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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

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―御堂孝典は、ゆっくりとベッドの上で目を覚ましていった

 最初に目に飛び込んで来たのは見知らぬ天井だった。
 一体此処はどこなのだろうか、とぼんやりと考えながら身体を起こして
周囲を見渡していけば…目の前に燭台と、一人の男の姿が飛び込んで来た。

「克、哉…?」

 一瞬、我が目を疑った。
 自分のすぐ傍らに腰を掛けた状態で…佐伯克哉がこちらを見つめていた。
 だが、明らかに大きな違和感があった。
 眼鏡を掛けて怜悧な眼差しを浮かべている彼の姿には見覚えがあった。
 しかしそれは初対面の時以来、見た事がないものでもあったからだ。

「…やっと目覚めたか。気分はどうだ…御堂?」

「え、今…何て?」

 再び、相手の呼び方に猛烈な違和感を覚えていく。
 彼はいつだってこちらの事を、「御堂さん」か、「御堂部長」と礼儀正しく
呼んでいたのだから。
 こんな風に傲岸不遜に、呼び捨てにするなど…とても考えられなくて、
大きく目を見開いていくと…彼は愉快そうに微笑んでいった。

「…何だ、そんな鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして。嗚呼…
そういえばあんたと俺が顔を合わすのは相当久しぶりになる訳だしな。
あいつの方とばかり接していたらまあ…それも無理はないか…」

「…おい、君は一体…さっきから何を言っているんだ…?」

 話せば話すだけ、違和感が増してくるばかりだった。
 頭がぼんやりして…上手く思考回路が纏まってくれない。
 何故、自分はベッドの上で眠ってなどいるのだろうか?
 確か直前まで…克哉は拉致をされていて、赤いおしゃれ眼鏡を掛けていた
男にホテルの部屋の中で辱められていて、その中にいきなり本多が飛び込んで
来て…それで…と、其処までが御堂の記憶だった。
 それ以後、強烈な睡魔を覚えて意識を閉ざした後の事までは判らなかった。
 しかし其処まで思い出した時…更に、大きな疑問が生まれていった。

(…あの二人は、何処に消えたんだ…? あの赤いおしゃれ眼鏡をした男と…
本多君の姿が、室内のどこにも見られないんだが…?)

 燭台の火が部屋の中心で大きく揺れている処から見ても、此処がさっきの
部屋と同じである事は疑いないだろう。
 近代的でシンプルな内装に、中世風の燭台は恐ろしくミスマッチだからだ。
 けれど…何処を見渡しても、本多と澤村の二人の姿は見つける事は出来なかった。

「…なあ、克哉…。私と一緒に部屋の中にいた二人は一体…何処に行って
しまったんだ…? 此処は、さっきの部屋と同じ筈だろう…?」

「ああ、あの二人ね。…あんたと二人きりで話すのに邪魔だから、あの男に
言って丁重に自宅に送り届けて貰った。…今頃は自分の部屋で目を覚まして
いる頃だろうよ…」

「自宅に、送り届けただと…?」

「ああ、そうだ…。俺のすぐ傍には…そういう事をあっさりとやってのける
便利で妖しい男がいるんでね…」

 あの男、と言う呼ばれ方をされて…何故かとっさに頭の中に思い浮かんだのは
先程…自分にカードキーを渡した黒衣の男の顔だった。
 何故、そう思ったのか判らない。けれど、そういう言われ方をした時に…
何となくそう感じたのだ。
 普通に考えれば一人の人間が、二人の人間を自宅に送り届けるような真似を
するのは酷く困難な事だ。
 しかし…良く思い返してみれば、この部屋の本来ありえない筈のもう一枚の
カードキーを用意して、この部屋に招き入れた事を思い出せば…あの男性なら
それくらいの事は平然と出来るような、そんな奇妙な納得も同時に感じていた。

「…その点には多少納得がいかない部分があるが…今はそれは置いておく
事にしよう。だが…どうして、私だけこの部屋に残したんだ…?」

「ああ、それは単純だ。あんたと話したい事が俺にはあったからだ…。
もう一人の『オレ』を、俺の許可なく一方的に抱いた事に関してな…」

「はっ…? もう、一人の『オレ』だと…?」

 そういう言い回しをされて、御堂は猛烈に違和感を覚えていった。
 真っ先に思い浮かんだのは眼鏡を掛けていない…儚く笑う、いつもの
克哉の姿だった。
 確かに言われてみれば…眼鏡を掛けている今の彼の姿はまさに
普段と別人と言っても過言ではなかった。
 しかしこの物言いでは…まるで、佐伯克哉という人間が二人いると言っている
ようなものではないか。

「…君はさっきから、奇妙な言い回しをするな…。あいつと言ったり、もう一人
『オレ』などと言ったり…。それではまるで、佐伯克哉という人間が二人いると
言っているようなものではないのか…?」

「ああ、その通りだ。…俺達は、今…二人で同時に存在している。眼鏡を
掛けている俺と…眼鏡を掛けていない、気弱な『オレ』とな…。そしてあいつは
俺の所有物でもある…。その所有物を、勝手に抱いたあんたに…俺はどうしても
一言いいたかったものでね…。だからこうして、あんただけはこの部屋に残させて
貰った訳だ…」

「はっ…? 君はそれを、本気で言っているのか…?」

 相手があまりに当たり前と言った感じで佐伯克哉が二人いるという事実を
認めた為に余計に御堂の混乱は強まっていった。
 だが、眼鏡の目は…正気で、強いものだった。
 そうしている間に…傍らに腰を掛けていた相手の顔がこちらに迫って
見下ろして来ているのに気づいて…何故か、本能的な危機感を覚えていった。

「おい、何故…そんな風に顔を寄せてくる…?」

「ほほう、実につれない反応だな。もう一人のオレとは何度も深く口づけたり
抱いたりした癖に…俺の方では、顔を寄せただけで拒絶反応とは…」

「…君に、そんな事をされる謂われはない。良く判らないが…君は私が心底
愛しいと思っている克哉とは違う。その事は理解している…。だからそれ以上
こっちに顔を寄せないでくれないか…?」

「いいや、これでお前がした事を帳消しにしてやるつもりだからな…。
俺のものに勝手に手を出した事に対しての罪をな、お前の身体で贖って
貰う事にする…」

「はっ…?」

 あまりに予想外の事を言われて、御堂の思考回路はショートしそうになった。
 一体相手は何を言っているのか、理解したくなかった。
 その時一瞬、もう一人の克哉は果たして何処にいるのか疑問に覚えていたが…
その件も綺麗に吹っ飛び、目の前の危機に意識が集中していった。
 だが満足に頭も体も動いてくれない。
 全身が金縛りにあったように自由が効かない身では相手を突き飛ばして
逃げ出す事すら敵わなくて…。

「…他の男が、あいつに手を出して好きなようにするのは許せんからな…。
だが、俺のものになった奴が…同じく俺のものであるあいつに手を出したなら…
それは所有物同士のじゃれあいに過ぎないからな…。だから、あんたも…
俺のものになって貰うぞ…」

「ひ、人をもの扱いするな…! ふざけるな、冗談じゃ…!」

「悪いが、俺は本気だ…。だから言っただろう…あんたに身体を持って
罪を贖ってもらうとな…」

 そうして眼鏡は、傲岸に微笑んでいった。
 御堂はそれに本能的な恐怖を覚えてベッドの上で逃げ惑っていった。
 しかし無理やり抑え込まれていき…・。
 

―其れから後は、御堂にとって実に不本意な時間が展開される羽目に
なっていったのだった―



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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