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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※7月25日からの新連載です。
今回は「恋人関係」について掘り下げた内容になっております。
眼鏡が意地悪で、ノマは不安定で弱々しい場面も途中出てくる
可能性が大です。
 他のカップリング要素を含む場面も展開上出てくる場合があります。
 それを承知の上で目を通して下さるよう、お願い申し上げます。

 恋人の条件                        10 
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 二人の佐伯克哉は黒衣の男が現れたことに対して、言葉を
失ってしまった。
 その人物が姿を現した瞬間、部屋の空気は一気に冷たく
凍り付いたような気がした。
 この男に今までに何度も顔を合わせて、言葉を交わして来たが…
今程、妖しい顔を浮かべているのを克哉は見たことがなかった。
 突然の来訪者の正体は、Mr.Rだった。
 だが元々神出鬼没の部分があるこの男性が来訪しただけでは二人は
さほど驚かなかっただろう。
 しかし黒衣の男の腕の中には、シーツに包まれた状態で意識を
失っている御堂が抱かれていた。
 180cmを超える体格の男を両腕に抱いていてもその重さを感じさせる
様子は全くなかった。
 それがどこか現実離れしていて…同時にこの男の得体の知れなさを
如実に現していた。
 
「Mr.R…! それに御堂、さん…! 何故、二人が此処に…!」
 
「…貴様、何のつもりで顔を見せた。それに…何故、御堂まで連れて
来たんだ…。そいつはまだ、ぐっすりと眠っている頃だろう…?」
 
「いえいえ、お二人が愉快な事を話されていたので少し興味を覚えましてね…。
お節介ながら、多少私が力を貸して…お二人に、選択肢を与えて差し上げようと
思ったものでして…」
 
「…お前に何が出来るというんだ…?」
 
 今、目の前に立っているRの表情は柔らかく微笑んでいるように見えて、
どこか底知れぬ不気味さも感じられるものだった。
 
「いえ…お二人の関係に、御堂孝典様を介入させるか否か。その事を話されていた
みたいですからね…。そちらの眼鏡を掛けていない方の克哉さんは、貴方が
御堂様を抱いた事に対して深い引っかかりを感じているみたいですからね…。
ですから、貴方に問いかけをさせて貰いに来た訳です。貴方が導き出した
答え次第によって、ほんの僅かだけハッピーエンドの可能性を残して
差し上げても良いかなと思いましたので…」
 
「ハッピーエンドの可能性、だと…?」
 
「ええ、今…この段階で、貴方たちには幸福になる可能性と…とても
不幸になる可能性が同時に存在しています。ですが今から私が出す問いに…
貴方がどう答えるかによって、私は最高の幸福に至る道を用意して
差し上げても良いと考えております…」
 
「お前の出す問いの答えによって…俺達の運命が決まるとでも言うのか…。
はっ…実に胡散臭い話だな…!」
 
「えぇ、私が胡散臭い怪しい奴だという事はもう改めて言わなくても判りきって
いる事じゃないですか。そんな事はさておき…どうですか。その可能性に
挑戦してみますか…? それとも、このまま私をこの場から退場させますか…?」
 
 黒衣の男は愉快そうに瞳を細めながら、こちらに問いかけて来た。

「はい、幸福になれる可能性があるのなら…俺は挑戦したいです…!」

 克哉はキっと男を見つめていきながらそう答えていった。
 
「…判りました。なら貴方に問わせて頂きましょう…。貴方は、御堂様と
今後…どのような関係を築き上げたいのでしょうか…?」

「えっ…それは、どういう…?」

「その言葉の通りですよ…。眼鏡を掛けた方の克哉さんが言った通り…
貴方たち二人の関係の中に入って来て貰うか…もしくは、お引取りを
願うのか…。その答えを聞かせて頂けますか…?」

「御堂さんと、どんな関係を築いていきたいのか…か…」

 その問いを出された瞬間、克哉は考え込んでいった。
 それは必死になって思い悩んでいる表情だった。
 暫く彼は黙って考え込んでいたので…眼鏡もまた特に何も言わずに
見守り続けていった。
 およそ10分程度、沈黙をした後…克哉は何かを決断したような
そんな顔を浮かべながら黒衣の男を見つめてから、言った。

「…もし可能であるならば、オレは…御堂さんにこの三日間の事を
キレイに忘れて欲しい。そして…オレへの思いなど全て忘れて…
自由に過ごして欲しいと思います…」

「っ…!」

「ほう、そのような答えを出されるのですか…。なら一つ聞かせて
頂きたいのですが…どうしてそのような結論を出されたのですか…?」

「…答えは簡単です。オレは確かに御堂さんに惹かれつつあった。
きっともう一人の俺の事がなければ、あんな風に真剣に想われて抱かれた
時点でこちらも…御堂さんの事を想うようになっていたでしょう…。
けれどオレは、もう一人の俺が御堂さんを抱いたと聞いた時…猛烈な
嫉妬を抱いてしまった。あの人への気持ちよりも、その事に対しての
憤りと強い嫉妬の方が…さっき、比重が強かったんです。それを自覚
した時…オレは、きっと…きっと御堂さんがオレ達二人の間に入って
きたら…きっと冷静でなんかいられない。嫉妬で苦しみ続けて…
この人の想いを受け取って笑顔でいる事など出来ないと…思い知った
からです。そんなオレに…この人を縛り付ける資格などありませんから…」

「………」

 眼鏡は、克哉が出した答えを傍らで黙って聞いていた。
 彼がさっき御堂を抱いたのは…まだ克哉には語っていなかったが
二つの意味合いがあったから。
 一つは御堂に抱かれてしまった克哉の罪を相殺する為。
 もう一つはさっき語ったように…自分は、この定められた十日という期限を
過ぎたら次はいつ顔を出せるか判らない身の上だということだ。
 ならいっそ、御堂を介入させて自分が出てこれない間…克哉が寂しく
空しい気持ちを抱かせないようにという気持ちもどっかで存在していた。
 だが、克哉が出した回答は…その彼の意図とは全く逆のものだったのだ。

「それが貴方の本心ですか…克哉さん」

「はい、正直…御堂さんに対して、オレも未練はあります。けれどそれ
以上に…もう一つの気持ちが強いですから…」

「…その感情とは、何なんだ…『オレ』…?」

 最後の促す言葉は、もう一人の克哉の口から発せられていった。
 すると克哉はフワリと柔らかく微笑み、迷いない様子で告げていった。

『オレは御堂さんを想う気持ちより遥かに強く…もう一人の俺の事を独占したいと
いう欲が存在している身勝手な奴です。介入させれば、オレも御堂さんに抱かれて
愛される事が出来る代わりに…もう一人の俺が、御堂さんを抱くのを容認しないと
いけなくなる…。それは嫌だという、凄く身勝手で独占欲が強い奴なんです…。
そんなオレが、御堂さんに想われてこの人を引き止める資格なんてある訳が
ありませんから…。貴方なら、それくらいの事は出来るでしょう…Mr.R。
ですから…御堂さんが余計な痛みを抱かないようにこの三日間の記憶を
静かに封じて…解放してあげて下さい…。どうか、お願いします…」

 そして克哉は深々と頭を下げて必死になって訴えかけていった。
 Mr.Rは御堂を腕に抱いた状態のまま何も答えなかった。
 そうしている間に…Mr.Rの腕の中で御堂が軽く呻き声を漏らして意識を
覚醒させていった。

「…ここは、一体…?」

 そしてまだ夢の中を彷徨っているようなそんな危うい表情を浮かべて
いきながら…ぼんやりと、御堂はその紫紺の眼差しを二人に向けて…
見つめてきたのだった―
 
 
 
 



 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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