいぜい、
俺を憎むんだな…本多…」

 だからせめて、悪役を買って出る事を選ぼうとした。
 自分を憎むように仕向けようと、そんな言葉を吐いたが…本多はこう続けていった。

―憎む訳ねぇよ。お前だって…俺が愛した、佐伯克哉なんだからな…

 そう最後に告げて、本多の姿は幻のように消えていく。
 その瞬間…眼鏡は悟った。
 きっと今のが、本多と自分が話す最後の機会だったのだと。
 其れを理解した瞬間、眼鏡は泣いた。
 みっともないのが判っていたが、一筋の涙が目から溢れ出てしまっていた。

「バカが…」

 そう呟いた瞬間、世界が何もかもが遠くなっていく。
 今度は、眼鏡の身体の輪郭が透け始めていった。

「…っ!」

 本多の痛みを理解した瞬間、束の間…眼鏡の意識は相手と繋がっていく。
 この世界は、元々佐伯克哉と本多憲二の二人の意識が繋がった形で
形成されて生まれたものだから。
 けれど今、本多の事を想って眼鏡が涙を流した事で…境界線が暫し
曖昧になり、今までは知る事が出来なかった事実がゆっくりと流れ込み
始めていた。
 そして…暫し、夢を見ていく。

―眠っている間の、本多の記憶を垣間見る形で…

※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
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―克哉の元にMr.Rが訪れているのとほぼ同じ頃…眼鏡は
平原を煙草を燻らせながら歩いていた

 相変わらず、様々な色彩を内包する不思議な色の空が続いている。
 けれど吹き抜ける風はどこまでも爽やかで、まるで春風のような
印象すらある。
 どこか暖かで、済みきった風は…心の中まで清浄にしてくれるような
そんな錯覚を覚えながら、眼鏡は深く紫煙を吸い込んでいく。
 風が吹く度に、周囲の草と煙草の煙が大きく宙に舞っていく様子が
目に飛び込んで来た。

(やはり煙草は旨いな…。ほんの少しだけでも、気分が紛れる…)

 ここが夢の世界だと判っていても、煙草の味までここまで忠実に
再現されている事に少しだけ感謝を覚えていった。
 料理の味も、嗜好品の味も何もかもが現実と変わらない。
 その度に此処は現実なのか夢なのか迷った事は何度もあった。

「だが…この空を見る度、やはり現実とは違う事を思い知らされるな…」

 しみじみと、胸の中に溜まった重苦しい気持ちを紫煙と共に吐き出して
いきながら…そう呟いていく。
 この場所に青い海と空が存在していたら。
 きっと自分達はここが夢である認識を失くしてしまっていたように思う。
 現実と強烈に違う部分が存在するからこそ、いつか此処が終わりを迎える
世界だという事実も受け入れられるように思う。

―克哉を助けてやってくれ…

 そして、いつか本多が自分に向かって訴えた言葉が脳裏によみがえっていく。
 あの時の彼は、大量に出血していた事で意識も視界もまともに機能を
していなかったのだろう。
 きっと必死になって頼んだ相手が、最愛の恋人と同じ顔をしている事実を
知ったらあの男はきっとショックを受けるだろう。
 どうしてあの日、突然自分は現実に実体を伴って存在したのか。
 その理由は今でも正直、判らない。
 恐らくMr.Rが気まぐれが何かでも起こしたのが原因だとは思うが…
自分の気持ちすら満足に把握出来ない状況では、あの謎めいた男が何を
考えて自分を実体化させたのかすら良く判らないままだった。

「なあ、オレ…お前は一体、これからどうしたいんだ…?」

 風が吹くと同時に、そう自然と言葉が零れていった。
 これから先の自分の運命は、克哉の決断が大きく左右する。
 自分自身ではなく、他の人間が自分の命運を握っているのだと
思うと正直、あの時の自分は何てトチ狂った決断をしたのだと
自嘲的な想いが湧きあがってくる。
 だが、何かを犠牲にしなければ奇跡は起こらないと…男は告げた。 
 本多は克哉と永遠に決別する事になる運命を。
 そして自分は、克哉が本多の手を取って生きる事を選択した場合は…
もう一人の自分から切り離されて、Mr.Rの監視下の元で生きる事になる。
 
(…正直、そうなった場合はゾっとしないな…。あの悪趣味な男が
まともな環境を俺に与えるかどうか保証の限りではないのだから…)

 悪くない環境を与えますよ、と男はあの時言っていたが…どこまで
まともに受け取って良いのか正直悩んだ。
 しかしもし自分が選ばれたとしても…その場合、本多と克哉は二度と
会えなくなる。
 
―そう考えると胸の中にジワリ…と切ない感情が湧き上がる…

 それを自覚して、眼鏡は苦笑していく。
 恋敵を心配したって、何にもならないのに…そんな事を考えるとは
自分はまだまだ悠長な部分を残しているようだ。
 そうして風に吹かれている間に煙草はすっかり短くなり、先端の火先を
携帯灰皿でもみ消していけば…自分達が今、暮らしている小屋に戻る事に
決めていった。

(そろそろあいつも目を覚ましている可能性があるからな…。一先ず、
話してみよう…。これからどうするつもりなのか、まず意思を聞いてみる
事から始めてみるとするか…)

 ただ相手がどうするかを邪推しても何も生まれはしない。
 会話して、まず克哉の意思がどうなっているかを探らない事には
覚悟を決める事すら出来ないだろう。
 そう考えて…自分達が暮らしている建物の方に戻ろうと踵を返した
瞬間…眼鏡は目を見開いていった。

「なっ…嘘だ、ろ…?」

 其処には予想もつかない存在が立っていた。
 まるで亡霊のように…半透明であったが、其れは間違いなく…。

「本多…どうして、お前が此処に…!」

 そう、其処に…一人の男が立っていた。
 この世界には自分達二人と、Mr.Rしか存在しない筈だった。
 けれど確かに今…眼鏡の目の前には、渦中のもう一人の存在が
立っていた。
 彼と対峙していきながら…眼鏡は言葉を失い、暫し睨み合っていく。

―そして暫くしてから、ゆっくりと本多は口を開き始めて…こちらに
何かを語り始めていったのだった―


 
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 眠っている克哉の枕元に立っていたのはMr.Rだった。
 漆黒の衣装に、長い金髪を波立たせていきながら…深い眠りに浸っている
克哉の事を見つめていた。
 
(貴方には、きっと届かなかったのでしょうね…。本多様の叫びは…)

 男は、何も言葉を発さずに回想していく。
 この世界が生まれた発端となった日の出来事を。

―目覚めて! お願いだよ…! もう、オレはこれ以上待てない…!
お前の声が、聞きたいんだよ…!

 そう切羽詰まった声で叫んだ克哉の声を思い出す。
 あの日、もう克哉の精神は限界にまで達して…凶行に及びそうに
なっていた。
 そのまま放置していれば、この男好みの展開になる可能性が
高かったけれど…けれど、あの日男は介入する事に決めた。
 本多の切実な叫びが、男の心に気まぐれな想いを呼び起こしたから。

―ほんの少しだけ、彼らが救われる可能性を与えても良いと思ったから…

 きっとあの日、克哉を止めなければ…二人はそのまま死んでいただろう。
 思いつめた克哉は、心中する事を考えていたから。
 嫉妬に狂って、目覚めぬ恋人を自分が見ていない間に誰かに触れられ続ける
ぐらいなら…と考えてしまっていたから。
 独占欲によって、どれほどの恋人たちが狂ってしまうのだろう。
 愛しているからこそ、他の人間が自分達の間に入り込んでくるのを
人は容易に許す事が出来なくなる。
 其れは限りなく滑稽にも見える光景。
 けれどその愛という感情によって…人は、男には予想も出来ない行動を
取る事だってある。
 そういうものを見せて貰った時だけ、男は気まぐれに自分の力を使って…
その人間の心がけ次第では救われる道を用意してやろうという気を
起こすのだ。

(そして、あの日の本多様の崇高な想いは…私のその気まぐれを
起こさせるには充分なものだった。その事実を…貴方はまだ、
知らないままなのですね…)

 そういって、サラリと克哉の髪を撫ぜていく。
 慈しみを込めて、優しく。
 そして同時にほんの少しの憐れみの感情を込めていきながら…。

「あれ程までに本多様は眠り続けた後でも、貴方の事を大切に想い続けた。
けれど肉体との連結を断たれてしまったあの人には…心は存在しても、
貴方にもう気持ちを伝える術を失ってしまった…。両思いのままであっても
それはどれほどの悲劇なのでしょうか…」

 歌うように、克哉に真実の断片を告げていく。
 そして男は思い出す。

―克哉をどうか、救ってやってくれ…誰か! 誰か!

 そして本多は願った。
 どんな形でも克哉の心を救って欲しいと。
 自分と克哉の関係が終わってでも良いから、新しい道を歩んで欲しいと…
恋人が幸せになって欲しいと切に願っていた。
 独占欲を越えた、愛が其処に確かに存在していたから。
 だからRは手を貸した。
 当然、それなりの代価は要求したけれど…其れは、克哉がどちらの選択を
選んでも『本多は目覚める』、その奇跡を起こす為に必要なものだったから。

「貴方は…どちらの道を選んでも構わないのです…。貴方がどちらを選んでも、
本多様は目覚めます。そして再生し、新しい道を歩むことが可能となります…。
けれどその横に貴方がいるかどうか…。別の誰かが隣にいる事を許せるなら
もう一人の自分の手を取れば良いだけなのですよ…」

 そして、柔らかい声で残酷な…優しいヒントを与えてあげる。

―どちらを選んでも、本多は目覚める…

 其れは今の克哉にとっては救い。
 けれど同時に…本多と過ごした思い出がよみがえってしまった後では
限りなく痛みの伴う内容でもあった。

「ほ、んとう…に?」

 その言葉を聞いた途端、うっすらと克哉は瞼を開いていく。

「ええ、本当ですよ…」

「よ、かった…」

 それだけが、今の克哉にとっては救いでもあった。
 泣きながらそれを悲しみ、同時に喜びも覚えていく。

「ですから…貴方の思うままになさって下さい…。それを、本多様も
望まれていますから…」

「………うん…」

 そして、克哉はすぐに意識を手放していく。
 その様子を眺めて、黒衣の男はそっと呟いていった。

「…今は眠りなさい…貴方が心からの答えを出す日まで…この世界を
紡ぎ上げて差し上げましょう…」

 そう、微笑みながら告げていくと…Rの姿もまた幻のように
その場から消えていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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