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思いっきり鼻風邪引きました。
…別に普通に食欲はあるし、仕事も普通に出来るんですが…
鼻づまりが酷い為に集中力が落ちまくったり、何か息苦しくて熟睡
出来なくて微妙に、小説書くのには影響が出ていてイヤンです。
何て言うか熟睡出来ないので、頭が今週はモヤが掛かったように
なっててマジで捗らない…。
早く治って欲しいものです。
しかし風邪引いても、大抵香坂の場合普通に動けます。
食欲落ちる事は稀で、会社も休む事は滅多になりません。
基本的に重篤化しないのは有り難いんですけどね。
今週、そんな訳でちょっと更新ペース、佳境に入っているのに落ちてて
マジですみません。嗚呼、頑張って今月中には今の連載は終わらせたいものです。
うにゃ~!
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。
恋人の条件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
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41 42
眼鏡から与えられた口づけは、最初は伺うような感じだった。
だが克哉は相手ともっと近づきたくて、同時に触れ合っていたくてしがみつく
ように抱きついていけば徐々に深いものへと変わっていく。
胸の中に湧き上がる幸福感。
それと同時に、眼鏡以外の相手に触れられて良いようにされてしまった
自分を責める気持ちがジワリジワリと広がっていく。
相手の舌先が口腔を弄り、官能を引き出していくと…肉体的だけでは
ない快楽が、徐々に生まれ始めていった。
(凄く、気持ち良い…。本多や、太一や…あの澤村って人に触れられた
時と全然違う…。本多や太一の事は嫌いじゃないけど、やっぱり…
『俺』や御堂さんに触られている時って…触れられている感覚が全然違う…)
快楽には、精神的な要素も大きく作用する。
肉体的に快感を与えられても、強引に引きずり出されても…自分が思いを
寄せている相手か、そうじゃないかによって大きな差が生まれてくるのだ。
皮肉な話だが、他の人間に触れられたからこそ…余計に、もう一人の自分が
特別な存在である事を自覚した。
そして強引にこちらを抱いた御堂に対しても、心を寄せつつある事実に…
胸が軋み始めていった。
他人に触れる、関わる形で…自分の中で、相手の存在がどんな位置を占めて
いるのか…物差しを得る事が出来る事もある。
一対一で向き合っている頃は、それが見えなかった。
けれど今は…どれだけ、眼鏡が自分にとって特別だったのか判ってしまった。
だからこそ…キスが解けた時、克哉は自然に呟いて…涙を零して
しまっていた。
「…ゴメン、本当にゴメンな…『俺』…」
「…何を、お前は謝っているんだ…?」
「…オレ、ここ数日…全然、貞操を守る事なんて出来なかった…。御堂さんに
抱かれて、本多や太一にも言い寄られて…そして、あの澤村って人に浚われて
良いようにまでされてしまった…。お前の事を好きだっていうのなら…オレは、
必死に抵抗しなきゃいけなかったのに…。結局、どうにか自分の意思できっちりと
断る事が出来たのは太一だけで…後は、流され続けてしまっていた…。
こんな情けないオレで、本当に…ゴメンな…」
克哉は今にも涙を零しそうな…潤ませた瞳でそう告げていく。
だが、すでに謝罪は一昨日に顔を合わせた時に聞いているからこそ、
眼鏡はシニカルな笑顔を浮かべて、平然と言い放っていった。
「…もう良い。それ以上、自分を責めるな。ただでさえ情けない顔が余計に
目も当てられない事になるぞ…」
「おい! 何だよその言い方! 自分だって同じ顔の造作をしている癖に…!」
「確かに認めたくないがお前と俺の基本的な顔の作りは一緒だ。だが目つきや
雰囲気によって大きく印象は異なるからな。俺はお前みたいに背中を丸めて
しょんぼりなどしないし…眉を大きく下げたり、だらしない目つきをしないように
心掛けているからな…」
「ああ、だからお前の方が何となく目つきが鋭いのか…。って、そんな話じゃなくて
茶化すなよ。特に御堂さんの件は…本気で、申し訳ないって思っているんだから…。
オレ、あの人に惹かれつつあって…全然、お前の事を一途になんて思えなくて…
それで、どうすれば良いのか…答えが見つから、なくて…」
「ああ、御堂の事は気にしなくて良い。たった今…あいつも俺のものに
してきたからな」
「…はあ?」
さも当然と言わんばかりに、平然とそんな爆弾発言をされて克哉の思考回路は
一瞬にしてショートしようになった。
だが…その言葉の意味を理解した途端、克哉は真剣に卒倒したくなった。
何と言うかダラダラと全身からドっと汗が溢れてくるのが判ってきた。
胸が何か嫌な感じに激しく脈動して、アドレナリンが分泌されているのが判る。
克哉は真剣にその事実を認めたくないと逃避したい衝動に駆られたが…今の
言葉の真偽を確認しない事には、却ってモヤモヤしそうだったので…どうにか
覚悟を決めて尋ねてみる事にした。
「あ、あの…一つ聞いて良いかな? 俺のものにしてきたって事は…お前、もしかして
御堂さんを…?」
「ああ、お前がニ時間ばかり意識を失っている間に…御堂を抱いて来た。
今頃、隣の部屋であいつの方もぐったりしていると思うぞ。…二発は
注いでやったからな…」
二発、という具体的な数字を聞いた瞬間、克哉はカッとなった。
自分だって御堂に抱かれているというという引け目があった。
けれど…胸の中に湧き上がる強烈な衝動は、紛れもなく嫉妬で。
もう一人の自分が他の人間を、御堂を抱いたという事実によって…克哉は
本気で憤りを覚えていった。
「バカ! バカバカ!! お前…何て事をするんだよ! 信じられない!」
そうして泣きじゃくりながら、パン! と大きな音を立ててもう一人の自分の
頬を思いっきりひっぱたいていった。
こんな風にもう一人の自分に対して怒った事も、引っ叩いた事も初めての
経験で…終わった後、克哉は自分の行動に茫然となった。
(しまった…衝動的に『俺』に手を、出してしまった…!)
その事実に、血の気が引く思いがしたし…その場から逃げ出したい衝動も
同時に生まれて来た。
しかし克哉はキっと眦を上げて…もう一人の自分を見据えていく。
「…確かに、御堂さんに抱かれたオレに…こんな事を、お前に言う資格なんて
ないのかも知れないけれど…。けど、オレ…お前が他の人間を抱くなんて
嫌だ! 我儘かも知れないけれど…オレ以外を、抱いたりしないでよ…」
それは、初めて克哉が見せた相手に対しての独占欲だった。
こんな事を言ったら、もしかしたら嫌われるかも知れないと思っていたから
ずっと言えないでいた言葉だった。
けれど眼鏡が御堂を抱いた、という事実が…今まで克哉を縛っていた
枷を粉々に砕いていく。
「…お前、初めて…俺の顔色を伺わないで、自分の本音を言ったな…」
「えっ…?」
克哉のその言葉に、何故か眼鏡は微かに笑っているようにすら映った。
相手の反応を不思議そうに克哉が見つめると同時に…力強く、もう一人の
腕の中に引き寄せられて、キツク抱きすくめられて…シーツの上に
組み敷かれていったのだった―
通販について、今晩中に現在の時点で申し込みを
して下さった方に対して振込み詳細メールを発送致します。
商品の発送は振込みを確認後になります。
遅くても現時点で申し込んで下さった方は今週の日曜日には
メール便にて発送致します。
後、月と銀剣は二部だけヒョコっと見つかったから残部極小と
記した上で取り扱い致しましたが…すでに二件、申し込みをされて
しまったので取り扱い終了致します。
他の本に関しては残部についてはまず心配ないと思います。
ただ、どうしても欲しい! という方が一人でもいらっしゃれば、
月と銀剣はコピー本なので改めて刷り直して販売することも
検討します。
ですが、希望者の分だけ刷り足すのは今回の通販期間中だけなので…
これ以後、このコピー本の販売は終了する予定です。
(イベントでは、今後机の上に並ぶことはございません)
予めご了承下さいませ。
それでは業務連絡でした。ではでは~!
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。
恋人の条件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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―克哉が目覚めたのは、澤村に拉致された場所の隣に位置する部屋だった
ここ数日、色々と葛藤して悩んでいた疲れもあったのだろう。
彼を救出する為に使った強烈な眠りを誘発する香のおかげで…相当に
深い眠りに陥っていた。
そのせいだろうか、目覚めた時の気分は極めてすっきりしていて…
この三日間で一番、晴れやかな目覚めでもあった。
軽く身体を起こして周囲を見回していくと、内装の方は殆ど違いはなかったのだが
微妙に違和感を覚えていった。
「あれ…? ここは…?」
「目が覚めたか…。こっちは待ちくたびれたぞ…」
「えっ…? もしかして、『俺』…? どうして、此処に…」
「…随分な言い草だな。お前を助けてこの部屋まで運んで来てやったのは
俺なのにな…。あのまま俺が介入しないままだったら、もしかしたら澤村以外にも
御堂や本多辺りにも良いようにされていたかも知れないんだがな…?」
その言葉を聞いて、克哉は瞠目していった。
眼鏡からそう言われた事をキッカケに、意識が落ちる直前の様子をぼんやりと
思い出していった。
澤村にバイブを挿入されて弄られている時に、御堂と本多が乱入して来て
その様を見られてしまった事。
そして喧々諤々の展開になっていた時に、猛烈な眠気を覚えてそのまま
寝入ってしまった事を思い出していった。
(そうだ、オレ…あの赤い眼鏡を掛けた人に…良いようにされてしまったんだっけ…。
幸い、抱かれるまでは至らなかったけれど、あの人に手を出されてしまったのは
事実だ…。オレ、本当にそういう事態に陥った時は無力だよな…)
そういえば、三日前にMr.Rから二週間程度、貞節を守る事が出来れば
もう一人の自分に会わせてくれるという条件を出された事を思い出していく。
なのに蓋を開けてみれば、二週間どころか…たった三日の間ですら自分は
貞操を貫く事すら出来なくて。
その事実に本当に鼻がツンと来て泣きたくなってしまった。
「あ…あの人、澤村って言うんだ…知らなかった。…オレの方には全く見覚えも
記憶もない人だったし、名前も判らなかったから正直惑っていたけれど…
そうか、たまにオレが夢に見ていた…泣きながら、こっちに向かって必死に何か
言っていたあの少年は…そういう名前、だったんだね…」
「…お前、その事を覚えているのか…?」
「あ、うん…。昔からたまに夢に見ていたから…。オレはずっと、その夢が
何なのか判らなくてモヤモヤしていたけれど…あの人に拉致されて色々と
話している内に…澤村って人が、たまにオレの夢の中に出ているあの泣いている
少年だっていうのだけは…何となく、判ったんだ。名前は今…お前に聞いて
初めて知ったけどね…」
「…そうか、お前の方にもあいつの記憶は存在していた訳か…。
其れは正直、意外だったが…元々は同じ身体を共有している訳だしな。
多少の記憶の流出や共有とかが起こっていても不思議ではないか…」
「うん、そうだね…。オレ達二人は…元々、同じ人間なんだからね…」
克哉がぼんやりと呟いた内容に、今度は眼鏡が驚く番だった。
其れは佐伯克哉という人間にとって、人生の中で最も痛手を負った記憶。
そして彼らの心が二つに割れる、キッカケの出来事でもあった。
けれど眼鏡のその後の言葉を聞いて、再び現実というのを思い知らされていく。
自分達はRの不思議な力が左右しているから…こうして今はそれぞれの
身体を持って、言葉を交わす事が出来ている。
けれど…其れがなかったら、自分達はこうして向かい合って話したり触れ合う
事など出来ないままだったのだ。
その現実を改めて思い知らされて…克哉は無意識の内に唇を噛みしめていった。
(やっぱり…オレがこいつを好きな事って…許されない事なのかな…?)
こうして向き合って話しているだけでも、胸の中にジワリと甘い感情が
広がっていくようだった。
こんな気持ちを、抱いたのは生まれて初めてで…だからこそ余計に、
それがもう一人の自分である事に切なささえ覚えていった。
真摯な眼差しで眼鏡を見つめていく。
大好きで仕方なくてただ相手を見ているだけで…二人きりでいるというだけで
身体の奥が疼いていくようだった。
―コイツに、触れて欲しい…。そして、オレからも…触れたい…
そんな気持ちが葛藤しながらも芽生えて、克哉は恐る恐る…眼鏡の
頬にそっと手を伸ばして触れていった。
相手の頬の感触が、酷く心地良く感じた。
それと同時にごく自然に言葉が零れていった。
「…大好きだよ…『俺』…。こうしているだけで、泣きそうになるくらい…」
今にも泣きそうなぐらいに瞳を潤ませながら、そう呟いていく。
一緒にいるだけで…幸せで、ドキドキして…どうかなってしまいそうだった。
眼鏡はそんな克哉を、静かに見つめていく。
「…そうか…」
そして眼鏡は、静かに目を伏せていきながらこちらの方に顔を
寄せて来た。
今は…余計な言葉など、何もいらなかった。
他の人間の事も、考えたくなかった。
もしかしたら貞節を守れなかった事。何度も他の人間に良いようにされた事を
眼鏡は内心怒っているかも知れない。
けれど…今だけは、こうして触れる事を…眼鏡を感じる事を許して欲しかった。
「ん…もっと、キスしたい…」
唇が一瞬だけ重なっていけば、離れた瞬間に思わずそう呟いていってしまった。
そしてその声が聞こえると同時に…眼鏡からの口づけは、熱のこもった
情熱的なものへと変わっていったのだった―
こんにちは香坂です。
本日から久しぶりに通販の受付を取り扱いさせて
頂きますね。
受付期間は11月14~30日までになります。
発送の方は、申し込みから数日~10日程度を目安に見てやって
下さいませ。
メール便にて発送しますので、送料を安く抑える事が出来る代わりに
若干の日数が掛かる事を予めご了承くださいませ。
今回はこちらも通販に慣れて来たのでオフ本の他に、既刊の
コピー本の方も取り扱いさせて頂きます。
地方に住んでいて関東のイベントになかなか来れないよ~! と
いう方はどうぞご利用下さいませ。
今回の通販のラインナップ(全部小説本なので、ご了承下さい)
オフ本
INNOCENT BLUE(克克新婚本1 100P おまけ本付き) 1000円
LUNA SOLEIL (克克新婚本2 116P)1000円
幻花繚乱(御克前提 澤村&眼鏡シリアス本 44P)500円
胡蝶の夢(6月28日新刊 克克シリアス 44P)500円
コピー本 ALL300円
夜桜幻想(眼鏡×御堂 しっとり&甘め)
月と銀剣(克克 切ない&シリアス) 完売(取り扱い終了) 『聖 痕』(眼鏡×御堂 切ない&シリアス)300円
SIREN -呼び声― 克克 切ない&シリアス 200円
愛の言葉 御堂×克哉 甘ラブ 300円
『始まりの扉 続編 小さな祈り』 眼鏡×御堂×克哉+秋紀 300円
今回も通販のおまけとして粗品に無料配布本をつけさせて頂きます。
CPは御克、内容はほんわか優しい感じの内容になります。(ほのラブ風味です)
一応、今年の冬コミにて友人のサークルスペースにコソっと同じものを
置かせて頂きます。
後、香坂の知りあいの方はイベントとかで声を掛けて下されば冬コミとか
1月のインテックスにお会いした時に渡すつもり満々ですので宜しくです(笑)
当サークルの本に興味がある方は是非、申し込んでやって
下さいませ(ペコリ)
連絡を下さいましたら、折り返しこちらから詳細メールを
返信させて頂きます。
送料について
商品の発送はクロネコ・メール便を使用します。
1㎝まで=80円
2㎝まで=160円
3㎝まで=240円
4㎝まで=320円
2㎝以上の厚さになった場合は、梱包を二つに分けて
発送する場合が御座います。
予めご了承お願いします。(その方が利用者の方の送料負担が安くなるので)
これ以上の厚さになった場合は冊子小包にて対応させて頂きます。
本の厚さの目安は以下の通りです。大雑把ですが、参考までに。
INOOCENTBLUE=0.8センチ(+おまけ本 0.2ミリ)
LUNA SOLEIL=0.9センチ
幻花繚乱&胡蝶の夢=0.3センチ
コピー本全種=一冊につき0.25~0.3センチ前後
実際の厚さ計算についてはこちらが行いますので、利用者の方は
遠慮なく興味ある本を選んでやって下さいませ。
出来るだけ送料は安く、をモットーに梱包をやらせて頂くのであまり深く
考えなくてOKです。
それでは皆様、宜しくお願いします。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。
恋人の条件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
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―御堂孝典は、ゆっくりとベッドの上で目を覚ましていった
最初に目に飛び込んで来たのは見知らぬ天井だった。
一体此処はどこなのだろうか、とぼんやりと考えながら身体を起こして
周囲を見渡していけば…目の前に燭台と、一人の男の姿が飛び込んで来た。
「克、哉…?」
一瞬、我が目を疑った。
自分のすぐ傍らに腰を掛けた状態で…佐伯克哉がこちらを見つめていた。
だが、明らかに大きな違和感があった。
眼鏡を掛けて怜悧な眼差しを浮かべている彼の姿には見覚えがあった。
しかしそれは初対面の時以来、見た事がないものでもあったからだ。
「…やっと目覚めたか。気分はどうだ…御堂?」
「え、今…何て?」
再び、相手の呼び方に猛烈な違和感を覚えていく。
彼はいつだってこちらの事を、「御堂さん」か、「御堂部長」と礼儀正しく
呼んでいたのだから。
こんな風に傲岸不遜に、呼び捨てにするなど…とても考えられなくて、
大きく目を見開いていくと…彼は愉快そうに微笑んでいった。
「…何だ、そんな鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして。嗚呼…
そういえばあんたと俺が顔を合わすのは相当久しぶりになる訳だしな。
あいつの方とばかり接していたらまあ…それも無理はないか…」
「…おい、君は一体…さっきから何を言っているんだ…?」
話せば話すだけ、違和感が増してくるばかりだった。
頭がぼんやりして…上手く思考回路が纏まってくれない。
何故、自分はベッドの上で眠ってなどいるのだろうか?
確か直前まで…克哉は拉致をされていて、赤いおしゃれ眼鏡を掛けていた
男にホテルの部屋の中で辱められていて、その中にいきなり本多が飛び込んで
来て…それで…と、其処までが御堂の記憶だった。
それ以後、強烈な睡魔を覚えて意識を閉ざした後の事までは判らなかった。
しかし其処まで思い出した時…更に、大きな疑問が生まれていった。
(…あの二人は、何処に消えたんだ…? あの赤いおしゃれ眼鏡をした男と…
本多君の姿が、室内のどこにも見られないんだが…?)
燭台の火が部屋の中心で大きく揺れている処から見ても、此処がさっきの
部屋と同じである事は疑いないだろう。
近代的でシンプルな内装に、中世風の燭台は恐ろしくミスマッチだからだ。
けれど…何処を見渡しても、本多と澤村の二人の姿は見つける事は出来なかった。
「…なあ、克哉…。私と一緒に部屋の中にいた二人は一体…何処に行って
しまったんだ…? 此処は、さっきの部屋と同じ筈だろう…?」
「ああ、あの二人ね。…あんたと二人きりで話すのに邪魔だから、あの男に
言って丁重に自宅に送り届けて貰った。…今頃は自分の部屋で目を覚まして
いる頃だろうよ…」
「自宅に、送り届けただと…?」
「ああ、そうだ…。俺のすぐ傍には…そういう事をあっさりとやってのける
便利で妖しい男がいるんでね…」
あの男、と言う呼ばれ方をされて…何故かとっさに頭の中に思い浮かんだのは
先程…自分にカードキーを渡した黒衣の男の顔だった。
何故、そう思ったのか判らない。けれど、そういう言われ方をした時に…
何となくそう感じたのだ。
普通に考えれば一人の人間が、二人の人間を自宅に送り届けるような真似を
するのは酷く困難な事だ。
しかし…良く思い返してみれば、この部屋の本来ありえない筈のもう一枚の
カードキーを用意して、この部屋に招き入れた事を思い出せば…あの男性なら
それくらいの事は平然と出来るような、そんな奇妙な納得も同時に感じていた。
「…その点には多少納得がいかない部分があるが…今はそれは置いておく
事にしよう。だが…どうして、私だけこの部屋に残したんだ…?」
「ああ、それは単純だ。あんたと話したい事が俺にはあったからだ…。
もう一人の『オレ』を、俺の許可なく一方的に抱いた事に関してな…」
「はっ…? もう、一人の『オレ』だと…?」
そういう言い回しをされて、御堂は猛烈に違和感を覚えていった。
真っ先に思い浮かんだのは眼鏡を掛けていない…儚く笑う、いつもの
克哉の姿だった。
確かに言われてみれば…眼鏡を掛けている今の彼の姿はまさに
普段と別人と言っても過言ではなかった。
しかしこの物言いでは…まるで、佐伯克哉という人間が二人いると言っている
ようなものではないか。
「…君はさっきから、奇妙な言い回しをするな…。あいつと言ったり、もう一人
『オレ』などと言ったり…。それではまるで、佐伯克哉という人間が二人いると
言っているようなものではないのか…?」
「ああ、その通りだ。…俺達は、今…二人で同時に存在している。眼鏡を
掛けている俺と…眼鏡を掛けていない、気弱な『オレ』とな…。そしてあいつは
俺の所有物でもある…。その所有物を、勝手に抱いたあんたに…俺はどうしても
一言いいたかったものでね…。だからこうして、あんただけはこの部屋に残させて
貰った訳だ…」
「はっ…? 君はそれを、本気で言っているのか…?」
相手があまりに当たり前と言った感じで佐伯克哉が二人いるという事実を
認めた為に余計に御堂の混乱は強まっていった。
だが、眼鏡の目は…正気で、強いものだった。
そうしている間に…傍らに腰を掛けていた相手の顔がこちらに迫って
見下ろして来ているのに気づいて…何故か、本能的な危機感を覚えていった。
「おい、何故…そんな風に顔を寄せてくる…?」
「ほほう、実につれない反応だな。もう一人のオレとは何度も深く口づけたり
抱いたりした癖に…俺の方では、顔を寄せただけで拒絶反応とは…」
「…君に、そんな事をされる謂われはない。良く判らないが…君は私が心底
愛しいと思っている克哉とは違う。その事は理解している…。だからそれ以上
こっちに顔を寄せないでくれないか…?」
「いいや、これでお前がした事を帳消しにしてやるつもりだからな…。
俺のものに勝手に手を出した事に対しての罪をな、お前の身体で贖って
貰う事にする…」
「はっ…?」
あまりに予想外の事を言われて、御堂の思考回路はショートしそうになった。
一体相手は何を言っているのか、理解したくなかった。
その時一瞬、もう一人の克哉は果たして何処にいるのか疑問に覚えていたが…
その件も綺麗に吹っ飛び、目の前の危機に意識が集中していった。
だが満足に頭も体も動いてくれない。
全身が金縛りにあったように自由が効かない身では相手を突き飛ばして
逃げ出す事すら敵わなくて…。
「…他の男が、あいつに手を出して好きなようにするのは許せんからな…。
だが、俺のものになった奴が…同じく俺のものであるあいつに手を出したなら…
それは所有物同士のじゃれあいに過ぎないからな…。だから、あんたも…
俺のものになって貰うぞ…」
「ひ、人をもの扱いするな…! ふざけるな、冗談じゃ…!」
「悪いが、俺は本気だ…。だから言っただろう…あんたに身体を持って
罪を贖ってもらうとな…」
そうして眼鏡は、傲岸に微笑んでいった。
御堂はそれに本能的な恐怖を覚えてベッドの上で逃げ惑っていった。
しかし無理やり抑え込まれていき…・。
―其れから後は、御堂にとって実に不本意な時間が展開される羽目に
なっていったのだった―
あ、CPは御克にしました。
克克はサイトでも、新刊でも書いている割合が
高いと思ったので…(汗)
後、恋人の条件は今月中には終わらせるのを
目標に頑張ります。
それまでどうぞ皆さま、お付き合い下さいませ。
それと最近の近況をちょこっと。
今年は冬コミと、インテックスの両方に行く事になったので
その二つで5~6万は捻出しなきゃいけないので八月から
コツコツお金を溜めている訳ですが…。
今月から、月にまずは10回程度…自宅から最寄り駅まで
まずは歩いてみるというのを付け足しました。
最初は通勤用に三カ月分の定期を買っていたんですが、
今年6月からパスモでバスを乗るように切り替えて…
其処から、50~100円、バス料金が安くなる停留所まで歩くと
いうのを地道に繰り返していたんですが。
最初の頃は一日立ち仕事を7時間した上で更に歩くというのが
結構しんどかったんですが、四か月も続ければそれなりに体力が
ついて身体も整ってきたので、ちょっと追加してみました。
一日50、100円の節約でも積み重ねれば結構大きい訳ですし。
ダイエットにも繋がるし、まずはそれくらいから始めてみます。
後、二匹の子猫は気づいたらすっかりうちの子になりました。
家に帰るとまず当たり前のように家の中にいるようになったよ…。
母の部屋のコタツの前で幸せそうに眠りこけている様子を見ていると
最早こいつらノラ猫じゃないな、とつくづく感じる今日この頃。
最近、朝起きると私の足元にすり寄って来て餌を強請るように
なりました…うう、可愛いじゃないか。
しかしどちらも雄猫なのに、餌を強請る時の声はメス猫である
うちに長年いる猫、ミーよりも可愛いしね。
しかもこの二匹、凄く仲が良くていつでもぴったり寄り添っていて
マジでラブラブなんですよね。
オカンにとっては二匹が暴れまくって今は大変な時期みたいだけど、
何だかんだいいつつ懐いて来ているから可愛さが増して感じられる
今日この頃です。
今日の近況はそんな感じです。
連載の続きは12日夜か、13日の朝にまたアップ致しますね。ではでは!
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。
恋人の条件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
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―雄叫びを上げて燭台を全力で振りまわし、澤村に殴りかかった人物は…
何と本多だった
御堂の場合は静かに入室したし、具体的な行動を一切取らなかったので
澤村はその存在に気づかないままだったが、流石にこれだけ大きな事を
やられたら、嫌でも二人の存在に気づいていった。
「御堂さん! 何で邪魔をするんですか! こいつは…俺は顔も名前も
知らないけど、克哉にこんな真似をしているんですよ! どうしても…許せねぇ!
昼間っから克哉の姿が見えなくて社内は大騒ぎになって…俺も片桐さんも
みんな心配して探し回って、ようやく見つけたら…こんな場面に遭遇して、
冷静でいられる訳がないでしょう!」
「ああ、君の気持ちは痛いぐらい判る! だが…それでも、どれだけゲスな
男だろうと殺してしまったら、君の将来や希望は一切断たれてしまうんだぞ!
だから冷静になるんだ!」
「な、何なんだよ君達! この部屋にいつの間に…どうやって入って
来たんだよ! カードキーはこの部屋の中にあるままだったのに…。
一体どうして…!」
怒り狂って早口で捲し立てる本多、それをどうにか…彼が人殺しだけは
しないように必死に止めていく御堂、そして突然二人の人物が室内に現れた
事で混乱している澤村。
三者の反応はそれこそ、様々だった。
克哉もまた…本多と御堂に、こんなあられもない光景を見られる形になって
さっきまで強引に快楽を引きずり出されて否応なしに感じされられて紅潮していた
肌が一気に青ざめていった。
「や、やだ…見るな、見ないで…お願いだから…!」
蚊の泣くようなか細い声で克哉は必死になって懇願していく。
澤村の意識は辛うじて克哉から外されていたが…それでも身体の奥には
バイブレーターが淫靡に蠢いていた。
必死になって身体を捩って、その異物を取り除こうと克哉は必死に
抵抗を試みていく。
「克哉っ! 今、助けてやる! 何処の誰だか判らねぇが…マジで
許せねぇ…! 殺してやる!」
「ひいぃぃぃ! な、何なんだ君は…野蛮な事をして! 人の部屋に勝手に入り込んだ
上にそんな物を振りまわすなんて気が狂っているとしか思えないよ! それに
どうやって入ったんだよ!」
「…勝手に人の情事を撮影してビデオテープを送って来た挙句…その相手を
拉致をしてホテルに来るように指定してくる男の正気も疑うがな…。君が私を
脅迫しようとした男だろう…? 残念だったな、脅迫罪に加えて佐伯君を拉致して
強姦していた罪状も付け足される訳だ…。ふむ…クリスタル・トラスト社の
澤村紀次、か…。これで君が何処の会社に所属している何者かがようやく
判った訳だな…。はっ、これで君も終わりだな…。私は君を殺しも、直接暴力と
いう形では実行に移さないが…代わりに社会的な制裁を君に加えさせて
もらおうか…」
「あっ! 人の持ち物を勝手に見るなよ! 卑怯者! 其れに何で二人とも
この部屋に入ったんだよ…! カードキーはこの部屋の中に間違いなくあったし、
僕は扉を開けたりもしていない! それなのにどうして…!」
本多と御堂から冷たく、怒りを宿した眼差しで見つめられて元々小心者で
ある澤村はすっかり竦んでしまっていた。
一対一でも、腕力の類に自信が全くない澤村には相手にするだけで骨なのに
自分よりも遥かにガタイの良い本多に、スタンガンをバチバチと放電させている
御堂の二人を相手にしたって澤村が勝てる訳がなかった。
「さあな、私は謎の男にこの部屋のカードキーを渡された。其処に部屋番号が
書かれていたから真っすぐに来ただけだ…」
「俺は克哉から連絡が途絶えて、必死になって探していたら…何か見覚えの
ないメールアドレスから一通のメールが来て…其処にこのホテルの場所と、
この部屋の扉が、何時何分に丁度開くのか詳細が書かれたものが
送信されて…他に手掛かりがないから、ずっと外で張って待っていたんだ…。
御堂さんがこの部屋の扉を開けたのを見た時には正直、びっくりしたけどな…」
「は、はぁぁぁぁ?」
全く予想外の内容を立て続けに打ち明けられていって、澤村は混乱していく。
まさに一気に絶体絶命の状況に立たされてしまっていた。
澤村も誰か判らない相手に、見えない糸で操られているような気分をここ数日は
ずっと味わっていた。
だから話を聞いて薄々、判ってしまったのだ。
恐らくこの二人の糸を引いているのは…先日の御堂と克哉が情事をしている日時と
ビデオカメラを持ってくるように澤村に指示を出して、克哉を拉致するようにお膳立てを
してくれた…謎の人物である事を。
「こ、これ一体…何なんだよ! 訳が判らないよ! こっちに指示を出して有利に
なれるように取り計らっていた癖に…どうして、他の人間をこの部屋に招き入れる
なんて真似をしているんだよ! ど、どうして!」
「うるせぇ! 卑怯者! 一先ず…一発殴らせろ! 燭台で殴りつけるのは
勘弁してやる!」
本多も相手が狼狽しきっている姿を見て、少しずつ冷静になってきたらしい。
燭台をどうにか床の上に倒れないようにガン、と荒っぽい音を立てて置いていくと
すぐさま澤村に向かって飛びかかって…全力で殴りつけていった。
「ぐはっ! 痛いよ! 暴力反対!」
「人を拉致して、脅迫何てする人間に対して一切容赦する必要はない…。
本多君、殺さない程度に思いっきりやってやりたまえ!」
「えぇ、そうさせてもらいますよ…! コイツだけはマジで許せない
っすからね…!」
そういってスタンガンから火花をバチバチと散らせながら…般若のように
恐ろしい形相をしながら御堂が冷徹にそう言い放っていった。
こうなると小物は哀れである。
先程までの優越した勝ち誇った態度は何処へやら、すっかりと縮みあがって
ジタバタと暴れるしかなかった。
だがそんな抵抗も空しく、一発二発と本多から全力で殴りつけられただけで
早くも顔の形が変形し始めていく。
「お願いだから止めてくれぇ! 痛い…痛いよぉ! 助けて…克哉君!」
其処で澤村は縋るような眼差しを克哉に向かって投げかけていく。
その時…彼は実に魅惑的な笑顔を浮かべていきながら、きっぱりと
言い切っていった。
「…人を拉致して、こんな辱めを受けさせた人に同情する気は一切ありません。
本多、全力で制裁加えて良いよ…オレが許すから…」
「そ、そんなぁ…!」
ニッコリ笑って、許可を出していくと同時に…一気に部屋の中の空気が
グニャリ…と変質していった。
一瞬にして、部屋の中に甘い香りが充満して、むせかえりそうになっていく。
それと同時にその部屋の中にいた全員の意識が霞み始めていった。
「な、なんだこれ…!」
「これは、一体…!」
「うわっ…何だよ、この甘ったるい香りは…。すげぇ、眠く…なる…」
「眠い、眠いよ…何だよ、何で…こんな訳が、判らない事ばかり…う、ぐ…」
四人は口々に言葉を発していくが、すぐに猛烈な睡魔によって囚われて…
意識を閉ざしていく。
そして瞬く間に部屋の中にいた全員が深い眠りに落とされていった。
―そしてその直後、一人の男が部屋の中に入っていき…意識を失っている
克哉に服をざっと着せていくと抱きあげていき、部屋の外に連れ出して
いったのだった―
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。
恋人の条件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38
震わせている克哉の姿が真っ先に視界に飛び込んでいった。
…赤くとがった乳首をチラリと覗かせていきながら…大股を大きく開かせて、
深々とバイブレーターを飲み込まされていた。
責め立てながら、傍らにハンドタイプのビデオを設置して撮影していた。
男をどうしても許せなかった。
―殺してやる
瞬間的に、そんな衝動が芽生えても…佐伯克哉という人間に対して
強い恋愛感情を抱いている以上、仕方ない事だった。
だがそれを拳に強く爪を立てて…唇を噛み切ってうっすらと血が滲むぐらい
力を込めて噛みしめる事で耐えていく。
全力で吠えて、相手を殴りつけてやりたかった。
顔の形が変わるぐらい、歯を何本もへし折ってやるぐらいに殴りつけて
この憤りをぶつけたかった。
(…この男を許せない! だがどんな相手でも…感情のままに殴りつけて
『殺してしまう』のだけは許されない事だ…)
ギリギリの処で、一呼吸をどうにか置いていく。
多分、相手に対して殺意を抱いている状況で…実際に殴るという行動を
実行に移してしまったら、歯止めが効かなくなるのを恐れてだった。
恐らくどんなに卑怯な相手でも、克哉を拉致してこうして淫具で攻め立てるような
ゲスな男でも…今の日本の法律では、情状酌量の余地など認められない。
ここで感情のままに行動をすれば相手を殺した、殺されたという事実だけが
残っている。
男は御堂が部屋の中に入って来たのに気づいていない。
明らかな敵意と、こちらに対して害を成そうとしている…それらの行動を
相手が示さない限りは、もし衝動的な行動を取れば…御堂の今まで築き上げて
来た社会的な基盤や地位を一斉に失う事になるだろう。
「…克、哉…」
全身を怒りで震わせていきながら、愛しい存在の名をそっと呟いていく。
その瞬間…目の前で信じられない事が起こった。
一瞬にして、こちらに横顔を向けている澤村達と…そして、自分との間に
人の背丈程もある大きな金属製の燭台が現れて、煌々と蝋燭の火を
揺らめかしていた。
外国の映画などに出てくる、古めかしい洋館の中にあるのならば…ごく自然に
馴染む代物だろう。
だが、近代的な内装のホテルに…突如として現れるのは流石に不自然過ぎた。
(…何故、こんな物がここに一瞬にして現れたんだ…? 私が部屋に入って
来た直後には間違いなくなかった…!)
その事に猛烈な違和感を覚えて、後ずさっていった。
まだ名前を知らない…赤いオシャレ眼鏡の男は克哉を道具で攻め立てて、
辱める事に夢中になってて…この燭台の事にも、御堂の存在にも気づいた
様子はなかった。
恐らく、今の御堂にとっては…澤村に向かって振りまわして殴りつけるのに
これ以上に適した物はなかっただろう。
目の前に、丁度良い位置に突如として現れた凶器の存在に…御堂の心は
大きく揺れていった。
きっと、これを手に持って振り翳していけば克哉を助けられる、と。
人殺しをする訳ではない、この男を殴りつけて…彼を救出する為の時間を
稼ぐ事が出来ると、そう摩り替えを行っていく。
(克哉を、助ける為だ…。それぐらいなら、許される筈だ…!)
そうして歩み寄って、御堂はその燭台を手に取ろうとしていった。
だが…寸前で、頭の中に警鐘が鳴り響いて…ギリギリの処で踏み止まっていく。
胸の中に、ジワリと黒いものが広がっていくのを感じていった。
此れは澤村に対しての強い怒りと、殺意である事を感じ取って…幾ら、捨て去ろうと
しても…切り替えようとしても、今…克哉を好きなようにしているこの男に対しての
怒りや憎しみを抑える事は出来なかった。
同時に、御堂にとってこれは今まで築き上げて来た全ての物を水泡に帰してしまう
ぐらいに悪質な罠でもあったのだ。
―お前など、殺してやりたい…! 私の克哉に、これ以上触れるな…! お前ごときに
…触れる事など、許さない!
そう強い感情を抱いていきながら、御堂は…同時に、人を殺しかねない心理状態を
恐れていった。
結局、数分の葛藤の末…出した結論は、燭台を手に取らずに…代わりに常に
護身用に持ち歩いているスタンガンを用いて相手の自由を奪う事だった。
怒りで燃えたぎるようだった眼差しが…いつもの冷静さを取り戻していった。
御堂は、感情のままに行動するよりもどうにか其れを己の中で噛み殺して…
少なくとも相手の生命に支障が出るような行動に移すのだけは食い止めていった。
スーツの上着のポケットの内側からそれを取り出していき、電源を入れていく。
バチっと、火花が散るのを感じて…鼓動が荒くなっていくのを自覚していった。
(克哉…今、君を助ける…!)
そうして御堂は静かな足取りで相手に気づかれないように息を殺していきながら…
ふと、一つの事実に気づいていった。
部屋の照明が、灯っている事に。
室内に入った直後には特に何も感じなかったが…其れに猛烈な違和感を
覚えていった。
最近のカードキーを導入しているホテルでは、入口付近にそのカードを
機械に差し込まない限り…照明の類は使えない仕様になっている構造を
している事が多い。
御堂は冷静さを取り戻して、行動に移す瞬間…その中に自分が用いた
カードキーとは別の物がその中に入っているのを確認していった。
通常、カードキーは宿泊客に対して一枚しか手渡されない。
そして何かトラブルが起これば、『マスターキー』によって対応していく。
―そう、通常は一つの客室に対して二枚のカードキーなど存在しえない筈なのだ…
その事に気付いた瞬間、何か得体の知れない恐怖を覚えていった。
そうして御堂が立ち往生して動けないままでいると…背後から、空気を切る
音が聞こえていって…誰かが、雄叫びを挙げて飛び込んでいくのを目の当たりに
していった。
「き、君は…! どうして、此処に…!」
まるで獣のような咆哮を漏らして、予想もしていなかった人物が御堂が
手に取るのを恐れた燭台を手にして大きく振り上げようとしていった。
「待て! そんな真似をしたら克哉が傷つく可能性がある…!」
そうして大急ぎで御堂は叫んでいき、その突然の闖入者の背後に回って、
その人物が燭台を手にして殴りつけていこうとするのを必死になって
止めていこうと試みたのだった―
とりあえず冬コミに向けて友人達と連絡したり…通販の
準備について並行して現在、チマチマやっております。
通販の受付は来週の日曜日から開始する事にしました。
今回もささやかですが、通販のオマケをつけるのでそれを作る為の
時間を確保したいので。少々お待たせしますすいません(ペコリ)
それと冬コミ、友人達はどうするのかな~と連絡したら…友人の
一人が受かったけれど、冬コミに直参出来ない~と言っていたので、
「んじゃ、僕が必要な手続きをして…お店を開けて、片付けるくらいの
事はやるよ。そうすれば無料配布ぐらいなら置いて参加出来るじゃん」と
申し出たら…向こうも了承してくれたので、相手の無料配布を置くのと
一緒に、片隅にこちらの無料配布もおかせてもらう事に決定しました。
一応、利害が一致したというか…そんな感じなんですけどね。
普段その子の世話になっている訳だし、こういう処で恩はちゃんと返した方が
良いと思ったもので(笑)
まあ、其処…忍たまスペースなんだけどNE!
…と言いつつも、無料配布を置かせて貰う場所が出来ただけ
有り難いと思ったので、今回の通販のオマケにつける無料配布と
同じものを冬コミでも友人のスペースでひょっこり置かせて貰います。
其れは鬼畜眼鏡のものになります。
御克か、克克のどっちになるかはまだ未定ですが…通販受付開始予定日の
14日までには本文完成させて、一緒にオマケとしてつけさせて貰うので
良ければ受け取ってやって下さい。
その友人のスペースについては、もう少し日にちが近づいたらまた
サイト内でアナウンス致します。
とりあえず、無料配布作り頑張ります。
後…当面の予定としましては、通販受付期間は11月14日から30日までのおよそ
二週間弱になると思います。
良し、こうして告知した以上はやりますぞ~!
一人でも通販希望してくれたお客さんがいてくれるだけでも充分だと
思っております。そういう訳で頑張りまっす!
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
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24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。