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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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現在連載中のお話のログ

 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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―御堂孝典は、謎の人物からの電話で指定されたホテル内に
駆け込んでいくと…慌てた様子で周囲の様子を伺っていた

 すでに時計の針は21時を回っている。
 いつもなら、新商品を扱っている多忙極まりない時期ならば残業をして…
大きな時差が発生している地域にある海外の支社などに電話を
している時間帯だ。
 だが、今夜はそれらの重要な業務の全てを放り出して、御堂はこの
センチュリーホテルへと車を出して向かっていたのだ。

(克哉は一体…このホテルの何処にいるんだ…!)

 このホテルにいる、とだけ男は告げてすぐに電話を切ってしまった。
 MGNという大企業の部長職についている御堂は…いつもならば、
悪戯や悪質な嫌がらせをする類の人間の言葉は真に受けないし、
流す習慣がついている。
 だが、本日の昼間に御堂宛に届けられた一本のビデオテープには
一昨日の日付と時間が記された上で「深夜の公園にて」とラベルが
貼られていた。 
 その日時と場所は、克哉を強引に抱いていた時間と一致していた事で…
御堂はどうしても無視をする事が出来なかった。
 人払いを徹底した上で、視聴覚室に向かって…その中身を確認したら、
かなり画像はぼやけて荒いものであったが…紛れもなく先日の自分と克哉の
情事を撮影した内容だった。
 正直、画像だけなら幾らでも逃れる事が出来ただろう。 
 しかしその映像の中には、自分たちの言葉でのやりとりやあえぎ声まで
一緒に収められていた。
 其れは自分達二人の事を知っている人間が聞けば、ほぼ特定出来てしまう
レベルでの、はっきりとした音量で入っていたのだ。
 もしこれを脅迫の材料に使われてしまったら、御堂には相当の痛手になる
可能性が高かった。
 いや、使われ方次第では御堂の社会的地位を脅かすだろう。
 そのビデオテープを確認した後に、ボイスチェンジャーで機械的な声にしていた
…恐らく男性と思われる謎の人物からの電話が入ったのだ。 
 御堂とて、それを男性と特定したのは言葉の言い回しや口調が女性らしさを
一切感じられないものだったから、という程度でしかない。
 性別も年齢も全く想像のつかない…謎多き脅迫者の存在に、御堂の
心の中でジワリと疑心暗鬼が広がっていく。
 その瞬間、決して考えないようにしていた思考が彼の中に生まれ始めていった。

―だが、その脅迫者はどうして…自分と克哉の情事のシーンを撮影
する事など出来たのだろうか…?

 周囲を必死に見回している合間に、その疑問が徐々に膨らんでいって…
御堂はふと、ホテルのエントランスの隅で足を止めていった。

(…考えれば考えるだけ、不可解だ…。あの日、克哉と顔を合わせたのは
偶然だった筈…。そして私は、以前から彼を想っていた訳ではなかった…。
確かに、最初は威圧的で生意気な態度と口調をしている姿を見たから
、反感めいたものは抱いていた…。だが、其れはプロトファイバーの営業を
一緒にやっている内に薄れて…少しずつ好感を持ち始めていたのは事実だ。
けれど、その感情は…あの日、ばったり顔を合わせるまでは決して
恋心ではなかった筈だ…)

 御堂はふと、急激すぎる自分の感情の変化に…初めて疑問を覚えていった。
 恋とは突然、予想もつかない形で花咲く事もあるから今までさほど
疑問に思わなかった。
 しかし克哉を衝動的に抱いたその時に、誰かがその場面に居合わせて撮影し
…脅迫の道具として使用する。
 …其れに、猛烈な違和感を感じ始めていった。
 まるで自分があの日、克哉と出会った事自体が…誰かが巧妙に仕組んだ
罠のようにすら感じられた。

(ふっ…まさかな。考えすぎだ…。幾ら何でも、克哉がそんな真似を
する訳がない…)

 以前に一緒に仕事をした時から、克哉は多少気弱で押しの弱い所があるが
…基本的に善人である事は解っている。
 だから彼が…こんな悪質な筋書きを考えるとは、とても思えなかった。
 けれど同時にこの二日間に御堂の身に起こった事がとても偶然の
産物とも思えなかった。
 其処まで彼が気づいた次の瞬間―唐突に周囲の空気が凍り付いて、
寒気すら覚えていった。

―お見事です御堂孝典様…。其処までご自分の力だけで気づかれるとは…。
それに敬意を表して、私の方からささやかな贈り物をさせて頂きましょう…

 いつの間にか、御堂の目の前に豊かで長い金色の髪を腰まで流して
伸ばしている…全身黒づくめの衣装を纏った、妖しい眼鏡の男が立っていた。
 誰かが歩み寄って来た気配など全く感じなかったから御堂は面食らい
…猛烈な警戒心を抱いていった。

「だ、誰だ…! 一体いつの間に私の傍に立っていたんだ…!」

―ふふ、私がどこの誰である事など…些末な事でしかありません。それよりも
愛しい佐伯克哉さんの事が心配で仕方ないのでしょう…? これは、あの人が
囚われている部屋のカードキーです。此を使えば、克哉さんがいる部屋へと
辿り着く事が出来るでしょう…。しかし、其処でどんな光景を目の当たりに
する事になるか…保証は出来かねますけどね…

「何だとっ!」

 御堂が叫び声を挙げても、周りの人間はまるで頓着していなかった。
 まるで今は自分たち二人以外の人間の時間は、完全に止まってしまって
いるかのように…周囲にいる従業員も、他の宿泊客らしき人達も
何の反応を示さなかった。
 其れが余計に御堂の警戒心を強めていったのだが…目の前の男に対して
恐れをを抱くよりも、今は克哉の元に向かう事を優先しなければならなかった。

(本当にこの男が差し出したカードキーを受け取って大丈夫なのか…?
 だが、これ以外に何の手掛かりはない。フロントに誰が泊まっているか
確認しても絶対に答えてくれないだろうし…それ以前に、私を脅迫してきた
男の顔も名前も判らない状況では、探る方法すらない…。なら、この手掛かりに
縋る以外に…私に、選択肢は存在しないじゃないか…)

 御堂は舌打ちをしながら、現状をどうにか受け入れていく。
 克哉の元に向かいたいなら…自分には、このカードキーを
受け取るしかないのだ。
 もしかしたらこれ自体がこの得体の知れない男からの巧妙な罠かも知れない。
 だが、このカードキーを使わなければ…御堂には、他の人間が
泊まっている部屋を開く手段など何一つ存在しないのだから。

(…こんな男が差し出して来た物を受け取って使うのは凄く抵抗があるがな…。
けど、これ以外に克哉の元に向かえる可能性は存在しない…其れは、事実だ…)

 御堂は無言のまま其れを受け取り、一縷の望みを賭けて…このカードキーに
記されている部屋があるフロアへと、エレベーターに乗り込んで向かい始めていく。
 その様子を眺めて、Mr.Rはどこまでも愉快そうに微笑んでいった。

―ふふ、これから…最大の山場を迎えていきますね…。目の前で繰り広げられて
いる光景を見て、御堂様がどんな反応をされるのか…。今から、愉しみで
仕方ありませんね…

 大部分は黒衣の男の筋書き通りに、物事が運んでいた。
 だが…自分の主となる可能性を秘めた、眼鏡を掛けた方の佐伯克哉だけは…
大きな不確定要素だった。
 御堂や克哉はある程度…意のままに操れても、彼だけはなかなか思うように
いかない。
 もしかしたら男にとって予想もしていない展開を齎すかも知れない…そんな
奇妙な予感を抱いていきながら、ゆっくりとその場から姿を消していった。
 そしてRが立ち去ると同時に…凍っていた空気が、時間が溶けていき…
周囲の人間はまるで御堂とRのやりとりなど存在していなかったかのように
元通りに動き始めていく。

―さて、この物語を観劇させて頂きましょう…。皆さん、私を少しでも
愉しませて下さいね…

 そう妖しい笑みを浮かべていきながら…男もまた、次の目的地へと静かに
向かい始めていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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