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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 とりあえず報告。
 もう毎度恒例になってしまっているので今回はサラっと。
 冬コミ、また落ちました。
 2008年に出て以来…4回連続で落選ってどうなのよって
心底思います。
 しょうがないので次回の申し込みの時はコソっと「四回連続で
落ちているので次こそ受かる事を祈っております…」とアピール
しようかなとか考えている今日この頃…。
 三回連続で落ちたら、救済措置があるっていうの嘘だったのかしら…
クッスン(涙)

 まあ、それはさておき…そういう訳で鬼畜眼鏡の方では
冬コミは新刊出しません。
 けど、いつも置かせて貰っている友人の処で王レベの新刊は
また出させて貰おうって考えているし、来年の最初のインテは
友人達に会いに顔を出す予定なので…こっそり知り合い宛てに年賀状がてら、
無料配布でも作って持っていこうかなとか色々は考えております。

 とりあえず今は、去年やってしまった事故によって跳ねあげてしまった
保険代を自分で支払う、と言った以上はその責任を果たすつもりなので…
そんなに、積極的にイベント活動は出来ない身の上です。
(所詮、安月給の身なので…)
 だから当分は活動はこのブログがメインになります。

 其れで…つい先月のスプレーオンリーの後に書きそびれてしまったのですが、
うちのサークルの本を通販希望する人っておりますでしょうか?
 一応、一人でも希望者がいれば…期間限定で、通販受付をやろうかなって
考えております。
 
 ちょっと先月、色々ありまして…其れで不安になっていて物事に手がつかない
状態に陥っていたので…書くのが遅れてしまいましたが、其れも落ち着いたので…
希望者がいれば、2~3週間程度…通販の受付をします。
 それでは、イベントに関しての現在の姿勢と…通販しようかなという告知でした。
 ではでは~!
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現在連載中のお話のログ

 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―御堂孝典は、謎の人物からの電話で指定されたホテル内に
駆け込んでいくと…慌てた様子で周囲の様子を伺っていた

 すでに時計の針は21時を回っている。
 いつもなら、新商品を扱っている多忙極まりない時期ならば残業をして…
大きな時差が発生している地域にある海外の支社などに電話を
している時間帯だ。
 だが、今夜はそれらの重要な業務の全てを放り出して、御堂はこの
センチュリーホテルへと車を出して向かっていたのだ。

(克哉は一体…このホテルの何処にいるんだ…!)

 このホテルにいる、とだけ男は告げてすぐに電話を切ってしまった。
 MGNという大企業の部長職についている御堂は…いつもならば、
悪戯や悪質な嫌がらせをする類の人間の言葉は真に受けないし、
流す習慣がついている。
 だが、本日の昼間に御堂宛に届けられた一本のビデオテープには
一昨日の日付と時間が記された上で「深夜の公園にて」とラベルが
貼られていた。 
 その日時と場所は、克哉を強引に抱いていた時間と一致していた事で…
御堂はどうしても無視をする事が出来なかった。
 人払いを徹底した上で、視聴覚室に向かって…その中身を確認したら、
かなり画像はぼやけて荒いものであったが…紛れもなく先日の自分と克哉の
情事を撮影した内容だった。
 正直、画像だけなら幾らでも逃れる事が出来ただろう。 
 しかしその映像の中には、自分たちの言葉でのやりとりやあえぎ声まで
一緒に収められていた。
 其れは自分達二人の事を知っている人間が聞けば、ほぼ特定出来てしまう
レベルでの、はっきりとした音量で入っていたのだ。
 もしこれを脅迫の材料に使われてしまったら、御堂には相当の痛手になる
可能性が高かった。
 いや、使われ方次第では御堂の社会的地位を脅かすだろう。
 そのビデオテープを確認した後に、ボイスチェンジャーで機械的な声にしていた
…恐らく男性と思われる謎の人物からの電話が入ったのだ。 
 御堂とて、それを男性と特定したのは言葉の言い回しや口調が女性らしさを
一切感じられないものだったから、という程度でしかない。
 性別も年齢も全く想像のつかない…謎多き脅迫者の存在に、御堂の
心の中でジワリと疑心暗鬼が広がっていく。
 その瞬間、決して考えないようにしていた思考が彼の中に生まれ始めていった。

―だが、その脅迫者はどうして…自分と克哉の情事のシーンを撮影
する事など出来たのだろうか…?

 周囲を必死に見回している合間に、その疑問が徐々に膨らんでいって…
御堂はふと、ホテルのエントランスの隅で足を止めていった。

(…考えれば考えるだけ、不可解だ…。あの日、克哉と顔を合わせたのは
偶然だった筈…。そして私は、以前から彼を想っていた訳ではなかった…。
確かに、最初は威圧的で生意気な態度と口調をしている姿を見たから
、反感めいたものは抱いていた…。だが、其れはプロトファイバーの営業を
一緒にやっている内に薄れて…少しずつ好感を持ち始めていたのは事実だ。
けれど、その感情は…あの日、ばったり顔を合わせるまでは決して
恋心ではなかった筈だ…)

 御堂はふと、急激すぎる自分の感情の変化に…初めて疑問を覚えていった。
 恋とは突然、予想もつかない形で花咲く事もあるから今までさほど
疑問に思わなかった。
 しかし克哉を衝動的に抱いたその時に、誰かがその場面に居合わせて撮影し
…脅迫の道具として使用する。
 …其れに、猛烈な違和感を感じ始めていった。
 まるで自分があの日、克哉と出会った事自体が…誰かが巧妙に仕組んだ
罠のようにすら感じられた。

(ふっ…まさかな。考えすぎだ…。幾ら何でも、克哉がそんな真似を
する訳がない…)

 以前に一緒に仕事をした時から、克哉は多少気弱で押しの弱い所があるが
…基本的に善人である事は解っている。
 だから彼が…こんな悪質な筋書きを考えるとは、とても思えなかった。
 けれど同時にこの二日間に御堂の身に起こった事がとても偶然の
産物とも思えなかった。
 其処まで彼が気づいた次の瞬間―唐突に周囲の空気が凍り付いて、
寒気すら覚えていった。

―お見事です御堂孝典様…。其処までご自分の力だけで気づかれるとは…。
それに敬意を表して、私の方からささやかな贈り物をさせて頂きましょう…

 いつの間にか、御堂の目の前に豊かで長い金色の髪を腰まで流して
伸ばしている…全身黒づくめの衣装を纏った、妖しい眼鏡の男が立っていた。
 誰かが歩み寄って来た気配など全く感じなかったから御堂は面食らい
…猛烈な警戒心を抱いていった。

「だ、誰だ…! 一体いつの間に私の傍に立っていたんだ…!」

―ふふ、私がどこの誰である事など…些末な事でしかありません。それよりも
愛しい佐伯克哉さんの事が心配で仕方ないのでしょう…? これは、あの人が
囚われている部屋のカードキーです。此を使えば、克哉さんがいる部屋へと
辿り着く事が出来るでしょう…。しかし、其処でどんな光景を目の当たりに
する事になるか…保証は出来かねますけどね…

「何だとっ!」

 御堂が叫び声を挙げても、周りの人間はまるで頓着していなかった。
 まるで今は自分たち二人以外の人間の時間は、完全に止まってしまって
いるかのように…周囲にいる従業員も、他の宿泊客らしき人達も
何の反応を示さなかった。
 其れが余計に御堂の警戒心を強めていったのだが…目の前の男に対して
恐れをを抱くよりも、今は克哉の元に向かう事を優先しなければならなかった。

(本当にこの男が差し出したカードキーを受け取って大丈夫なのか…?
 だが、これ以外に何の手掛かりはない。フロントに誰が泊まっているか
確認しても絶対に答えてくれないだろうし…それ以前に、私を脅迫してきた
男の顔も名前も判らない状況では、探る方法すらない…。なら、この手掛かりに
縋る以外に…私に、選択肢は存在しないじゃないか…)

 御堂は舌打ちをしながら、現状をどうにか受け入れていく。
 克哉の元に向かいたいなら…自分には、このカードキーを
受け取るしかないのだ。
 もしかしたらこれ自体がこの得体の知れない男からの巧妙な罠かも知れない。
 だが、このカードキーを使わなければ…御堂には、他の人間が
泊まっている部屋を開く手段など何一つ存在しないのだから。

(…こんな男が差し出して来た物を受け取って使うのは凄く抵抗があるがな…。
けど、これ以外に克哉の元に向かえる可能性は存在しない…其れは、事実だ…)

 御堂は無言のまま其れを受け取り、一縷の望みを賭けて…このカードキーに
記されている部屋があるフロアへと、エレベーターに乗り込んで向かい始めていく。
 その様子を眺めて、Mr.Rはどこまでも愉快そうに微笑んでいった。

―ふふ、これから…最大の山場を迎えていきますね…。目の前で繰り広げられて
いる光景を見て、御堂様がどんな反応をされるのか…。今から、愉しみで
仕方ありませんね…

 大部分は黒衣の男の筋書き通りに、物事が運んでいた。
 だが…自分の主となる可能性を秘めた、眼鏡を掛けた方の佐伯克哉だけは…
大きな不確定要素だった。
 御堂や克哉はある程度…意のままに操れても、彼だけはなかなか思うように
いかない。
 もしかしたら男にとって予想もしていない展開を齎すかも知れない…そんな
奇妙な予感を抱いていきながら、ゆっくりとその場から姿を消していった。
 そしてRが立ち去ると同時に…凍っていた空気が、時間が溶けていき…
周囲の人間はまるで御堂とRのやりとりなど存在していなかったかのように
元通りに動き始めていく。

―さて、この物語を観劇させて頂きましょう…。皆さん、私を少しでも
愉しませて下さいね…

 そう妖しい笑みを浮かべていきながら…男もまた、次の目的地へと静かに
向かい始めていったのだった―

※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―結局克哉の時間稼ぎ作戦は、失敗に終わった
 
 先程の「覚えていない」とか「知らない」と言った事で澤村を茫然自失状態に
した事は、言ってみれば偶然の産物に過ぎず、結果的にショックを与える事で
相手の体制を崩せただけに過ぎない。
 だが、克哉が意図的に時間稼ぎを試みた事で…澤村の方も徐々に心理的な
痛手から立ち直っていってしまった。
 一旦は克哉が、精神的な意味で優位に立つ事が出来たが…
締め切られたホテルの一室。
 其処に両手を後ろに纏められた状態で拘束されているという状況は…
克哉にとって圧倒的な不利な状態だった。
 色んな質問を投げかけて、相手から言葉を引き出して少しでも
時間を稼ごうとしていた。
 
―だが、そうすればするだけ…相手は余裕を取り戻して、次第に
酷薄な笑みを口元にたたえはじめていった
 
(どうしよう…せっかく、こっちが有利だったのに…形勢が
逆転してしまっている…!)
 
 克哉はその冷たい笑みを見て、身の危険を覚え始めていった。
 それは本能的な恐怖に近いものだった。
 さっきは衝撃の余りに相手の視線も覚束ないものであったが…次第に
ねっとりとした厭らしいものへと変わっていく。
 こういう眼差しにはイヤって程、身に覚えがあった。
 もう一人の自分と一緒にいる時は…眼鏡の目はいつだってこんな風に
欲情に満ちたものだったから。
 けれど…眼鏡に、こういう視線を向けられるのは自分はそんなに嫌で
なかった事を改めて実感させられた。
 
(こんな目を…あいつ以外に、されたくない…!)
 
 一昨日は、本多にも御堂にも似たような視線を注がれていった。
 けれど澤村に…克哉にとっては顔も知らない、何の面識も思い出もない
人間に性的な対象として見なされるのは正直、強烈な嫌悪感が
湧き上がって来た。
 この男の前から、可能であるなら一刻も早く逃げ出したかった。
 克哉は心底、今の両手が拘束されて自由を奪われている状況に
歯噛みをしたくなった。
 
「…そんな目で、オレを…見ないでください! 卑怯者…こちらの意識が
ない状態で連れ去って、手首を縛るなんて…充分、犯罪行為だって
自覚あるんですか…! もし、貴方がオレを犯したのなら…オレは、
警察に駆け込んで暴行されたという証明を立てさせて貰いますから…」
 
「何、だって…?」
 
 克哉の警察に駆け込む、という発言は元来…小心者である澤村の
動揺を招くのに成功した。
 そう…極めて屈辱的な事だが、もしこの男に犯された場合は御堂の時と違って、
泣き寝入りなどするつもりはなかった。
 御堂は例え薬の効力があったとしても、こちらを想ってくれていた。
 だがそういった想いも何もなく…悪意によってこちらを陵辱しようというのなら、
絶対に屈したくなかった。
 好きでもない…縁も縁も克哉にとっては存在しない相手に抱かれるなど、
冗談ではなかったから。
 脳裏に、もう一人の自分の顔が浮かび上がっていく。
 
(もう…あいつ以外に抱かれるなんて、ゴメンだ…! もしこの男に犯されると
いうのなら、絶対に戦ってやる…!泣き寝入りだけは、してやるもんか…!)
 
 もう一人の自分の事を、好きだという自覚を持ったからこそ…克哉はもう
安易に屈したりしないと心に誓っていた。
 この男がこちらを辱めるというのなら、決してこちらとて容赦は
するつもりがなかった。
 男に犯された、など…立派な大の男である自分が警察に駆け込むなど
想像するだけで恥ずかしくて死にそうだ。
 けれど相手がこちらの体内に精を放ったのなら、それは何よりも有力な証拠となる。
 自分は相手の事を知らなくても、もう一人の自分が知っているというのなら
聞き出して…草の根を分けてでも捜し当ててやると決意を込めて…
相手を睨みつけていった。
 その瞬間、二人の精神的な立ち位置が再び逆転していった。
 
「…何だよ、その反抗的な目は…。君は自分の立場というものを判って
いないんじゃないかな…? 手を縛られていて自由の利かない身で…
何が出来るっていうんだ?」
 
「…貴方に、気持ちの上で屈さない…。負けないぐらいの事は出来る…。
こんな卑怯な真似をして優越に浸っている相手に屈したくはありませんから…!」
 
「何を…! 君は僕を卑怯者と言う訳か…! ああ、その通りだよ。僕は
君と決別する以前からずっと卑怯者とそしられるような事を続けて来た。
だって愉快じゃないか!影で人を操って人を騙したり、多くの人間を自分の
思い通りに動かすのは快感じゃないか! だから卑怯者と言われたってそれは
僕にとっては誉め言葉なんだよ、克哉君! 正直に清く正しく生きて、
一体何の特になるというんだい…?」
 
 男はまるで、大声で哄笑していきながら…卑怯者と呼ばれた事に対して
誇りでも抱いているかのような反応を示していった。
 だが克哉のアイスブルーの瞳には、其れは虚勢に過ぎないという
事実を見抜いていく。
 
(この人は…開き直っている。これは…本心からの、言葉じゃない。虚勢を、
張っているように感じられるのは気のせいなのか…?)
 
 猛烈な違和感を覚えた瞬間、克哉の脳裏に一つの光景が思い浮かんでいった。
 桜が舞う光景の中、泣いている少年の姿。
 克哉はずっと何度か夢に見ていながら…其れが誰なのか思い出せないままだった。
 夢の中に現れる彼の表情や、顔はいつだってはっきりと見れなくて…
名前も思い出せないままだった。
 
(どうして、彼の顔が…あの少年の事が、思い浮かぶんだ…? もしかして…?)
 
 そして克哉は口に、思わず出してしまっていた。
 
「…貴方は、もしかして卒業式の日に…泣いていた、人…ですか…? 
凄く苦しそうな顔をしながら、オレに対して…何か、を言っていた…?」
 
「っ…!! そうだよ! 其れが俺だよ克哉君! 何でよりにもよって…
そんな場面を、君は真っ先に思い出すんだ! ちくしょう!」
 
 其れは、相手の逆鱗に等しい過去だった。
 澤村にとって最大の優越感を感じた瞬間であり、胸の痛みを最も
覚えた苦い記憶を…口上に出されて、カっと目を見開いていった。
 あの日に、佐伯克哉と決別をした。
 其れから十数年の月日、顔を合わせる事もないまま…月日を重ねていった。
 一時の勝利の味と共に、拭いきれない後悔を孕んでいる日だったから。
 
「えっ…?」
 
 克哉は、一瞬信じられないものを見たような気になった。
 相手の目が潤んでいるように見えたからだ。
 極めてアンバランスな不安定な眼差しで、こちらをキツく見つめて来ていたが
…その双眸からは今にも涙が溢れそうになっていた。
 
「泣いて、いるんですか…?」
 
「違う! これしきの事で泣くものか! いい加減に黙れ!」
 
 そうして澤村はヤケ気味に…克哉に勢い余って、強烈な効果を持つ
媚薬を飲ませていく。
 此れは最初の公園での盗撮のチャンスを告げるメールが、澤村の
PCに送信された翌日に…いつの間にか彼の自宅に置かれていた品だった。
 甘い蟲或的な香りがする赤い液体は、相手を意のままに操る事が
出来るぐらいに強烈な媚薬だという説明書きが添えられていた。
 其れを使って克哉を乱して…凌辱してやろうと準備して来た訳だが、
ついに澤村は其れが入った小瓶を口に押し当てて、無理やり嚥下させていった。
 
(これ以上、彼にペースを乱されてなるものか…! 此れを飲めば
意のままに操れるぐらいに乱れると手紙に書いてあった…! 其れで
予定通り、御堂部長を葛藤させて交渉を有利に運べば良いんだ…! 
それで良いんだ!)
 
 逆上した澤村は、そうして歪んだ笑みを浮かべていきながら…嫌がる
克哉を押さえつけていった。
 克哉は己の身体が、異常に熱くなっていくのに恐怖すら覚えていく。
 
「この、薬は…一体…うあっ…身体が、熱い…!」
 
「はは、強烈な媚薬だよ…理性も、何もかもが吹き飛ぶぐらい効果の
高い物らしいよ…。さあ、それを飲んでいつまで正気を保っていられるかな…
克哉君…?」
 
「そん、な…あ、はあっ…」
 
 猛烈な速度で身体の奥から妖しい熱が浮かび上がっていく。
 少しでも逃そうと、必死になって身体をよじっていくが無駄な抵抗だった。
 そして克哉は、媚薬によってまともに考える事すら儘ならない状況に
追いやられて…唇から血が滲むぐらい強く、歯を立てて噛み締めていったのだった―
 
 
 
 
 
 
 




 先月の5日、私の母と…その母とプールに一緒に行っている
友人の方と三人で夕食を食べにいった日のこと。
 ご飯を食べている最中、いきなり母が言いました。

「今日から、来年のお前の誕生日までの期間…体重を減らしたら
1キロにつき、一万あげる」

「ふえっ? マジ…どうして?」

「…お母さん、あんたがそれで痩せる気になってくれるなら
それぐらいのお金を払っても良いぐらい…痩せて欲しいのよ。
そのままじゃ膝とか関節に来るし、成人病も心配だし…せっかく元の
顔も悪くないのに太ったままじゃ意味ないし…」

「はははは…(苦笑)」

 という母の親心の結果、そんな条件が出されました。
 期間にしたら4カ月弱で、どれくらい体重を減らせるかどうか話です。
 …はっきり言うと私は、小学校に上がり始めた頃から太り始めて…中学一年の
終わりまで一年につき、平均10キロ前後太り始めた時期があったので…其れから
体重90キロ~105キロの間を切った事がありません。
 一時、親戚のおじさんの会社に入った時に…社長であるおじさんに心配されて
そのおじさんが心臓の発作で倒れて以来、体型維持の為に年に二回…ある病院の
運動と食事指導をやっているカリキュラムに参加して、会社でも痩せろ痩せろと
言われ続けて84キロまでは一時は落としたんですけどね。

一年に21キロ落としても、まだ足りない! もっと痩せろ! 一年に30キロ
以上落ちなくてどうするんだ! 

 と家でも会社でも言われ続けて、精神が追い詰められてしまい…本当にシャレに
ならない処までしんどい思いをさせられて以来、心底悟った事があります。
 それ以後ね、それ以上増えないように意識はしていたけど…本気でダイエットに
嫌気が差して、数年は何を言われようとやる気になりませんでした。
 メチャクチャ努力して、それでももっともっとと言われ続けて…もう嫌だ! という
段階に追い詰められた事があったんで。
 確かに痩せた方が身体には良いぐらい太っちょなのは事実だけど、その一件で
人の意見に左右されて振り回されるよりも、自分のペースでやっていかなかったら
ダイエットなんて成功しない、というのを痛烈に悟りました。
 まあその時落とした体重はそのおじさんの会社を辞めた時点で不規則な夜勤の
仕事をしたりしたから…すぐにリバウンドして戻ってしまったんですが(苦笑)

 けど、母にその話を持ちかけられた時…元々今年は一年掛けて、5~10キロ
程度落とすって予定立てていて、すでに3~4キロは落としている訳だし…その目標に
弾みをつける意味では良いかなって思って受ける事にしました。
 ちなみにダイエットを本気でしなきゃいけない! と痛烈に今年の始めに感じた時は
106キロまでいっていましてねぇ(遠い目)

 ダイエットの話を持ちかけられた時点では朝の時点の計量では102、ご飯とか
食べると103ぐらいまでは一応落としていたので…10月5日の時点では夕食を
食べた後での計量だったので103キロからスタートしました。

 それから一カ月弱…一応、現在の体重は100~101の間を行ったり来たり
している感じです。
 元々、体重の維持するようにここ数年はある程度生活習慣を変えていたので…
その上で、「休みの日でも必ず30分~1時間程度は動く機会を作る」と
「便秘しない為に乳酸菌の入った飲み物をこまめに摂取するようにする」と
「ストレス溜まってドカ喰いをどうしてもしたくなったらオニギリ、茹で卵、野菜ジュースを
買い食いの時に買うようにして夕食を目いっぱい食べるようにして脂肪分のあるもので
満たすのは極力抑える」と、「湯船に40分前後浸かって身体を温めるようにする」の
四つの習慣を付け足しました。

 ペースは極めて、緩やかです。
 けど一カ月に1~2キロ落ちてくれれば上等、という感じで現在まったり
続けております。
 今月末までに、100キロを切ってくれれば良いという感じですね。
 …今度こそ、維持出来るように頑張っていくど~!

 何度も何度もダイエットをして悟ったのは「人にやらされているダイエットは苦痛で
やっていて続かない。自分がやる気にならなきゃ意味がない」なので…今回は
元々今年はやっていたので、母の提案に乗る事にしました。
 さて…2月1日までに何キロ落とせるのか。

 月に一回ぐらいここで途中経過を報告していきます。
 …さて、これで逃げ道がなくなったぞ自分(笑)

 
※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
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 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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克哉から全く覚えていないと、予想もしていなかった衝撃的な一言を
言われて…澤村は動揺しまくっていた。
彼にとってそれは正に青天の霹靂とも言える程だった。
克哉は両手を拘束された状態でベッドに転がされていて…それに対して、
澤村は両手が自由ですぐ傍から相手を見下ろしていた。
だが、立場的に圧倒的に優勢であっても…心理的な意味では、克哉の
一言のせいで逆転してしまった。
さっき克哉が意識を失っている間にMGNの御堂部長を此処に来るように
澤村は呼び出していた。
そして克哉を…こちらが優位に取引が出来るような状態に整えておく予定だった。
だが今の澤村はそんな自分が立てた策略の事など、見事に頭から
吹き飛んでしまっていた。
 
―克哉君が僕を忘れた。克哉君が僕を忘れてしまった。しかも全く思い出せないって
本気で言っている。一体僕はどうしたら良いんだ?ウワァァァ…!
 
…という感じの内容が彼の頭の中ではエンドレスで繰り返され続けていたのだった。
彼だって一回や二回顔を合わせた程度の間柄の人間に忘れられたのだったら
流石にここまでショックを受ける事はなかっただろう。
だが澤村と克哉は幼なじみであり親友同士だった筈なのだ。
確かに小学校の卒業式の日以降は袂を分かって顔を合わせる
事はなかった。
けれどそれ以前は…誰よりも佐伯克哉という人間と一緒の時間を過ごして
きたのだと断言出来る。
…だからこそ彼の有能さに、自分が出来ない事を易々とこなしてしまうその
器用さに嫉妬を覚えて…いつしか陰で彼を貶める行為をしてしまった訳だが…。
 
「で、デタラメを言うのはいい加減にしたらどうなんだ! 君が…君が…僕を
忘れる訳がないんだから! 子供の頃はいつも一緒にいたし…僕らはウンと
小さい頃からずっと傍にいたんだ! そんな僕を…君が忘れるなんて事は
記憶喪失にでもならない限り、絶対に有り得る訳がない!」
 
「…あのう、力説している所…申し訳ないんですが…その、オレ…実は
中学に入学する以前の事ってあんまりはっきり思い出せなくて…。もしかしたら
貴方はオレの小学校時代の知り合いなんでしょうか…? 名前を伺っても
構わないでしょうか…?」
 
  克哉は真剣に困惑を隠せない表情でそう問い掛けていった。
とても拉致された者と…これから克哉をダシにして脅迫行為をしようと
する人間との会話とは思えなくなって来たが…両者とも真剣に
向き合い始めていった。
当初の澤村の予定では…御堂に部屋番号を伝えていない状態でこのホテル
まで呼び出し…その状態で克哉を散々ナブってその喘ぎ声を聞かせて…近くに
いながら助ける事が出来ないもどかしさを与え続けて…相手から冷静な
判断力を奪い、交渉を優位に持っていく筋書きだった。
御堂が克哉にあれだけ執着をしているなら…この手で確実にこちらにとって
都合の良いように話を持っていく自信があった。
ついでに言うと…決別してから十数年の月日が流れていても澤村にとって
佐伯克哉という存在は特別な意味を持っていた。
…昨日、こちらを一方的に殴り付けて来た恨みと痛みは容易に忘れる事
など出来はしなかった。
しかし此処に来て自分の事を全く覚えていないと…しかも本気で
言われてしまって澤村は密かにパニック状態に陥っていた。
…嫉妬も憎しみも劣等感も…結局は佐伯克哉という人間をそれだけ
意識をしているという事実の裏返しみたいなものなのだ。
 
「…嘘だ、そんな…まさか…君が僕を忘れるだなんて…そんなの、嘘だ…」
 
「…いいえ、ご免なさい…。本当にオレは貴方を誰だか知らないし…思い出す事も
出来ないんです…。だから名前を、どうか…教えて下さい…」

 澤村はついに我慢出来なくなって項垂れていった。
 どんな形であっても彼にとって今でも佐伯克哉という存在は大きな位置を
占めている存在だった。
 確かに間違った事を子供時代の自分はしてしまっていた事を薄々とは気づいている。
 けれど胸の奥に存在していた感情には…好意や憧憬といったプラスのものも
含まれていたのもまた事実だったのだ。
 
(この目は…本気で言っている。な、なら…昨日、僕を勢いよく殴った克哉君は
一体何だったんだ…? 彼の方はちゃんと僕を覚えている風だった…。
なのにどうしてたった一日で、克哉君はこんなに変わってしまっているんだ…?)

 昨日の夜に遭遇した方の眼鏡を掛けた克哉の事を思い出して…強烈な
違和感を覚えていった。
 眼鏡を掛けた方は、自分に対してこんな目を決して向けなかった。
 ちゃんとこちらの事を覚えている風だった。
 なのにどうして…今、目の前にいる顔は真剣な顔をしていきながら澤村のこと
など知らないと訴えかけてくるのだろうか。

「判らない…判らないよ…! 昨日、君に遭遇した時は…僕はちゃんとこっちのことを
覚えている風だったじゃないか! なのにたった一日でどうして…そんな風に忘れられるんだ!
僕は…僕は一日だって、君のことを完全に忘れる事なんて出来なかったのに!」

「えっ…今、何て…?」

 澤村の口から予想もしていなかった言葉が漏れて、克哉は言葉を失っていく。
 昨日の克哉は体調を崩して…一歩だって外に出ていない筈だ。
 それなら彼と遭遇する訳じゃない。
 なのに彼が紛れもなく「佐伯克哉」と顔を合わせているのなら可能性は一つしかない。
 …この目の前の男性は、もう一人の自分の方と会っているという事実だ。

(もしかしてこの人は…『俺』の方の知り合いなのか…?)

 澤村の発言から、ついにその考えに至っていった。
 相手が動揺しているのを見て、そして両手を縛られているこの状況をどうにか
打破しようと克哉は必死になって考え始めていった。

(この状況をひっくり返すには…どうしたら良い? 今はこの人は動揺しているから
これ以上のチョッカイを出されないで済んでいる訳だけど…この人が、本気で迫って
来たりこっちに危害を及ぼすような事をしてきたら…オレには抵抗する術すらない…!)

 一昨日の夜の本多と御堂を、そして昨日の夜の太一のことが脳裏に
浮かび上がっていった。
 この男性のことはどうやっても思い出せない。
 けれど瞳の奥に…先日の彼らと同じような情熱的なものを確かに感じられた。
 今は混乱しているから手を出されないで済んでいる。
 だがこの状態がいつまで保たれるかは全く未知数なのだ。
 下手をすれば相手が体制を立て直した次の瞬間には組み敷かれてしまうかも
知れない危惧感を克哉は覚えていった。
 こうして手を縛られてしまっている以上、ただ時間を引き延ばしても意味は
ないのかも知れない。
 誰かが助けに来てくれるか、相手の気持ちを根本的にでも変えない限りは…
現状は決して改善しないだろう。

(誰も助けに来てくれないかも知れない…! オレ一人の手で切り抜けなきゃ
いけないのかも知れない…! 無駄な足掻きかも知れないけれど…オレは
本当に、もう一人の俺のことが好きなら…安易にもう、他の人間に抱かれたり
凌辱される訳にはいかないんだ…!)

 そうしてキっと鋭く相手を見遣っていきながら…克哉は相手と向き直っていく。
 張りつめたような重苦しく、ねっとりとした空気が二人の間から立ち昇っていった。
 少しでも気を抜いて相手に踏み込まれれば、手首を拘束されている克哉には
抵抗する術がなくなる。
 その緊張感を痛烈に感じていきながら…克哉は必死の形相で相手に
向き直っていったのだった―



 
 
 
 



※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―Rから一連の事の顛末を聞いた眼鏡の行動は実に素早いものだった
 
 話を一通り聞き終えると同時に無為に時間を潰していたスターバックスを飛び出して
彼は繁華街を必死に走り続けていた。
 克哉が現在拉致をされているホテルの詳しい場所をどうにか聞きだしてその
目的地に必死に向かい始めていく。

(少しでも早く行かなければ…! どうか、間に合ってくれ…!)

 そう切実に願いながら…克哉が、小学校時代の自分の親友であった存在に拉致されて、
刻一刻と魔の手が伸ばされつつある状況に、眼鏡は本気の憤りを覚えていた。
 彼は走った、遮二無二…夢中になって駆け続けていた。
 いつもの彼だったらこんな風に服装が派手に乱れるぐらいに全力疾走をする事など
とても考えられないだろう。
 おかしくなっている自覚は薄々…こうして現実にずっと存在するようになってから
感じ続けていた。
 克哉に関係する事に対して、自分はどうしてこんなに取り乱してしまうのか…
冷静でいられないのか。
 その事に対して舌打ちしていきながら…つい、頭の中ではもう一人の自分を
責めてしまっていた。
 
(…チッ、裏で全ての糸を引いているのはあいつだと判っているが…その
張り巡らされた罠にアッサリと引っ掛かる「オレ」にも問題があるな…)
 
眼鏡は焦りを覚えていた。少しでも早く克哉の元に駆けつけてやりたかった。
迫り来る悪意からもう一人の自分を助け出したい…!
そんな強烈な想いを初めて抱いていった。
 
(…全くあいつは自分の身すら満足に守れないのか…! 本多に迫られ、
御堂に犯され、今度は澤村に拉致されただと…! 何で其処まで他人に
良いようにされるんだアイツは…!)
 
本多と御堂の一件だけでも充分にハラワタが煮えくり返りそうだった。
更にその上に澤村までもがもう一人の自分を良いようにするなど…我慢が
出来る訳がないのだ。
その瞬間、彼の脳裏に今まで決して認めようとしなかった想いが湧き上がってきた。
 
―あいつは俺のものだ。他の人間が触れる事など…許せない…!
 
それは薄々と判っていながら、彼が決して認めようとしなかった本音だった。
いつだって小さなプライドが邪魔をしていて、自分の本心から目を逸らし続けていた。
何処かで克哉を馬鹿にして、自分よりも下の人間だと見下している部分があった。
だからこそ…対等と見なしていない相手に本気になってしまった事実を
認めたくない心理が働いてしまっていたのだ。
けれど今なら…それがどんなに無意味で、愚かしい事だったか痛烈に思い知らされる。
後悔の念がまるで黒い染みのように心に急速に広がっていくのを感じていった。
 
―大好きだよ、俺…
 
そして彼の脳裏に鮮烈に切ない微笑みを浮かべながらそう伝えてきた
克哉の姿が喚起されていった。
 
「…克、哉…」

 そして…自然に、相手の名前を呟いていた。
 己と同じ名であり、同一の存在である筈だった。
 けれど…今は、少しずつその関係が変質しつつあった。
 其れを認めざる得なかった。

(お前という存在は…どれだけ、俺の中に浸食して…俺を変えていって
しまうんだ…? 全く、俺らしくない…どうして、お前の身に危険が迫っている事に
対して…ここまで、動揺して取り乱しているんだか…)

 走りながら、眼鏡は自問自答を繰り返していた。
 見えてしまった本心に、困惑して混乱して…認めたくない気持ちがまた
ジワリと浮かび上がってくる。
 だが、立ち止まる訳に行かなかった。
 少しでも早くあいつの元に行かなければ、今はそれだけに専念して
全力で走り続ける。

「くそっ…! 車の一台でも、気を利かせて用意したらどうなんだ…!
徒歩じゃ限界がある…!」

 心底苛立ちながら、思わず叫んでいってしまう。
 その瞬間、一瞬だけ思ってもみなかったものに出くわしていく。

「…御堂?」

 そう、今…自分が向かっている方角に向かって一台の車が走り抜けていき、
一瞬だけ運転している人物が目に入っていった。
 其れに気づいて…瞬間、足を止めていってしまう。

(どうしてあいつが…俺と同じ方向に向かっているんだ…? 一体、何が
こちらの知らない処で動いているんだ…?)

 Mr.Rから澤村が克哉に害を加えようとしているという大まかな事は
聞かされていたが…その詳細までは知らない。
 そしてこの局面で、自分が向かっている方角に対して御堂の車が
向かっている事は…果たして偶然なのだろうか?
 けれど…その光景を見て、自分も徒歩でチンタラと向かっている訳には
行かないと思い知った。
 
(…チッ、徒歩であいつが言っていたホテルに向かったら…それこそ、いつ
到着するか判らない…。もしかしたら、道を間違える可能性すらある…!
この辺りの地理は元々そんなに詳しくないからな…)

 焦燥感を覚えていきながら、素直にその事実を認めていった。
 瞬間、一台の黄色いタクシーが目に入っていく。
 今の彼は自家用車こそないが…タクシーに乗って目的地に向かえる程度の
手持ちは持っている。
 その瞬間、眼鏡は即座に決断していき…大急ぎで駆けよって声を
掛けてタクシーを止めていった。

「おい! 其処のタクシー…止まれ! この先にあるセンチュリーホテルまで
大急ぎで向かってくれ!」

 そして形振り構わず、必死の形相で叫んでいった。
 即座にタクシーの扉が開かれて、大急ぎで飛び乗っていく。
 こちらの剣幕に押されたのか、タクシーの運転手は酷く強張った顔をしていたが
無言のまま車を発車して…向かい始めていってくれた。

―どうか無事でいてくれ…! 『オレ』…!

 切実にそう願っていきながら、眼鏡はそうしてタクシーで急いで目的地へと
向かい始めていったのだった―

 
 
 
 さりげに…本日で、このブログを開設してから丸三年目を
迎えました。
 2007年10月28日に勢いで開いたサイトが、こうして三年も
継続するとは感慨深いです…(ホロリ)

 当時は色んな事があったし、最初は100日間だけ一先ずリハビリに
始めてみよう…と決めて開いたサイトが、気づいたらこれだけ長い期間
続けられたってだけでもびっくりです。
 開いた頃のように毎日、一本作品をアップしていくのはもう無理ですが、
これからもまったり、自分のペースで運営を続けていく事にします。

 いつもサイトに通って下さっている皆様、どうもありがとうございます。
 そうして見に来て下さっている方がいるからこそ…たまに挫けそうになっても
細々と続けて来られましたので。
 ここに一言、お礼を伝えさせて頂きます(ペコリ)
 どうぞこのブログを今後も宜しくお願いします(^^)
 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―克哉は目覚めた時、自分の置かれている状況が
とても信じられなかった
 
 瞼を開けば、目の前に広がる光景は…無機質で、生活感が全く感じられな
いホテルの部屋だった。
 確か自分は昼休みに屋上に行って思案して、現状を少しでも整理する為の
決意を固めた筈だった。
 その為に本多にメールを送信して…話をする為に呼び出しをした。
 其処までの記憶はあるのだが、それ以降の事が全く思い出せない。
 
(…なのにどうしてオレはこんな所にいるをだ…? どうやらどこかのホテルの
一室みたいだけど…?) 

 しかもビジネスホテルの一室っぽい雰囲気が漂っていた。
 ある程度の格調の高いホテルのある程度の値段の部屋ならば、置いてある
インテリアを見るだけで一線を画しているからだ。
 けれど無味乾燥とも言える内装を見る範囲では、此処は…高そうな部屋とは
言える感じではなかった。

「やあ…目覚めたかい? 克哉君…?」

 状況を少しでも判断しようと周囲に目を凝らしていると…唐突に
誰かに声を掛けられた。
 そちらの方に克哉が視線を向けていくと…深い紺色のスーツに赤いフレームの
おしゃれ眼鏡を掛けた若い男が、近くの椅子に腰を掛けてこちらを眺めていた。
 克哉はベッドに両手を後ろ手に拘束された状態で転がされているのに
対して相手はこちらを見下すように椅子の上から見つめて来る。
 その舐めるような視線が不快だったが、同時に猛烈な違和感を
覚えていった。

「…くくっ、良い格好だよ克哉君…! 昨日、僕を殴りつけて来た君には
それぐらいのお仕置きをしないと割が合わないよね…?」

「昨日、殴りつけた…?」

 其れは全く、克哉にとって身に覚えのない事だった。
 無理もない…もう一人の眼鏡を掛けた方の自分が、彼の預かり知らぬ
処でやった事なのだから。
 しかしそれ以前に、根本的な問題があった。

「あの…すみません。状況が全く理解出来ないんですが…。一つ、
質問させて貰って良いですか?」

「嗚呼、良いよ。何でも僕の答えられる範囲だったら答えてあげよう…」
 
 この時、澤村の口元には自分が圧倒的に優位に立っているという自信が
あったから…余裕たっぷりに答えていった。
 だが、克哉の口から放たれた一言はそんな彼の優越感もプライドも全て
一瞬にして吹き飛ばす破壊力を持っていた。

「あの…じゃあ、貴方誰ですか? オレ…貴方の事なんて全く知らないんですけど…。
何で初対面の方にこんな仕打ちをされないといけないんでしょうか…?

 ピシッ!

 その言葉が耳に届いた瞬間、澤村のちっぽけなプライドや優越感は…
粉みじんになって砕け散った。

「はっ…? 君は一体、何を言っているんだ…? 僕が君の事を判らないだなんて、
そんな事がある訳…ないだろう!」
 
 その瞬間、澤村は大いに動揺しまくっていた。
 さっきまで浮かべていた余裕の表情はどこへやら、心臓はバクバクいって
全身から冷や汗を滲ませている素晴らしい状態に陥っていた。

「いいえ、すみません。オレは…貴方の事を全く知りません。…何処のどちら様なのか
出来れば教えて頂けますか?」

「はうううっ…!」

 克哉が本心からそういっているのを感じ取って、澤村は心理的に多大な
ダメージを受けていった。
 そう…現在の克哉の人格は、澤村と決別した小学校の卒業式の日を
境に生まれていた。
 そして己の心を守る為に、当時の佐伯克哉は…親友だった少年の事を
忘れる事で正気を保ったのだ。
 その為、それ以後の人生を生きる今の克哉にとっては…澤村紀次という存在は
一回も顔を合わせた事のない他人と同じ意味を持っていた。

「嘘だ、嘘だ! 君が僕の事を忘れる訳がないぃぃぃ!」

「いえ、ですから本当に知らないんです。せめて名前だけでも教えて頂けないと
オレも困るんですよ…。そちらをどう呼べば良いのか判らないから…」

「うぉぉぉぉぉ!」

 ショックの余りに、澤村は取り乱していった。
 そんな佐伯克哉の身に起こった事情など一切知らない事から…自分の事を
覚えていないと言われて、相当な心理的なダメージを被って叫び始めていった。
 当時澤村紀次は良い意味でも悪い意味でも、佐伯克哉を意識していた。
 其れが間違った方向にいったから陰湿ないじめという形で現れてしまったが…
どんな形でも、幼馴染みで親友であった佐伯克哉という存在は彼にとっては
大きな位置を占める存在だったのだ。
 其れに忘れられてしまったという、しかも相手が本気で言っているのだと感じ取って…
其処から復活するのに、若干の時間を要していった。
 カタカタと両肩を大きく震わせて、克哉から目を逸らして精一杯深呼吸をして…
自分の心の安定を計り始めていった。

―そして、その彼が復帰するまでに要したこの時間こそが…大きく運命を
分ける事になる事を…まだ二人とも知らないまま、克哉は澤村が混乱している
隙に必死になって状況判断をする事に、冷静に意識を傾けていったのだった―
 


※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
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 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―澤村紀次が謎の宛先から来たメールの通りに、指定された場所に向かうと…
其処には後ろに手を纏められた形で両手首を縛られて猿ぐつわをされて、
茂みの中に転がされている佐伯克哉の姿が其処にあった
 
 彼は其れを見つけて、得体の知れない相手に対しての畏れと
言いようのない高揚感を覚えていった。
 
「はは…ははははっ! ほ、本当にいた…! まさか、昨日あんな風に
僕を殴った克哉君がこんな格好で地面に転がされているとはね!
 あははは! 良い気味だ!」
 
 そしてその姿を見た時、昨日された事に対しての屈辱や怒りなど
何もかもが吹っ飛ぶ気がした。
 真っ昼間のオフィス街で一人の人間をこんなに堂々とさらって拉致して…
こんな場所に転して、こちらに其れを回収するように指示された時は
相手の正気の沙汰を疑った。
 だが、澤村はその正体の判らない相手の指示に一回は従ったからこそ…
夜の公園で、御堂と克哉がセックスしている場面に遭遇出来たのだ。
 
―貴方の敵を、もっと追いつめてみませんか? 私の指示に従って頂ければ
最も効果的な方法で御堂様を追いつめる為の材料が手に入りますよ…?
 
 メールの最後にはそう記されて、このキクチ・コーポレーションの近くに
存在する小さな公園の茂みに来るように、その際には近くまで車で
乗り付けて来るように記されていた。 
 
(顔も知らない相手の指示に従うなんて薄気味悪いけれど…もう、
僕には後は残されていない…。MGNの手を何が何でも引かさない限り…
僕はもう、クリスタル・トラストに在籍する事も出来なくなってしまう…!)
 
 現在の澤村の社内での立場は、追いつめられたものだった。先日、
MGNが満を持した新商品として発売したビオレード。
 其れの為にクリスタルトラストは間接的に大打撃を被る形となった。
 次の新商品の開発を中止に追い込むか、または大幅な発売延期を
しない事には…下手をすればその関連会社は潰れる形になるかも知れない。
 その為の工作員として澤村は抜擢された。
 
(だが、これは…失敗すれば僕にとって致命傷になる。リストラされても
文句がいえない状況に追いやられる。だからこそ…絶対に失敗する
訳にはいかないんだ…!)
 
 急鼠、猫を噛むという諺がある。
 ネズミのような小物でも追いつめられれば自分よりも遙かに大きくて
強い猫に向かって噛みつく事もあるという意味の古い格言だが、今の澤村は
まさにその状態だった。
  生来の卑怯さに加えて、今在籍する会社にいられるかどうかの瀬戸際の
前には…モラルなんてものは見事に消し飛んでいた。
 
(それに…君の身体で、昨日僕を殴りつけた事に対してのツケを
存分に払って貰う事にしよう…!)

 同時に、澤村の脳裏には…昨晩の御堂と克哉とのセックスがチラリと
過ぎっていった。
 喘ぎ声に紛れて、はっきりとは言葉のやりとりが聞きとれない事も多かったが
御堂はあの時、しきりに彼に対して…「好きだ」と「愛している…」を繰り返していた。
 今頃、あのビデオはMGNの御堂の元に届けられているかも知れない。
 偽名と架空の住所を使って届けた訳だが、あれが何であるかを遠まわしに
示唆した…パソコンで打ち込んだ文書も添えてある。
 それだけでも充分かも知れないが、更に御堂に追い打ちを掛ける為には…
今、転がっている克哉は充分な素材だった。

(例えば愛して止まない存在が…僕の手にとって、散々いたぶられて、
啼いている声を電話で聞かせたら…どんな反応を見せるんだろうね…)

 其れは立派な犯罪行為だ。
 けれど澤村はその辺の悪辣な行為に対しての嫌悪感などすでに失って
久しいし…天下のMGNの部長に、一泡吹かせられるならそれぐらいの事など
何でもないように思えてくる。
 チラリ、と克哉を見る。
 仄かに甘い芳香の残り香を感じた気がした。
 御堂に激しく貫かれた日、克哉は潜在的に彼に対して強い感情を抱いている
存在の想いを引き出す…特殊な香りを纏っていた。
 そして…セックスの場面を多少離れていたとはいえ…澤村は撮影して、
知らぬ間にその甘い毒に犯されていたのだろう。
 
「…くくっ、君を屈辱に震わせながら屈服させる事が出来たら…其れは
最高のエクスタシーだろうねぇ、克哉君…。今…その為のステージに
君を連れてってあげるよ…!」

 そうして愉快そうに微笑みながら、彼を車まで苦労しながらも
運んでいった。
 自分と同体格ぐらいの男を運ぶのは並大抵の労力ではなかったが…
この後に待ち受けているショータイムの事を考えれば、それぐらいの事は
何でもないように思えてくる。
 しかも何故かオフィス街の真っただ中にあるというのに…澤村が克哉を
車に運ぶ間、一切の人通りもなく…車の通りすらなかった。
 見えない何かによって、世界までも操られてしまっているような奇妙な
感覚を覚えたが…克哉をこれから存分に弄りものに出来るという高揚感が
あった為に彼は深く考える事はなかった。
 そうして克哉をトランクルームに詰め込んで、澤村は公園を後にしていく。

―その口元に邪悪な笑みを讃えていきながら…








 とりあえず先日、10月24日に開催されていた三崎のマグロ祭りに
母さんと…オカンのイトコに当たるオバサンと三人で行って来ました。
 4年ぐらい前に一度、来た事があって以来…顔を出していなかった訳ですが、
結構楽しかったです。

 三崎=マグロ、というぐらいこの界隈ではマグロが名産品な訳ですが。
 何せ良いマグロをウリにしているお寿司屋さんや海鮮丼を扱っているお店は
それこそ山のように軒を連ねている土地柄です。
 マグロ祭りでは、普段は高くて買えないような部位を安く売ってくれていたり、
マグロ釣りが楽しめたり、船で城ケ島に渡ってお土産物やサービス品のサザエを食べたり、
スタンプラリーを回って記念品を貰ったり、小さいけれどフリーマーケットが出店しているから
色んな物を見て回ったりと…意外と見処は沢山あります。
 しかし自宅を八時半に出たら…今年は会場近くの駐車場にギリギリ入れた、という
ぐらいいっぱい人が来ておりましたよ…。

 香坂がこの日食べたのはくろば亭の「マグロカルビ丼」と、マグロのトロ三貫の握り、
まぐろラーメンに、玉こんにゃく、それとそのままメロンをミキサーに掛けて作った
ドロリと濃厚なメロンジュースにマグロのハツに、マグロのモツ煮込み。
 それとは別に土産物としてイカの塩辛と3個で500円の明太子、シラス、
そして大量のはろうキティを購入しました。
 …一番、情熱と金を注いだのがはろうキティっていうのはどうなのよ。
 まあそれはさておき…一番美味しかったくろば亭のマグロカルビ丼の写真は
こんな感じです。



 マグロの中落ちとか、血あいが混じった部位を特製のタレに浸け込んで
作っている感じなんですが…このタレの味がマジで美味しくて、同時に焼いた
マグロの肉が香ばしくて、これは美味い! とこの日一番の大当たりでした。
 オカンいわく、くろば亭っていうのは「愛の貧乏脱出大作戦」にて取り上げられた
店で…今でも、そこそこ有名なマグロの創作料理のお店なんだそうで。
 有名なのは頷ける、というのをこの一杯で感じだぜ!
 まぐろラーメンも、まぐろの握りも美味しかったけど…この日食べた物の
中でダントツはこれ! と断言出来ます。

 それとマグロ祭りの恒例、1000円買うと一回ガラガラの福引を試せるんですが、
今年は自分で購入したのが一回分しかなかった為に、さてどうかなって思ったら…。

 今年も三等のワカメを引いてしまいました!

 …いや、四年前に来た時もさ…4回引いたら、二個塩蔵ワカメを引き当てたんですが
今年は一回しか引いていないのにこれが来たよ…。
 どれだけワカメに愛されているんだよ私…(汗)
 思わず引いてしまった時に「またかよ!」と叫んでしまったのは秘密ですww

 そして一通り回った後にフリーマーケットの方に顔を出したら…カバンや沢山の
アクセサリーが悩んでいようが、私の興味は真っすぐにはろうキティに注がれて
おりました。
 4年前に普段400~700円前後で売っているのが一個200円程度で扱って
いるのを覚えていたからです。
 そしてはろうキティが沢山並んでいる店を発見したら、お店の人に声を
掛けられました。

「もしかしてキキララのお姉さんじゃないですか…?」

 …声を掛けられてびっくりしたんですが、言われてみればこっちもお店の人に
見覚えがあります。
 どうもどっかのフリーマーケットか、このマグロ祭りに来た時のどっちかに
顔を合わせた事がある模様。
 そしてまた来てくれたお礼、という事で何か二つ分おまけしてくれるって
いうのでそのお言葉に遠慮なく甘えさせて頂きました。
 以下、この日買ったはろうキティ15個の写真~!



 …今までの人生で一日にこんなにはろうキティを一度に購入したのは
生まれて初めてです。
 どうもこのお店の人は仕入れ元らしく、卸値で売っているからこの安値で
売りさばけるらしい。
 おまけをしてくれてありがとうお姉さん。私は非常に嬉しかったです。

 …という事で、マグロ祭りに行ったのに一番の収穫ははろうキティだったと
いうオチで今回は締めさせて頂きます。ちゃんちゃん♪

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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